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帝国 (軍と診察)
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翌朝、ライアンはブリアックとヤニックに連れられて軍の宿舎や演習場などが集まるエリアに来ていた。
メ「久しぶりです、ライアン殿。こちらはホーネス団長です」
団「団長のホーネスと申します」
ラ「ライアン・サルトと申します」
団「うちのメディが敵わなかったと聞きました。後で手合わせをいただいても?」
ラ「はい 」
ブ「団長、もし陛下がライアン殿に縁談を薦める日が来たら、男色を装います。しかもここで物色すると告げますので驚かないようお願いします」
団「実際は?」
ラ「国に結婚を申し込もうとしている令嬢がおります」
団「なるほど。周知しますか?」
ラ「いえ、陛下にまで伝わると困るので、軍外で見つけたことにします」
団「陛下と繋がらない女と期間限定の交際をすればいいのに。ライアン殿なら何人も手を挙げると思いますよ」
ラ「他の女に手を付けたくないのです」
団「勘違いしないレディを紹介しましょう。
そのご令嬢にとっては男も女も変わりはないでしょうから騒ぎになりそうな男色じゃない方がいいと思います」
ラ「お願いします」
団「紹介するまでに陛下から話があったら、私が紹介したいレディがいると見合いの約束をしたと言えばいいでしょう」
ラ「ありがとうございます」
午後には商人があれこれ勧めていたが、ミーシェの腕輪を見て顔色が変わった。
「も、申し訳ございません。出直させて下さい」
「いえ、その必要はございません。
あまり物欲が無いだけですのよ。
そうね、このネックレスがいいわ」
「ありがとうございます」
「私は自身の物ではなく贈り物を購入しても良いのか?」
「女性への贈り物ですか?」
「令嬢にお礼をすることになる」
「左様でございましたか。お選び下さい」
「帝国の令嬢は何を好むのか教えて欲しい」
「令嬢はどこの国でも大抵は身につける物です」
「ヤニック殿下、どれがいいと思いますか」
「そこはミーシェ嬢に聞くところでは?」
「“大抵”から外れますので」
「ライアン?」
「褒め言葉だよ。可愛いミーシェ」
「本当に仲が良いのですね」
「ええ。ミーシェが一番ですから」
「私もライアンが大好きですの」
「双子だと特別ですか?」
「ミーシェは他人でも特別になったはずです。ミーシェは私にとって光ですから」
「もしかして、私、ライアンと他人だったら大変だったのかな?」
「そうだな。私の目の届く所でしか自由を与えないだろうな」
「ライアンが言うと怖い」
「実際は家族だ。ある程度自由だろう?」
この時ミーシェはライアンが把握していることを悟った。何故エヴァンとの関係を見過ごすのか不思議になった。
ティータイムでは、
「「陛下、ありがとうございます」」
「ミーシェはネックレスか。似合っておるぞ」
「この色を選んで不相応だとお叱りを受けるかと不安でしたが、目にとまってしまって」
「もしかして私の瞳の色か」
「はい。申し訳ございません」
「謝らなくていい。
可愛い娘だ。次は余が選ぼう」
機嫌の良い帝王は早速商人を呼びつけて、自身の瞳の色の豪華なネックレスとイヤリングのセットを購入してミーシェに贈った。
そして、残っていた妾を城から出した。
二週間が経った頃、
「レオン様、腕の可動域が増えてきました」
「それは良かった。勉強はどうだ」
「法律と礼儀作法だけ習っています。
地理は学習済みで歴史はおさらいして終わりました」
「凄いな。祖国で学んでいたのか」
「はい。ライアンの方がもっとしっかりと学んでいました」
「お父上の方針か?」
「ライアンの方針です」
「そうか。何かしたいことはないか」
「特には」
「そうだ。馬に乗ろう。明日連れて行く」
「レオン様」
「決まりだ、服を用意させよう」
翌日、レオンはミーシェを自身の馬に乗せ、ライアンやミーシェの護衛や自身の護衛を連れて郊外の湖までやってきた。
「人が居るな」
「王都の側の湖はデートや子連れが来やすいですからね」
そう答える護衛が苦笑いをしている。
「そうか失敗だったか」
「そんなことありません。いい気分転換になりますわ。一周できるのかしら」
「はい、可能です。ミーシェ様」
「よし、手綱を持ってみろ。私も添えているから大丈夫だ。痛みが出たら直ぐに言うんだ。
治療の経過を知るためだ。隠したり我慢は悪化させる原因になるから正直に早く言うんだ。いいな」
「はい 」
そして二ヶ月が経った頃、
「レオン様?ブリアック様?
私は先生ですよ?先生にそんな態度をとるのですか?」
「すまない、ミーシェ先生」
「お願いします、ミーシェ先生」
「よろしい。先ずはナイフを持って投げる動作をして下さい。本当に投げず、最後のポーズで止まって下さい。先ずはレオン様」
「こうか?」
「この持ち方では投げた時に指が少し掛かって威力も方向も狂います」
「なるほど」
「次はブリアック様」
「こうですか」
「この持ち方ですと親指の付け根が邪魔をします。
試しにそのまま投げてみましょう。
的は近いですから、軽く投げればいいですからね」
「あっ」
「あれっ」
「レオン様の場合は返しを持ってしまったが為に引っ掛かり、下に落ちてしまいました。
ブリアック様の場合は平と親指の付け根の肉のバランスが均等出ないために、大分方角がズレました。
レオン様、だったら最初から持ち方の正解を教えてくれという目をなさっていますが、他の勉強と同じです。
一つ教わったからと言って、それしか役立たないわけではございません。転用、応用、参考と持ち入り先はあるものです。
時にはそれが教訓となります。
何故ダメなのか、理由をしっかり頭と体に刻むことも大事なのです」
「浅慮であった。申し訳ない」
「では続けましょう」
その日の晩餐は、
「凄いぞ!ど真ん中だ!近距離ならもう外さないぞ!」
「レオン様、煩いです」
「あ、すまん」
「私も近距離はできる様になりましたから、次は中距離にします」
「ずっと投げすぎても身体を傷めますから程々にしましょう」
「我々は鍛えているから大丈夫だ」
「そうです、男は大丈夫ですよ」
「ふ~ん」
一週間後、
「お二人とも腱鞘炎でございます。当面、痛みのある腕は安静になさいませ」
レ・ブ「………」
メ「久しぶりです、ライアン殿。こちらはホーネス団長です」
団「団長のホーネスと申します」
ラ「ライアン・サルトと申します」
団「うちのメディが敵わなかったと聞きました。後で手合わせをいただいても?」
ラ「はい 」
ブ「団長、もし陛下がライアン殿に縁談を薦める日が来たら、男色を装います。しかもここで物色すると告げますので驚かないようお願いします」
団「実際は?」
ラ「国に結婚を申し込もうとしている令嬢がおります」
団「なるほど。周知しますか?」
ラ「いえ、陛下にまで伝わると困るので、軍外で見つけたことにします」
団「陛下と繋がらない女と期間限定の交際をすればいいのに。ライアン殿なら何人も手を挙げると思いますよ」
ラ「他の女に手を付けたくないのです」
団「勘違いしないレディを紹介しましょう。
そのご令嬢にとっては男も女も変わりはないでしょうから騒ぎになりそうな男色じゃない方がいいと思います」
ラ「お願いします」
団「紹介するまでに陛下から話があったら、私が紹介したいレディがいると見合いの約束をしたと言えばいいでしょう」
ラ「ありがとうございます」
午後には商人があれこれ勧めていたが、ミーシェの腕輪を見て顔色が変わった。
「も、申し訳ございません。出直させて下さい」
「いえ、その必要はございません。
あまり物欲が無いだけですのよ。
そうね、このネックレスがいいわ」
「ありがとうございます」
「私は自身の物ではなく贈り物を購入しても良いのか?」
「女性への贈り物ですか?」
「令嬢にお礼をすることになる」
「左様でございましたか。お選び下さい」
「帝国の令嬢は何を好むのか教えて欲しい」
「令嬢はどこの国でも大抵は身につける物です」
「ヤニック殿下、どれがいいと思いますか」
「そこはミーシェ嬢に聞くところでは?」
「“大抵”から外れますので」
「ライアン?」
「褒め言葉だよ。可愛いミーシェ」
「本当に仲が良いのですね」
「ええ。ミーシェが一番ですから」
「私もライアンが大好きですの」
「双子だと特別ですか?」
「ミーシェは他人でも特別になったはずです。ミーシェは私にとって光ですから」
「もしかして、私、ライアンと他人だったら大変だったのかな?」
