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白百合の証明
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早速、王都で医師の女性聖職者のいる教会を訪れた。
お祖父様とニコラまでついてきた。
ちょっと恥ずかしい。
「エリス・ローランド様」
「はい」
「奥へどうぞ」
呼びに来たシスターについていくと奥の部屋に通された。
「あなたの名前はエリス・ローランド、婚家はサヴォワで間違いありませんね?」
「はい」
「婚家に赤い離縁届を出されたと」
「はい。到着しているかは分かりませんが署名しろと言われて私も夫も署名しました。
次のお嫁さんが決まっているようですので間違いなく提出されるはずです」
「分かりました。
下着を脱いで診察台に仰向けになってください」
ワンピースの裾を捲り、下着を脱ぎ、診察台に仰向けになった。
「では膝を曲げて開いてください。少し痛いかも知れませんが覗かないと確認できませんので入り口を広げる器具を使います。少し冷たいですよ」
「はい……いっ」
「力を抜いてください」
「はい」
女医がランプを秘部に近づけて覗き込んだ。
「はい。終わりです。身支度をお願いします」
サッと身支度をして椅子に座った。
書類三枚に日時と女医の署名と、教会の名と百合の絵が彫ってある判子を捺してくれた。
「こちらは貴女の控えです。
もう一枚は教会の控え。もう一枚は国王陛下へお渡しいたします」
「ありがとうございました。
ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
「婚家の義母が私に赤い離縁届に署名するよう命じ、私は署名して婚家を出ました。
義母は届を提出すると思います。
どうなりますか」
「白百合が有効で、赤い離縁届を出した家門に調査が入ります。虚偽の届であり、夫人であった貴族女性に大きな不利益を生じさせる行為です。
しかも世間からどんな目で見られるか、再婚も難しくなります。
慰謝料の支払命令を出すこととなります」
「夫は私を抱かないのに、その事実を証言せず、義母からは石女だと罵られる三年間でした」
「まあ!とんでもないことですわ!」
「私は子爵家の娘ですから、伯爵家の義母には逆らえませんでした。夫も言いなりです」
「悪質ですね。
その辺りも調査するように進言しましょう。
持参金も返してもらい、慰謝料も増額させましょう」
「一番大事なのは解放されたことなのです。
義母からの 閨の体位の指定は恥ずかしく、翌日の朝食中に義母から、子が授かるよう奥に注いだのか訊ねられるのです。
ナイトドレスも義母のお古を着なくてはなりません。ドレスも義母のお古をお直しに出して着ておりました。
慰謝料で拗れるのならば要りません。もう自由になりたいのです」
「体位の指定!?何ですか それは!詳しく話してちょうだい!」
ああ、素がでていらっしゃいますわ。
では お言葉に甘えて暴露させていただきます。
話し終えると静寂に包まれた。が、
「今日の付き添いの方はフィルドナ侯爵ですね?」
「実母の実家で、祖父です。
実家には、この婚姻を断らなかった父がおります。
そこへ戻ってはどんなことになるのか怖くて祖父を頼ってしまいました」
「そうでしたのね。匿って貰えそうですか?」
「はい。一生侯爵家にいていいと優しい言葉をくださいました」
「そう。安心してお祖父様と暮らすのですよ」
「ありがとうございます。今度はお祈りに来てもよろしいでしょうか」
「大歓迎しますわ。気軽にいらしてください」
「はい」
礼拝堂で待っていたお祖父様とニコラと馬車に乗った。
と思ったら、直ぐに停車した。
「お爺ちゃま?」
「さあ、エリス。気晴らしに買い物だ!」
「あんなに揃えてもらってこれ以上は、」
「エリス、遠慮するな。お祖父様の楽しみを奪うのは孫のすることじゃないぞ」
「う……行きます」
二十歳過ぎたのにお祖父様とニコラに手を引かれて店に入ると店長がものすごい速さで歩いてきた。
「侯爵様、いらっしゃいませ。特別室へご案内します」
「いや、今日は隅々まで見て回りたい。孫娘のエリスと一緒にな」
「エリスお嬢様!いつもお世話になっております」
満面の笑みで手を取り挨拶をしてくれた。
「エリスの部屋の物はほとんどがこの店で調達したものだ。
一階は貴金属、二階は服、三階は靴やら鞄、隣の建物は家具が置いてある」
あれ以上は必要?
