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礼桜兄!?
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「新奈だろう?」
「え?」
「礼桜だ」
「……」
王太子殿下は立ち上がり、私の所までくると手を引いて立たせて抱きしめた。
「ごめん!新奈!お前を殺したのは俺だ!」
「お兄ちゃん!?」
「居眠りをして単独事故を起こした。新奈は即死だった。謝って済む事じゃないけど……ごめん……」
「スマホいじっていて死んだ記憶がないの。恐怖も痛みも分からない。だから大丈夫。
お兄ちゃん、大丈夫だから」
泣く礼桜兄が落ち着くのを待った。
クロエ様、ごめんなさい。レオナルド王太子殿下を救えなかった。薬が間に合わなかったのね。しかもギリギリで。だから礼桜兄が入れたんだわ。
「これ、茉由奈の乙ゲーだよな。お前が寝た後、何度か茉由奈に付き合わされたんだよ」
「そうなんだ」
「大丈夫か?大変なキャラだろう」
「まぁ、大丈夫よ。お兄ちゃんこそ大丈夫?いきなり既婚者だけど。しかも将来国王とか」
「それな。そろそろ覚悟を決めなくてはならなそうだ」
「?」
「新奈、これから第二王子を呼ぶ」
「何で?」
「お前を守るためだ」
「え!?いいよ!王族は緊張するから」
「もう遅い」
ノックと共に現れたのは王様にも王太子にも似ていない男の子だった。
「エリオット、こちらは私の命の恩人で、今、妹になったニーナ・イリスだ」
「お初にお目にかかります。王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「君が…」
「エリオットは2年生だな。ニーナは1年生だ。レイノルズの息子がニーナを苦しめている。ニーナが困っていそうなら助けてやってくれ」
「お兄ちゃん!」
「……」
「ニーナには“お兄ちゃん”と呼べと命じた。私の命より大事な子だ。よろしく頼む」
「…かしこまりました」
「エリオット、わざわざすまないな。ありがとう。もういいぞ。
ニーナ、ケーキ食べるか?」
「……失礼します」
複雑な表情を浮かべて去っていったけど大丈夫かなぁ。
ケーキを食べ陛下と伯爵の元へ戻り、挨拶をした。
「ニーナ嬢、其方の案を頂こう。ミュゲールに恩を売ることにした。平伏させる方法は戦争だけではないということを教わった」
ええ!!戦争するつもりだったの!?
「ニーナ、週に1度は遊びにおいで。欲しい物ができたら私が買うからすぐ言うんだよ」
「レオナルド王太子殿下、畏れ多いことでございます」
「ニーナを妹の如く可愛がることに決めたんだ。だから“お兄ちゃん”とか“お兄様”と呼びなさい。可愛い妹を甘やかすのは私の役目だからな」
嬉しそうに抱きしめながら頭を撫でるけど両父が絶句してる気がする。見えないけど。
「「……」」
「お兄ちゃん」
「なんだニナ」
「帰る」
「次は泊まって行け」
「ええ~」
「お兄ちゃんは悲しいぞ。可愛い妹に避けられたら」
「じゃあ、アレで決めますか」
「いいぞ」
「「ジャンケン……」」
負けた私は週末泊まりに来る約束をさせられた。
帰りの馬車で。
「ニーナ…その、王太子とは…」
「 ? 」
「ニーナは王太子殿下が好きか」
まぁ、お兄ちゃんだからね
「 はい 」
「王太子殿下には正妃がいらっしゃる。
お前はそれでもいいのか?」
仕方ないも何も既婚者に転生したのだから仕方ないよね。
「仕方がないことです」
「場合によっては側妃も娶るかもしれないぞ」
あぁ、正妃はお兄ちゃんが選んだわけじゃないもんね。つまりお兄ちゃんに好きな人ができたら側妃にするってこと?
