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ゆっくりと癒える傷
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子爵領に戻ってから約3年。私は14歳になっていた。
アル兄様の卒業祝いには高級ペンと、4枚のハンカチを送った。ハンカチにはそれぞれ公爵領のペット達を刺繍した。
刺繍しながら会いたいななんて思っていたが大型犬2匹は天に召され、小型犬も弱っているらしい。
今、母と公爵領に来て犬達の墓参りをしている。屋敷の裏だけど。小型犬も衰弱が激しくほとんど寝たきりだ。
獣医さんが長くないと診断したので母に頼んで看取ることにした。
「チビちゃん」
寝る時は一緒に寝た。
4日後に天国に行ってしまった。
「お嬢様のおかげで安らかな顔をしていますよ」
「えぐっ…ひくっ…チビぃ~」
「エマ、お別れだから撫でてあげなさい」
「うぐっ……いい子」
その時、撫でる手の上に大きな手が重なった
「エマが見送ってくれたからこの子も感謝しているよ」
「アル兄様!」
「はぁ、間に合わなかった。ごめんな」
びっくりした!
「エマ、埋葬用に花を摘みに行こう。」
「え、はい」
「義母上、行ってきます」
「え? いってらっしゃい」
アレクサンドルはエマの手を握り歩き始めた。
昔のように。
「エマ、王都からお菓子持ってきたよ」
「久しぶりです!」
「久しぶり。新作ばかりだから皆で食べよう」
「チビちゃんにもお花と一緒にあげていいですか」
「いいよ。食べられなかったチョコ味をあげようか」
「喜びますね!」
「どの花にする?」
「ピンクと黄色がいいです」
「エマの好きな色?」
「元気になりそうな色だなって」
「天国に先にいる2匹と遊ぶためには元気にならないとな」
「そうですね。
ファイエットは大丈夫でしょうか」
「猫は大丈夫だよ」
埋葬後、お茶の時間になった。
「義母上、来てくださってありがとうございます」
「長い付き合いだったもの。まだ吠える声や足音が聞こえそうだわ」
「いつ出発しますか」
「明日のつもりだけど」
「私もついていきます」
「まさか本気だったの!?」
「勿論ですよ」
「お母様、どうしたのですか」
「エマ。今度はアレクサンドル様が子爵家に滞在するのよ」
「そうなのですか?」
「子爵から経営を学ぼうと思ってお願いしておいたんだよ。エマが学校のために王都に行く時に一緒に戻る予定なんだ。
どっちに行くんだ?」
「王立学園と貴族女学園の両方を受験することにしました」
「決めかねているんだね」
「試験に行ってみて、耐えられるか判断しようと思います」
「そうか。どちらにしろ公爵邸から通うんだよ。寮は心配だからね」
「そんな。寮でいいです」
「寮だとちゃんと食べているか体調が分からないじゃないか」
「そんなに子供じゃないですよ」
「エマがいくつになろうと私は心配だよ」
「ふふっ、主人も同じ事を言っていたわ」
「でしょうね」
「アル兄様、弟がいますよ!ネルって言う3歳児です!」
「仲良くならないとな」
「アル兄様、なんだか疲れてますか」
「癒しがなくなったからね」
「えっ、ああ、そうですよね。
ファイエットを抱きしめましょう!」
「そうだな」
その後、アレクサンドルは子爵家に滞在し子爵に弟子入りした。
「エマ、義父上と出掛けてくるけどいい子に待っててね」
「お父様、アル兄様行ってらっしゃい」
「いってあっしゃい」
「ネル、エマを頼んだよ」
「はい、ちちうえ」
「お母様、3歳児に任せられてしまう私って」
「男の子には早いうちから責任感を持たせるのよ」
「それならいいのですが」
「ねーね。まもる。だっこ!」
「ぷっ」
「ネル、守らなきゃいけない姉様に抱っこしてもらうの?」
「そうです。だっこ!」
「もう重いんだけどな。よっと」
「ねーね、だいすき」
「私も大好きよ」
夕方戻ってきたアル兄様にも
「にーに。だっこ!」
「ネル、最初にエマを抱っこしたいんだけど、どうだろう」
「ねーね。どーぞ」
「ええっ!? ひゃあっ!」
「エマ。ただいま。いい子にしてた?」
「お、おかえりなさい。私子供じゃないです」
「まだ子供だ。ネルと一緒」
「兄様!」
「よし、次はネルだ」
「きゃっきゃっ!」
「エマもネルくらい喜んでくれたらいいんだけどな」
「もう!揶揄って!」
夜寝る時は、
「今日はどの本がいいかな」
「いもむしイーリーとまるむしキキのぼうけん!」
「エマは?」
「私は別に…」
「どれかな」
「ねーね!早く!」
「音痴な小鳥三姉妹」
「じゃあ、順番に読むからね」
「はーい」
「お願いします」
一年足らずで私が家を離れると知ったネルは毎日私の部屋で寝るようになった。
アル兄様が来てからは寝る時に本を読んでくれるようになった。私の分まで。
ネルが寝付くと私の横に来てお腹を優しくトントンしてくれる。私はこれに弱い。すぐ眠くなる危険な技だ。
子供って言われるわけだわ。
私が寝付くと額にキスをして自分の部屋に戻る。それで起きたことが何度かある。
すっかり大人の兄様にそんなことをされると少しドキドキする。
再会した時アル兄様はやつれた感じだったけど、だんだん、目の下のクマも薄くなり肌艶も良くなってきた。よく食べるし。ネルも釣られてよく食べるようになった。
アル兄様の卒業祝いには高級ペンと、4枚のハンカチを送った。ハンカチにはそれぞれ公爵領のペット達を刺繍した。
刺繍しながら会いたいななんて思っていたが大型犬2匹は天に召され、小型犬も弱っているらしい。
今、母と公爵領に来て犬達の墓参りをしている。屋敷の裏だけど。小型犬も衰弱が激しくほとんど寝たきりだ。
獣医さんが長くないと診断したので母に頼んで看取ることにした。
「チビちゃん」
寝る時は一緒に寝た。
4日後に天国に行ってしまった。
「お嬢様のおかげで安らかな顔をしていますよ」
「えぐっ…ひくっ…チビぃ~」
「エマ、お別れだから撫でてあげなさい」
「うぐっ……いい子」
その時、撫でる手の上に大きな手が重なった
「エマが見送ってくれたからこの子も感謝しているよ」
「アル兄様!」
「はぁ、間に合わなかった。ごめんな」
びっくりした!
