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匂わせ
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パリス侍従にカチンときてしまった。
適当に腹が痛いから王子の部屋まで行けないとかなんとか言えばいいのにムキになってしまった。
「まず一つ。
“側近候補”は何の縛りもありません。国王陛下の打診を受けて、学園内で世話をしているだけです。私達は1コインも給金を貰っていませんし契約書も交わしていません。今は互いの相性を見ている段階です。務めではありません。
それは国王陛下がよくご存知です。
二つ。
臣下は主君の言いなりになる者ではありません。この時間に部屋に来るよう命じるということは、若き王子殿下はまだ判断に不安がある状態です。
体調不良というのなら医師を呼ぶべきですし、トラブルなら我々ではお力にはなれません。世話役のあなた方で対応するべきことです。
どれでもないのですよね?
意向に従うという言葉は、理由も無しに昼食会を遅らせようとするときに使う言葉ではありませんし、あなたはそれがどんなことになるか忠言しましたか?
三つ。
この昼食会の招待主は国王陛下です。我々側近候補も婚約者候補のご令嬢方も、アルメット王子殿下も国王陛下からの招待を受けた側なのです。
我々に交流させるために招待なさっただけで、陛下が昼食会に参加してくださるわけではないと思いますが、陛下の参加の有無に関わらず、招待主が陛下であればアルメット王子殿下といえども遅れることは許されません。
四つ。
私は跡継ぎ指名をされていない侯爵家の次男。
お待ちいただいているご令嬢は未来の王妃になり得る方々で そのうちの一人はスタンサー侯爵家よりも格上の公爵家のご令嬢です。
それにご令嬢よりも遅れる男なんて紳士ではありません。
五つ。
このまま殿下の部屋へ行って、くだらない命令だと分かったときは問題にさせてもらいます。
パリス殿、ご理解いただけましたか?」
「スタンサー殿は未来の国王となるアルメット王子殿下のお側に仕えることができることに感謝できないのですか!」
「はぁ…パリス殿。がっかりですよ。分かりやすく説明したはずですが理解してもらえないようですね。
そんなに光栄なことならば、パリス殿が侍従ではなく必死に勉強をして側近になればいいではありませんか」
「なっ!」
「的外れなセリフを口にしていないで時間までに殿下をお連れしてください。では、我々は勝手に会場へ向かいます」
会場へ歩き出すとジェイクが尋ねた。
「いいのか?あんなこと言って」
「俺は、婚約者候補達を意地悪で待たせるつもりの殿下に加担したくないだけだ。そんなことをしたらクズの仲間入りだ。彼女達は何も悪くないんだぞ?俺達と一緒で、国王陛下から打診が来て家が受けた。そうだろう?」
「クズって…」
「相応しい言葉が他に無いんだよ」
「吹っ切れたな」
「ジェイクこそ俺に付いてきていいのか」
「公認になったら仕方ないだろう」
「フハッ」
会場に到着すると、やはり婚約者候補の三人は到着していた。
エレノア・シュノー公爵令嬢、ビクトリア・ローズベル侯爵令嬢、デボラ・クイン伯爵令嬢だ。
関係を持って以来 日中にしっかり顔を見るのは初めてだ。
彼女の仕草や体を見ていると、彼女の純潔を散らしたときのことも昨夜乱したことも鮮明に浮かんでくる。
ジェ「ご令嬢方、ごきげんはいかがでしょうか」
エ「ボルスト公爵令息、スタンサー侯爵令息、ごきげんよう。お二人も昼食会に?」
ジェ「陛下から招待状をいただきましたが、私達はみなさんと食事をするのか側近候補として見届けるだけなのかよくわかりません」
ビ「7人分の用意がありますから」
7人?
