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反りが合わない2人
翌朝の別邸では。
引き攣った笑みを浮かべて朝食の席に現れたのはジュリアンだ。彼はぎこちない歩き方をしていた。
「ジュリアン、どうした」
「筋肉痛です」
彼の祖父は何やってるんだという顔をした。
彼の祖母は笑いながら夫に話す。
「昨夜お話ししたではありませんか」
「女物の靴を履いて筋肉痛なのか」
「お祖父様も履けばわかりますよ。足どころか、コルセットという拷問着のせいで腰も背中も痛いんですから。髪の毛も長いと首も肩も凝るんですよ」
「ふふっ、運動しなさすぎなのよ」
「何でお祖母様は大丈夫何ですか? 僕、肋骨折れたんじゃないかな。クロエが容赦ないから」
確かにクロエはコルセットの紐を、まるで殺し屋が標的を絞め殺すかのように絞めていたわね。
あれを見て、今まで私は手加減されていたのだと知ったわ。私の背中を足で押さえ付けたこともないもの。本当はコルセットをこれでもかと絞め上げることで恨みを晴らしているかもしれないなんて思っていて悪かったわ。
今日はたくさん撫でてあげるわね。
「うちのクロエは優秀なの」
クロエは嬉しそうに瞳だけ輝かせた。
食後にジュリアンは、女物の靴の恐ろしさを知ったせいか、私の足を心配して抱き上げて、居間に移動してソファに降ろそうとしたけど、ほぼ全身筋肉痛の彼はバランスを崩して私ごと倒れた。何とか私だけはソファの上に落としたけど、彼は肘掛けに倒れそのままゴロンとローテブルに脇腹を打ち付け悶絶。
医者を呼ぶ羽目になった。
彼の祖父母は呆れて私に平謝り。
「しばらく安静になさってください。直に骨を確認できないので何ともいえませんが、酷い打ち身だけか肋骨にヒビが入っているかのどちらかです。ひとまず1ヶ月様子を見ましょう。移動できるかどうかはその後判断します。痛み止めと薬草を置いて帰りますので、すり潰して塗って清潔な布をあてて包帯か何かを巻いてください」
「馬鹿だな」
彼のお祖父様は “これは私の孫で間違いないのか?” と言いたげな顔をしている。
「他所様の家で何をやっているのよ、恥ずかしい」
彼のお祖母様は頭を抱えている。
「ごもっともです」
本人は下を向いてそう答えた。
「ローランド、すまないが動かせるようになるまでジュリアンを頼めるか?」
「もちろんだとも」
お祖父様が承諾するとジュリアンはニコニコし始めた。
「何を嬉しそうにしているんだ。エリーゼ嬢を怪我させるところだったんだぞ。治ったら毎日兵士達と朝の鍛錬をさせるからな。まったく…馬にばかり夢中になっているから馬鹿なことを言ったりやったりするんだ」
「お祖父様ぁ」
「大人になった孫息子にそんな声を出されても気色悪いだけだ」
「差別じゃないですか!」
「ジュリアンもオスカーが膝の上に座るよりエリーゼ嬢が座る方がいいだろう、それと同じだ」
「そうよ、私だってあなたよりエリーゼ嬢の方がいいわ」
「お祖母様まで……」
そんなことを言っているけど、2人にとって彼はとても可愛い存在なのね。愛されて育ったことを感じるわ。
「私もお祖父様に甘えたいです」
「よしよし、エリーゼはいくつになっても可愛いぞ」
「私もお祖父様が大好きです」
「エリーゼだけズルい」
最初の印象より子供っぽい中身のジュリアンを見ていたら弟ができた気分になった。
前バミュート伯爵夫妻とジュリアンが別邸に滞在して6日目。
本邸でルセット子爵令息としての役割を終えて、私の護衛騎士に戻るために別邸に戻ったのだけど、ソファで私の膝枕で横になるジュリアンを見て固まった。
「エリーゼ、何してるんだ?」
「エル」
お祖父様がこうなってる経緯を簡単に説明した。
「バミュート伯爵令息、辛いのでしたら客室で安静になさったらよろしいのでは?」
「お構いなく」
「エリーゼ」
エルは咎めるかのように低い声で私の名を呼んだ。
それに反応したのはジュリアンだ。
「ルセット卿、その姿は私兵としての役割を果たしに来たんですよね? 主人に向かって咎めるように呼び捨てにするなんて有り得ないと思うのは僕だけですかね」
「エリオット」
お祖父様が注意を促すようにエルの名を呼んだ。
「失礼しました」
ジュリアンはクロエの方に顔を向けて手を上げた。
「クロエ、僕の鞄の中に青いリボンがかかった水色の箱があるから持って来てよ」
「嫌です」
「頼むよクロエ、君の大好きなご主人様にあげるものなんだ」
「取ってきます」
ジュリアンはクロエの動かし方を心得てるわね。掌握が早くない??
