17 / 34
デニス
しおりを挟む
【 デニス・ノーティング 】
私は前世の記憶がある。
金でノーディング家を、私を支配し付き纏う大嫌いな婚約者を死なせてしまった記憶がある。
父は言った。この見合いは拒否してはならないと。
子供の頃から制限され窮屈な思いをしてきた。買う物に自由はないし、好みでもない女と頻繁に会わなくてはならなかった。
にこにこしやがって。支配するのはそんなに楽しいのか!
学園が始まると私は運命的な出会いをした。
ホワイトブロンドにピンクの瞳の美しい女性だった。ティファニー・レジュール。美貌のレジュール侯爵家の三女。姉の一人は他国の王子妃になった。
隣のクラスの彼女とは選択科目が一緒で話す機会があった。彼女と準備当番になった時、並んでいる姿が鏡に映った。
物語の挿絵のようにぴったりとはまった。
友人の誕生日パーティーで見かけた彼女は学校とは違う装いで、華奢な体が際立つ。
ダンスに誘うとふわっと私の手を取り微笑んだ。
羽のように軽いとはまさにこのことだろう。何処かへ飛んでいってしまいそうで抱きしめたくなる。彼女の香りに酔いそうだ。
『あの、近々私の誕生日パーティーがありますの。ノーディング様にも祝っていただけたら…』
『喜んで伺うよ。デニスと呼んでくれティファニー』
彼女の誕生日パーティーでは多くの令息達がティファニーに贈り物をしていた。皆高価な物だった。
しまった。私の贈り物は平凡たったからがっかりされてしまう。
『ティファニー、誕生日おめでとう。オーダー品が間に合わなくて』
『ごめんなさい。お誘いしたのが5日前でしたものね』
『仕上がったら改めてお祝いさせてもらいないだろうか』
『嬉しいわ。楽しみにしているわね』
慌てて宝石店に行くが女性に人気の店は数ヶ月待ちは当たり前だと言われた。レジュール家の名前を出したがダメだった。
3軒目は人気で1番高級な店だった。ここも最短で数ヶ月待ちだと言われた。可能性は極めて低いがレジュール家も駄目なら試してみようと思った。
『婚約者のバルト子爵令嬢が急にここの美しい宝飾品を付けてパーティーに行きたいと言い出したので、無理だとは言ったのですが。
では失礼』
『少しお待ちください』
店員が奥から連れてきたのは
『店長のアルバートと申します。奥のお部屋でお伺いいたします』
応接室に案内され、時期や予算を聞かれた。
『一刻も早くとなりますと…だいぶ先の納期の品がひとつございます。ネックレスですがこれから石を嵌めるだけの物がございます。
似てしまいますが、少し手を加えれば全く同じとはなりません。
ただかなり大きな石の為のデザインになっておりますので予算を大幅にオーバーしてしまいます』
それはまずい。
『有難いが婚約者があまり大きな装飾品を好んでいなくて。デビュー前の令嬢が普段使いに出来るものだと良いのだが』
『既製品ではありますが人気のシリーズがあります。限定品なので多くは作っておりません。ひとつ確保している品がございます。
こちらでしたら予算にも合うかと』
『無理を言ってすまない。
それをいただこう。別にオーダーしておいていいかな。またこういったことがあるかもしれない。通常納期にしてもらえれば』
『かしこまりました。ではデザイン担当をお呼びいたします。限定品のブレスレットもお持ちいたします』
王都に屋敷を持たないバルト子爵家の名前がこんな高級店で融通してもらえるほど通っているなんて…レジュール侯爵やノーディング伯爵家よりも。
そんなに金があるのか。
週末にティファニーと会い早速渡した。
『オーダー品はやはり数ヶ月かかってしまうと言われた。その代わりこれを』
『まぁ!素敵!
これってナタナエルの限定品!
