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投資先のパーティ
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デビュータントのダンスを無事に終えて早々に帰ってきた。
まだこれから夕方に差し掛かるという時間だが、疲れてしまった。着替えてネルを膝に乗せて癒されている。
「ネルはすごいわね。こうやっているだけで疲れが薄らいで心が癒されるわ」
「僕もねーねにだっこしてもらうとうれしい」
「いつまでそう言ってくれるのかな」
「あまり長いことそのままだと怖いぞ」
「何が?」
「女性の膝の上に乗って甘える女性より大きな青年」
「……そうね。でもものすごく先よね」
「君の膝の上に乗ってネルの頭がエマの顎を超えない大きさが、許容範囲だろうな」
「ネル~急がなくていいからね、ゆっくりゆっくりのんびり成長すればいいからね」
「ちょっとネルの将来が心配になってきた」
「心配?」
「そろそろ教育を始める時期になるけど大人6人で甘やかしそうで」
「私には無理よ!私はネルを甘やかす係なの!」
「ずるくないか!?
ネル、おいで。にーにが抱っこするよ」
「にーに!」
「ちょっと!酷い!」
「エマちゃんが可哀想だから、エマちゃんにお兄ちゃんを連れて来なくちゃいけないかな?」
「父上!」
「お義父様」
「体格が良くて顔もある程度良い男は縁戚にいたか?」
「セルジュがいたわ。騎士の仕事ばかりで婚約者に逃げられた伯爵家の子よ」
「ああ、あの体格ならエマちゃんを膝の上に乗せても大丈夫だ。軽々と抱き上げてくれるぞ」
「何言っちゃってるんですか!
絶対駄目ですよ!そもそも逃げられるほど婚約者を放置するような男なんて何考えてるんですか!」
「あれはね。タイプじゃなかったのよ。
エマちゃんならたっぷり可愛がってもらえるわ」
「私は…アル様がいいです」
「エマ!意地悪してごめん!ネルの甘やかし担当はエマだからね」
数日後、投資先の開いたパーティに来ている。
ここに来るまでに3日もかかった。
実は巻き戻る前にここの領主は採掘費用が捻出できず投資家に話を持ちかけていたが、希少石が採れると信じてもらえず他国の投資家と契約をしてしまった。
その後掘り当てたはいいものの、契約書をしっかり読むと採掘した全ての物の所有権が投資家にあるとなっていた。
これまで多くのお金を注ぎ込んで来た領主は心労のためか急死してしまったのだ。
それを思い出し、名乗りを上げ、費用全てを出した。
契約は2割の利益を支払うというものだ。
人を雇って不定期に採掘量の調査をすることも盛り込んである。
「バルト子爵令嬢、ありがとうございました」
「ムロン子爵様はお人柄もよろしいですから安心して投資させていただきましたわ。
今頃、投資を断った方々は悔しい思いをなさっていらっしゃいますわね」
「嬉しいお言葉をありがとうございます。
今更投資させてくれと言い出す者もおりましたが間に合っていますとお断りしました。
すごく気分がいいですよ。
サースワルド公爵令息は羨ましいですな。
こんなに素晴らしいレディと婚約できて」
「私は束縛も執着も激しいので、ご子息を紹介しようと思わないでくださいね」
「ハハハハハッ」
「本気ですよ?」
「……挨拶はさせてください」
「私は離れませんからね。部屋も一緒でお願いします」
「アル様!!」
「絵本を持ってきているからね」
「もう!」
「それでは同室にしないと可哀想ですね」
それから1か月過ぎた頃には学園でチラチラ見られるようになった。
「私、変な噂が立っているのかしら」
「その逆だよ」
「オスカーさんは何か知ってるの?」
「2つかな。
“サースワルド公爵令息の溺愛する令嬢”と
“大穴の投資でひと財産築いた令嬢”」
「ちょっと!誤報よ!」
「誤報ではありません。アレクサンドル様はエマ様をとても大事にしていらっしゃいます」
「大事にと溺愛は違うじゃない」
「溺愛です」
「溺愛ですね」
「溺愛だな」
「それにひと財産なんか築いてないから!
