20 / 72
五国統一
カーティス領
しおりを挟む
フォルス王国には最大武力を誇るカーティス家がフロワ側に領地を持ち牽制をしていた。
狼煙を確認して兵を向かわせたが狼煙を確認したのはカーティスの兵も同じだ。
カーティス領を避けて部隊を進ませたが、三つの大隊がここで苦戦を強いられた。
魔法を使える者でも続かないし威力も強くない。
対してカーティス領は武力の国だけあってカーティス騎士団の他に領民が武器を持って向かって来るのだ。
マチュー団長はノアがもうひとり欲しいなどとうっかり口にする程だった。
結局、半年経っても決着が着いていなかった。物資の補給と増員や交代要員があるからなんとか戦ってこれた。
本来ならカーティスを打ち破り、カーティスの次に武力を保持する領に攻め入っている仲間に加勢するはずだった。
「団長、今日は死者はおりませんが戦うことが出来なくなった29名は退がらせました」
「ご苦労だった」
8ヶ月目。
士気が落ち、気配に気づくことも出来ないマチュー団長の肩を誰かが叩いた。
「酷い顔だな」
「ノア……」
振り向くとノア達が立っていた。
周りにいる部下達は安堵の顔を浮かべている。
「城は」
「いくつか部隊が到着したし、時々襲撃があるけど王都はわりと懐柔できたと思うよ。
地方の方が大変だよね」
「すまない」
「城よりこっちの方が強敵だったようだ。
疲れたろう。決着をつけよう」
こちらからの要求を団長が正門から伝えた。
「これより1時間以内に、武器を捨て正門以外から出てきた者に攻撃はしない。
残った者、武器を所持した者は誰であっても死んでもらう。
広範囲魔法を使う為、年齢で選り分けることは出来ない。幼児を助けたいというのなら正門以外から外に出せ!」
広範囲魔法と聞いて正門の兵士達は慌ててカーティス城へ入っていった。
30分後、正門に夫人が現れた。
「私はカーティス領の領主を務めるカーティス伯の妻イザベラと申します。
投降させた子供はどうなりますか」
「衣食住に困らない場所で預かります。戦いが終わって建物残っていて保護者が生きていればお返しします。
できれば母親が付き添われる方がよろしいかと」
「私はここで死ぬ覚悟でございます」
そこにノアが出てきた。
「お子さんはいくつですか」
「10歳と8歳です」
「私は両親が死に、11歳から働きながらひとりで生きてきました。夫人に似ているのなら生き残るのは容易くありません。綺麗な子は子供でも餌食になるのです。
私も幾度と襲われたのです。幸い魔法で撃退出来ましたが夫人の子は魔法が使えますか?
終戦後に解放されれば守る人はいなくなります。
王族と城と王都の情報を教えましょう。
書簡を届けに行っただけの私をフォルス国王は殺そうとしたので捕え、王族は人質か盾として使っています。他は死にました。
城と王都は陥落したのです。
我々の希望は従属国だったのですから無用な搾取はするつもりはありません。
応じてもらっていれば契約の縛りは発生しましたが、王族も貴族もそのままだったのです。
これらの情報を元に急いで話し合ってください」
夫人は困惑した顔で戻って行った。
20分後、女性を中心に投降者が現れた。
先程の夫人は残るようだ。
「騎士様。あの青い服に髪を二つに分けた子が娘で、隣の乳母に抱かれた子は息子です。よろしくお願いします」
「夫人、出てきて!お願いだから!」
「誇り高く死にたいの」
「誇りなんか!母達が生き返るなら誇りなど一生要らない!!」
「他の人に出てこさせたら良かったわね。
ごめんなさい。心を傷めさせて」
そう言って城の中に戻って行った。
「ノア」
「炎じゃ……選り分けられない」
「ノア。広範囲魔法魔法を使って決着させてくれ。これは戦争だ!」
約束の時間になった。
「飛来するものに気をつけてくれ」
ノアは目を閉じて魔力を高めた。
「黒炎爆裂!!」
城壁内は無数の爆発が起き、地面が震える。
同時に炎に包まれすぐに黒くなった。
煙が収まると城壁内は黒い更地と化していた。
「ガブリエル」
呼ばれて側によるとノアがもたれかかった。
「魔力、使いすぎた。団長、後はよろしく。
エイダン、ロイクはしばらく加勢して」
ノアはガブリエルに抱き上げられ団長のテントへ運び込まれた。
「すみません。団長の簡易ベッドで」
「怒られるよ」
「お菓子と水です。ポケットに入れていたから崩れていますけど。食べたら眠ってください。お守りしますから」
「ありがとう」
文字通り城がなくなりカーティス領は陥落した。
その後、近くの宿屋に移りノアは眠りこけていた。流石に消耗が激しかった。
焼死ではなく爆死にして、さらに超高温で溶かしまくったからだ。
2日後
「ノア。団長がお見えです」
「通して」
団長が入室するとノアは身体を起こした。
「魔力枯渇か」
「ほぼ。今頑張って回復させるためにとにかく食べて寝てる」
「感謝する」
「たまたま力を持って生まれただけだから。
団長、くれぐれも無抵抗な者に手をかけないようにさせて」
「厳しくしているよ」
「領主の子達は」
「理解はしていると思う」
「将来敵討ちを考えなきゃいいんだけどね」
「そうだな」
「そういえばなんで統一したかったんだろう」
「昔は一つの国で首都はフロワだったんだ」
「バラバラのままじゃダメだったの?」
「バラバラになる時に裏切られているんだよ。四国の王族の元は裏切りの家門なんだ」
