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寒い!!
この土地へ近付くにつれて肌寒くなった。到着したときには震えていた。だけど既に家を借りていて別の土地に行こうと言えなかった。
暖房でなんとかなる、もしくは偶然寒い日だっただけ、そう願って丸2日過ごしたけど寒い!!
「クロエ、私寒いの苦手よね?」
「そうですね」
「何で移住先が寒いと教えてくれなかったの?」
「常識ですのでご存知だと思っていました」
確かに、国内の領地分布を覚えるのは貴族の常識。
「もっと暖かくできない? 何で窓を何度も開けるの?」
「換気しないと死にます」
「そんなに開ける必要があった?」
「こんなに薪を使えば窓は全開にしなくてはなりません」
「10分おきにやってたら部屋が暖まらないわ」
「嫌でしたら小さな火にして毛布に包まって過ごすしかありませんね」
本当かしら。クロエが目を合わさないわ。
「エル、本当?」
「さあ。このような狭い部屋でこんなに薪を使ったことがないので」
「エル?」
「さて、追加の薪を持って来ないと」
絶対に怪しい。
薪を取りに行くためにエルがドアを開けたので更に冷たい空気が入ってきた。
「いつ暖かくなるの?」
「さあ。半年は暖炉が必要だと昨日地元の方に聞きました」
「はぁ!?」
「慣れると言っていました」
絶対に慣れる気がしない。
更に2日後。
「もっとくっついて寝て」
「徐々にもっと寒くなるらしいですけど、既に今でもこの状態で大丈夫ですか?」
3人でくっ付いて寝れば何とかなると思ったけどベッドに3人は無理。だから床に寝ることにしたけど床からの冷えが伝わって寒い!
「何で伯爵にきちんとごめんなさいって言わないんですか? 大旦那様には言えるじゃないですか」
「だって、絶縁よ? ごめんなさいでは許されないわ。それに怒った顔が恐いし “おまえなんか娘じゃない、気安く話しかけるな” なんて言われるかもしれないでしょう?」
「考えすぎですよ。卿もそう思いますよね?」
「まあ、俺はこれでもいいですけど」
「エルは寒いのが好きなのね」
「ほら、くっ付いて寝ますよ」
翌朝。
寝不足だし体が痛い。
ハーブティーで体を温めた。だけどすぐにカップの中身は冷めてしまう。
「お嬢様、戻るなら早めがいいですよ。雪が降って身動きが取れなくなったらどうしようもないですからね」
「雪!?」
「はい。お嬢様が埋まるくらい降るそうです。4ヶ月ほどは雪かきが必要で、毎日だそうです。時には日に三度雪かきすることもあるそうです」
それって私が埋まる程度じゃ済まないレベルじゃないの!?
「何で教えてくれなかったのよ!」
「え? 常識ですのでご存知だと思っていました」
そこに戻るのね。
移住して10日後。
「クシュン」
「大丈夫?」
「駄目です。寒気がして関節が変です。これ、高熱が出ます」
そして後を追うように
「お嬢様、俺も無理です」
クロエに続いてエルも熱を出した。元気なのは私だけ。全て私がやらなくちゃいけない。クロエとエルがいるからとメイドを雇わなかった。
町の人達と会話をしているのはクロエとエル。
医者は? この町にいるの? 町の人に聞く?