採掘量が未定なのだから、投資額さえ回収出来るか分からないのよ?」
「えっ、そうなのですか?」
「そうなの。だから運が悪ければ大金を失うことになるわね」
だけど半年後、採掘中に別の希少石が見つかった。
領主は大喜びで手紙を送ってきた。
「馬鹿正直だな」
「そうなの。他の投資家に狙われなくて良かったわ」
「未だに採掘量は増えているんだね」
「採れるからと言って無理をさせるのはいけないわ。肉体労働なのですから休憩や休暇をしっかりとってもらわないと」
「今どのくらい回収できてるの?」
「投資額の2割弱ね」
「いつまで掘れるのかな」
「掘り過ぎた時に事故が怖いから掘ればいいってものでもないし。心配だけど祈るしかないわ」
まだこれから夕方に差し掛かるという時間だが、疲れてしまった。着替えてネルを膝に乗せて癒されている。
「ネルはすごいわね。こうやっているだけで疲れが薄らいで心が癒されるわ」
「僕もねーねにだっこしてもらうとうれしい」
「いつまでそう言ってくれるのかな」
「あまり長いことそのままだと怖いぞ」
「何が?」
「女性の膝の上に乗って甘える女性より大きな青年」
「……そうね。でもものすごく先よね」
「君の膝の上に乗ってネルの頭がエマの顎を超えない大きさが、許容範囲だろうな」
「ネル~急がなくていいからね、ゆっくりゆっくりのんびり成長すればいいからね」
「ちょっとネルの将来が心配になってきた」
「心配?」
「そろそろ教育を始める時期になるけど大人6人で甘やかしそうで」
「私には無理よ!私はネルを甘やかす係なの!」
「ずるくないか!?
ネル、おいで。にーにが抱っこするよ」
「にーに!」
「ちょっと!酷い!」
「エマちゃんが可哀想だから、エマちゃんにお兄ちゃんを連れて来なくちゃいけないかな?」
「父上!」
「お義父様」
「体格が良くて顔もある程度良い男は縁戚にいたか?」
「セルジュがいたわ。騎士の仕事ばかりで婚約者に逃げられた伯爵家の子よ」
「ああ、あの体格ならエマちゃんを膝の上に乗せても大丈夫だ。軽々と抱き上げてくれるぞ」
「何言っちゃってるんですか!
絶対駄目ですよ!そもそも逃げられるほど婚約者を放置するような男なんて何考えてるんですか!」
「あれはね。タイプじゃなかったのよ。
エマちゃんならたっぷり可愛がってもらえるわ」
「私は…アル様がいいです」
「エマ!意地悪してごめん!ネルの甘やかし担当はエマだからね」
数日後、投資先の開いたパーティに来ている。
ここに来るまでに3日もかかった。
実は巻き戻る前にここの領主は採掘費用が捻出できず投資家に話を持ちかけていたが、希少石が採れると信じてもらえず他国の投資家と契約をしてしまった。
その後掘り当てたはいいものの、契約書をしっかり読むと採掘した全ての物の所有権が投資家にあるとなっていた。
これまで多くのお金を注ぎ込んで来た領主は心労のためか急死してしまったのだ。
それを思い出し、名乗りを上げ、費用全てを出した。
契約は2割の利益を支払うというものだ。
人を雇って不定期に採掘量の調査をすることも盛り込んである。
「バルト子爵令嬢、ありがとうございました」
「ムロン子爵様はお人柄もよろしいですから安心して投資させていただきましたわ。
今頃、投資を断った方々は悔しい思いをなさっていらっしゃいますわね」
「嬉しいお言葉をありがとうございます。
今更投資させてくれと言い出す者もおりましたが間に合っていますとお断りしました。
すごく気分がいいですよ。
サースワルド公爵令息は羨ましいですな。
こんなに素晴らしいレディと婚約できて」
「私は束縛も執着も激しいので、ご子息を紹介しようと思わないでくださいね」
「ハハハハハッ」
「本気ですよ?」
「……挨拶はさせてください」
「私は離れませんからね。部屋も一緒でお願いします」
「アル様!!」
「絵本を持ってきているからね」
「もう!」
「それでは同室にしないと可哀想ですね」
それから1か月過ぎた頃には学園でチラチラ見られるようになった。
「私、変な噂が立っているのかしら」
「その逆だよ」
「オスカーさんは何か知ってるの?」
「2つかな。
“サースワルド公爵令息の溺愛する令嬢”と
“大穴の投資でひと財産築いた令嬢”」
「ちょっと!誤報よ!」
「誤報ではありません。アレクサンドル様はエマ様をとても大事にしていらっしゃいます」
「大事にと溺愛は違うじゃない」
「溺愛です」
「溺愛ですね」
「溺愛だな」
「それにひと財産なんか築いてないから!
採掘量が未定なのだから、投資額さえ回収出来るか分からないのよ?」
「えっ、そうなのですか?」
「そうなの。だから運が悪ければ大金を失うことになるわね」
だけど半年後、採掘中に別の希少石が見つかった。
領主は大喜びで手紙を送ってきた。
「馬鹿正直だな」
「そうなの。他の投資家に狙われなくて良かったわ」
「未だに採掘量は増えているんだね」
「採れるからと言って無理をさせるのはいけないわ。肉体労働なのですから休憩や休暇をしっかりとってもらわないと」
「今どのくらい回収できてるの?」
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「いつまで掘れるのかな」
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