【完結】私を嫌う浮気者の婚約者が恋に落ちたのは仮面を付けた私でした。

ユユ

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保護

ロクサーヌと公爵夫人が止める使用人を押し除けてドアを開けた。


「リア!!」

「リアちゃん!!」

「フィ、フィゼット公爵夫人!」

ロクサーヌは私に駆け寄り、父は公爵夫人の登場に狼狽した。

「これはどういうことかしら。ボステーヌ侯爵」

公爵夫人の声がエントランスに響いた。

「し、躾です」

「婚約者が浮気三昧の挙句、好きな女ができたからとオリヴィアに解消を迫り、王族の要請に応じて心の傷を癒そうとした被害者にこの仕打ちは何ですか!それでも人の親なの!?」

「これは家の問題で、」

「ご冗談を!王妃殿下に嘆願いたしますわ!侯爵は親として相応しくないから親権を剥奪するようにと!」

「そんな勝手な!」

「無抵抗で弱者の女性を執拗に蹴り続けるなんて、貴族とは呼べませんわ!野蛮人よ!」

「言い過ぎですぞ!」

「いいえ、寧ろ言い足りないわ!
貴方はずっと虐待してきたではありせんか!」

「リアを運んでちょうだい」

「何処へ連れて行くのです!私の娘だ!」

「正気なの?大至急治療が必要なのが分からないの?」

公爵夫人は連れてきた護衛に命じて私を運べというと、父は侯爵家の私兵に私を連れて行かせるなと命じた。

「貴族令嬢への傷害の加担をしたいの?
何度蹴られたのかしら。内臓に損傷があってオリヴィアが死んだら?侯爵はどうなるか知らないけど、貴方達は間違いなく極刑になるわね。
そんな対価を侯爵家から貰ってるの?
どうしても止めるなら私が相手をするわ。
公爵夫人の私に指1本触れたらどうなるか、身をもって知るといいわ」

結局誰一人その場を動くことができず、私は王宮に運ばれた。

「ごめんなさいね。来たくないだろうけど、ここが一番安全なの。宮廷医もいるから」

「ご迷惑をお掛けします」

「もっと早く助けてあげられたら良かったのに」

「ううっ…」

「大丈夫、リア。私がついてるわ」


夫人が申し入れをすると、直ぐに通してもらえた。
治療室に運ばれて手当を受けた。

そこに王妃殿下が入室なさった。

王妃「これはどういうことなの!」

夫人「ボステーヌ侯爵がオリヴィアを暴行していたのです」

王妃「見たの?」

夫人「はい。私とロクサーヌと公爵家の護衛が3人目撃しました」

王妃「先生、オリヴィアはどうなのです」

医師「殴られて倒れた後、執拗に蹴られたようです。口は頬の内側が切れていて顔が腫れています。
身体中に蹴られたときにできた内出血が無数にあります」

王妃「正確に記録しておいてちょうだい」

医師「かしこまりました」

王妃「オリヴィア、どうしてこんなことに」

私「父は昔から気に入らないと私に暴力を振るっておりました。今日はレオナルド王子殿下との婚約が解消されたことの腹癒せに……。もう殿下の婚約者じゃありませんから、手加減する必要がなくなったのです」

王妃「なんてことなの!」

私「母も父の浮気癖と暴力に耐えかねて離縁しました。私も連れて行ってもらいたかったのですが、父に少しでも似た私を見たくないと、父と一緒に絶縁されました。

1週間姿を消したのは少しでも落ち着く時間が欲しかったのと、父が私を殺しかねないと思いましたので、父に冷静になる時間をとってもらいたかったことが理由です」

王妃「分かったわ」

夫人「内臓に損傷が無さそうでしたらフィゼット邸に連れて帰ります。王妃殿下、ありがとうございました」

王妃「レオナルドが発端だもの。オリヴィアを頼んだわ」

夫人「かしこまりました」

王妃「オリヴィア、ごめんなさい。 必ず侯爵に償わせるわ」

私「ありがとうございます」


3日間、王宮お抱えの医師に預けられ、その後フィゼット公爵家へ移された。

「見て、一面よ」

ロクサーヌは私が家出した次の日の王都新聞を持ってきてくれた。

“レオナルド第二王子殿下が恋に落ち、婚約解消!”
“王子殿下は非を認める”
“女性遍歴のある王子殿下の恋はいつまで続くのか”

「誰がリークしたのかな」

顔を上げるとロクサーヌが右手をあげていた。
リークしたのはロクサーヌらしい。

「こっちは昨日の王都新聞よ」

“女の敵 ボステーヌ侯爵!”
“浮気を止められない侯爵は、妻や娘に暴力を振るうことも止められない男だった”
“妻は耐えかねて離縁”
“今回は娘を執拗に蹴り続け、見かねた公爵夫人が止めに入り、その後 重症を負った侯爵令嬢は王宮で保護された”

ロクサーヌの隣の夫人が手をあげた。
夫人が大袈裟にリークしたらしい。

「レオナルドはあれからずっと謹慎してるわ」

「侯爵は大変よ。貴族夫人や令嬢達から侯爵個人に罰を望む嘆願書が続々と届いているみたいよ」

「何か変わるんでしょうか」

「どうかしら」

「あの人の性根は変わらないと思います」

「いっそ、うちの子になればいいのよ」

「それもいいわね。娘が増えるのね」

ロクサーヌ達は私を養女にしたいみたいだ。

「そんなご迷惑はおかけできません。レオナルドの浮気のおかげで沢山慰謝料を貰いましたから、ボステーヌを出ても十分暮らしていけます。

4年前から王都のいくつかの店に援助をしていますからこっそり助けてもらえますし」

そう。着なくなったドレスや靴やバッグ アクセサリーを売ってお金に変えて、役立ちそうな所に援助してきた。

運送屋がその一つだ。一番額が大きい。
先ず逃げるためには馬車と安全が確保できないと駄目だ。運送屋は馬車は当然持っているし、積荷次第では護衛を付ける。道も宿も詳しいから目を付けた。

最初は何だこの小娘はと不審感を浮かべた顔をされたけど、アザを見せてお金を渡したら受け取ってもらえた。お菓子だったりお酒だったり 差し入れも時々してきた。今ではあの通り。

「何言ってるのよ。私が許すわけないじゃないの」

ロクサーヌは私の髪で遊びながら満面の笑みを浮かべた。



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