でも、もう要らないなんて言える雰囲気ではないわね。
「まあ、素敵!是非拝見させてください!」
「ご案内いたします」
お祖父様が店長ではないかと思うくらい勧めてくるので困ったが、ニコラまで選び出すので5回に一回はイエスと言った。
家具は統一感を出すためにお祖父様に一任した。
屋敷に着くとどっと疲れが出て、夕食を食べて部屋に下がった。
お祖父様とニコラまでついてきた。
ちょっと恥ずかしい。
「エリス・ローランド様」
「はい」
「奥へどうぞ」
呼びに来たシスターについていくと奥の部屋に通された。
「あなたの名前はエリス・ローランド、婚家はサヴォワで間違いありませんね?」
「はい」
「婚家に赤い離縁届を出されたと」
「はい。到着しているかは分かりませんが署名しろと言われて私も夫も署名しました。
次のお嫁さんが決まっているようですので間違いなく提出されるはずです」
「分かりました。
下着を脱いで診察台に仰向けになってください」
ワンピースの裾を捲り、下着を脱ぎ、診察台に仰向けになった。
「では膝を曲げて開いてください。少し痛いかも知れませんが覗かないと確認できませんので入り口を広げる器具を使います。少し冷たいですよ」
「はい……いっ」
「力を抜いてください」
「はい」
女医がランプを秘部に近づけて覗き込んだ。
「はい。終わりです。身支度をお願いします」
サッと身支度をして椅子に座った。
書類三枚に日時と女医の署名と、教会の名と百合の絵が彫ってある判子を捺してくれた。
「こちらは貴女の控えです。
もう一枚は教会の控え。もう一枚は国王陛下へお渡しいたします」
「ありがとうございました。
ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
「婚家の義母が私に赤い離縁届に署名するよう命じ、私は署名して婚家を出ました。
義母は届を提出すると思います。
どうなりますか」
「白百合が有効で、赤い離縁届を出した家門に調査が入ります。虚偽の届であり、夫人であった貴族女性に大きな不利益を生じさせる行為です。
しかも世間からどんな目で見られるか、再婚も難しくなります。
慰謝料の支払命令を出すこととなります」
「夫は私を抱かないのに、その事実を証言せず、義母からは石女だと罵られる三年間でした」
「まあ!とんでもないことですわ!」
「私は子爵家の娘ですから、伯爵家の義母には逆らえませんでした。夫も言いなりです」
「悪質ですね。
その辺りも調査するように進言しましょう。
持参金も返してもらい、慰謝料も増額させましょう」
「一番大事なのは解放されたことなのです。
義母からの 閨の体位の指定は恥ずかしく、翌日の朝食中に義母から、子が授かるよう奥に注いだのか訊ねられるのです。
ナイトドレスも義母のお古を着なくてはなりません。ドレスも義母のお古をお直しに出して着ておりました。
慰謝料で拗れるのならば要りません。もう自由になりたいのです」
「体位の指定!?何ですか それは!詳しく話してちょうだい!」
ああ、素がでていらっしゃいますわ。
では お言葉に甘えて暴露させていただきます。
話し終えると静寂に包まれた。が、
「今日の付き添いの方はフィルドナ侯爵ですね?」
「実母の実家で、祖父です。
実家には、この婚姻を断らなかった父がおります。
そこへ戻ってはどんなことになるのか怖くて祖父を頼ってしまいました」
「そうでしたのね。匿って貰えそうですか?」
「はい。一生侯爵家にいていいと優しい言葉をくださいました」
「そう。安心してお祖父様と暮らすのですよ」
「ありがとうございます。今度はお祈りに来てもよろしいでしょうか」
「大歓迎しますわ。気軽にいらしてください」
「はい」
礼拝堂で待っていたお祖父様とニコラと馬車に乗った。
と思ったら、直ぐに停車した。
「お爺ちゃま?」
「さあ、エリス。気晴らしに買い物だ!」
「あんなに揃えてもらってこれ以上は、」
「エリス、遠慮するな。お祖父様の楽しみを奪うのは孫のすることじゃないぞ」
「う……行きます」
二十歳過ぎたのにお祖父様とニコラに手を引かれて店に入ると店長がものすごい速さで歩いてきた。
「侯爵様、いらっしゃいませ。特別室へご案内します」
「いや、今日は隅々まで見て回りたい。孫娘のエリスと一緒にな」
「エリスお嬢様!いつもお世話になっております」
満面の笑みで手を取り挨拶をしてくれた。
「エリスの部屋の物はほとんどがこの店で調達したものだ。
一階は貴金属、二階は服、三階は靴やら鞄、隣の建物は家具が置いてある」
あれ以上は必要?
でも、もう要らないなんて言える雰囲気ではないわね。
「まあ、素敵!是非拝見させてください!」
「ご案内いたします」
お祖父様が店長ではないかと思うくらい勧めてくるので困ったが、ニコラまで選び出すので5回に一回はイエスと言った。
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屋敷に着くとどっと疲れが出て、夕食を食べて部屋に下がった。
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