「本人達が良ければいいのでは?」
「お前は?」
「別に…」
「そうか」
私は知らない。
父が大きな勘違いをしていたことに。
「え?」
「礼桜だ」
「……」
王太子殿下は立ち上がり、私の所までくると手を引いて立たせて抱きしめた。
「ごめん!新奈!お前を殺したのは俺だ!」
「お兄ちゃん!?」
「居眠りをして単独事故を起こした。新奈は即死だった。謝って済む事じゃないけど……ごめん……」
「スマホいじっていて死んだ記憶がないの。恐怖も痛みも分からない。だから大丈夫。
お兄ちゃん、大丈夫だから」
泣く礼桜兄が落ち着くのを待った。
クロエ様、ごめんなさい。レオナルド王太子殿下を救えなかった。薬が間に合わなかったのね。しかもギリギリで。だから礼桜兄が入れたんだわ。
「これ、茉由奈の乙ゲーだよな。お前が寝た後、何度か茉由奈に付き合わされたんだよ」
「そうなんだ」
「大丈夫か?大変なキャラだろう」
「まぁ、大丈夫よ。お兄ちゃんこそ大丈夫?いきなり既婚者だけど。しかも将来国王とか」
「それな。そろそろ覚悟を決めなくてはならなそうだ」
「?」
「新奈、これから第二王子を呼ぶ」
「何で?」
「お前を守るためだ」
「え!?いいよ!王族は緊張するから」
「もう遅い」
ノックと共に現れたのは王様にも王太子にも似ていない男の子だった。
「エリオット、こちらは私の命の恩人で、今、妹になったニーナ・イリスだ」
「お初にお目にかかります。王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「君が…」
「エリオットは2年生だな。ニーナは1年生だ。レイノルズの息子がニーナを苦しめている。ニーナが困っていそうなら助けてやってくれ」
「お兄ちゃん!」
「……」
「ニーナには“お兄ちゃん”と呼べと命じた。私の命より大事な子だ。よろしく頼む」
「…かしこまりました」
「エリオット、わざわざすまないな。ありがとう。もういいぞ。
ニーナ、ケーキ食べるか?」
「……失礼します」
複雑な表情を浮かべて去っていったけど大丈夫かなぁ。
ケーキを食べ陛下と伯爵の元へ戻り、挨拶をした。
「ニーナ嬢、其方の案を頂こう。ミュゲールに恩を売ることにした。平伏させる方法は戦争だけではないということを教わった」
ええ!!戦争するつもりだったの!?
「ニーナ、週に1度は遊びにおいで。欲しい物ができたら私が買うからすぐ言うんだよ」
「レオナルド王太子殿下、畏れ多いことでございます」
「ニーナを妹の如く可愛がることに決めたんだ。だから“お兄ちゃん”とか“お兄様”と呼びなさい。可愛い妹を甘やかすのは私の役目だからな」
嬉しそうに抱きしめながら頭を撫でるけど両父が絶句してる気がする。見えないけど。
「「……」」
「お兄ちゃん」
「なんだニナ」
「帰る」
「次は泊まって行け」
「ええ~」
「お兄ちゃんは悲しいぞ。可愛い妹に避けられたら」
「じゃあ、アレで決めますか」
「いいぞ」
「「ジャンケン……」」
負けた私は週末泊まりに来る約束をさせられた。
帰りの馬車で。
「ニーナ…その、王太子とは…」
「 ? 」
「ニーナは王太子殿下が好きか」
まぁ、お兄ちゃんだからね
「 はい 」
「王太子殿下には正妃がいらっしゃる。
お前はそれでもいいのか?」
仕方ないも何も既婚者に転生したのだから仕方ないよね。
「仕方がないことです」
「場合によっては側妃も娶るかもしれないぞ」
あぁ、正妃はお兄ちゃんが選んだわけじゃないもんね。つまりお兄ちゃんに好きな人ができたら側妃にするってこと?
「本人達が良ければいいのでは?」
「お前は?」
「別に…」
「そうか」
私は知らない。
父が大きな勘違いをしていたことに。
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