狼煙を確認して兵を向かわせたが狼煙を確認したのはカーティスの兵も同じだ。
カーティス領を避けて部隊を進ませたが、三つの大隊がここで苦戦を強いられた。
魔法を使える者でも続かないし威力も強くない。
対してカーティス領は武力の国だけあってカーティス騎士団の他に領民が武器を持って向かって来るのだ。
マチュー団長はノアがもうひとり欲しいなどとうっかり口にする程だった。
結局、半年経っても決着が着いていなかった。物資の補給と増員や交代要員があるからなんとか戦ってこれた。
本来ならカーティスを打ち破り、カーティスの次に武力を保持する領に攻め入っている仲間に加勢するはずだった。
「団長、今日は死者はおりませんが戦うことが出来なくなった29名は退がらせました」
「ご苦労だった」
8ヶ月目。
士気が落ち、気配に気づくことも出来ないマチュー団長の肩を誰かが叩いた。
「酷い顔だな」
「ノア……」
振り向くとノア達が立っていた。
周りにいる部下達は安堵の顔を浮かべている。
「城は」
「いくつか部隊が到着したし、時々襲撃があるけど王都はわりと懐柔できたと思うよ。
地方の方が大変だよね」
「すまない」
「城よりこっちの方が強敵だったようだ。
疲れたろう。決着をつけよう」
こちらからの要求を団長が正門から伝えた。
「これより1時間以内に、武器を捨て正門以外から出てきた者に攻撃はしない。
残った者、武器を所持した者は誰であっても死んでもらう。
広範囲魔法を使う為、年齢で選り分けることは出来ない。幼児を助けたいというのなら正門以外から外に出せ!」
広範囲魔法と聞いて正門の兵士達は慌ててカーティス城へ入っていった。
30分後、正門に夫人が現れた。
「私はカーティス領の領主を務めるカーティス伯の妻イザベラと申します。
投降させた子供はどうなりますか」
「衣食住に困らない場所で預かります。戦いが終わって建物残っていて保護者が生きていればお返しします。
できれば母親が付き添われる方がよろしいかと」
「私はここで死ぬ覚悟でございます」
そこにノアが出てきた。
「お子さんはいくつですか」
「10歳と8歳です」
「私は両親が死に、11歳から働きながらひとりで生きてきました。夫人に似ているのなら生き残るのは容易くありません。綺麗な子は子供でも餌食になるのです。
私も幾度と襲われたのです。幸い魔法で撃退出来ましたが夫人の子は魔法が使えますか?
終戦後に解放されれば守る人はいなくなります。
王族と城と王都の情報を教えましょう。
書簡を届けに行っただけの私をフォルス国王は殺そうとしたので捕え、王族は人質か盾として使っています。他は死にました。
城と王都は陥落したのです。
我々の希望は従属国だったのですから無用な搾取はするつもりはありません。
応じてもらっていれば契約の縛りは発生しましたが、王族も貴族もそのままだったのです。
これらの情報を元に急いで話し合ってください」
夫人は困惑した顔で戻って行った。
20分後、女性を中心に投降者が現れた。
先程の夫人は残るようだ。
「騎士様。あの青い服に髪を二つに分けた子が娘で、隣の乳母に抱かれた子は息子です。よろしくお願いします」
「夫人、出てきて!お願いだから!」
「誇り高く死にたいの」
「誇りなんか!母達が生き返るなら誇りなど一生要らない!!」
「他の人に出てこさせたら良かったわね。
ごめんなさい。心を傷めさせて」
そう言って城の中に戻って行った。
「ノア」
「炎じゃ……選り分けられない」
「ノア。広範囲魔法魔法を使って決着させてくれ。これは戦争だ!」
約束の時間になった。
「飛来するものに気をつけてくれ」
ノアは目を閉じて魔力を高めた。
「黒炎爆裂!!」
城壁内は無数の爆発が起き、地面が震える。
同時に炎に包まれすぐに黒くなった。
煙が収まると城壁内は黒い更地と化していた。
「ガブリエル」
呼ばれて側によるとノアがもたれかかった。
「魔力、使いすぎた。団長、後はよろしく。
エイダン、ロイクはしばらく加勢して」
ノアはガブリエルに抱き上げられ団長のテントへ運び込まれた。
「すみません。団長の簡易ベッドで」
「怒られるよ」
「お菓子と水です。ポケットに入れていたから崩れていますけど。食べたら眠ってください。お守りしますから」
「ありがとう」
文字通り城がなくなりカーティス領は陥落した。
その後、近くの宿屋に移りノアは眠りこけていた。流石に消耗が激しかった。
焼死ではなく爆死にして、さらに超高温で溶かしまくったからだ。
2日後
「ノア。団長がお見えです」
「通して」
団長が入室するとノアは身体を起こした。
「魔力枯渇か」
「ほぼ。今頑張って回復させるためにとにかく食べて寝てる」
「感謝する」
「たまたま力を持って生まれただけだから。
団長、くれぐれも無抵抗な者に手をかけないようにさせて」
「厳しくしているよ」
「領主の子達は」
「理解はしていると思う」
「将来敵討ちを考えなきゃいいんだけどね」
「そうだな」
「そういえばなんで統一したかったんだろう」
「昔は一つの国で首都はフロワだったんだ」
「バラバラのままじゃダメだったの?」
「バラバラになる時に裏切られているんだよ。四国の王族の元は裏切りの家門なんだ」
179
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる