【完結】魔がさした? 私も魔をさしますのでよろしく。

ユユ

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魔をさすことにしました

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まだ週末でもないのに、ランドール邸で身分の高いご夫人が勝手に食事会をひらき、お泊まり会まで行使中だ。

「私、エヴリンの左側をもらいます」

「私が左側よ」

「私の右側はそんなに人気がないのでしょうか。
もしかして、右半身から異臭でもしています?」

「ち、違うわよ!」

「ただ利き腕は何かと使うでしょう?だから左側にいたらずっと手を繋いでいられるじゃない」

主催はこのお二人、公爵家に嫁いだセロー公爵家長女ルイーズ様と、侯爵家に嫁いで領地にいたセロー公爵家次女リリー様だ。
今居る場所はランドール邸だけど。

「リリー様は旦那様を置いて うちに来て大丈夫だったのですか?」

「エヴリンに会いに行くって言えば反対しないわ。しかも今回は一大事だもの」

「そうよ。うちの旦那様もよ。エヴリンに遊びにおいでって言っていたわよ」

私が小さい頃、セロー邸や領地のセロー邸に遊びに行ったときに何度かお会いしている。当時はお二人の婚約者だった。
ルイーズ様かリリー様の膝の上に乗れば そのどちらかの婚約者が隣から私の頭を撫でくりまわしていた。徐々にユリウス様の機嫌が悪くなるとユリウス様の膝の上に戻す…ということを繰り返していた。

「ユリウスなんか予定がある日を狙ったな!って言いながら出かけて行ったわ。ふふっ」

「よりによって日帰りで帰って来られない場所に行くだなんてねぇ」

「お父様達も一緒だから中止にもできないしねぇ」

「あの悔しそうな顔…ウフフフっ」

小さい頃、撫でくりまわされて乱れまくった私の髪をユリウス様は丁寧にとかしてくれたし、鼻水が出るとサッと拭いてくれた。ユリウス様は兄というより母親だ。

「あ~あ。ユリウスがもう少し遅くに生まれていたら、エヴリンと一緒に学園に通ってアイツなんか追い払うのに」

「何度も浮気しておいて “魔がさした”とか何なの?」

「挙句、上から目線で “こんなことで騒いでいたら一生一人だぞ”? アイツ何様なのよ!」

「私も何であんな男に騙されたのか…」

「エヴリンは幼かったし仕方ないわよ」

「そうよ。エヴリンほど可愛かったら すぐに次が現れるわ!」

「ダ、ダメよ。慌ててはダメ。急ぐ必要はないのよ」

「そ、そうね。慌てる必要はないわ」

「それで、私も魔をさそうかと思います」

ガバッ!
ガバッ!

左右の2人は勢いよく状態を起こしてエヴリンを見下ろした。

「エヴリン!?」

「お姉様にもっと詳しく説明なさい!」

「いや、明日学園がありますから」

「休んでしまいなさい」

「嫌です」

「エヴリン!」

「別々に寝ますよ?」

「「……」」

「おやすみなさい」

「「おやすみなさい」」

2人の熱視線を無視して眠った。



翌朝、5人で朝食を食べた後、登校した。

「おはよう、ローゼ」

「おはよう、エヴリン。
持ってきたわよ、夜会の招待状」

「本当にローゼも行くの?」

「エヴリンだけじゃ心配だもの」

「ありがとう」

「あら?可愛い髪飾りね」

「昨日セロー家のお姉様達が うちに泊まりにいらしていたの。リリー様の嫁ぎ先の領地で取れた宝石を使った髪飾りをお土産に持ってきてくださったの」

「じゃあユリウス様も?」

「ユリウス様は公爵夫妻とお出掛けだったわ」

「あ、早く行こう」

ローゼが一瞬目を向けた先を見るとキューレイ家の馬車が見えた。

朝から顔を合わせたくない。
急いで校舎の中に入った。



昼休みになり食堂へ向かった。

「今日はスペシャルランチにしない?」

「いいわね」

食堂は男女別になっていてメニューも一部違う。

先着20名のスペシャルランチを受け取り、席に着いてローゼと食べ始めた。

カタン

「お隣 失礼するわね」

テーブルにランチトレイを置いて隣に座ったのはワインレッド髪の令嬢だった。

あの夜、お相手の令嬢は馬車の中でゼイン様に跨ってキスをしていたから顔まではよく分からなかったが、私はこの人だと思った。4年生の色のリボンをつけていた。

彼女は連れの友人と話し始めた。

「それでマリー。キューレイ様とはどうなったの?」

「ちょ、ちょっと駄目よキャリー」

「いいじゃない、さっきまで話していたのに急に何よ」

私の隣はゼイン様の浮気相手のマリー・カレス。
カレス嬢の逆隣は話を聞きたがっているキャリー。
カレス嬢の正面の人は私を見て一瞬驚いた顔をした後 キャリーを止めたから、ゼイン様には婚約者がいて相手は私だという事を知っているという証拠だった。

「いい感じよ。彼、私に夢中だから」

「だったら乗り換えちゃえばいいのに」

「彼も“君と婚約したかった”って言っていたけど、家同士の契約は簡単には無くせないわ」

そうなんだ。へぇ。

私はローゼに向かって話しかけた。

「私、お父様と一緒に彼の屋敷に行って婚約の解消を願い出たの。彼、愛しているから結婚して欲しいと言って私と婚約したくせに複数人と浮気したのよ?」

「毎日“愛してる”と言いに来る迷惑な婚約者が複数人と浮気?」

ローゼは察したのか会話を合わせてくれたので そのまま話を続けた。
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