たくさん着込んで外に出て通りすがりの人に声をかけた。
「お医者様とか診療所とかどこですか?」
「二つ先の村だよ」
「この町にはいませんか?」
「この村には祈祷師しかいないよ。しかも自称だから気休めだね」
駄目だ、ここにいたら死ぬ。
「手紙を配達してくれる人はどこに寄りますか?」
こういう小さな規模の町…ではなく村は手紙などの集配をどこかの店か家に委託してる場合が多いと聞いたことがある。
「隣の村まで持って行かないと駄目だね」
何だか涙が出てきた。
「うちの息子に届けさせようか?」
「ありがとうございます!」
おばさんの家について行き、手紙を書いて預けた。配達料と手間賃を多めに置いて家に戻った。
“パパ
ごめんなさい、助けてください。
エリーゼ”
迎えが到着した頃には2人は治っていたけど懲り懲りだった。エルが村長さんに挨拶とお礼を渡していた。
雪が降る前に去りたかったので荷物をすぐに纏めてリッチウェイの屋敷に戻った。
お父様は許してくれた。
許してくれた後は昔のように優しくしてくれた。
いろんな意味で暖かくて泣けてきた。
数週間後、お父様とお母様が領地へ戻ることになり、その前に再度お詫びとお礼を伝えた。お兄様夫婦は先週戻ってしまった。
「もうわかったから」
「そうよ」
「あの、避けられないのはわかっています。ですが1年はここに居させてもらえませんか」
「ん?」
「え?」
「どういう意味だ?」
お祖父様も心当たりがなさそうに私を見た。
「結婚です。貴族の娘としてどこかに嫁ぐのですよね。戻って来たばかりなので1年だけ居させてください。あと、贅沢を言わせてもらえるのなら寒くない土地の人がいいです」
「何を言っているんだ? 嫁には出さないぞ?」
「そうよ、誰がそんなことを言ったの?」
「え、だって最初の結婚前に縁談か進んでたって……」
「婿をもらおうとしたのよ」
「そうだぞ。リッチウェイに入ってもらって事業を手伝わせるか、もしくは爵位を与えて領地に屋敷を建てるかするつもりだったんだぞ」
「知らなかったのか」
「知りませんでした」
「心配しなくていい。エリーゼを蔑ろにするような男は儂が許さん」
「そうよ、安心しなさい」
「無理矢理させるつもりはない、嫌ならまた探すし、居なかったら独身のままいればいい。とにかくリッチウェイから出すつもりはない」
良かった……。
「ありがとうございます」
「ところで、歳上はどこまで許容範囲だ?」
「……14?」
「そんなに歳上が好きなの!?」
「そうじゃなくて、なんとなくそのくらいまでかなって」
何だろう、もう候補がいるのかしら。
暖房でなんとかなる、もしくは偶然寒い日だっただけ、そう願って丸2日過ごしたけど寒い!!
「クロエ、私寒いの苦手よね?」
「そうですね」
「何で移住先が寒いと教えてくれなかったの?」
「常識ですのでご存知だと思っていました」
確かに、国内の領地分布を覚えるのは貴族の常識。
「もっと暖かくできない? 何で窓を何度も開けるの?」
「換気しないと死にます」
「そんなに開ける必要があった?」
「こんなに薪を使えば窓は全開にしなくてはなりません」
「10分おきにやってたら部屋が暖まらないわ」
「嫌でしたら小さな火にして毛布に包まって過ごすしかありませんね」
本当かしら。クロエが目を合わさないわ。
「エル、本当?」
「さあ。このような狭い部屋でこんなに薪を使ったことがないので」
「エル?」
「さて、追加の薪を持って来ないと」
絶対に怪しい。
薪を取りに行くためにエルがドアを開けたので更に冷たい空気が入ってきた。
「いつ暖かくなるの?」
「さあ。半年は暖炉が必要だと昨日地元の方に聞きました」
「はぁ!?」
「慣れると言っていました」
絶対に慣れる気がしない。
更に2日後。
「もっとくっついて寝て」
「徐々にもっと寒くなるらしいですけど、既に今でもこの状態で大丈夫ですか?」
3人でくっ付いて寝れば何とかなると思ったけどベッドに3人は無理。だから床に寝ることにしたけど床からの冷えが伝わって寒い!