レジュール家も買えなかったのに』
『気に入ってくれた?つけるから手を出して』
ティファニーの折れそうな細く白い手首にブレスレットをつけた。
それから毎日つけてくれているようだ。贈った甲斐があった。
父には婚約者へのサプライズにするつもりで限定品だから押さえておかないとならなかったと言って誤魔化した。
翌年の誕生日は1年近く前から予約していた人気のレストランへティファニーを連れて行き、去年オーダーしていたネックレスをプレゼントした。
『私ね、婚約者が好きになれないの』
『サースワルド公爵令息?』
『うん。
分かるのよね。この人は私のことを好きじゃないって。
子供の頃からずっと。エスコートにも愛がない。結婚したらこれが続くんだと思うと憂鬱で。正直見た目も好みじゃないの』
『子供の頃に見かけた時は綺麗な子だったけど今は逞しい感じだね』
『私は美しい人や物が好きなの。デニスやデニスの贈り物みたいにね』
『私の婚約者は束縛が激しいんだ。好きでもない相手から束縛されるのは辛いよ。一生続くのかと思うと…まるで地獄だよ。
相手がティファニーだったらいいのに』
帰りの馬車で口付けをした。
学園でも人目を忍んで口付けをした。
夜会が一緒になった時は休憩室で、外出すれば隠れ宿で体を重ねた。
婚約者の入学とデビューの年がやってきた。
できるだけ他人のフリをしたかったのに、あっという間に周知されてしまった。
ある日、話があるから伯爵家で会いたいと言った。
話とはティファニーとの事だった。バレていた。報告されては堪らないと言い訳をしたが段々と腹が立ってきてしまった。
しかも私とティファニーの愛を性欲の捌け口のように言った。
この女はどこまで私を侮辱し続ければ気が済むのか。
もう我慢の限界だった。
本人がいいというのだから文句ないだろう。
自分の言ったことがどういうことなのか身をもって教えてやった。
私は前世の記憶がある。
金でノーディング家を、私を支配し付き纏う大嫌いな婚約者を死なせてしまった記憶がある。
父は言った。この見合いは拒否してはならないと。
子供の頃から制限され窮屈な思いをしてきた。買う物に自由はないし、好みでもない女と頻繁に会わなくてはならなかった。
にこにこしやがって。支配するのはそんなに楽しいのか!
学園が始まると私は運命的な出会いをした。
ホワイトブロンドにピンクの瞳の美しい女性だった。ティファニー・レジュール。美貌のレジュール侯爵家の三女。姉の一人は他国の王子妃になった。
隣のクラスの彼女とは選択科目が一緒で話す機会があった。彼女と準備当番になった時、並んでいる姿が鏡に映った。
物語の挿絵のようにぴったりとはまった。
友人の誕生日パーティーで見かけた彼女は学校とは違う装いで、華奢な体が際立つ。
ダンスに誘うとふわっと私の手を取り微笑んだ。
羽のように軽いとはまさにこのことだろう。何処かへ飛んでいってしまいそうで抱きしめたくなる。彼女の香りに酔いそうだ。
『あの、近々私の誕生日パーティーがありますの。ノーディング様にも祝っていただけたら…』
『喜んで伺うよ。デニスと呼んでくれティファニー』
彼女の誕生日パーティーでは多くの令息達がティファニーに贈り物をしていた。皆高価な物だった。
しまった。私の贈り物は平凡たったからがっかりされてしまう。
『ティファニー、誕生日おめでとう。オーダー品が間に合わなくて』
『ごめんなさい。お誘いしたのが5日前でしたものね』
『仕上がったら改めてお祝いさせてもらいないだろうか』
『嬉しいわ。楽しみにしているわね』
慌てて宝石店に行くが女性に人気の店は数ヶ月待ちは当たり前だと言われた。レジュール家の名前を出したがダメだった。
3軒目は人気で1番高級な店だった。ここも最短で数ヶ月待ちだと言われた。可能性は極めて低いがレジュール家も駄目なら試してみようと思った。
『婚約者のバルト子爵令嬢が急にここの美しい宝飾品を付けてパーティーに行きたいと言い出したので、無理だとは言ったのですが。
では失礼』
『少しお待ちください』
店員が奥から連れてきたのは
『店長のアルバートと申します。奥のお部屋でお伺いいたします』
応接室に案内され、時期や予算を聞かれた。
