【完結】仮面の令嬢と秘密の逢瀬

ユユ

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クズの助走

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翌日の土曜日、早めにジェイクの屋敷へ行った。約束はしていなかったが同じ側近候補なので通してもらえた。

「フレデリック? どうした」

「今日の茶会が不安で…一緒に行こうかと」

「ハハッ、珍しいな。中に入ってくれ」

「いや、迷惑なはずだ。外で待ってるよ」

「だが…寒いだろう」

うちの馬車は帰してしまった。

「服は着ているから大丈夫だよ」

だけど結局、

「まあ、フレデリック様。どうして中にお入りにならないの?」

「ボルスト公爵夫人、ご無沙汰しております。先触れも無しに訪ねるだなんて申し訳ございません」

「何を言っているの。あなたとジェイクは幼馴染じゃないの。ちょうど夫があなたに会いたいと言っているから入ってちょうだい」

断れないな。

「それではお言葉に甘えて」

中に通されて、公爵の書斎に案内された。

「おお、すまないね。応接間に行くかい?」

「ボルスト公爵様、ご無沙汰しております。
私はどちらでも構いません。公爵様がご都合のいい場所でお願いします」

「そうか、座ってくれ」

「失礼します」

「もうすぐ君たちは出発の時間だから率直に聞くが、アルメット王子殿下の側近候補を務めてどうかな?」

「結論から申しますと、王命なくして正規採用されることはありません」

「それはジェイクも同じだと思うか?」

息子が心配なんだろうな。

「ご子息は任務を果たそうと私情は挟みません。卒業後に2人で会う約束はしました。
私個人の意見ですが、ご子息も私と同じ選択をしてくれたらと願っております」

「フレデリック君の願いか?」

「はい。雇い主に忠実になればご子息は人としての正しい判断を毎日のように歪め飲み込まなくてはならないでしょう。そしてそれに加担することになります」

公爵の顔が険しくなった。

「分かった」

「ご子息に、どんな選択をしようと公爵様は味方だと仰ってくだされば それだけで卒業まで乗り切ることがでしるでしょう」

「フレデリック君は評判通りだな」

「はい?」

「ジェイクと友人を続けてやって欲しい」

「ありがとうございます。公爵様公認ですね」

コンコンコンコン

「ジェイクです、こちらにフレデリックがいませんか」

「入れ」

「失礼します。
お話中でしたか」

「終わったよ」

「では、出発します」

「頑張ってこい」

「はい、父上」

「ジェイク」

「はい」

「おまえがどんな選択をしようと私は味方だ。いいな、忘れるなよ」

「…感謝します」

「ジェイク」

「な、何だよ」

ジェイクにハグをした。

「俺達 公認だからもっと仲良くしよう」

「なんだ急に…」

「今度時間があるときにゆっくり2人で過ごそう」

「恋人みたいなことを言うな。行くぞ」

「では公爵様、失礼します」

「ああ、行っておいで」


ジェイクと一緒にボルスト公爵家の馬車に乗り込んだ。

「一体何なんだ?父上もフレデリックも」

「一人は息子が心配で、一人は友情を深めたいと思っているだけだよ」

「何だそれ」

ジェイクは窓の外へ顔を向けたが耳が赤くなっているのを隠せていなかった。



到着すると、王子の部屋に通されそうになったが俺は拒否した。

「パリス殿。婚約者候補達とは何処で昼食をとるのですか?」

「南のサロンです」

「外にあるガラス張りの?」

「はい」

「では直接会場へ向かいます」

「ですが殿下が お二人を部屋へ案内するようにと」

「時間を見てください。46分後に始まる昼食会に、殿下の部屋へ行き南のサロンへ向かっては間に合いません」

「お二人はアルメット殿下の側近候補ですよね。殿下のご意向に沿うのが務めではありませんか!?」

パリス侍従の、従って当然という態度にカチンときてしまった。



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