【完結】私を嫌う浮気者の婚約者が恋に落ちたのは仮面を付けた私でした。

ユユ

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酔った親友

ロクサーヌの側に行くと私に抱き付いてきた。

「ロクサーヌ?」

「リア~ 大好き~」

「酔ってるの!?」

「酔ってない」

そう言いながら体重をかけて寄りかかってくるので後ろに倒れそうになった私達をルシアンが背後から抱き止めてくれた。

「ありがとうございます」

ルシアンは遠くで歓談している公子に合図を送ると、公子が戻ってきてロクサーヌを支えた。

「オリヴィア、悪かったね」

「いえ。珍しいですね、ロクサーヌが酔うなんて」

「君が自由になって安心したんだろう」

この美しい酔っ払いが愛しく思えて ロクサーヌの頬にキスをした。

「ロクサーヌ。感謝しているわ」

「リア~!」

ロクサーヌは公子を振り切り私に抱き付くと唇にキスをした。

「こら、ロクサーヌ!」

公子が慌てて引き離す。

「これでリアは私のものよ」

「ファーストキスがロクサーヌに…」

公子とルシアンは少し驚いた顔で私を見た。

「何ですか、その顔は」

「いや、何でもない」

「じゃあ、それ以上のことも無し?」

「当たり前じゃないですか」

ルシアン様の質問に苛立ちを覚えた。
王子妃には純潔が条件のひとつ。いくら婿入りする王子でも同じだった。
第一王子に男児が恵まれない場合、私とレオナルドの子が男児なら継承権が第一王子の次かレオナルドの次になる。
だから他の男との子を作らせないために、子が産めなくなるまで私には監視がつくことになっていた。

解消してから1ヶ月しか経ってないし、ほとんど治療と療養だった私にそんな機会はない。

この周辺諸国の妃の条件は同じだ。貴族なら知っているだろうと思っていた。もしかしたら下位貴族は教わらないのかもしれないと思い直し、苛立ちを引っ込めた。

「私のリアは身も心も綺麗なの!」

「ありがとう、ロクサーヌ。お水を飲みましょうね」

「お酒がいい」

「私もお水を飲みたいの。半分こしましょう」

「ウフッ」

照れ笑いするロクサーヌに水を渡すとグイグイと飲み干してしまった。

「ロクサーヌ。半分こよ?」

もう一杯渡して半分飲ませた。
これで大丈夫かしら。

「リア~ お花摘みぃ」

「はいはい。一緒に行きましょうね」

トイレの入り口まで公子に支えてもらい、後はメイドに任せた。

「殿下はオリヴィアに手を出していると思っていた」

「節操が無いから嫌いな相手でも手を付けると思っておられましたか?」

「こういう結果にはなったけど、レオナルドはオリヴィアを意識していた」

「あり得ませんわ」

「距離を取っていても、レオナルドはチラチラと君を見ていたからな」

「殿下の口説いた令嬢に私が何かしないか気になって確認しただけだと思います。
あの無駄で惨めな交流の日々を公子も見ていたら、きっとそんなことは言えなくなると思います」

「…婿探しはするのか」

「手遅れだと思ってます。
ほとんど婚約者がいて、残っている令息は難有りです。領地を任せている叔父様に渡すことも視野に入れていますが、当面は一人であの屋敷に住むことになるでしょう。
フィゼット家が新たな使用人を集めてくださっている最中です。然程時間はかからなそうですので、これ以上迷惑をかけることはないようにします。

ヘインズ公爵家にも大変お世話になりました」

「何かあっても できれば行き先はロクサーヌに告げて行ってくれ。子猫を奪われた母猫のように落ち着かないし毛を逆立てていたからな」

「ロクサーヌと結婚したい…」

「絶対に敵わないから止めてくれ」

「私こそ公子には敵いませんわ」

「あーっ!私のリアよ!」

「分かってるよ。酔っ払いは部屋に連れて行こう」

「酔っ払ってない!」

「ロクサーヌ、先に帰るわね」

「オリヴィアも泊まっていってくれ。
君がいないと気付いたら暴れるし機嫌が悪くなるのは目に見えてるからな」

「そうですか?おふたりの邪魔をするようで気が引けます」

だってロクサーヌったら公子に抱き付いているもの。

「今更だから遠慮せず」

「ふふっ 戻ります」

「ちょと!アーサー!リアを虐めたら、」

「はいはい。婚姻しないんだろう?
虐めてないよ。ロクサーヌもリアと泊まりたいだろう?」

「リア~」

「分かりました」



私達は部屋に案内された。

ドレスを脱ぎ、果実水を飲みながら浮かんだ違和感を飲み込んだ。

あのとき。
遠くの公子に合図を送ったとき、公爵家のアーサーより男爵家のルシアンの方が上のような態度を一瞬感じ取った。それはどういうことなのか。
公爵夫人の親戚だから?

「湯浴みのご用意ができました」

「ありがとうございます」


翌朝にはロクサーヌがベッドに忍び込んできた。

「おはよう。具合はどう?」

「酒臭いくらい」

「家族だけの場で飲むか、公子のいないところでは飲んじゃダメよ」

「そんなに酷かった?」

「支えられないからよ。二人で転倒しかけたところをルシアン様に助けてもらったのよ」

「ねえ。彼はどうだった?男爵令息」

「どうって?」

「素敵だったじゃない」

「恋って気分ではないし、したこともないし、そういう目で見てないから。それに素敵だったとしても意味のないことよ」

「どうして?」

ロクサーヌは私の手を握りながら尋ねた。





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