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アドバイザー
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【 第一王子 セインの視点 】
天使の匙の初の定休日に店を訪れた。
「ようこそ王子殿下」
「折角の休みに朝早くからすまない」
商談室に通されお茶を淹れてもらった。
「ティーティア様に内緒で私達に相談とは何でしょうか」
「ジョルジーヌ嬢、ベレニス嬢。以前は城で失礼なことを言った。申し訳なかった」
「夜の女子会の日のことですか」
「すまない」
「分かりましたわ」
「ティーティア様が心配だったのですよね。
お察しいたします。
それで、どうなさったのですか」
「私はティーティアが大好きだ。
ティーティアにも私を好きになってもらいたい」
「………」
「そこでアドバイスを貰いたくて時間を取ってもらった」
「私達は何があってもティーティア様を裏切りません」
「裏切れなどと言っていない。ティーティアの好みや傾向を知りたいだけだ。秘密をバラせとか、罠に嵌めろとか言っているのではない。
はっきり言うが、いくらティーティアが嫌がっても最終手段をとって娶ることもできる。
だがそんなことは望んでいないが諦めたくもない。
ティーティアが好きになってくれたら丸く収まると思わないか」
「結果的にティーティア様を誘導することになってしまいます」
「だけどティーティアの考え方を理解できる家門はあまりいないと思うし、波風になるのは目に見えている。盾になる者が必要だ。
それに私は夢を見させられてしまった。
ティーティアが私の隣に立ち、半歩前に出てこの国を治める夢を」
「……私、協力します」
「ベレニス!」
「だって、思っていたんだもん!ティーティア様が王妃様になったらこの世は変わるかもしれないって!
裏切ったりしない!ただ殿下がティーティア様にとって魅力ある男になるように、ちょっとした助言をするだけ!
ティーティア様に他に好きな人ができたらそっちを応援するから」
「ベレニス」
「ジョルジーヌ、お願い!」
「……分かりました。もしティーティア様を裏切ったら地獄へ落としますよ」
「ありがとう。いつか恩返しをしよう」
「いりません。私はティーティア様の幸せしか望んでおりません」
「ジョルジーヌ嬢、ベレニス嬢、今後ともティーティアをよろしく頼む」
「セイン王子殿下、ティーティア様の他に娶ることはありませんね?」
「勿論だ。子が産まれなければ養子を取る」
「分かりましたわ。では私達から見たティーティア様を元に助言いたします。
まず、ティーティア様をそのまま11歳の子供だと思うことも、一般的な貴族に当てはめることもお止めください。
精神年齢は私達と同じかそれ以上だと思ってください。
つまり、ティーティア様を歳上で、貴族の知識を持った思考が平民寄りの女性だと思ってください」
「がっしりとした体格で、ティーティア様が走って飛び付いても余裕で受け止められる筋肉と体幹。爽やかでいながらも色気のある男です」
「色気!?」
「そう、色気。今のセイン王子殿下には難しいですね」
「そうですね、今じゃなくて何年かかかりそうですね」
「ご両親にも話をして、さりげなく協力を得るのです。強引はいけません」
「大人の男性のような余裕を持ってください。浮気は駄目ですがお手本になりそうな方はいませんか?」
「色気の? モテる男ってこと?」
「身分や地位やお金ではなく、彼自身の魅力でモテている人です」
「探してみる」
「例え上手くいかなくても嫉妬しても感情のままぶつけてはいけません。それさえも利用して武器にするのです」
「え?」
「例えば、ティーティア様が他の令息と手を繋いだり抱きしめられていたりしても、怒りに任せて何でと詰め寄ったりせず、悲しいという気持ちを伝えるのです。
“何で他の男と二人っきりで出かけるんだ!!”というよりも、“可愛いティーティアが他の男と二人っきりで出かけるなんて心配で胃が痛くなってきた”と言うのでは印象がまるで違います。
これは己との闘いです。忍耐力が試されるのです」
「そうですよ!逆の立場だとして、“どうしてセイン様は他の女性と親しくするのですか!”と言われるよりも“寂しいですわ”と言われた方が受け入れやすいと思いませんか」
「理解はできるのだが、感情のコントロールが……」
「やるしかありませんわ。そして体を鍛える為に専属の筋肉アドバイザーを付けた方が宜しいですわ。
体質がありますから、楽に筋肉がつく人ではなく、努力に努力を重ねて鍛え上げた方がよろしいと思います」
「エミール卿は、」
「それは最終手段だ。他を当たる」
「ふふっ、エミール卿は娘くらいの気持ちで接しておりますわ。ライバル視なさる必要は無いと思います」
「くっ…」
「贈り物は金額云々ではございません。
いかに心を動かすかです。
ティーティア様が何を求めているのか様々な話題を振って探ってみてくださいませ」
「掴めない時は?」
「誕生日とかでなければミスラ様の何かが無難かもしれません。おやつとか、丈夫なクッションとか」
「ミスラ様はお風呂好きですから安全なシャンプーとか」
「ミスラ用ブラシもいいですわね」
「ティーティア様とミスラ様のお揃いの物はどうでしょうか」
