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求婚
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あまりにも証人と証拠があり過ぎて、二日後に裁判は終了した。
ゾルドフ侯爵は爵位剥奪、除籍。監獄にて5年の禁固刑の後、33年の強制労働刑。
長男は除籍。監獄にて半年の禁固刑の後、3年の強制労働刑。
長女も除籍。分家の下働き。
ゾルドフ侯爵家は降格し伯爵家とする。
預金財産は半分没収し賠償に充てる。
次男パトリックを伯爵と定める。
他の者に咎めは無かった。
セインの元にティーティア、ジョルジーヌ、ベレニスが訪ねてきていた。
「セイン王子殿下、仇を討ってくださりありがとうございました」
「もうあの顔を見なくて済むと思うと心が軽いです」
「……」
「もう!どうしちゃったんですか!お二人とも変ですよ!」
「だってセイン様が……」
「私の勘違いだった。許してくれ」
「勘違い以前にダメだから!」
「私だって大変なんだ」
「乙女の敵!」
「ぐっ!」
「……王子殿下はティーティア様に乙女の敵と呼ばれる程の事をなさったのですね?」
「ベレニス嬢、それには訳が、」
「乙女の敵に正当な理由がございますか王子殿下。唇を奪った以上のことをなさったのですね」
「ジョルジーヌ嬢、私だって頑張ったんだ」
「わかっておりますが、私達はティーティア様の味方ですので。
だいたいパーティの最中に主役が何をなさってるのですか」
「すみません」
数ヶ月後にティーティアの誕生日祝いの昼食にセインも参加していた。
「可愛い!」
ティーティアが手にしているのはリリーとルナの着せ替え衣装だった。
勿論、指定された予算内に収まるわけがないが、そんなことを忘れる程ティーティアは大喜びだった。
「騎士服まである!店の制服まで!
ありがとうございますセイン様!」
喜ぶティーティアの側で跪きポケットから指輪を取り出してティーティアの手を取り指にはめた。
「私はティーティアを愛している。
愛の誓約を捧げたい」
その言葉に伯爵夫妻は驚愕した。
次期国王が愛の誓約をすることは極めて稀なことだからだ。
「愛の誓約って、跡継ぎはどうするんですか」
「私が大事なのはティーティアだ。他の女は要らない」
「殿下、ティーティアに愛の誓約を捧げたら他の女性は迎えられませんし、浮気でもしようものなら死で償わなくてはならないのですよ!?」
「よく理解しております、夫人」
「お妃教育とか王妃教育とか無理」
「ティーティア、そんなに大変じゃないよ。
サンセール王国は外国の要人をよく迎えたりしないし行かないから外国語は挨拶が出来れば問題ない。
法や歴史は得意そうだし、王女を追い返し向こうから解消させる手腕の持ち主だ。
あれから色々試してみたが水を聖水にするようにワインにも施せた。まだ実験中だけど。
君の案通りに周辺諸国に情報を流し協力を促したおかげでワルスベルトでは突然死ぬ病の者が所々でいるために恐怖に陥った。
それを機に分裂していた内部勢力が攻撃をしかけ王族はみな処刑されたそうだ」
「正体は掴めたのですか?呪詛の類とか?」
「そこまでは分かっていないけど王家主導のようではあるようだ」
「そうなのですね」
「ある意味周辺諸国にも大きく貢献したティアはそのままで充分価値がある。
それに私がずっとティアに一途でいたのは分かっているはずだよ」
後に教わった獅子の紋はセインの紋で、セインかセインの妻にだけ使用が許されるというものだった。
「王妃は務まらない…です」
「ティアは私との結婚自体は嫌じゃなくて王妃が嫌なら継承権を放棄するよ?」
