【完結】生まれ変わった男装美少女は命を奪った者達に復讐をする

ユユ

文字の大きさ
40 / 72
エストフラムへの復讐

罠を仕掛ける

しおりを挟む
パーティの翌朝、学校を休んでホテルの部屋にミシェルを迎え入れた。

「こっちの方がいいな。ノアと一緒に滞在できたらいいのに」

「部屋空いてなかったんだっけ。もう空いてるかもよ」

「ノアと同じ部屋がいいんだよ。ベッドも二つあるし」

「そっちはガブリエルのベッドだからダメだよ」

「は!?」

ミシェルが近寄りノエリアの腕を掴んだ。

「どういうことだ!ガブリエルって男だよな?」

「護衛兼体調管理をしてもらってるの」

「付きっきりで看病が必要な訳じゃないのに男と同室なんて何を考えてるんだ!」

「ミシェル止めて!何もないし私の自由よ!」

「ノア!」

「陛下、発言をお許しください」

「何だ」

「ガブリエルは私です。
陛下が心配するようなことは起こり得ません」

「信じられるか!切り落としたとでも言いたいのか!」

「私は、」

「言わないでいい!

ガブリエル、言わなくていいの。私のためにそんな必要ないから」

「っ! ノア」

「陛下、私は異性に興味がありません」

「ガブリエル!」

「私は同性が恋愛対象なのです」

「………」

「それに女性は強さもありますが、様々な不調を抱えがちなのです。医師ほどではありませんが、騎士団の中で私が一番詳しくなりました。

一度も性的な意味で主人に心を動かしたことはございません」

「ミシェル 酷い!」

「ガブリエル、すまなかった。許して欲しい」

「陛下のご心配はお察しいたします。
私が主人に惚れたところは戦いです。
美しく強い炎に心惹かれました

確かに美しく可愛らしい方ですが、こればかりは何ともいかないのです。

私の好みは細身だけどしっかりと筋肉のついた顔はキリッとした感じの人です。
陛下も好みとは違いますからご安心ください」

「好みじゃないと言われて喜んでいいのかよくわからないが素敵な恋人と出会えるよう祈っているよ」

「ありがとうございます。

ノア、私達は和解しました。ノアも和解なさってください」

「ノア、すまなかった」

「遊びでやってるならわかるけど、私にとっては戦いなの。そこに異性云々を当てはめて欲しくない。命を預ける仲間なの。

ガブリエル、エイダン、ロイクの三人は前回の戦争の間ずっと寝食を共にしたし、今回は私の復讐を手伝ってもらってるの」

「ごめん」

「ノア、それ以上はお止めください。お願いします」

「分かったわ」




朝から馬車でミシェルと観光という名のに来ている。

「ガブリエル、伯爵が戻るのは明日なのよね」

「はい。急に変わらない限りは明日の昼に王宮を出てこちらに向かいます」

「ありがとう。ロイクとエイダンは?」

「ミシェル国王陛下の護衛の方々と一緒に我々の後を追ってきます。
悟られない距離におりますのでご安心ください。


中古の馬車を2台借り、王都から4時間の町についた。裕福な平民の旅という設定だ。
ミシェル国王の護衛は御者台にそれぞれ1名ずつ。2台目は荷馬車で奪われてもいい安い品々の中に宝飾品ワナを忍ばせた。

「よく出してくれたわね」

「そりゃあ炎の魔法使いと氷の魔法使いがいるからね」

「責任重大ですね」

コツコツ

「到着します」

御者の呼びかけを聞いて準備をする。

「ガブリエル、お金を払うときにまだまだ沢山あることを印象付けてね。大袈裟にならないようにお願い」

「頑張ります」

「おさらいをするわね。

これから行く店で買い物をして、裕福だと示して、道を聞いてから町で昼食をとるわよ。
その間に店の人が領主に知らせに行くはず。

森を切り開いた道で襲撃に遭うはずだから」

「領主夫人は来るのか」

「見に来るかもしれないし。どうだろう」



デティアン伯爵の屋敷のある町の隣の町にある宝石店の前に馬車が止まり、ミシェルとガブリエルが降りた。

店に入ると店主が応対した。

「初めてのお客様ですね」

「はい。急ぎの品を頼みたいのですが」

「お伺いいたします」

「ルビーを使ったバングルが欲しいのです。
裏に“愛を込めて カーター”と刻んで欲しいのです。最短でどのくらいでできますか」

「既にあるバングルをお求めいただければ石をはめて彫らせていただきます。2時間もあればお渡しできます」

「では食事をして時間を潰すので、2時間後に取りに来ます。品を見せてもらえますか」

店主が並べてる間にミシェルがガブリエルに話しかける。

「ご主人様、申し訳ございません。荷馬車に積むはずが忘れてしまいました」

「恋人の懐妊の贈り物だと伯爵様から念を押されたろう!まったく!」

「お待たせしました。この五つからお選びください。

失礼ですが話が聞こえてしまって。ご懐妊の祝いの品ですか?おめでとうございます」

「聞こえてしまいましたか。内緒にしてください。依頼主は大喜びなのですが正妻に内緒のようですので」

そう言いながらガブリエルが金貨の入った袋をテーブルに乗せ、代金の他に1枚余分に取り出した。

「お釣りは結構ですので聞かなかったことにしてください」

「勿論でございます」

「この町に行くには森を抜けないと駄目ですか」

地図を広げながら、デティアン伯爵の屋敷がある町を指差す。

「はい。迂回するとかなり時間がかかります」

「どうしても今日中に他の贈り物と一緒に届けなくてはならないので仕方ないですね。
少し心配ですが森を抜けることにします。
妊婦を乗せているので迂回は避けないと」

「依頼主の恋人が馬車におられるのですか」

「そうなんです。懐妊したので屋敷のある町に住まわせたいらしく連れてくるように依頼を受けたのです」

店主が窓から馬車に乗ったノアを見た。

「美しい方のようですね」

「はい。しかも16歳で瑞々しくて。羨ましいですよ。私でも古くなった妻を捨てて乗り換えたいと思いますからね」

「捨てる?」

「失言でした。聞かなかったことにしてください」

そう言うと金貨1枚を追加した。


店を後にして斜め向かいの飲食店に入った。
窓際に座り宝石店を見ていると、馬が伯爵邸の方角へ走って行った」













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...