デ「何だかこういうのいいですわね。このメンバーなら楽しく話せる気がします」
俺「正直ですね」
デ「よく言われますわ」
俺「一度聞いてみたかったのですが、もし答えたくなければ構いません。この中で立候補なさった方はいらっしゃいますか。
ちなみに俺は話が来て、父が受けました」
ジェ「やりたくなかったら断ってもいいと言われましたが、父の勧めで受けました」
エ「私も両親が決めましたわ」
エ「私もです」
デ「私も」
ビ「あっ みんな立って」
ローズベル侯爵令嬢が立ち上がりながら小声で言うと座っていた残りの2人が立ち上がった。
すると国王陛下がサロンに入室した。ガラス張りのサロンのいいところの一つは近寄って来る者がすぐわかるという点だ。
挨拶を済ませると全員座ってくれと言われたので座ったが、一人だけいない。
「数分前だな。飲み物を飲んで待とう」
…だが
数分過ぎてもアルメット王子は現れない。
「では食事を始めよう。
今日は君達のことを聞きたくて呼んだのだ。最近のことや過ごし方、趣味や悩みなど何でもいいから聞かせてくれ」
こういう時は誰かが先に話すと後はスムーズだからな。そう思い挙手をした。
「おっ、スタンサー君、ありがとう。お願いするよ」
「スタンサー家のタウンハウスは私だけで、両親は兄と跡継ぎ教育のために領地におります。
寂しくなるかと思いましたが、使用人達が良くしてくれるので寂しくなることはありません。
学業では不思議なことに好きだと思っていた政治論の授業の成績は伸び悩んでいて、苦手意識のある選択科目の剣術の方が成績はいいです。
卒業試験では まだ勝ったことのないボルスト公子に勝ってみたいです」
「ボルスト君はいつも首位だからな。勝ちたいのか」
「はい 思い出に。
いつも負けていたという昔話より、一度だけ勝ったことがあると言えた方が話が弾みそうですから」
「ボルスト君はどう思う?」
「残念ながら最後の卒業試験も私が一位です」
「違う話題を用意しなくてはならないな。
成績の良い剣術が実は苦手だったのか。理由を聞いても?」
「剣は危ない物ですから。稽古の相手は先生達や生徒です。怪我をさせないことに意識を集中していますのですごく疲れます。いっそのこと憎たらしい相手なら遠慮しなくていいのですが。まあ遠慮しないとかなり叱られそうです」
ジェイクは俺が王子のことを言っていると分かったのだろう。止めておけと目で言っている。
「具体的だな。憎たらしい相手がいるのだな?」
「はい」
「誰か聞いてもいいか?」
「それは秘密です」
「そうか」
次はジェイクが手を挙げた。
適当に腹が痛いから王子の部屋まで行けないとかなんとか言えばいいのにムキになってしまった。
「まず一つ。
“側近候補”は何の縛りもありません。国王陛下の打診を受けて、学園内で世話をしているだけです。私達は1コインも給金を貰っていませんし契約書も交わしていません。今は互いの相性を見ている段階です。務めではありません。
それは国王陛下がよくご存知です。
二つ。
臣下は主君の言いなりになる者ではありません。この時間に部屋に来るよう命じるということは、若き王子殿下はまだ判断に不安がある状態です。
体調不良というのなら医師を呼ぶべきですし、トラブルなら我々ではお力にはなれません。世話役のあなた方で対応するべきことです。
どれでもないのですよね?
意向に従うという言葉は、理由も無しに昼食会を遅らせようとするときに使う言葉ではありませんし、あなたはそれがどんなことになるか忠言しましたか?
