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出発前のけじめ
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王都のエンブレア邸はお茶会に呼ばれた9人が軽食やデザートを楽しんでいる。
お祝いかのように花々を飾りつけた。
「エンちゃん、お手紙ちょうだいね」
「うん」
「2年か。戻って来たらまたお茶会開いてよ」
「うん」
「エンちゃん。これから留学するのにもう泣いていたら心配で行かせたくなくなるじゃないか」
「みんなと過ごせて嬉しいの」
「エイミーまで泣き出しただろう」
「おい、ザックも泣いてるよ」
「お、俺はレモンが目に入ったんだよ」
「どこにレモンがあるんだよ」
「それだよ」
「ジャムじゃないか」
「ジャムでもしみるんだよ」
「ふふっ」
「エンちゃん、私達はエンちゃんが大好きよ」
「私もみんなが大好きよ」
翌日にはノエル王子殿下が訪ねて来た。
「アリスティーネ、久しぶり」
「ノエル王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「……元気になって良かった」
「ご心配をおかけしました」
「エスペランサに留学するとは思わなかった」
「あの学園には通えませんから」
「すまなかった」
「殿下?」
「元はといえば婚約者選抜からアリスティーネを苦しめていた」
「辞退しなかった私が悪いのです。あの時は殿下をお慕いしていて 愚かにも淡い期待を抱いておりました。天罰がくだったのです。
殿下も婚約者の再選抜をなさるのですね」
「そうだね。
…アリスティーネはもう妃になりたいとは思わないのか」
「思いません」
「…僕は君を妹のように愛してきた」
「はい」
「今は…」
ノエル殿下が寂しそうな表情をしていると感じるのは気のせいかしら。
「殿下?」
「アリスティーネ。妹とか幼馴染とかそういう縛りは外して言う。君は僕にとって大事な存在だ」
「殿下…」
「一応、留学の件はみんな口に出していないから、騒がれることはないと思う。関係者も、アリスティーネの友人たちも、僕たちも口外しない。
アリスティーネを誰も知らない環境で学生生活をやり直せることを祈っているよ」
「ありがとうございます」
「いつでも帰って来て」
「皆様によろしくお伝えください」
「分かった」
お茶を飲み終えたノエル王子殿下をお見送りした。
もう私の心の整理はついているみたいでホッとした。ちゃんと片想いは終わっていたのだ。
留学には1人で行くことにした。
現役の侯爵夫妻を2年も外国に連れて行くわけにはいかない。
家族は反対したけど、我儘を通した。
エスペランサ王国は、国王陛下が解毒の治療を受ける中、宮廷医の処刑を終えていた。
1ヶ月後、起き上がれるようになっていた王妃を第二王子の元へ連れて行き、国王陛下自ら宣告をした。
第二王子殿下の尊厳死の執行だった。
意識は戻ったが、何一つ動かすことができなかった。神経の損傷が大きかったのだ。第二王子が望んだのは尊厳死。
王妃の前で王子を眠らせてから死なせた。
目の前で彼女の全てだった息子を失った王妃は気が触れた。第二王子をそのような目に遭わせたのは王妃自身なのにレオナルドが殺したと騒ぎ立てた。
陛下は王妃の喉を焼き 廃位して、公開処刑をした。
国王と第一王子への暗殺未遂、横領や収賄など様々な罪の他に第二王子への殺害の罪が加えられた。
死ななければならない状況にしたことで殺人罪となった。
国王と血を引き継いだ王子2人が相手ということで、火炙りの刑に処された。ゆっくり焼かれたらしい。
そして王妃の実家の一族は連座で処刑された。
王妃と手を組んで、悪事に手を染めた者たちの粛正も終わった。レオナルド第一王子がその指揮をとったと言われている。
新聞を読んでもピンとこない。
だって、うちで弟をやっていたレオなんだもの。
「お嬢様、念の為にお薬もお持ちください。馬車酔いの薬、解熱剤、腹下しの薬、胃薬、傷薬。書いてありますから飲む量を間違えないようになさってください」
「ありがとう」
あとはエスペランサからの迎えを待つだけ。
その間、たっぷり両親に甘えた。
数日後、エスペランサの王宮馬車が到着した。
「レオ!?」
「アリス!久しぶり!」
「わざわざ迎えに来てくれたの?」
「もちろん。パパ、ママ、久しぶりです」
「あ、ああ。元気だったか?レオ」
「ええ。少し張り切りました」
「なんだか逞しくなったわね」
「ちょっと粛正に忙しくて。
お土産を持って来ました」
「ありがとう、さあ、入って」