『一刻も早くとなりますと…だいぶ先の納期の品がひとつございます。ネックレスですがこれから石を嵌めるだけの物がございます。
似てしまいますが、少し手を加えれば全く同じとはなりません。
ただかなり大きな石の為のデザインになっておりますので予算を大幅にオーバーしてしまいます』
それはまずい。
『有難いが婚約者があまり大きな装飾品を好んでいなくて。デビュー前の令嬢が普段使いに出来るものだと良いのだが』
『既製品ではありますが人気のシリーズがあります。限定品なので多くは作っておりません。ひとつ確保している品がございます。
こちらでしたら予算にも合うかと』
『無理を言ってすまない。
それをいただこう。別にオーダーしておいていいかな。またこういったことがあるかもしれない。通常納期にしてもらえれば』
『かしこまりました。ではデザイン担当をお呼びいたします。限定品のブレスレットもお持ちいたします』
王都に屋敷を持たないバルト子爵家の名前がこんな高級店で融通してもらえるほど通っているなんて…レジュール侯爵やノーディング伯爵家よりも。
そんなに金があるのか。
週末にティファニーと会い早速渡した。
『オーダー品はやはり数ヶ月かかってしまうと言われた。その代わりこれを』
『まぁ!素敵!
これってナタナエルの限定品!
レジュール家も買えなかったのに』
『気に入ってくれた?つけるから手を出して』
ティファニーの折れそうな細く白い手首にブレスレットをつけた。
それから毎日つけてくれているようだ。贈った甲斐があった。
父には婚約者へのサプライズにするつもりで限定品だから押さえておかないとならなかったと言って誤魔化した。
翌年の誕生日は1年近く前から予約していた人気のレストランへティファニーを連れて行き、去年オーダーしていたネックレスをプレゼントした。
『私ね、婚約者が好きになれないの』
『サースワルド公爵令息?』
『うん。
分かるのよね。この人は私のことを好きじゃないって。
子供の頃からずっと。エスコートにも愛がない。結婚したらこれが続くんだと思うと憂鬱で。正直見た目も好みじゃないの』
『子供の頃に見かけた時は綺麗な子だったけど今は逞しい感じだね』
『私は美しい人や物が好きなの。デニスやデニスの贈り物みたいにね』
『私の婚約者は束縛が激しいんだ。好きでもない相手から束縛されるのは辛いよ。一生続くのかと思うと…まるで地獄だよ。
相手がティファニーだったらいいのに』
帰りの馬車で口付けをした。
学園でも人目を忍んで口付けをした。
夜会が一緒になった時は休憩室で、外出すれば隠れ宿で体を重ねた。
婚約者の入学とデビューの年がやってきた。
できるだけ他人のフリをしたかったのに、あっという間に周知されてしまった。
ある日、話があるから伯爵家で会いたいと言った。
話とはティファニーとの事だった。バレていた。報告されては堪らないと言い訳をしたが段々と腹が立ってきてしまった。
しかも私とティファニーの愛を性欲の捌け口のように言った。
この女はどこまで私を侮辱し続ければ気が済むのか。
もう我慢の限界だった。
本人がいいというのだから文句ないだろう。
自分の言ったことがどういうことなのか身をもって教えてやった。
429
あなたにおすすめの小説
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
両親に溺愛されて育った妹の顛末
葉柚
恋愛
皇太子妃になるためにと厳しく育てられた私、エミリアとは違い、本来私に与えられるはずだった両親からの愛までも注ぎ込まれて溺愛され育てられた妹のオフィーリア。
オフィーリアは両親からの過剰な愛を受けて愛らしく育ったが、過剰な愛を受けて育ったために次第に世界は自分のためにあると勘違いするようになってしまい……。
「お姉さまはずるいわ。皇太子妃になっていずれはこの国の妃になるのでしょう?」
「私も、この国の頂点に立つ女性になりたいわ。」
「ねえ、お姉さま。私の方が皇太子妃に相応しいと思うの。代わってくださらない?」
妹の要求は徐々にエスカレートしていき、最後には……。
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる