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公爵邸に馴染む

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今日もスプラナード公爵家の私兵の訓練を見にお邪魔している。

テレビも漫画もない。娯楽が少ない。
その中で彼らの訓練は私にはご馳走だ。

武器庫も見せてもらい、1日一つ使い方を披露してくれている。
私の体では重くて扱えない物が多いから。

私兵のみんなの名前を覚えて可愛がってもらっている。

ノエルくんは剣術の指南を受けている。

先日、

『ノエルくん。ごめんなさい。
狙われていたのが私だなんて。
危ないから、今後は私と一緒に行動しないでね』

と言ってから剣術に力を入れるようになったらしい。

公爵様は笑っていたけど。



今日は久々にドレスを着た。

お城の武器庫ツアーがあるから。

ノエルくんがついてきた。

「おっきい」

「城は始めて?」

「だと思う」

運動靴が恋しい。

城門を通過してようやく建物の前に来た。

ノエルくんが先に降り私に手を差し伸べた。
そのまま手を繋がれて中に入っていった。

入り口の近くの部屋で待つ間も手を繋がれていた。
振り解くわけにはいかないなと心を無にした。

やっと人が来た。

「今日の案内役のバスクと申します」

「「よろしくお願いします」」 

公爵様の部下らしい。

 
武器庫に到着すると武器庫番の兵士も加わって説明をしてくれた。  

「これ、自分に当たりそうですね」

「フレイルは今も使うかは分からないけど」

トゲトゲした鉄球と棒が鎖で繋がれていた。

「重そうですね」

「重いよ。甲冑も破るからね」

「クリスティーナ嬢は本当に武器が好きそうだね」

「はい、とても魅了的です!
次の誕生日は父にお強請りしようと思います」

「どうするの?」

「体が大きくなるまで壁掛けコレクションにします」

「そ、そうなんだ。

そろそろお昼の時間だから団長のお部屋に案内するね」

「お願いします」


案内された先には父がいた。

「クリスティーナ、楽しかったか?」

「はい!午後も見せてくれるそうです」

「じゃあ、食事に行こうか」

ノエルくん、手を離していいんだよ?
という視線を送るも、全く気付かれず。


食堂の2階のテラス席に案内された。
偉い人しか使えない席らしい。

食べている途中、父と公爵様が立ち上がった。

父「(クリスティーナ 立って)」

よく分からないが立ち上がると、ノエルくんが私を背に隠した。

父達が挨拶をした。

「王子殿下にご挨拶を申し上げます」

「珍しい組み合わせですね。ご友人でしたか」

「まあ、家族ぐるみの付き合いです」

「ノエル…珍しいな」

「ノエルが王子殿下にご挨拶を申し上げます」

「……後ろに隠してるのは?」

「この子は娘のクリスティーナです」

みんなの真似をして挨拶をした。

「王子殿下にご挨拶を申し上げます」

「で、何で隠すんだ?」

「殿下、食事の最中ですので」

「公爵、私もこの席に座らせてもらうよ。

君、椅子を持ってきて」

私とノエルくんの間に椅子を置こうとしたときにノエルくんが動いて、私を父の方に寄せて自分と公爵の間に空間を作った。

「ふ~ん」












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