クロエが取りに向かうとジュリアンは私の髪先に触れた。
「クロエは本当にエリーゼが大好きなんだね」
「私もクロエが大好きなの」
「相変わらず無礼な言動があるんだけど、やっぱり腹が立たないよね」
「クロエの魅力がわかるなんて見込みがあるのね」
「ハハッ、そうかもしれないね」
そこからクロエとの昔話をしているとクロエが戻って来た。
「それ、エリーゼにあげる」
「いいの? ありがとう」
開けると綺麗な小瓶が入っていた。
「これは?」
「香水だよ。隣国で買ったんだ。男女問わず付けられる香りで僕も使ってるんだ」
それは使い辛いわね。でもお礼を言わないとね。
「ありがとうございます」
「車椅子も貸してもらえたから、明日から散歩に連れて行ってよ。外の石畳の歩道、あれすごい精度だよね。行ったことはないけど、国王陛下専用の庭園の石畳より絶対こっちの方が綺麗だと思うよ」
歩道の石畳は、ピンヒールで歩いても引っかかったりしないよう丁寧に作り上げられている。石のタイルの隙間が窪んでいたり盛り上がっていたりしないよう、頻繁に点検させている。石のタイルはツルツルに磨き上げて敷き詰めるのではなく、わずかにザラザラさせ、雨が降っても滑らないようにしている。そして歩道も馬車道も水たまりができにくい。人に認識させない程のわずかな勾配をつけている。
「しかもさ、水が綺麗だし魚泳いでるし」
ただ漏れるように水を湧き出して周辺の土地を泥濘ませていた水量の少ない水源を生かせるように、土を掘って幅狭の川を作った。その先に小さな池を作っていて、幻の淡水魚とされる魚が生息している。
食べる目的で仕入れて気まぐれに池に放したらしいけど、餌をねだる姿が可愛く思えてきてそのまま食べずに繁殖させたらしい。
更に余分な水気を吸収させようと、水をよく吸う植物を適量植えている。
「あれ、幻の魚だよね。すごく美味しいってお祖父様が言ってたけど、どのくらい美味しいのか食べてみたいな」
「あの魚達に手を出したら戒めの石版を池のほとりに設置することになるわよ?」
「何それ」
「 “ジュリアン・バミュート、享年19歳、池の魚に手を出して処刑される” ってね」
「冗談だよね?」
「ここの敷地に入った瞬間から領邦法に似た独自の法律が優先されるわ。あの池の魚に手を出したら側にある木に縛り付けられて10日間飲まず食わずでいないといけないの」
「作り話だよね?」
「本当よ。さすがに王族相手なら他の方法で手を打つだろうけど」
「たかが魚なのに?」
「自分で言ったじゃない、幻の魚だって。ジュリアンは幻の人種じゃないでしょう?」
「酷い」
「二軒隣のガルティーノ侯爵夫人はあの魚全部に名前を付けていらっしゃるから、一匹でも消えたらバレるわよ」
「本当に!?」
「本当よ。確かジュリアンって名付けられた魚もいるわよ。住人と住人の家族の名は使わなかったらしいから、私の名前はないわね」
「僕も住んだら、その魚を改名してくれるかな」
「たぶん、してくださるわ」
「それなら良かった」
「ここの土地は絶対売りに出ないわよ」
「そうだね」
ジュリアンは指に私の髪を巻き付けながら、旅先での思い出を話し出した。
引き攣った笑みを浮かべて朝食の席に現れたのはジュリアンだ。彼はぎこちない歩き方をしていた。
「ジュリアン、どうした」
「筋肉痛です」
彼の祖父は何やってるんだという顔をした。
彼の祖母は笑いながら夫に話す。
「昨夜お話ししたではありませんか」
「女物の靴を履いて筋肉痛なのか」
「お祖父様も履けばわかりますよ。足どころか、コルセットという拷問着のせいで腰も背中も痛いんですから。髪の毛も長いと首も肩も凝るんですよ」
「ふふっ、運動しなさすぎなのよ」
「何でお祖母様は大丈夫何ですか? 僕、肋骨折れたんじゃないかな。クロエが容赦ないから」
