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第一王子の訪問
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「坊っちゃま、先触れがありました」
「坊っちゃまは止めてくれ。
…エマ、悪いけど得体の知れない者が来るらしいから部屋に隠れてくれないかな」
「アル兄様?得体の知れない者ってなんですか」
「さぁ、よく分からないけど可愛いエマに目をつけられたら困るからね。
兄様のお願いをきいてくれるかな」
「でも、得体の知れない者ならアル兄様も危険です!
えっと…これ、これで注意を引きますのでアル兄様こそ逃げてください!」
「くっ!…私に精神攻撃をしかけるのは止めてくれ。飴はポケットに入れていると溶けちゃうよ。
お部屋に行こうね」
ギュウウウウ
「坊っちゃま…抱きしめていたら部屋にお連れできませんよ」
「はぁ…せっかく学園の休日なのに。
ごめんな。早く追い返すから」
「さあさあ、お嬢様、こちらへ」
「ようこそサースワルド公爵邸へお越しくださいました。麗しい第一王子殿下にアレクサンドルがご挨拶を申し上げます」
「心にも無いことを」
「ご用件は何でしょうか、ジェイド殿下」
「君がご執心の令嬢に挨拶をしようと思ってね。連れてきてもらえるかな」
「何のことでしょう」
「突然何年も領地に引っ込んで、やっと戻ってきても顔も出さず、学園が始まってもさっさと屋敷に帰る原因のことだよ」
「そうですか。それはそれはご心配をおかけしましたが無用です。安心してお引き取りください」
「君がいない時に抜き打ちに訪ねてもいいんだけどね」
「…近寄ったり圧をかけないでくださいね。ちょっとだけですからね。
エマを呼んできてくれるか」
「かしこまりました」
「アレクサンドルは婚約者は決めないのか」
「準備中です。それより誰から聞いたんですか」
「何度もサースワルド領に行くと騒いだら父が教えてくれたんだよ。
療養している子がいるから駄目だって。
私達の4つ下なんだって?」
「気になさらなくて結構ですよ」
「お嬢様をお連れしました」
「エマ、おいで」
エマは深く礼をとった。
「へぇ。ご令嬢、顔を上げてくれ。私はジェイド」
「お初にお目にかかります。バルト子爵家の長女エマと申します。ジェイド第一王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「エマ、こっちに座って」
「はい、アル兄様」
「…随分と立派な家庭教師がついたんだね。
こんなに見事な礼を初めて見たよ」
「恐れ入ります」
「殿下、もうよろしいですか」
「全然よろしくないよ。
エマ嬢、アレクサンドルは君にとってどんな人?」
「殿下!!」
「別に変なこと聞いて無いと思うけど」
「…努力家で心が強くて優しい素敵な兄様です」
「どんなところが強くて優しいと思うの?」
「ご自身のすべきことが沢山あっても自身のことは二の次でいつも助けてくださいます。
私が申し訳なさそうにすると悲しいお顔をなさるので、つい甘えてしまいます。
同時に風邪を引いても兄様の方が熱が高いのに、ふらつきながら私の様子を見に来て食べたい物はないかと聞いてくださるのです。
寝る時間が削られる程忙しくても、高熱で朦朧としても他人を思いやれる強さと優しさをお持ちです。
私にとってアル兄様は尊敬する大事な兄様です」
「そうなんだ。
ずっと公爵家に住むの?」
「殿下!」
「私の入学まで、もしくは卒業まで、もしくはアル兄様に婚約者ができるまでだと思います」
「婚約者ができると思う?」
「こんな素敵な兄様ですよ?できない方がおかしいです。
ただ、素敵な兄様に相応しい方が現れてくださらないかなと思っております」
「アレクサンドルに婚約者ができてもいいの?」
「アル兄様は次期公爵ですから、いなくてはいけませんし、兄様を支えてくださる方がいてくれたらといつも祈っております」
「そうなんだ。
私の弟がエマ嬢の一歳上なんだけど会ってみない?」
「殿下!」
「私はただの子爵の娘です。偶然そうなったならまだしも、ご紹介いただくなど恐れ多いことでございます」
「今度アレクサンドルと一緒に城に遊びにおいで」
「お心遣いに感謝いたしますが、できることでしたら遠慮をさせてくださいませ」
「どうして」
「子爵の娘だからです。身の丈に合わない場所に相応しくない者が行けば無用なトラブルを招きます」
「公爵家だってそうでしょ?」
「ジェイド殿下!!」
あまりの物言いにアレクサンドルはソファーから立ち上がった。
「アル兄様、落ち着いてください。
ジェイド第一王子殿下、それは私も重々承知いたしております。代償はコレです」
エマは前髪を上げて傷痕を見せた。
「……」
「他にはございますか」
「いや…」
「では、お邪魔になりますので私は失礼いたします」
エマが退室するとアレクサンドルはソファーにもたれかかった。
「4歳下の心も身体も傷を負った女の子を虐めて楽しかったですか?殿下」
「虐めてなど…」
「客観的に見てください。イビリですよ。
何の関係もない他人が言っていいことではありません。
勝手に来ておいて何なんですか。
エマの滞在は公爵である父が子爵に頼んで実現したことなのです。文句があるならサースワルド公爵に仰ってください」
「…すまない」
「正直がっかりですよ。弱い者いじめをする殿下なんて見たくありませんでした。
此処には二度と来ないでください。
エマとエマといる私を見かけても話しかけないでください。
父には報告します。
まともな用事がなければお引き取りください」
「悪かった」
「坊っちゃまは止めてくれ。
…エマ、悪いけど得体の知れない者が来るらしいから部屋に隠れてくれないかな」
「アル兄様?得体の知れない者ってなんですか」
「さぁ、よく分からないけど可愛いエマに目をつけられたら困るからね。
兄様のお願いをきいてくれるかな」
「でも、得体の知れない者ならアル兄様も危険です!
