【完結】生まれ変わった男装美少女は命を奪った者達に復讐をする

ユユ

文字の大きさ
47 / 72
エストフラムへの復讐

嫌がらせ

しおりを挟む
マクセルが帰国し、試験が終わり、劇も見に行って楽しく過ごしていた。
そして今朝、中間試験の結果がでた。

食堂で話しているメンバーはセヴランを含めたいつものメンバーと、仔犬ちゃんだ。
一年生の子爵令息でファロン・カーリーくんだ。

「ノエリア様、1位でしたね!すごい」

「ファロンくんも1位じゃない。すごいわ」

「ねえ、親戚の方がわかりやすくて教えてくださる方なんでしょう」

「うん」

「本職ってなに?まさか学校の教師とか」

「王族の教師とか」

「違うかな」

「教えてよ~」

「王宮にお勤めの人ね」

「でも教師ではないのよね。文官?」

「まあ、そんなところかな」

「期末もいらしたら呼んで!」

「セシール、ダメよ。ノエリアの為にいらっしゃるんだから」

「いいなぁ」

バシャッ

「冷たい!」

「あら!ごめんなさい。これでお拭きになって」

「わざとだろう!」

「まあ、酷いわ」

「人に冷たい飲み物を後ろから浴びせといて“あら!ごめんなさい”なんて謝罪にもならないことを口にして、わざとじゃないなんて主張を信じる奴なんかいるわけがない!」

「いいのよファロンくん。

見たことある人だけど誰だろう……ハンカチ返すから床を拭いて」

「は?」

「自分の不注意の後始末をしなさいと言ったのよ。汚した床を拭きなさい」

「そんなことするわけないじゃない!」

「まだ子供なのね。謝り方も知らないし、後始末もできないだなんて」

「ちょっと!私を誰だと思ってるのよ!」

「失態をして迷惑をかけたはずの人が、名前さえ名乗らないのだから知るわけないでしょ」

「私の方が身分が上なのよ!」

「ここは学校なの。そんなの関係ない。

っていうか、侯爵令嬢か公爵令嬢なのに礼儀を教えてもらえなかったのね」

「無礼だわ!」

「ミラベル!!」

「エアリス様!
酷いのです!態とじゃないのに責め立てて無礼なことを言うのです」

「セヴラン」

「ノエリアは私達と食事をしておりました。

急にノエリアの後ろからご令嬢が飲み物をかけたのです。彼女はニヤついた顔で“あら!ごめんなさい”と言ってハンカチを渡しました。

我々はわざとかけたと思っています。
だからノエリアはそのハンカチを返すから自分で汚した床の後始末をしなさいと言ったのです。

名前も名乗らず、まともな謝罪もせず、挙句は身分が上だと言い出しました」

「ミラベル……」

「わ、わざとじゃないのに酷いですわ!」

「あ、殿下の婚約者だ。下から数えた方が早い成績の人だ!掲示板見て勇気あるなって感心していたんですよ!周囲のプレッシャーにも負けず己を貫く姿勢は流石です!
鋼の心を持っておられるなんて凄いですね」

「っ!!」

「ロネさん、着替えはありますか」

「無いですし、首元から中に入っていますから、全部着替えないとダメなのです。
ジュースだったからベタつくので帰ります」

「送ります」

「結構です。それより、床の始末をさせてください。未来の王妃様なのですね……王子妃教育の最中かしら。まだ習っていないのか、忘れてしまうのか分かりませんが最初からやり直した方が良さそうですよ」

「すまなかった」

「お察ししますわ。では失礼。
皆、ごめんね。帰るわ」

「鞄届けるから、そのまま帰りなよ」

「ありがとうカイン。お願いしようかな」

「任せてくれ」

「ではごきげんよう」




ノエリアの去った食堂ではエリアスが自身のハンカチで床を拭き始めた。

「エリアス様っ、他の者に、」

「拭く気が無ければ消えてくれ」

「っ!! 消えろだなんて」

「君は私に恥をかかせたんだ。それが分からないのか?」

「エリアス様、私は、」

「さっさと消えろ!」

「っ!!」

ロレーヌが濡れた雑巾を借りてきて拭くのを手伝い、ベアトリスはイスを拭いた。

「ありがとう。すまないな。ロレーヌさん、ベアトリスさん」

「パルテオさんのせいじゃありませんわ」

「拭いてるだけですから」

「ロネさんが友達でいたがるわけだな。
羨ましいよ」

「よろしければ、気が向いた時にご一緒しませんか」

「迷惑じゃないか?」

「大丈夫ですよ。セヴランといらしてください」

「ありがとう。もしかしたらもう一人ついてくると思うが」

「あの方はノエリアと席を離しますよ」

「そうしてくれ」



それからエリアスとビクトルも加わり昼食を食べるようになった。

ミラベルはよくノエリアにぶつかりにきた。
足をかけようとしたり。机が荒らされていることもあった。

カイン達が防ごうとするが全てを防ぎきれるものではない。

エリアスも注意するが、彼の前ではやらないのだ。







そして月日が経ち、期末試験の3日前にマクセルがやってきた。

「今回もお忍び?」

「いや、先に挨拶をしてきた。
ホテルに泊まるけどね。
さあ、今日明日は休日だから沢山勉強しようね」

ノエリアはマクセルの左腕に絡み付き、頬を擦り寄せた。

「マクセルとお出かけしたい」

「どこで覚えたのかな?」

「今」

「ならいい」



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】王妃はもうここにいられません

なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」  長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。  だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。  私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。  だからずっと、支えてきたのだ。  貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……  もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。 「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。  胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。  周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。  自らの前世と、感覚を。 「うそでしょ…………」  取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。  ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。 「むしろ、廃妃にしてください!」  長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………    ◇◇◇  強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。  ぜひ読んでくださると嬉しいです!

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...