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不意打ち
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2週間以上経っていた。
「ビクトリア、エレノアとデボラは?」
「お花摘みよ。ジェイクは?」
「令嬢に捕まったから先に来た」
「薄情ね。助けてくれって顔をしていたんじゃない?」
「ハハッ していたな」
「あ、そっちにしておけば良かった」
「ん?」
「鶏肉の煮込みって書いてあったけど勝手にクリーム煮だと思っていたの。トマト煮だったのね」
「説明書きに書いてあったぞ」
向かいに座っていたがトレイを持ってビクトリアの隣に座った。
「ほら、交換してやる」
「優しい~、ありがと」
「止めろ、くっつくな」
交換してやると わざとらしく腕に絡み付いた。
カタン
正面に料理の乗ったトレイを置いたのはエレノアだった。
「あれ?ビクトリアとフレデリックってそんなに仲良かった?」
などと余計なことを言いながらデボラも座った。
「ふふん。この間 フレデリックと宝飾品を見た後にカフェに行ったの。フレデリックはコーヒーが好きなのよね」
「ぐ、」
偶然会ったと言おうとしたら隣にジェイクが座った。
「何で置いていくんだよ」
「恋路を邪魔すると呪われるかもしれないだろう?」
「何が恋路だ」
「ねえねえ、どうだった?」
「好きだとかなんとか言って、要は縁談だな」
「で?」
ビクトリアは興味津々だ。
「父を通してくれと言ったよ」
「誰?」
「言わない」
「え~。じゃあ、後でフレデリックに教えてもらおうかな」
「教えるわけないだろう」
和やかに友人達との食事の時間を楽しんでいるが、エレノアが不機嫌に見えた。
食事はほぼ食べ終え デザートに手を付けていた。
「エレノア?」
俯いたまま動かないエレノアにデボラが声を掛けた。
「ごめんなさい」
「どうしたの?」
「……」
「エレノア?何がゴメンなの?」
「……フレデリック」
「俺?」
「私…妊娠しなかった」
デボラはスプーンを落とし、ビクトリアと俺とジェイクは盛大に咽せた。
デボラは苦しむ俺達3人を無視してエレノアを抱きしめた。
「大丈夫。まだまだ若いんだから何度でもチャンスはあるわ。謝ることなんかない」
そうじゃないだろう!すんなり受け入れ過ぎだ!
幸いにも他の生徒に聞かれていなかったらしく、咽せる俺達3人を見てデザートを食べようとしていた生徒達がスプーンを置いた。
毒か激マズだと思ったようだ。
「ち、違…デ…ト…食え…」
言葉を絞り出すと、デボラは大声で “驚かしたら咽せちゃっただけです”と言いながらデザートを食べて見せた。生徒達は安心して食べ始めた。
「ゴホッ…放課後 全員図書館の自習室に集合だ。いなかったら屋敷に押しかける。全員だぞ」
ジェイクの招集命令に頷くしかなかった。
午後は選択授業2時間を終えると全員が図書館の自習室に集まった。一番奥の部屋なので満室にならない限り話は聞こえない。
俺とエレノアが並んで座り、正面に裁判官ジェイクが座る。ジェイクの両隣にはニタニタしているビクトリアと目を輝かせるデボラが座った。
「では、聴取を始める。全部話せ」
「……具体的には契約があって言えないが、ある夜会で俺は女と一夜を過ごしていた。クズの世話に辟易していたのと、俺も男で影響を受けなかったわけじゃなかった。娼館を考えていたら執事が夜会のことを教えてくれた。その夜会でストレスとかを発散していたんだ。そこにエレノアが来た」
「兄が友人と話しているのを聞いて、兄の友人に教えて欲しいとこっそり頼んだの。入会したらフレデリックがいたの」
「じゃあ、2人は恋人に?」
「違う。
仮面を付けるから特徴のある者や声を覚えていないと相手が誰だか分からないんだ」
「えっと…2人は体の関係があるってことよね?」
「ずっと仮面をつけていた。だからお互い知らなかったはずなんだ」
「エレノアは婚約者候補だったろう」
「クズが“他の男と寝ろ”と言ったからそうしたの」
「あ~」
ジェイクは思い出したようだ。
やっぱり、あの日 全部聞いていたんだな。
「そんなことを言われたの?」
「休憩室で身体の用事が済んだ女生徒を部屋から追い出した後に、あのクズは 落とし物を届けに行った私にそう言ったの」
「「最低~」」
「つまり純潔をフレデリックが?」
エレノアは頷いた。
え?エレノアはいつから俺だと気が付いていたんだ?
ビクトリアはじっと俺を見た。
「で、まだ続いているわけなのね。フレデリックの嘘吐き」
カフェでの話のことだな…
「ビクトリア…私からフレデリックを取らないで」
「え!?」
「私、この間、2人がデートしているところを見たの」
「最低~」
「フレデリック…おまえ」
「違う!街で偶然会っただけだ!」
「しーっ!静かに」
「で、食堂での発言は何なんだ?」
アレを言えと言うのか?