「それは、」
「どうせティアに振られたら食事ができなくなって痩せ細って干からびるだけだ」
「グッ、ずるい」
「ティアが私を愛してくれるならどんな手でも使う。ヴェリテ家に婿養子という選択肢もある」
「本当?」
「本当だ。ティアがいればいい」
「……お受けします」
セインはティーティアの腰に手を回し腿の上に頭を乗せた。
「私のティア」
そしてムクっと立ち上がると侍従から書類とペンを受け取った。
「さあ、署名して」
伯爵夫妻が慌てて書類を覗き込む。
婚姻契約書と愛の誓約書だった。
結婚式はティアが18歳になる三ヶ月前の日付けになっていた。
その一文だけだった。
「先に私が署名しよう」
そう言ってサッと署名してペンをティーティアに握らせた。
「セイン殿下、こんなに余白のある婚姻契約書でいいのかどうか」
「伯爵。愛の誓約書で離れられませんし愛し抜くことを誓うのです。今後のことはその時に良い方法を模索すればいいのです。
細かく書けばそれだけティアの選択肢が狭まりますよ?」
促されるまま署名が終わるとセインはティーティアと庭に散歩に出た。
「婚姻は三ヶ月前にするけど、初夜自体はティアの18歳の誕生日だから」
「アレで?」
セインはティーティアを抱き寄せて背中から腰を撫でながら囁いた。
「何もしないとは言っていないよ?
それまでは恋人としてたっぷりティアを堪能するよ。これからは違う忍耐力が試されるわけだが最後の一線は越えないようにする。
愛でて触れて確かめ合って、全身で私の愛を感じてもらうからね」
「ちょっと!」
「湯浴みも一緒だ」
「何言って、」
「ティアのあの感じだと拒否していないことが分かったから遠慮するつもりはないよ。
法律では16歳から許されるから今すぐに初夜にしても構わないのだけど18歳が慣習になっているから待つだけだ。
ティアが“我慢できない”とお強請りしてくれたら、すぐにでも一つになれるからね」
散歩に行った娘の唇が荒れて帰ってきたのを見た伯爵はセインに嫌味を飛ばすが、幸せいっぱいのセインには全く刺さらなかった。
ゾルドフ侯爵は爵位剥奪、除籍。監獄にて5年の禁固刑の後、33年の強制労働刑。
長男は除籍。監獄にて半年の禁固刑の後、3年の強制労働刑。
長女も除籍。分家の下働き。
ゾルドフ侯爵家は降格し伯爵家とする。
預金財産は半分没収し賠償に充てる。
次男パトリックを伯爵と定める。
他の者に咎めは無かった。
セインの元にティーティア、ジョルジーヌ、ベレニスが訪ねてきていた。
「セイン王子殿下、仇を討ってくださりありがとうございました」
「もうあの顔を見なくて済むと思うと心が軽いです」
「……」
「もう!どうしちゃったんですか!お二人とも変ですよ!」
「だってセイン様が……」
「私の勘違いだった。許してくれ」
「勘違い以前にダメだから!」
「私だって大変なんだ」
「乙女の敵!」
「ぐっ!」
「……王子殿下はティーティア様に乙女の敵と呼ばれる程の事をなさったのですね?」
「ベレニス嬢、それには訳が、」
「乙女の敵に正当な理由がございますか王子殿下。唇を奪った以上のことをなさったのですね」
「ジョルジーヌ嬢、私だって頑張ったんだ」
「わかっておりますが、私達はティーティア様の味方ですので。
だいたいパーティの最中に主役が何をなさってるのですか」
「すみません」
数ヶ月後にティーティアの誕生日祝いの昼食にセインも参加していた。
「可愛い!」
ティーティアが手にしているのはリリーとルナの着せ替え衣装だった。
勿論、指定された予算内に収まるわけがないが、そんなことを忘れる程ティーティアは大喜びだった。
「騎士服まである!店の制服まで!
ありがとうございますセイン様!」
喜ぶティーティアの側で跪きポケットから指輪を取り出してティーティアの手を取り指にはめた。
「私はティーティアを愛している。
愛の誓約を捧げたい」
その言葉に伯爵夫妻は驚愕した。
次期国王が愛の誓約をすることは極めて稀なことだからだ。
「愛の誓約って、跡継ぎはどうするんですか」
「私が大事なのはティーティアだ。他の女は要らない」
「殿下、ティーティアに愛の誓約を捧げたら他の女性は迎えられませんし、浮気でもしようものなら死で償わなくてはならないのですよ!?」
「よく理解しております、夫人」
「お妃教育とか王妃教育とか無理」
「ティーティア、そんなに大変じゃないよ。
サンセール王国は外国の要人をよく迎えたりしないし行かないから外国語は挨拶が出来れば問題ない。
法や歴史は得意そうだし、王女を追い返し向こうから解消させる手腕の持ち主だ。
あれから色々試してみたが水を聖水にするようにワインにも施せた。まだ実験中だけど。
君の案通りに周辺諸国に情報を流し協力を促したおかげでワルスベルトでは突然死ぬ病の者が所々でいるために恐怖に陥った。
それを機に分裂していた内部勢力が攻撃をしかけ王族はみな処刑されたそうだ」
「正体は掴めたのですか?呪詛の類とか?」
「そこまでは分かっていないけど王家主導のようではあるようだ」
「そうなのですね」
「ある意味周辺諸国にも大きく貢献したティアはそのままで充分価値がある。
それに私がずっとティアに一途でいたのは分かっているはずだよ」
後に教わった獅子の紋はセインの紋で、セインかセインの妻にだけ使用が許されるというものだった。
「王妃は務まらない…です」
「ティアは私との結婚自体は嫌じゃなくて王妃が嫌なら継承権を放棄するよ?」
「それは、」
「どうせティアに振られたら食事ができなくなって痩せ細って干からびるだけだ」
「グッ、ずるい」
「ティアが私を愛してくれるならどんな手でも使う。ヴェリテ家に婿養子という選択肢もある」
「本当?」
「本当だ。ティアがいればいい」
「……お受けします」
セインはティーティアの腰に手を回し腿の上に頭を乗せた。
「私のティア」
そしてムクっと立ち上がると侍従から書類とペンを受け取った。
「さあ、署名して」
伯爵夫妻が慌てて書類を覗き込む。
婚姻契約書と愛の誓約書だった。
結婚式はティアが18歳になる三ヶ月前の日付けになっていた。
その一文だけだった。
「先に私が署名しよう」
そう言ってサッと署名してペンをティーティアに握らせた。
「セイン殿下、こんなに余白のある婚姻契約書でいいのかどうか」
「伯爵。愛の誓約書で離れられませんし愛し抜くことを誓うのです。今後のことはその時に良い方法を模索すればいいのです。
細かく書けばそれだけティアの選択肢が狭まりますよ?」
促されるまま署名が終わるとセインはティーティアと庭に散歩に出た。
「婚姻は三ヶ月前にするけど、初夜自体はティアの18歳の誕生日だから」
「アレで?」
セインはティーティアを抱き寄せて背中から腰を撫でながら囁いた。
「何もしないとは言っていないよ?
それまでは恋人としてたっぷりティアを堪能するよ。これからは違う忍耐力が試されるわけだが最後の一線は越えないようにする。
愛でて触れて確かめ合って、全身で私の愛を感じてもらうからね」
「ちょっと!」
「湯浴みも一緒だ」
「何言って、」
「ティアのあの感じだと拒否していないことが分かったから遠慮するつもりはないよ。
法律では16歳から許されるから今すぐに初夜にしても構わないのだけど18歳が慣習になっているから待つだけだ。
ティアが“我慢できない”とお強請りしてくれたら、すぐにでも一つになれるからね」
散歩に行った娘の唇が荒れて帰ってきたのを見た伯爵はセインに嫌味を飛ばすが、幸せいっぱいのセインには全く刺さらなかった。
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