【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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パトリシアと打ち解ける

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兄様の婚約者のパトリシア様は社交に積極的だが浮いている。
彼女の言葉は直球過ぎて貴族社会に馴染まなかった。

私も巻き戻り前は彼女が苦手で避けていた。婚姻した後も。


「パトリシア様の婚約者は心が広いのですね」

「本当、不思議ですわ。どうやって取り入ったのかしら」

「いい加減に悟られたらどうかしら、浮いてるって」

「先週のお茶会ではエリン様に酷いことを仰っていたわね。今日はカーラ様のドレスにケチを付けて。
黙っていることができないなら参加なさらなければよろしいのに」

「私は別に意地悪しているわけじゃありませんわ」

「カーラ様が学園時代にカークファルド伯爵令息と親しかったから意地悪を仰ったのでしょう」

「政略結婚なのだから見苦しい嫉妬などなさる必要はないのでは?」

「私は、」

「お話し中、失礼します。
パトリシア義姉様、ご機嫌よう。
私のことを紹介してくださるかしら」

「え?」

「義妹の私を紹介してください」

「え、ええ。
皆様、彼女はカークファルド伯爵令嬢のセリーナ様です」

「セリーナ・カークファルドと申します。
お見知り置きくださいませ。ところで、先程からお話が聞こえておりましたが、義姉が何を仰って揉めていらっしゃるのか教えていただけますか?」

「こちらのパトリシア様がカーラ様にドレスが似合っていないと仰ったのです」

「カーラ様の瞳の色と合わないと思っただけですわ」

「カーラ様とお呼びしても宜しいですか?」

「ええ、私もセリーナ様とお呼びしますわね」

「どうぞセリーナとお呼びください。

カーラ様、義姉はこう言いたいのです。
カーラ様の美しい瞳を引き立てるドレスの色はソレではないと。

確かに余計なお世話かもしれませんが、義姉はカーラ様が美しいからこそ黙っていることができなかったのです。

あら?カーラ様と私は同じ体型ですわね。試しにドレスを交換してみませんか?」

「どうしてそんな」

「パトリシア様の主張を確かめてみてから抗議なさってもよろしいのではありませんか?」

「……分かりましたわ」

「ではカーラ様、参りましょう」

シェイファー夫人にお願いして部屋とメイドを借りた。

「シモン様はお元気かしら」

「はい。伯爵家の仕事に真摯に取り組んでおります」

「セリーナ様は少し変わられましたわね」

「そうですか?」

「以前はパトリシア様を避けていた気がして」

「それは私が未熟だったからです。
パトリシア様を知ろうとしなかった。不器用さに隠れたパトリシア様の良さが分からなかったのです」

「……」

「どうですか?ドレスの色が変わっただけでこんなに違います。

着て来られたドレスは確かに素敵で高価なドレスですが、カーラ様の美しさの足を引っ張っておりました。このドレスはどなたが選んだのですか?」

「叔母の嫁ぎ先が経営している仕立て屋です」

「私もはっきり申し上げます。
店を変えるか、デザイン画を持ち込んで色まで指定して作らせるかなさった方がよろしいと思います。

パトリシア義姉様は言葉選びが得意ではないのは私も分かります。多分緊張しているのですわ。
そして放っておけない親切な人なのです。

一緒に居られたご友人方はカーラ様のドレスが似合っていると思ってあのように仰るのでしょうか。それとも似合っていないと思っていながらカーラ様に助言なさらないのかしら。

カーラ様にとって有益なのは はたしてどちらでしょうか」

「……」

「私は今まで、パトリシア様の不器用な善意に気が付かずに疎んでしまいました。今日は私の誤ちを正しに来たのです」

「私には似合っていないわね、そっちのドレス」

「はい。二十年後には似合うかもしれません」

「フフッ、そんなに置いておけないわ。デザインにも流行がありますもの」

「先週はエリン様という方に義姉は何を言ったのでしょうか」

「“においがキツイ”って仰ったの」

「もしかして香水を付け過ぎたのでは?
夜会ならともかく、お茶会に香水の付け過ぎは問題ですわね。

折角主催者が茶葉を厳選してお出ししているのに香水をプンプン匂わせていたら台無しですわ。
寧ろその方がマナー違反だと思います」

「確かに」

「もし誰も何も指摘せずエリン様が繰り返していたら、もう呼ばないと仰る主催者も出てくるでしょう。私が主催者なら呼びたくありませんから。

だからパトリシア義姉様は、エリン様の為に申し上げたのではありませんか?」

「……」

「言葉選びで損をしておりますわね。

人見知りのくせに頑張って社交に顔を出すのはカーラファルド家の役に立とうと必死なのです。
大目に見てくださいませんか」

「セリーナ様、戻りましょうか」


ドレスを交換してパトリシア様達の元へ戻るとカーラ様はパトリシア様の手を取って謝った。

「パトリシア様、貴女の仰る通り似合っておりませんでしたわ。教えてくださりありがとうございます。

ですが、“似合わない”ではなくて、“今着ているドレスも素敵だけど別の色のドレスの方がより美しさを引き立てる”という言い方の方が棘がありませんわ。具体的な色を言葉にするといいかもしれませんわね。

贈り物の場合は控えた方がいい話題ですから、先に“その素敵なドレスはどちらで?”と伺えば、贈り物かどうかが分かります。
贈り物の場合は似合う似合わないの問題ではなく気持ちの問題ですから、“素敵な贈り物ですわね”とか、“羨ましいですわ”とか言うだけに止めた方がよろしいですわ」

「仰る通りです。カーラ様、不快にさせてしまい申し訳ございません。
つい、カーラ様の美しさを曇らせていると思ったら放っておけませんでした。

口下手が直らなくて」

「セリーナ様がパトリシア様の思考を通訳してくださいましたわ。良い義妹様がおられて羨ましいですわ」

「セリーナ様が……」

「カーラ様、私が良い義姉に恵まれたのです」

「今日、この場から改めて仲良くしましょう、パトリシア様、セリーナ様」

「是非お願いしますわ」

「私もよろしくお願いします」




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