ジェイクの質問を誤魔化すようにエレノアに質問をした。
「エレノア…いつから俺だと気付いていたんだ?」
「最初から」
「最初から!?」
「声を掛けて貴方が私を見た瞬間に」
「何で気付かないフリを?」
「会則だから」
「……」
思い切って聴くことにした。
「ビクトリア、エレノアとデボラは?」
「お花摘みよ。ジェイクは?」
「令嬢に捕まったから先に来た」
「薄情ね。助けてくれって顔をしていたんじゃない?」
「ハハッ していたな」
「あ、そっちにしておけば良かった」
「ん?」
「鶏肉の煮込みって書いてあったけど勝手にクリーム煮だと思っていたの。トマト煮だったのね」
「説明書きに書いてあったぞ」
向かいに座っていたがトレイを持ってビクトリアの隣に座った。
「ほら、交換してやる」
「優しい~、ありがと」
「止めろ、くっつくな」
交換してやると わざとらしく腕に絡み付いた。
カタン
正面に料理の乗ったトレイを置いたのはエレノアだった。
「あれ?ビクトリアとフレデリックってそんなに仲良かった?」
などと余計なことを言いながらデボラも座った。
「ふふん。この間 フレデリックと宝飾品を見た後にカフェに行ったの。フレデリックはコーヒーが好きなのよね」
「ぐ、」
偶然会ったと言おうとしたら隣にジェイクが座った。
「何で置いていくんだよ」
「恋路を邪魔すると呪われるかもしれないだろう?」
「何が恋路だ」
「ねえねえ、どうだった?」
「好きだとかなんとか言って、要は縁談だな」
「で?」
ビクトリアは興味津々だ。
「父を通してくれと言ったよ」
「誰?」
「言わない」
「え~。じゃあ、後でフレデリックに教えてもらおうかな」
「教えるわけないだろう」
和やかに友人達との食事の時間を楽しんでいるが、エレノアが不機嫌に見えた。
食事はほぼ食べ終え デザートに手を付けていた。
「エレノア?」
俯いたまま動かないエレノアにデボラが声を掛けた。
「ごめんなさい」
「どうしたの?」
「……」
「エレノア?何がゴメンなの?」
「……フレデリック」
「俺?」
「私…妊娠しなかった」
デボラはスプーンを落とし、ビクトリアと俺とジェイクは盛大に咽せた。
デボラは苦しむ俺達3人を無視してエレノアを抱きしめた。
「大丈夫。まだまだ若いんだから何度でもチャンスはあるわ。謝ることなんかない」
そうじゃないだろう!すんなり受け入れ過ぎだ!
幸いにも他の生徒に聞かれていなかったらしく、咽せる俺達3人を見てデザートを食べようとしていた生徒達がスプーンを置いた。
毒か激マズだと思ったようだ。
「ち、違…デ…ト…食え…」
言葉を絞り出すと、デボラは大声で “驚かしたら咽せちゃっただけです”と言いながらデザートを食べて見せた。生徒達は安心して食べ始めた。
「ゴホッ…放課後 全員図書館の自習室に集合だ。いなかったら屋敷に押しかける。全員だぞ」
ジェイクの招集命令に頷くしかなかった。
午後は選択授業2時間を終えると全員が図書館の自習室に集まった。一番奥の部屋なので満室にならない限り話は聞こえない。
俺とエレノアが並んで座り、正面に裁判官ジェイクが座る。ジェイクの両隣にはニタニタしているビクトリアと目を輝かせるデボラが座った。
「では、聴取を始める。全部話せ」
「……具体的には契約があって言えないが、ある夜会で俺は女と一夜を過ごしていた。クズの世話に辟易していたのと、俺も男で影響を受けなかったわけじゃなかった。娼館を考えていたら執事が夜会のことを教えてくれた。その夜会でストレスとかを発散していたんだ。そこにエレノアが来た」
「兄が友人と話しているのを聞いて、兄の友人に教えて欲しいとこっそり頼んだの。入会したらフレデリックがいたの」
「じゃあ、2人は恋人に?」
「違う。
仮面を付けるから特徴のある者や声を覚えていないと相手が誰だか分からないんだ」
「えっと…2人は体の関係があるってことよね?」
「ずっと仮面をつけていた。だからお互い知らなかったはずなんだ」
「エレノアは婚約者候補だったろう」
「クズが“他の男と寝ろ”と言ったからそうしたの」
「あ~」
ジェイクは思い出したようだ。
やっぱり、あの日 全部聞いていたんだな。
「そんなことを言われたの?」
「休憩室で身体の用事が済んだ女生徒を部屋から追い出した後に、あのクズは 落とし物を届けに行った私にそう言ったの」
「「最低~」」
「つまり純潔をフレデリックが?」
エレノアは頷いた。
え?エレノアはいつから俺だと気が付いていたんだ?
ビクトリアはじっと俺を見た。
「で、まだ続いているわけなのね。フレデリックの嘘吐き」
カフェでの話のことだな…
「ビクトリア…私からフレデリックを取らないで」
「え!?」
「私、この間、2人がデートしているところを見たの」
「最低~」
「フレデリック…おまえ」
「違う!街で偶然会っただけだ!」
「しーっ!静かに」
「で、食堂での発言は何なんだ?」
アレを言えと言うのか?
ジェイクの質問を誤魔化すようにエレノアに質問をした。
「エレノア…いつから俺だと気付いていたんだ?」
「最初から」
「最初から!?」
「声を掛けて貴方が私を見た瞬間に」
「何で気付かないフリを?」
「会則だから」
「……」
思い切って聴くことにした。
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