レオナルド公子…ではなく、王太子となったレオナルド殿下は2日滞在し、別れ際にパパとママにハグをして私を馬車に乗せて出発した。
お祝いかのように花々を飾りつけた。
「エンちゃん、お手紙ちょうだいね」
「うん」
「2年か。戻って来たらまたお茶会開いてよ」
「うん」
「エンちゃん。これから留学するのにもう泣いていたら心配で行かせたくなくなるじゃないか」
「みんなと過ごせて嬉しいの」
「エイミーまで泣き出しただろう」
「おい、ザックも泣いてるよ」
「お、俺はレモンが目に入ったんだよ」
「どこにレモンがあるんだよ」
「それだよ」
「ジャムじゃないか」
「ジャムでもしみるんだよ」
「ふふっ」
「エンちゃん、私達はエンちゃんが大好きよ」
「私もみんなが大好きよ」
翌日にはノエル王子殿下が訪ねて来た。
「アリスティーネ、久しぶり」
「ノエル王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「……元気になって良かった」
「ご心配をおかけしました」
「エスペランサに留学するとは思わなかった」
「あの学園には通えませんから」
「すまなかった」
「殿下?」
「元はといえば婚約者選抜からアリスティーネを苦しめていた」
「辞退しなかった私が悪いのです。あの時は殿下をお慕いしていて 愚かにも淡い期待を抱いておりました。天罰がくだったのです。
殿下も婚約者の再選抜をなさるのですね」
「そうだね。
…アリスティーネはもう妃になりたいとは思わないのか」
「思いません」
「…僕は君を妹のように愛してきた」
「はい」
「今は…」
ノエル殿下が寂しそうな表情をしていると感じるのは気のせいかしら。
「殿下?」
「アリスティーネ。妹とか幼馴染とかそういう縛りは外して言う。君は僕にとって大事な存在だ」
「殿下…」
「一応、留学の件はみんな口に出していないから、騒がれることはないと思う。関係者も、アリスティーネの友人たちも、僕たちも口外しない。
アリスティーネを誰も知らない環境で学生生活をやり直せることを祈っているよ」
「ありがとうございます」
「いつでも帰って来て」
「皆様によろしくお伝えください」
「分かった」
お茶を飲み終えたノエル王子殿下をお見送りした。
もう私の心の整理はついているみたいでホッとした。ちゃんと片想いは終わっていたのだ。
留学には1人で行くことにした。
現役の侯爵夫妻を2年も外国に連れて行くわけにはいかない。
家族は反対したけど、我儘を通した。
エスペランサ王国は、国王陛下が解毒の治療を受ける中、宮廷医の処刑を終えていた。
1ヶ月後、起き上がれるようになっていた王妃を第二王子の元へ連れて行き、国王陛下自ら宣告をした。
第二王子殿下の尊厳死の執行だった。
意識は戻ったが、何一つ動かすことができなかった。神経の損傷が大きかったのだ。第二王子が望んだのは尊厳死。
王妃の前で王子を眠らせてから死なせた。
目の前で彼女の全てだった息子を失った王妃は気が触れた。第二王子をそのような目に遭わせたのは王妃自身なのにレオナルドが殺したと騒ぎ立てた。
陛下は王妃の喉を焼き 廃位して、公開処刑をした。
国王と第一王子への暗殺未遂、横領や収賄など様々な罪の他に第二王子への殺害の罪が加えられた。
死ななければならない状況にしたことで殺人罪となった。
国王と血を引き継いだ王子2人が相手ということで、火炙りの刑に処された。ゆっくり焼かれたらしい。
そして王妃の実家の一族は連座で処刑された。
王妃と手を組んで、悪事に手を染めた者たちの粛正も終わった。レオナルド第一王子がその指揮をとったと言われている。
新聞を読んでもピンとこない。
だって、うちで弟をやっていたレオなんだもの。
「お嬢様、念の為にお薬もお持ちください。馬車酔いの薬、解熱剤、腹下しの薬、胃薬、傷薬。書いてありますから飲む量を間違えないようになさってください」
「ありがとう」
あとはエスペランサからの迎えを待つだけ。
その間、たっぷり両親に甘えた。
数日後、エスペランサの王宮馬車が到着した。
「レオ!?」
「アリス!久しぶり!」
「わざわざ迎えに来てくれたの?」
「もちろん。パパ、ママ、久しぶりです」
「あ、ああ。元気だったか?レオ」
「ええ。少し張り切りました」
「なんだか逞しくなったわね」
「ちょっと粛正に忙しくて。
お土産を持って来ました」
「ありがとう、さあ、入って」
レオナルド公子…ではなく、王太子となったレオナルド殿下は2日滞在し、別れ際にパパとママにハグをして私を馬車に乗せて出発した。
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