「何で伯爵にきちんとごめんなさいって言わないんですか? 大旦那様には言えるじゃないですか」
「だって、絶縁よ? ごめんなさいでは許されないわ。それに怒った顔が恐いし “おまえなんか娘じゃない、気安く話しかけるな” なんて言われるかもしれないでしょう?」
「考えすぎですよ。卿もそう思いますよね?」
「まあ、俺はこれでもいいですけど」
「エルは寒いのが好きなのね」
「ほら、くっ付いて寝ますよ」
翌朝。
寝不足だし体が痛い。
ハーブティーで体を温めた。だけどすぐにカップの中身は冷めてしまう。
「お嬢様、戻るなら早めがいいですよ。雪が降って身動きが取れなくなったらどうしようもないですからね」
「雪!?」
「はい。お嬢様が埋まるくらい降るそうです。4ヶ月ほどは雪かきが必要で、毎日だそうです。時には日に三度雪かきすることもあるそうです」
それって私が埋まる程度じゃ済まないレベルじゃないの!?
「何で教えてくれなかったのよ!」
「え? 常識ですのでご存知だと思っていました」
そこに戻るのね。
移住して10日後。
「クシュン」
「大丈夫?」
「駄目です。寒気がして関節が変です。これ、高熱が出ます」
そして後を追うように
「お嬢様、俺も無理です」
クロエに続いてエルも熱を出した。元気なのは私だけ。全て私がやらなくちゃいけない。クロエとエルがいるからとメイドを雇わなかった。
町の人達と会話をしているのはクロエとエル。
医者は? この町にいるの? 町の人に聞く?
たくさん着込んで外に出て通りすがりの人に声をかけた。
「お医者様とか診療所とかどこですか?」
「二つ先の村だよ」
「この町にはいませんか?」
「この村には祈祷師しかいないよ。しかも自称だから気休めだね」
駄目だ、ここにいたら死ぬ。
「手紙を配達してくれる人はどこに寄りますか?」
こういう小さな規模の町…ではなく村は手紙などの集配をどこかの店か家に委託してる場合が多いと聞いたことがある。
「隣の村まで持って行かないと駄目だね」
何だか涙が出てきた。
「うちの息子に届けさせようか?」
「ありがとうございます!」
おばさんの家について行き、手紙を書いて預けた。配達料と手間賃を多めに置いて家に戻った。
“パパ
ごめんなさい、助けてください。
エリーゼ”
迎えが到着した頃には2人は治っていたけど懲り懲りだった。エルが村長さんに挨拶とお礼を渡していた。
雪が降る前に去りたかったので荷物をすぐに纏めてリッチウェイの屋敷に戻った。
お父様は許してくれた。
許してくれた後は昔のように優しくしてくれた。
いろんな意味で暖かくて泣けてきた。
数週間後、お父様とお母様が領地へ戻ることになり、その前に再度お詫びとお礼を伝えた。お兄様夫婦は先週戻ってしまった。
「もうわかったから」
「そうよ」
「あの、避けられないのはわかっています。ですが1年はここに居させてもらえませんか」
「ん?」
「え?」
「どういう意味だ?」
お祖父様も心当たりがなさそうに私を見た。
「結婚です。貴族の娘としてどこかに嫁ぐのですよね。戻って来たばかりなので1年だけ居させてください。あと、贅沢を言わせてもらえるのなら寒くない土地の人がいいです」
「何を言っているんだ? 嫁には出さないぞ?」
「そうよ、誰がそんなことを言ったの?」
「え、だって最初の結婚前に縁談か進んでたって……」
「婿をもらおうとしたのよ」
「そうだぞ。リッチウェイに入ってもらって事業を手伝わせるか、もしくは爵位を与えて領地に屋敷を建てるかするつもりだったんだぞ」
「知らなかったのか」
「知りませんでした」
「心配しなくていい。エリーゼを蔑ろにするような男は儂が許さん」
「そうよ、安心しなさい」
「無理矢理させるつもりはない、嫌ならまた探すし、居なかったら独身のままいればいい。とにかくリッチウェイから出すつもりはない」
良かった……。
「ありがとうございます」
「ところで、歳上はどこまで許容範囲だ?」
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