確かにクロエはコルセットの紐を、まるで殺し屋が標的を絞め殺すかのように絞めていたわね。
あれを見て、今まで私は手加減されていたのだと知ったわ。私の背中を足で押さえ付けたこともないもの。本当はコルセットをこれでもかと絞め上げることで恨みを晴らしているかもしれないなんて思っていて悪かったわ。
今日はたくさん撫でてあげるわね。
「うちのクロエは優秀なの」
クロエは嬉しそうに瞳だけ輝かせた。
食後にジュリアンは、女物の靴の恐ろしさを知ったせいか、私の足を心配して抱き上げて、居間に移動してソファに降ろそうとしたけど、ほぼ全身筋肉痛の彼はバランスを崩して私ごと倒れた。何とか私だけはソファの上に落としたけど、彼は肘掛けに倒れそのままゴロンとローテブルに脇腹を打ち付け悶絶。
医者を呼ぶ羽目になった。
彼の祖父母は呆れて私に平謝り。
「しばらく安静になさってください。直に骨を確認できないので何ともいえませんが、酷い打ち身だけか肋骨にヒビが入っているかのどちらかです。ひとまず1ヶ月様子を見ましょう。移動できるかどうかはその後判断します。痛み止めと薬草を置いて帰りますので、すり潰して塗って清潔な布をあてて包帯か何かを巻いてください」
「馬鹿だな」
彼のお祖父様は “これは私の孫で間違いないのか?” と言いたげな顔をしている。
「他所様の家で何をやっているのよ、恥ずかしい」
彼のお祖母様は頭を抱えている。
「ごもっともです」
本人は下を向いてそう答えた。
「ローランド、すまないが動かせるようになるまでジュリアンを頼めるか?」
「もちろんだとも」
お祖父様が承諾するとジュリアンはニコニコし始めた。
「何を嬉しそうにしているんだ。エリーゼ嬢を怪我させるところだったんだぞ。治ったら毎日兵士達と朝の鍛錬をさせるからな。まったく…馬にばかり夢中になっているから馬鹿なことを言ったりやったりするんだ」
「お祖父様ぁ」
「大人になった孫息子にそんな声を出されても気色悪いだけだ」
「差別じゃないですか!」
「ジュリアンもオスカーが膝の上に座るよりエリーゼ嬢が座る方がいいだろう、それと同じだ」
「そうよ、私だってあなたよりエリーゼ嬢の方がいいわ」
「お祖母様まで……」
そんなことを言っているけど、2人にとって彼はとても可愛い存在なのね。愛されて育ったことを感じるわ。
「私もお祖父様に甘えたいです」
「よしよし、エリーゼはいくつになっても可愛いぞ」
「私もお祖父様が大好きです」
「エリーゼだけズルい」
最初の印象より子供っぽい中身のジュリアンを見ていたら弟ができた気分になった。
前バミュート伯爵夫妻とジュリアンが別邸に滞在して6日目。
本邸でルセット子爵令息としての役割を終えて、私の護衛騎士に戻るために別邸に戻ったのだけど、ソファで私の膝枕で横になるジュリアンを見て固まった。
「エリーゼ、何してるんだ?」
「エル」
お祖父様がこうなってる経緯を簡単に説明した。
「バミュート伯爵令息、辛いのでしたら客室で安静になさったらよろしいのでは?」
「お構いなく」
「エリーゼ」
エルは咎めるかのように低い声で私の名を呼んだ。
それに反応したのはジュリアンだ。
「ルセット卿、その姿は私兵としての役割を果たしに来たんですよね? 主人に向かって咎めるように呼び捨てにするなんて有り得ないと思うのは僕だけですかね」
「エリオット」
お祖父様が注意を促すようにエルの名を呼んだ。
「失礼しました」
ジュリアンはクロエの方に顔を向けて手を上げた。
「クロエ、僕の鞄の中に青いリボンがかかった水色の箱があるから持って来てよ」
「嫌です」
「頼むよクロエ、君の大好きなご主人様にあげるものなんだ」
「取ってきます」
ジュリアンはクロエの動かし方を心得てるわね。掌握が早くない??