えっと…これ、これで注意を引きますのでアル兄様こそ逃げてください!」
「くっ!…私に精神攻撃をしかけるのは止めてくれ。飴はポケットに入れていると溶けちゃうよ。
お部屋に行こうね」
ギュウウウウ
「坊っちゃま…抱きしめていたら部屋にお連れできませんよ」
「はぁ…せっかく学園の休日なのに。
ごめんな。早く追い返すから」
「さあさあ、お嬢様、こちらへ」
「ようこそサースワルド公爵邸へお越しくださいました。麗しい第一王子殿下にアレクサンドルがご挨拶を申し上げます」
「心にも無いことを」
「ご用件は何でしょうか、ジェイド殿下」
「君がご執心の令嬢に挨拶をしようと思ってね。連れてきてもらえるかな」
「何のことでしょう」
「突然何年も領地に引っ込んで、やっと戻ってきても顔も出さず、学園が始まってもさっさと屋敷に帰る原因のことだよ」
「そうですか。それはそれはご心配をおかけしましたが無用です。安心してお引き取りください」
「君がいない時に抜き打ちに訪ねてもいいんだけどね」
「…近寄ったり圧をかけないでくださいね。ちょっとだけですからね。
エマを呼んできてくれるか」
「かしこまりました」
「アレクサンドルは婚約者は決めないのか」
「準備中です。それより誰から聞いたんですか」
「何度もサースワルド領に行くと騒いだら父が教えてくれたんだよ。
療養している子がいるから駄目だって。
私達の4つ下なんだって?」
「気になさらなくて結構ですよ」
「お嬢様をお連れしました」
「エマ、おいで」
エマは深く礼をとった。
「へぇ。ご令嬢、顔を上げてくれ。私はジェイド」
「お初にお目にかかります。バルト子爵家の長女エマと申します。ジェイド第一王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「エマ、こっちに座って」
「はい、アル兄様」
「…随分と立派な家庭教師がついたんだね。
こんなに見事な礼を初めて見たよ」
「恐れ入ります」
「殿下、もうよろしいですか」
「全然よろしくないよ。
エマ嬢、アレクサンドルは君にとってどんな人?」
「殿下!!」
「別に変なこと聞いて無いと思うけど」
「…努力家で心が強くて優しい素敵な兄様です」
「どんなところが強くて優しいと思うの?」
「ご自身のすべきことが沢山あっても自身のことは二の次でいつも助けてくださいます。
私が申し訳なさそうにすると悲しいお顔をなさるので、つい甘えてしまいます。
同時に風邪を引いても兄様の方が熱が高いのに、ふらつきながら私の様子を見に来て食べたい物はないかと聞いてくださるのです。
寝る時間が削られる程忙しくても、高熱で朦朧としても他人を思いやれる強さと優しさをお持ちです。
私にとってアル兄様は尊敬する大事な兄様です」
「そうなんだ。
ずっと公爵家に住むの?」
「殿下!」
「私の入学まで、もしくは卒業まで、もしくはアル兄様に婚約者ができるまでだと思います」
「婚約者ができると思う?」
「こんな素敵な兄様ですよ?できない方がおかしいです。
ただ、素敵な兄様に相応しい方が現れてくださらないかなと思っております」
「アレクサンドルに婚約者ができてもいいの?」
「アル兄様は次期公爵ですから、いなくてはいけませんし、兄様を支えてくださる方がいてくれたらといつも祈っております」
「そうなんだ。
私の弟がエマ嬢の一歳上なんだけど会ってみない?」
「殿下!」
「私はただの子爵の娘です。偶然そうなったならまだしも、ご紹介いただくなど恐れ多いことでございます」
「今度アレクサンドルと一緒に城に遊びにおいで」
「お心遣いに感謝いたしますが、できることでしたら遠慮をさせてくださいませ」
「どうして」
「子爵の娘だからです。身の丈に合わない場所に相応しくない者が行けば無用なトラブルを招きます」
「公爵家だってそうでしょ?」
「ジェイド殿下!!」
あまりの物言いにアレクサンドルはソファーから立ち上がった。
「アル兄様、落ち着いてください。
ジェイド第一王子殿下、それは私も重々承知いたしております。代償はコレです」
エマは前髪を上げて傷痕を見せた。
「……」
「他にはございますか」
「いや…」
「では、お邪魔になりますので私は失礼いたします」
エマが退室するとアレクサンドルはソファーにもたれかかった。
「4歳下の心も身体も傷を負った女の子を虐めて楽しかったですか?殿下」
「虐めてなど…」
「客観的に見てください。イビリですよ。
何の関係もない他人が言っていいことではありません。
勝手に来ておいて何なんですか。
エマの滞在は公爵である父が子爵に頼んで実現したことなのです。文句があるならサースワルド公爵に仰ってください」
「…すまない」
「正直がっかりですよ。弱い者いじめをする殿下なんて見たくありませんでした。
此処には二度と来ないでください。
エマとエマといる私を見かけても話しかけないでください。
父には報告します。
まともな用事がなければお引き取りください」
「悪かった」
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