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都合よくとらえる女
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【 アンジェルの視点 】
数ヶ月前。
私を捨てるなんて許せない。全てはミアーナのせい。だからミアーナに手紙を送った。直ぐに返事が届いた。何が書いてあるかと緊張しながら開封すると意外な内容だった。
『お父様!お母様!』
『みっともないから騒ぐな』
『はしたないわよ』
『ミアーナが、侯爵家に迎えると手紙を寄越してきたのです!』
バシッ
『何故叩くのですか!』
『ロテュス夫人と呼びなさい。そして敬いなさい。夫人は伯爵家出身の侯爵家の嫁なのです。貴女如きが呼び捨てていい理由は一つもありません。それにこの手紙の通りなら、貴女は侯爵家の方々にお仕えする立場です』
『そうだぞ。妾は夫人とは違って、男児を産まなければ何の価値も無い存在だ』
『……』
『しかし、まずいぞ。金は使ってしまった』
『そうね』
『どういうことですか』
『お前を迎えることなく別れたから金をくれたんだ。迎えることになったのなら全額返金しなくてはならない。
もう返済に充ててしまったから返せない』
『お断りするしかないわね』
『嫌よ!絶対に嫌!』
『一先ず、先方の出方を待とう』
直ぐにディオン様が訪ねて来てくれたのに、私は部屋に閉じ込められた。
窓からロテュス家の馬車を見つめていると、30分もしないうちにディオン様が帰ってしまった。
そして直ぐ、部屋のドアが開き、お父様が近寄って来た。
『キャアっ!』
引き倒され、散々蹴られた。
『お前は、あんな手紙をロテュス夫人に送り付けていただなんて!何てことをしたんだ!ロテュス家とリスフィユ家を敵に回してしまったではないか!!』
『お…父様』
『話はついた。夫人が譲らないそうだ。だから来てもいいが居候扱いにするようだ』
『居候?』
『食事だけ提供するから、後は子爵家で用意しろとのことだ。メイドをひとり付けて料理以外のお前の全てをさせる。荷物を纏めろ』
『は…い』
『お前がロテュス邸で購入する物は全て子爵家に請求が来る。だから何も購入するな。
必要な物があればメイドを通して手紙を出せ。こっちから支給する。薬も、石鹸も、化粧品も何もかもロテュス家からは与えてもらえない。タオルやシーツ、枕も持っていけ』
『そんな、』
『金が返せない以上仕方ない。返せと言われないだけ良かった』
『……』
『いいか。夫人に逆らうな。万が一、お情けをもらえたとしても夫人に気付かれないよう気を遣え。ひっそりと息を殺す様にして滞在しろ。分かったな』
『……』
『問題を起こせば今度こそ除籍にするぞ。屋敷には絶対に入れないからそのつもりで行くように』
『…はい』
荷造りは、本当に石鹸から枕まで詰め込まれた。
見窄らしいドレスや下着ばかりだが、買ってもらえなかった。
指輪を売ればいいと言われたけど、これはあの女に対抗する大事な物だから売らなかった。
引越しの日、ロテュス邸に到着すると、使用人達の冷たさに驚いた。私は子爵家の令嬢でディオン様の恋人なのに。
ミアーナさえ出迎えに現れないまま、メイド長が挨拶もそこそこにあり得ないことを口にした。
『アンジェル様、メイドはお一人と伺いましたが』
『そうよ』
『お一人でこの量の荷物を運ばせるのは可哀想です。半分運んで差し上げてください』
『は?』
『これから彼女一人で全てお世話をするのに、体を傷めてはアンジェル様がお困りになります』
『貴女達の仕事じゃない!』
『いいえ。アンジェル様は“客人ではなく居候”だとディオン様から伺っております。そして食事の提供以外は全てアンジェル様の専属メイドとご本人がなさると』
『それでも侯爵家の使用人なの!?私は子爵令嬢なのよ!』
『我らはロテュス侯爵家で雇われております。侯爵家の意向に従いますし、あんなに優しくて素敵な若奥様を傷付ける輩には従うつもりはございません。これは使用人一同の総意となります。
ディオン様が後で紹介なさると仰っておりました。それまでにお済ませください』
メイド長は、メイドをひとり残して去った。
残された侯爵家のメイドは部屋の案内をするだけで荷物を運ばなかった。
『シーツなどもご持参いただくとのことでしたので、こちらの部屋にはカーテンと家具、灯りのみご用意しております。花瓶や桶はあちらにしまっておりますので、ご使用は自由ですが、壊すと弁償になりますのでお気を付けてください。掃除道具も入っております。
昼食の時間に食事を運ばせます。では、失礼します』
メイドは出て行ってしまった。
二十往復以上もして荷を運び入れたが、荷解きが終わる前に食事が運ばれた。
『お嬢様、この位置は侯爵令息様のお部屋から近いそうです』
『本当?』
『はい。配置図を確認しました』
チャンスね。
そしてディオン様がミアーナと使用人を集めて紹介と説明をしてくれたが、惨めな気持ちになった。
部屋自体は豪華だけど、使う物は子爵家の安い物。
