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火種
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【 ウィリアムの視点 】
学園が始まると次第にクリスティーナ嬢の噂が立ち始めた。
クリスティーナ嬢は婚約者も恋人もいない。夜会にも行かないし、親しいと言えば私かノエルだけ。
ノエルに婚約者も親しい令嬢もいない。
というか一切近付けさせない。
クリスティーナ嬢一筋なのは誰の目からもわかる。
残るは私だ。
婚約者はまだ未就学だ。だけど誰かを使ったかもしれない。調査を入れたが白だと報告があった。
もしかしたらBクラスの中にクリスティーナ嬢のことを気に入らないと思っている者がいるのではと想定した。
調査部に相談に行った。
私が聞き回るわけにはいかないし、授業中の様子も分からない。
こういう時はどうしているのか。
「クラスを見張りたい場合は、最初からわかっていれば手の者を潜入させますが、今回は既に始まってしまっていますので手先となれる者を探します。
それでも居なかったら副担任や用務員などに扮して対応するしかありません」
席を立ち、書類の束を手に戻って来た彼はハロヴィノ調査官。財務部に潜入してファーズ侯爵の右腕をやっている人だ。
「Bクラスのリストです」
見るとBクラスの名簿だった。
「優 良 可 劣 は人物調査です。その隣に黒丸があるのは重要人物です」
ノエルにもクリスティーナ嬢にも黒丸があった。
「星 丸 三角 バツ は家門の財務状況です」
「このマークは?」
「取引を持ちかけるネタのあるマークです」
「女生徒への誹謗中傷でクラス内に犯人がいると思っている。誰か頼めるとありがたい」
「では、こちらの女生徒に探らせましょう。
取引を持ちかけてみます」
「彼女には何が?」
「取引が成立したらお伝えいたします」
数日待つとハロヴィノ調査官が報告に来た。
「コーネリア・ベネット。子爵家の長女です。
弟が病気でかなりの治療費がかかっています。
ベネット家は裕福ではありません。
このまま延命を続けるかどうか悩んでいるようです。
成功報酬は10年分の治療薬です」
「ありがとう。ファーズ侯爵には伏せて欲しい」
「それは致しかねます」
「対象がクリスティーナ嬢なんだ。今は陰口や落書きの段階だ。それなのに仕事を放り出して辞めると言われたら大変だろう」
「……今は。状況次第で報告を上げます」
「ありがとう。
ファーズ侯爵は人を見る目があるのだな。
ハロヴィノ調査官。今後ともよろしく頼む」
「最善を尽くします」
1ヶ月経つと名が上がった。
「バーバラ・ノマック。子爵家の長女で妹が2人。
彼女が子爵家を継ぎます。
ノマック家は3年近くの間に普通の子爵家から富豪に仲間入りしました。
幼い頃に交わされた婚約を2年前に解消しております。今は婚約しておりません」
「何故 解消なんか」
「立場が逆転したからです。お相手の子息の家門の方が裕福でしたが、ノマック家の方が裕福になりました。
次に欲しいのは高位貴族との繋がりです。
ですが、令嬢に近い年頃で、問題の無い高位貴族の次男三男は既に婚約者がおります。
一人を除いては」
「ノエルか」
「彼女の席はスプラナード公子の隣で、クリスティーナ嬢の斜め後ろです。
スプラナード家は公爵家ですし父君は騎士団長。
長男セイル殿の妻は隣国の王妃の姪。
我が国のパーティに参加した時にセイル殿に一目惚れをしました。スプラナード家が直ぐには返事をしなかったことから何かしらの条件を付けたのだと思われています。
次男ケイン殿は首席で騎士学校を卒業し、入団を果たしました。彼の婚約者は伯爵家の娘です。男児も産まれていますが廃嫡された長男と、病死した次男。
パーティで酔っ払いに絡まれていたところをケイン殿が助けたことで、令嬢が熱烈に求婚したと聞いております。
伯爵家の領地は武器を作っています。
繋がりを考えれば 公子を何処の家門も欲しがるでしょう」
だが、ノエルはクリスティーナ嬢一筋だ。
あのクリスティーナ嬢が好きならば、他の女など霞んで見えるだろう。
「噂の主か」
「茶会などで言いふらしているようです。
