【完結】道をそれた少女は別世界でも竹刀を握る

ユユ

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バーバラの希望

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【 バーバラの視点 】


領地に戻って数日後、パパに呼ばれた。

『バーバラ。茶会では異性に声をかけるなと言わなかったか?』

『言われたけど、王子妃になれないなら公爵夫人でも侯爵夫人でもいいかなって』

『はぁ…。

いいかい。
公爵夫人になるにも侯爵夫人になるにも、かなり厳しい教育を受けていないと難しい。
恋愛結婚なら可能性はゼロではないが、そんな高貴な方々に身染められるような要素は無い。

うちには政略の要素もないし、子爵家に嫁ぐにも難しいんだ。

それにお前はノマック家の跡継ぎだろう。
バカな夢を見るな』

『酷いわ!』

『ジョージ殿が、お前が他の令息達に言い寄る姿を見てしまった』

え? あの会場にいたの!?
なのに私に声もかけなかったの!?

『はしたないと抗議の手紙をいただいた。

支援金を3割削るそうだ』

『……』

『デビューまでドレスなど買ってやれない。
普段は平民のワンピースで済ます。

今持っているドレスが着られなくなったら茶会も出来るだけ断るしかない。

中古のドレスが安く売りに出ていればいいが』

『中古!?』

『バーバラ。直ぐ下の妹はお前のお下がりだ。
末の妹は二人が着た後のお下がりだ。

バーバラだけ新調してもらえていたのはロペ家のおかげだ。

忠告したのに蔑ろにしたのはお前自身だ。その報いを受けなさい』


その後、母からも厳しく教育を受けることになった。



だけどその後少しずつノマック家は裕福になっていく。

理由は分からないけど、パパがビジネスパートナーを見つけたとかで、暮らし振りは変わっていった。


そしてロペ家との婚約の解消。

『また煩い事を言って来たから突っぱねたら、“婚約の解消をしてもいいのか” と言ってきた。
だから良いですよと返した。

強がりだと思ったのだろう。署名入りの婚約解消の書類が届いたから署名して王宮に送った。

受理の通知が届いて 慌ててやって来たよ。
“何で勝手に” と言うから、署名して送ってくればそうなると言ったら暫く騒いでいたが、受理済みでは仕方ない。

再契約を提案されたから、支援金を100倍にして
 期間を永久にしてくれたら考えると言ったら怒って帰って行った。

バーバラ。私達に足りないものは今や繋がりだ。
上流の血を取り入れる事だ。
もうノマック家は門前払などされないだろう。婿入りが決まっている次男三男も多いが残っているから、デビューの日から頑張りなさい』


直ぐ下の妹は持参金ができたので、平民ではあるけど商家の嫡男と婚約した。

侯爵家以上か、力のある伯爵家をあたったが、伯爵家は断りの手紙が届いた。
公爵家も断りの手紙が届いた。

二つの侯爵家と会ったけど、どちらもノマック家うちを見下していた。



直ぐ決まると思っていたのに難航していた。

デビュータントで頑張ろうとパパにエスコートしてもらって会場入りした。
ドレスもうっとりするほど美しい仕上がりになっていたし、ダンスも練習したからと、素敵な出会いに胸を高めた。

『パパ。王子様と話をしている男の子は?』

パパが近くの兵士に聞いて戻って来た。

『彼がスプラナード公爵家の三男だ。お父上の公爵様は騎士団の団長なんだよ。
あそこは縁談の断りの返事が来てしまった』

でも私と会えば気が変わるかも。そう思っていた。

ダンスが始まると公子はパートナーをリードして踊り始めた。

『公子のパートナーは婚約者?』

『そんな話は聞いていないな。未だなはずだ』


一通りダンスが終わると私は公子の側に集まっていた令嬢達を押し退けてダンスに誘った。

『ダンスをお願いしますわ』

『……』

『バーバラと呼んでください』

『誰とも踊る気はない』

『でもさっき、』

『クリスティーナとお前を同列に考えるな』

他の令嬢達にも断りを告げていなくなってしまった。

『貴女、何様なの?』

『あ、この子、見覚えがありますわ。
自分も王子妃になれると思っていた子爵令嬢よ。
未だにマナーを身に付けられていないのですね』

『夜会の男漁りの場とは違うの。困りましたわね』


結局、あのときのまま。
ノマック家は見下されるのだと思い知った。





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