三つ。
この昼食会の招待主は国王陛下です。我々側近候補も婚約者候補のご令嬢方も、アルメット王子殿下も国王陛下からの招待を受けた側なのです。
我々に交流させるために招待なさっただけで、陛下が昼食会に参加してくださるわけではないと思いますが、陛下の参加の有無に関わらず、招待主が陛下であればアルメット王子殿下といえども遅れることは許されません。
四つ。
私は跡継ぎ指名をされていない侯爵家の次男。
お待ちいただいているご令嬢は未来の王妃になり得る方々で そのうちの一人はスタンサー侯爵家よりも格上の公爵家のご令嬢です。
それにご令嬢よりも遅れる男なんて紳士ではありません。
五つ。
このまま殿下の部屋へ行って、くだらない命令だと分かったときは問題にさせてもらいます。
パリス殿、ご理解いただけましたか?」
「スタンサー殿は未来の国王となるアルメット王子殿下のお側に仕えることができることに感謝できないのですか!」
「はぁ…パリス殿。がっかりですよ。分かりやすく説明したはずですが理解してもらえないようですね。
そんなに光栄なことならば、パリス殿が侍従ではなく必死に勉強をして側近になればいいではありませんか」
「なっ!」
「的外れなセリフを口にしていないで時間までに殿下をお連れしてください。では、我々は勝手に会場へ向かいます」
会場へ歩き出すとジェイクが尋ねた。
「いいのか?あんなこと言って」
「俺は、婚約者候補達を意地悪で待たせるつもりの殿下に加担したくないだけだ。そんなことをしたらクズの仲間入りだ。彼女達は何も悪くないんだぞ?俺達と一緒で、国王陛下から打診が来て家が受けた。そうだろう?」
「クズって…」
「相応しい言葉が他に無いんだよ」
「吹っ切れたな」
「ジェイクこそ俺に付いてきていいのか」
「公認になったら仕方ないだろう」
「フハッ」
会場に到着すると、やはり婚約者候補の三人は到着していた。
エレノア・シュノー公爵令嬢、ビクトリア・ローズベル侯爵令嬢、デボラ・クイン伯爵令嬢だ。
関係を持って以来 日中にしっかり顔を見るのは初めてだ。
彼女の仕草や体を見ていると、彼女の純潔を散らしたときのことも昨夜乱したことも鮮明に浮かんでくる。
ジェ「ご令嬢方、ごきげんはいかがでしょうか」
エ「ボルスト公爵令息、スタンサー侯爵令息、ごきげんよう。お二人も昼食会に?」
ジェ「陛下から招待状をいただきましたが、私達はみなさんと食事をするのか側近候補として見届けるだけなのかよくわかりません」
ビ「7人分の用意がありますから」
7人?
デ「何だかこういうのいいですわね。このメンバーなら楽しく話せる気がします」
俺「正直ですね」
デ「よく言われますわ」
俺「一度聞いてみたかったのですが、もし答えたくなければ構いません。この中で立候補なさった方はいらっしゃいますか。
ちなみに俺は話が来て、父が受けました」
ジェ「やりたくなかったら断ってもいいと言われましたが、父の勧めで受けました」
エ「私も両親が決めましたわ」
エ「私もです」
デ「私も」
ビ「あっ みんな立って」
ローズベル侯爵令嬢が立ち上がりながら小声で言うと座っていた残りの2人が立ち上がった。
すると国王陛下がサロンに入室した。ガラス張りのサロンのいいところの一つは近寄って来る者がすぐわかるという点だ。
挨拶を済ませると全員座ってくれと言われたので座ったが、一人だけいない。
「数分前だな。飲み物を飲んで待とう」
…だが
数分過ぎてもアルメット王子は現れない。
「では食事を始めよう。
今日は君達のことを聞きたくて呼んだのだ。最近のことや過ごし方、趣味や悩みなど何でもいいから聞かせてくれ」
こういう時は誰かが先に話すと後はスムーズだからな。そう思い挙手をした。
「おっ、スタンサー君、ありがとう。お願いするよ」
「スタンサー家のタウンハウスは私だけで、両親は兄と跡継ぎ教育のために領地におります。
寂しくなるかと思いましたが、使用人達が良くしてくれるので寂しくなることはありません。
学業では不思議なことに好きだと思っていた政治論の授業の成績は伸び悩んでいて、苦手意識のある選択科目の剣術の方が成績はいいです。
卒業試験では まだ勝ったことのないボルスト公子に勝ってみたいです」
「ボルスト君はいつも首位だからな。勝ちたいのか」
「はい 思い出に。
いつも負けていたという昔話より、一度だけ勝ったことがあると言えた方が話が弾みそうですから」
「ボルスト君はどう思う?」
「残念ながら最後の卒業試験も私が一位です」
「違う話題を用意しなくてはならないな。
成績の良い剣術が実は苦手だったのか。理由を聞いても?」
「剣は危ない物ですから。稽古の相手は先生達や生徒です。怪我をさせないことに意識を集中していますのですごく疲れます。いっそのこと憎たらしい相手なら遠慮しなくていいのですが。まあ遠慮しないとかなり叱られそうです」
ジェイクは俺が王子のことを言っていると分かったのだろう。止めておけと目で言っている。
「具体的だな。憎たらしい相手がいるのだな?」
「はい」
「誰か聞いてもいいか?」
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「そうか」
次はジェイクが手を挙げた。
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