ウィリアム王子殿下と公子の二股だと」
「今の段階では注意することくらいしか出来ないな」
学園が始まると次第にクリスティーナ嬢の噂が立ち始めた。
クリスティーナ嬢は婚約者も恋人もいない。夜会にも行かないし、親しいと言えば私かノエルだけ。
ノエルに婚約者も親しい令嬢もいない。
というか一切近付けさせない。
クリスティーナ嬢一筋なのは誰の目からもわかる。
残るは私だ。
婚約者はまだ未就学だ。だけど誰かを使ったかもしれない。調査を入れたが白だと報告があった。
もしかしたらBクラスの中にクリスティーナ嬢のことを気に入らないと思っている者がいるのではと想定した。
調査部に相談に行った。
私が聞き回るわけにはいかないし、授業中の様子も分からない。
こういう時はどうしているのか。
「クラスを見張りたい場合は、最初からわかっていれば手の者を潜入させますが、今回は既に始まってしまっていますので手先となれる者を探します。
それでも居なかったら副担任や用務員などに扮して対応するしかありません」
席を立ち、書類の束を手に戻って来た彼はハロヴィノ調査官。財務部に潜入してファーズ侯爵の右腕をやっている人だ。
「Bクラスのリストです」
見るとBクラスの名簿だった。
「優 良 可 劣 は人物調査です。その隣に黒丸があるのは重要人物です」
ノエルにもクリスティーナ嬢にも黒丸があった。
「星 丸 三角 バツ は家門の財務状況です」
「このマークは?」
「取引を持ちかけるネタのあるマークです」
「女生徒への誹謗中傷でクラス内に犯人がいると思っている。誰か頼めるとありがたい」
「では、こちらの女生徒に探らせましょう。
取引を持ちかけてみます」
「彼女には何が?」
「取引が成立したらお伝えいたします」
数日待つとハロヴィノ調査官が報告に来た。
「コーネリア・ベネット。子爵家の長女です。
弟が病気でかなりの治療費がかかっています。
ベネット家は裕福ではありません。
このまま延命を続けるかどうか悩んでいるようです。
成功報酬は10年分の治療薬です」
「ありがとう。ファーズ侯爵には伏せて欲しい」
「それは致しかねます」
「対象がクリスティーナ嬢なんだ。今は陰口や落書きの段階だ。それなのに仕事を放り出して辞めると言われたら大変だろう」
「……今は。状況次第で報告を上げます」
「ありがとう。
ファーズ侯爵は人を見る目があるのだな。
ハロヴィノ調査官。今後ともよろしく頼む」
「最善を尽くします」
1ヶ月経つと名が上がった。
「バーバラ・ノマック。子爵家の長女で妹が2人。
彼女が子爵家を継ぎます。
ノマック家は3年近くの間に普通の子爵家から富豪に仲間入りしました。
幼い頃に交わされた婚約を2年前に解消しております。今は婚約しておりません」
「何故 解消なんか」
「立場が逆転したからです。お相手の子息の家門の方が裕福でしたが、ノマック家の方が裕福になりました。
次に欲しいのは高位貴族との繋がりです。
ですが、令嬢に近い年頃で、問題の無い高位貴族の次男三男は既に婚約者がおります。
一人を除いては」
「ノエルか」
「彼女の席はスプラナード公子の隣で、クリスティーナ嬢の斜め後ろです。
スプラナード家は公爵家ですし父君は騎士団長。
長男セイル殿の妻は隣国の王妃の姪。
我が国のパーティに参加した時にセイル殿に一目惚れをしました。スプラナード家が直ぐには返事をしなかったことから何かしらの条件を付けたのだと思われています。
次男ケイン殿は首席で騎士学校を卒業し、入団を果たしました。彼の婚約者は伯爵家の娘です。男児も産まれていますが廃嫡された長男と、病死した次男。
パーティで酔っ払いに絡まれていたところをケイン殿が助けたことで、令嬢が熱烈に求婚したと聞いております。
伯爵家の領地は武器を作っています。
繋がりを考えれば 公子を何処の家門も欲しがるでしょう」
だが、ノエルはクリスティーナ嬢一筋だ。
あのクリスティーナ嬢が好きならば、他の女など霞んで見えるだろう。
「噂の主か」
「茶会などで言いふらしているようです。
ウィリアム王子殿下と公子の二股だと」
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