「そうだな。私の目の届く所でしか自由を与えないだろうな」
「ライアンが言うと怖い」
「実際は家族だ。ある程度自由だろう?」
この時ミーシェはライアンが把握していることを悟った。何故エヴァンとの関係を見過ごすのか不思議になった。
ティータイムでは、
「「陛下、ありがとうございます」」
「ミーシェはネックレスか。似合っておるぞ」
「この色を選んで不相応だとお叱りを受けるかと不安でしたが、目にとまってしまって」
「もしかして私の瞳の色か」
「はい。申し訳ございません」
「謝らなくていい。
可愛い娘だ。次は余が選ぼう」
機嫌の良い帝王は早速商人を呼びつけて、自身の瞳の色の豪華なネックレスとイヤリングのセットを購入してミーシェに贈った。
そして、残っていた妾を城から出した。
二週間が経った頃、
「レオン様、腕の可動域が増えてきました」
「それは良かった。勉強はどうだ」
「法律と礼儀作法だけ習っています。
地理は学習済みで歴史はおさらいして終わりました」
「凄いな。祖国で学んでいたのか」
「はい。ライアンの方がもっとしっかりと学んでいました」
「お父上の方針か?」
「ライアンの方針です」
「そうか。何かしたいことはないか」
「特には」
「そうだ。馬に乗ろう。明日連れて行く」
「レオン様」
「決まりだ、服を用意させよう」
翌日、レオンはミーシェを自身の馬に乗せ、ライアンやミーシェの護衛や自身の護衛を連れて郊外の湖までやってきた。
「人が居るな」
「王都の側の湖はデートや子連れが来やすいですからね」
そう答える護衛が苦笑いをしている。
「そうか失敗だったか」
「そんなことありません。いい気分転換になりますわ。一周できるのかしら」
「はい、可能です。ミーシェ様」
「よし、手綱を持ってみろ。私も添えているから大丈夫だ。痛みが出たら直ぐに言うんだ。
治療の経過を知るためだ。隠したり我慢は悪化させる原因になるから正直に早く言うんだ。いいな」
「はい 」
そして二ヶ月が経った頃、
「レオン様?ブリアック様?
私は先生ですよ?先生にそんな態度をとるのですか?」
「すまない、ミーシェ先生」
「お願いします、ミーシェ先生」
「よろしい。先ずはナイフを持って投げる動作をして下さい。本当に投げず、最後のポーズで止まって下さい。先ずはレオン様」
「こうか?」
「この持ち方では投げた時に指が少し掛かって威力も方向も狂います」
「なるほど」
「次はブリアック様」
「こうですか」
「この持ち方ですと親指の付け根が邪魔をします。
試しにそのまま投げてみましょう。
的は近いですから、軽く投げればいいですからね」
「あっ」
「あれっ」
「レオン様の場合は返しを持ってしまったが為に引っ掛かり、下に落ちてしまいました。
ブリアック様の場合は平と親指の付け根の肉のバランスが均等出ないために、大分方角がズレました。
レオン様、だったら最初から持ち方の正解を教えてくれという目をなさっていますが、他の勉強と同じです。
一つ教わったからと言って、それしか役立たないわけではございません。転用、応用、参考と持ち入り先はあるものです。
時にはそれが教訓となります。
何故ダメなのか、理由をしっかり頭と体に刻むことも大事なのです」
「浅慮であった。申し訳ない」
「では続けましょう」
その日の晩餐は、
「凄いぞ!ど真ん中だ!近距離ならもう外さないぞ!」
「レオン様、煩いです」
「あ、すまん」
「私も近距離はできる様になりましたから、次は中距離にします」
「ずっと投げすぎても身体を傷めますから程々にしましょう」
「我々は鍛えているから大丈夫だ」
「そうです、男は大丈夫ですよ」
「ふ~ん」
一週間後、
「お二人とも腱鞘炎でございます。当面、痛みのある腕は安静になさいませ」
レ・ブ「………」
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