「ありがとう。情報を得たり思いついたら手紙をくれないか。この蝋印を使ってくれ」
「あれば送ります」
「忍耐ですわ!忍耐!」
「ハハッ、忍耐だな!」
天使の匙の初の定休日に店を訪れた。
「ようこそ王子殿下」
「折角の休みに朝早くからすまない」
商談室に通されお茶を淹れてもらった。
「ティーティア様に内緒で私達に相談とは何でしょうか」
「ジョルジーヌ嬢、ベレニス嬢。以前は城で失礼なことを言った。申し訳なかった」
「夜の女子会の日のことですか」
「すまない」
「分かりましたわ」
「ティーティア様が心配だったのですよね。
お察しいたします。
それで、どうなさったのですか」
「私はティーティアが大好きだ。
ティーティアにも私を好きになってもらいたい」
「………」
「そこでアドバイスを貰いたくて時間を取ってもらった」
「私達は何があってもティーティア様を裏切りません」
「裏切れなどと言っていない。ティーティアの好みや傾向を知りたいだけだ。秘密をバラせとか、罠に嵌めろとか言っているのではない。
はっきり言うが、いくらティーティアが嫌がっても最終手段をとって娶ることもできる。
だがそんなことは望んでいないが諦めたくもない。
ティーティアが好きになってくれたら丸く収まると思わないか」
「結果的にティーティア様を誘導することになってしまいます」
「だけどティーティアの考え方を理解できる家門はあまりいないと思うし、波風になるのは目に見えている。盾になる者が必要だ。
それに私は夢を見させられてしまった。
ティーティアが私の隣に立ち、半歩前に出てこの国を治める夢を」
「……私、協力します」
「ベレニス!」
「だって、思っていたんだもん!ティーティア様が王妃様になったらこの世は変わるかもしれないって!
裏切ったりしない!ただ殿下がティーティア様にとって魅力ある男になるように、ちょっとした助言をするだけ!
ティーティア様に他に好きな人ができたらそっちを応援するから」
「ベレニス」
「ジョルジーヌ、お願い!」
「……分かりました。もしティーティア様を裏切ったら地獄へ落としますよ」
「ありがとう。いつか恩返しをしよう」
「いりません。私はティーティア様の幸せしか望んでおりません」
「ジョルジーヌ嬢、ベレニス嬢、今後ともティーティアをよろしく頼む」
「セイン王子殿下、ティーティア様の他に娶ることはありませんね?」
「勿論だ。子が産まれなければ養子を取る」
「分かりましたわ。では私達から見たティーティア様を元に助言いたします。
まず、ティーティア様をそのまま11歳の子供だと思うことも、一般的な貴族に当てはめることもお止めください。
精神年齢は私達と同じかそれ以上だと思ってください。
つまり、ティーティア様を歳上で、貴族の知識を持った思考が平民寄りの女性だと思ってください」
「がっしりとした体格で、ティーティア様が走って飛び付いても余裕で受け止められる筋肉と体幹。爽やかでいながらも色気のある男です」
「色気!?」
「そう、色気。今のセイン王子殿下には難しいですね」
「そうですね、今じゃなくて何年かかかりそうですね」
「ご両親にも話をして、さりげなく協力を得るのです。強引はいけません」
「大人の男性のような余裕を持ってください。浮気は駄目ですがお手本になりそうな方はいませんか?」
「色気の? モテる男ってこと?」
「身分や地位やお金ではなく、彼自身の魅力でモテている人です」
「探してみる」
「例え上手くいかなくても嫉妬しても感情のままぶつけてはいけません。それさえも利用して武器にするのです」
「え?」
「例えば、ティーティア様が他の令息と手を繋いだり抱きしめられていたりしても、怒りに任せて何でと詰め寄ったりせず、悲しいという気持ちを伝えるのです。
“何で他の男と二人っきりで出かけるんだ!!”というよりも、“可愛いティーティアが他の男と二人っきりで出かけるなんて心配で胃が痛くなってきた”と言うのでは印象がまるで違います。
これは己との闘いです。忍耐力が試されるのです」
「そうですよ!逆の立場だとして、“どうしてセイン様は他の女性と親しくするのですか!”と言われるよりも“寂しいですわ”と言われた方が受け入れやすいと思いませんか」
「理解はできるのだが、感情のコントロールが……」
「やるしかありませんわ。そして体を鍛える為に専属の筋肉アドバイザーを付けた方が宜しいですわ。
体質がありますから、楽に筋肉がつく人ではなく、努力に努力を重ねて鍛え上げた方がよろしいと思います」
「エミール卿は、」
「それは最終手段だ。他を当たる」
「ふふっ、エミール卿は娘くらいの気持ちで接しておりますわ。ライバル視なさる必要は無いと思います」
「くっ…」
「贈り物は金額云々ではございません。
いかに心を動かすかです。
ティーティア様が何を求めているのか様々な話題を振って探ってみてくださいませ」
「掴めない時は?」
「誕生日とかでなければミスラ様の何かが無難かもしれません。おやつとか、丈夫なクッションとか」
「ミスラ様はお風呂好きですから安全なシャンプーとか」
「ミスラ用ブラシもいいですわね」
「ティーティア様とミスラ様のお揃いの物はどうでしょうか」
「ありがとう。情報を得たり思いついたら手紙をくれないか。この蝋印を使ってくれ」
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