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ニーナの現状をバラす
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入学する前は婚約者として扱われていたが、入学後態度が一変した。
その理由はひとつ。ロバートの浮気だ。
相手の名前はパトリシア・ミルズ。子爵家の令嬢だった。
美しいブロンドに青い瞳の可愛らしい方だが、学園内では婚約者のいる令息達にも媚びを売る令嬢で入学して以来度々騒動の渦中にいた。
何がきっかけかはわからないがロバートとパトリシアは急接近した。(新奈は知っている)
ニーナはロバートとパトリシアにそれぞれ“婚約者のいる立場”というものを考えて改めて欲しいとお願いしていた。
レイノルズ家の馬車で送り迎えしたり、図書室や裏庭で2人でいたり、一緒に昼食をとっていたり。
ロバートは自身の瞳の色のネックレスをパトリシアに送り、ベンチで肩や腰を抱き、先日は口付けをしていた。
流石に耐えきれなくなったニーナはパトリシアに抗議した。
パトリシアはそれを虐めと捉えロバートに泣きついた。
ロバートはニーナを裏階段に連れてきてこう言った。
『お前など金持ちじゃなければ婚約などしなかった!その瞳と髪の色が気持ち悪くて仕方がない!結婚はしてやるが白い結婚だ!
女は別に用意する!
いいか、金の支援が無くなればお前とは即離縁だ!わかったか!!』
そう言って私を押し退けて去ろうとした時、彼の力が思いの外強く、ニーナは二階から転落したのだ。
「何故今まで黙っていた」
「私の我儘をお父様とお母様が叶えてくださいました。私はロバート様が好きでしたから何とか修復しようとしたのです」
「ニーナ。泣いてもいいの。嫌と言っていいのよ!」
あれ…涙が。
この涙はニーナの涙で新奈のものじゃない。
だって私はロバートが嫌いだからだ。
「ですが、お兄様とクロエ様の婚姻を控えていますからこのままでいいのです」
そう。6つ上の兄ケインは第二王女殿下のクロエ様と婚約していて、あと一年半程で婚姻する予定だ。
2人は茶会で出会った。その時、クロエ様の一目惚れで婚約となったことになっているが、私は知っている。
7歳だったケイン兄様は2つ下のクロエ王女殿下に初めて会った茶会で騒動を起こしたことになっている。
庭園で元気に走り回っていたクロエ様のドレスに大きめの蜘蛛が付いていたのだ。クロエ様は叫んで失禁してしまった。
叫び声を聞いたメイドや騎士や参加者の声が近付いてくる。
噴水で暇潰しをしていた兄がクロエ様の一部始終を目撃。彼女を抱えると噴水の中に入ったのだ。
遠目に見ていた人達の証言で、ケイン兄様が王女殿下を噴水に引き込んだと大騒ぎになったが、クロエ様が『止めて!私はこの子のお嫁さんになるの!絶対なるの!!』と猛抗議した。
それ以来、クロエ様は兄様にべったりだ。
ケイン兄様は断れずに婚約者になったと思われているが実は違う。
顔には出ないがクロエ様にデレデレなのだ。
「ケインの事は気にするな。妹に辛い想いを我慢させて自分だけ幸せになるような男ではない」
「はい。ですが、完全な先方の瑕疵で破断にもっていきたいのです」
「そういうことか」
「流石に私も冷めましたわ。次は本当にイリス家の為になる相手をお父様に選んでもらおうと思います」
「いつまでだ?」
「ちょっと長いですが、卒業パーティで決着が着くと思います。それまでどんな扱いも受け入れようと思います」
「限度はあるわよ」
「はい」
私は知っている。可愛い娘のために婚約に纏わる契約書がレイノルズ家にとって相当厳しいものだということも。
既に破棄案件だが、再起不能にしたいのでエンドまで待とうと思う。
だからロバートとパトリシアの恋路を邪魔しないようにしたい。
だけど言いなりにはなりたくないな。
その理由はひとつ。ロバートの浮気だ。
相手の名前はパトリシア・ミルズ。子爵家の令嬢だった。
美しいブロンドに青い瞳の可愛らしい方だが、学園内では婚約者のいる令息達にも媚びを売る令嬢で入学して以来度々騒動の渦中にいた。
何がきっかけかはわからないがロバートとパトリシアは急接近した。(新奈は知っている)
ニーナはロバートとパトリシアにそれぞれ“婚約者のいる立場”というものを考えて改めて欲しいとお願いしていた。
レイノルズ家の馬車で送り迎えしたり、図書室や裏庭で2人でいたり、一緒に昼食をとっていたり。
ロバートは自身の瞳の色のネックレスをパトリシアに送り、ベンチで肩や腰を抱き、先日は口付けをしていた。
流石に耐えきれなくなったニーナはパトリシアに抗議した。
パトリシアはそれを虐めと捉えロバートに泣きついた。
ロバートはニーナを裏階段に連れてきてこう言った。
『お前など金持ちじゃなければ婚約などしなかった!その瞳と髪の色が気持ち悪くて仕方がない!結婚はしてやるが白い結婚だ!
女は別に用意する!
いいか、金の支援が無くなればお前とは即離縁だ!わかったか!!』
そう言って私を押し退けて去ろうとした時、彼の力が思いの外強く、ニーナは二階から転落したのだ。
「何故今まで黙っていた」
「私の我儘をお父様とお母様が叶えてくださいました。私はロバート様が好きでしたから何とか修復しようとしたのです」
「ニーナ。泣いてもいいの。嫌と言っていいのよ!」
あれ…涙が。
この涙はニーナの涙で新奈のものじゃない。
だって私はロバートが嫌いだからだ。
「ですが、お兄様とクロエ様の婚姻を控えていますからこのままでいいのです」
そう。6つ上の兄ケインは第二王女殿下のクロエ様と婚約していて、あと一年半程で婚姻する予定だ。
2人は茶会で出会った。その時、クロエ様の一目惚れで婚約となったことになっているが、私は知っている。
7歳だったケイン兄様は2つ下のクロエ王女殿下に初めて会った茶会で騒動を起こしたことになっている。
庭園で元気に走り回っていたクロエ様のドレスに大きめの蜘蛛が付いていたのだ。クロエ様は叫んで失禁してしまった。
叫び声を聞いたメイドや騎士や参加者の声が近付いてくる。
噴水で暇潰しをしていた兄がクロエ様の一部始終を目撃。彼女を抱えると噴水の中に入ったのだ。
遠目に見ていた人達の証言で、ケイン兄様が王女殿下を噴水に引き込んだと大騒ぎになったが、クロエ様が『止めて!私はこの子のお嫁さんになるの!絶対なるの!!』と猛抗議した。
それ以来、クロエ様は兄様にべったりだ。
ケイン兄様は断れずに婚約者になったと思われているが実は違う。
顔には出ないがクロエ様にデレデレなのだ。
「ケインの事は気にするな。妹に辛い想いを我慢させて自分だけ幸せになるような男ではない」
「はい。ですが、完全な先方の瑕疵で破断にもっていきたいのです」
「そういうことか」
「流石に私も冷めましたわ。次は本当にイリス家の為になる相手をお父様に選んでもらおうと思います」
「いつまでだ?」
「ちょっと長いですが、卒業パーティで決着が着くと思います。それまでどんな扱いも受け入れようと思います」
「限度はあるわよ」
「はい」
私は知っている。可愛い娘のために婚約に纏わる契約書がレイノルズ家にとって相当厳しいものだということも。
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