「エマ、埋葬用に花を摘みに行こう。」
「え、はい」
「義母上、行ってきます」
「え? いってらっしゃい」
アレクサンドルはエマの手を握り歩き始めた。
昔のように。
「エマ、王都からお菓子持ってきたよ」
「久しぶりです!」
「久しぶり。新作ばかりだから皆で食べよう」
「チビちゃんにもお花と一緒にあげていいですか」
「いいよ。食べられなかったチョコ味をあげようか」
「喜びますね!」
「どの花にする?」
「ピンクと黄色がいいです」
「エマの好きな色?」
「元気になりそうな色だなって」
「天国に先にいる2匹と遊ぶためには元気にならないとな」
「そうですね。
ファイエットは大丈夫でしょうか」
「猫は大丈夫だよ」
埋葬後、お茶の時間になった。
「義母上、来てくださってありがとうございます」
「長い付き合いだったもの。まだ吠える声や足音が聞こえそうだわ」
「いつ出発しますか」
「明日のつもりだけど」
「私もついていきます」
「まさか本気だったの!?」
「勿論ですよ」
「お母様、どうしたのですか」
「エマ。今度はアレクサンドル様が子爵家に滞在するのよ」
「そうなのですか?」
「子爵から経営を学ぼうと思ってお願いしておいたんだよ。エマが学校のために王都に行く時に一緒に戻る予定なんだ。
どっちに行くんだ?」
「王立学園と貴族女学園の両方を受験することにしました」
「決めかねているんだね」
「試験に行ってみて、耐えられるか判断しようと思います」
「そうか。どちらにしろ公爵邸から通うんだよ。寮は心配だからね」
「そんな。寮でいいです」
「寮だとちゃんと食べているか体調が分からないじゃないか」
「そんなに子供じゃないですよ」
「エマがいくつになろうと私は心配だよ」
「ふふっ、主人も同じ事を言っていたわ」
「でしょうね」
「アル兄様、弟がいますよ!ネルって言う3歳児です!」
「仲良くならないとな」
「アル兄様、なんだか疲れてますか」
「癒しがなくなったからね」
「えっ、ああ、そうですよね。
ファイエットを抱きしめましょう!」
「そうだな」
その後、アレクサンドルは子爵家に滞在し子爵に弟子入りした。
「エマ、義父上と出掛けてくるけどいい子に待っててね」
「お父様、アル兄様行ってらっしゃい」
「いってあっしゃい」
「ネル、エマを頼んだよ」
「はい、ちちうえ」
「お母様、3歳児に任せられてしまう私って」
「男の子には早いうちから責任感を持たせるのよ」
「それならいいのですが」
「ねーね。まもる。だっこ!」
「ぷっ」
「ネル、守らなきゃいけない姉様に抱っこしてもらうの?」
「そうです。だっこ!」
「もう重いんだけどな。よっと」
「ねーね、だいすき」
「私も大好きよ」
夕方戻ってきたアル兄様にも
「にーに。だっこ!」
「ネル、最初にエマを抱っこしたいんだけど、どうだろう」
「ねーね。どーぞ」
「ええっ!? ひゃあっ!」
「エマ。ただいま。いい子にしてた?」
「お、おかえりなさい。私子供じゃないです」
「まだ子供だ。ネルと一緒」
「兄様!」
「よし、次はネルだ」
「きゃっきゃっ!」
「エマもネルくらい喜んでくれたらいいんだけどな」
「もう!揶揄って!」
夜寝る時は、
「今日はどの本がいいかな」
「いもむしイーリーとまるむしキキのぼうけん!」
「エマは?」
「私は別に…」
「どれかな」
「ねーね!早く!」
「音痴な小鳥三姉妹」
「じゃあ、順番に読むからね」
「はーい」
「お願いします」
一年足らずで私が家を離れると知ったネルは毎日私の部屋で寝るようになった。
アル兄様が来てからは寝る時に本を読んでくれるようになった。私の分まで。
ネルが寝付くと私の横に来てお腹を優しくトントンしてくれる。私はこれに弱い。すぐ眠くなる危険な技だ。
子供って言われるわけだわ。
私が寝付くと額にキスをして自分の部屋に戻る。それで起きたことが何度かある。
すっかり大人の兄様にそんなことをされると少しドキドキする。
再会した時アル兄様はやつれた感じだったけど、だんだん、目の下のクマも薄くなり肌艶も良くなってきた。よく食べるし。ネルも釣られてよく食べるようになった。
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