クロエが取りに向かうとジュリアンは私の髪先に触れた。
「クロエは本当にエリーゼが大好きなんだね」
「私もクロエが大好きなの」
「相変わらず無礼な言動があるんだけど、やっぱり腹が立たないよね」
「クロエの魅力がわかるなんて見込みがあるのね」
「ハハッ、そうかもしれないね」
そこからクロエとの昔話をしているとクロエが戻って来た。
「それ、エリーゼにあげる」
「いいの? ありがとう」
開けると綺麗な小瓶が入っていた。
「これは?」
「香水だよ。隣国で買ったんだ。男女問わず付けられる香りで僕も使ってるんだ」
それは使い辛いわね。でもお礼を言わないとね。
「ありがとうございます」
「車椅子も貸してもらえたから、明日から散歩に連れて行ってよ。外の石畳の歩道、あれすごい精度だよね。行ったことはないけど、国王陛下専用の庭園の石畳より絶対こっちの方が綺麗だと思うよ」
歩道の石畳は、ピンヒールで歩いても引っかかったりしないよう丁寧に作り上げられている。石のタイルの隙間が窪んでいたり盛り上がっていたりしないよう、頻繁に点検させている。石のタイルはツルツルに磨き上げて敷き詰めるのではなく、わずかにザラザラさせ、雨が降っても滑らないようにしている。そして歩道も馬車道も水たまりができにくい。人に認識させない程のわずかな勾配をつけている。
「しかもさ、水が綺麗だし魚泳いでるし」
ただ漏れるように水を湧き出して周辺の土地を泥濘ませていた水量の少ない水源を生かせるように、土を掘って幅狭の川を作った。その先に小さな池を作っていて、幻の淡水魚とされる魚が生息している。
食べる目的で仕入れて気まぐれに池に放したらしいけど、餌をねだる姿が可愛く思えてきてそのまま食べずに繁殖させたらしい。
更に余分な水気を吸収させようと、水をよく吸う植物を適量植えている。
「あれ、幻の魚だよね。すごく美味しいってお祖父様が言ってたけど、どのくらい美味しいのか食べてみたいな」
「あの魚達に手を出したら戒めの石版を池のほとりに設置することになるわよ?」
「何それ」
「 “ジュリアン・バミュート、享年19歳、池の魚に手を出して処刑される” ってね」
「冗談だよね?」
「ここの敷地に入った瞬間から領邦法に似た独自の法律が優先されるわ。あの池の魚に手を出したら側にある木に縛り付けられて10日間飲まず食わずでいないといけないの」
「作り話だよね?」
「本当よ。さすがに王族相手なら他の方法で手を打つだろうけど」
「たかが魚なのに?」
「自分で言ったじゃない、幻の魚だって。ジュリアンは幻の人種じゃないでしょう?」
「酷い」
「二軒隣のガルティーノ侯爵夫人はあの魚全部に名前を付けていらっしゃるから、一匹でも消えたらバレるわよ」
「本当に!?」
「本当よ。確かジュリアンって名付けられた魚もいるわよ。住人と住人の家族の名は使わなかったらしいから、私の名前はないわね」
「僕も住んだら、その魚を改名してくれるかな」
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