ミアーナはさぞ高級品を使っているのだろう。
数ヶ月前。
私を捨てるなんて許せない。全てはミアーナのせい。だからミアーナに手紙を送った。直ぐに返事が届いた。何が書いてあるかと緊張しながら開封すると意外な内容だった。
『お父様!お母様!』
『みっともないから騒ぐな』
『はしたないわよ』
『ミアーナが、侯爵家に迎えると手紙を寄越してきたのです!』
バシッ
『何故叩くのですか!』
『ロテュス夫人と呼びなさい。そして敬いなさい。夫人は伯爵家出身の侯爵家の嫁なのです。貴女如きが呼び捨てていい理由は一つもありません。それにこの手紙の通りなら、貴女は侯爵家の方々にお仕えする立場です』
『そうだぞ。妾は夫人とは違って、男児を産まなければ何の価値も無い存在だ』
『……』
『しかし、まずいぞ。金は使ってしまった』
『そうね』
『どういうことですか』
『お前を迎えることなく別れたから金をくれたんだ。迎えることになったのなら全額返金しなくてはならない。
もう返済に充ててしまったから返せない』
『お断りするしかないわね』
『嫌よ!絶対に嫌!』
『一先ず、先方の出方を待とう』
直ぐにディオン様が訪ねて来てくれたのに、私は部屋に閉じ込められた。
窓からロテュス家の馬車を見つめていると、30分もしないうちにディオン様が帰ってしまった。
そして直ぐ、部屋のドアが開き、お父様が近寄って来た。
『キャアっ!』
引き倒され、散々蹴られた。
『お前は、あんな手紙をロテュス夫人に送り付けていただなんて!何てことをしたんだ!ロテュス家とリスフィユ家を敵に回してしまったではないか!!』
『お…父様』
『話はついた。夫人が譲らないそうだ。だから来てもいいが居候扱いにするようだ』
『居候?』
『食事だけ提供するから、後は子爵家で用意しろとのことだ。メイドをひとり付けて料理以外のお前の全てをさせる。荷物を纏めろ』
『は…い』
『お前がロテュス邸で購入する物は全て子爵家に請求が来る。だから何も購入するな。
必要な物があればメイドを通して手紙を出せ。こっちから支給する。薬も、石鹸も、化粧品も何もかもロテュス家からは与えてもらえない。タオルやシーツ、枕も持っていけ』
『そんな、』
『金が返せない以上仕方ない。返せと言われないだけ良かった』
『……』
『いいか。夫人に逆らうな。万が一、お情けをもらえたとしても夫人に気付かれないよう気を遣え。ひっそりと息を殺す様にして滞在しろ。分かったな』
『……』
『問題を起こせば今度こそ除籍にするぞ。屋敷には絶対に入れないからそのつもりで行くように』
『…はい』
荷造りは、本当に石鹸から枕まで詰め込まれた。
見窄らしいドレスや下着ばかりだが、買ってもらえなかった。
指輪を売ればいいと言われたけど、これはあの女に対抗する大事な物だから売らなかった。
引越しの日、ロテュス邸に到着すると、使用人達の冷たさに驚いた。私は子爵家の令嬢でディオン様の恋人なのに。
ミアーナさえ出迎えに現れないまま、メイド長が挨拶もそこそこにあり得ないことを口にした。
『アンジェル様、メイドはお一人と伺いましたが』
『そうよ』
『お一人でこの量の荷物を運ばせるのは可哀想です。半分運んで差し上げてください』
『は?』
『これから彼女一人で全てお世話をするのに、体を傷めてはアンジェル様がお困りになります』
『貴女達の仕事じゃない!』
『いいえ。アンジェル様は“客人ではなく居候”だとディオン様から伺っております。そして食事の提供以外は全てアンジェル様の専属メイドとご本人がなさると』
『それでも侯爵家の使用人なの!?私は子爵令嬢なのよ!』
『我らはロテュス侯爵家で雇われております。侯爵家の意向に従いますし、あんなに優しくて素敵な若奥様を傷付ける輩には従うつもりはございません。これは使用人一同の総意となります。
ディオン様が後で紹介なさると仰っておりました。それまでにお済ませください』
メイド長は、メイドをひとり残して去った。
残された侯爵家のメイドは部屋の案内をするだけで荷物を運ばなかった。
『シーツなどもご持参いただくとのことでしたので、こちらの部屋にはカーテンと家具、灯りのみご用意しております。花瓶や桶はあちらにしまっておりますので、ご使用は自由ですが、壊すと弁償になりますのでお気を付けてください。掃除道具も入っております。
昼食の時間に食事を運ばせます。では、失礼します』
メイドは出て行ってしまった。
二十往復以上もして荷を運び入れたが、荷解きが終わる前に食事が運ばれた。
『お嬢様、この位置は侯爵令息様のお部屋から近いそうです』
『本当?』
『はい。配置図を確認しました』
チャンスね。
そしてディオン様がミアーナと使用人を集めて紹介と説明をしてくれたが、惨めな気持ちになった。
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ミアーナはさぞ高級品を使っているのだろう。
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