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2度目
隠し事
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高級オーダー馬車を数台納めると、次々と注文が舞い込んだ。
グラシアン様とエレノア様がちょっとした外出にも乗ってくださって、王宮では要人の一時外出などに使ってくださったおかげで他国からも引き合いがきた。
背もたれの角度が変えられ、脚置きも付いている リクライニングチェアのような仕様や収納式ミニテーブルなど商品登録をした。
そして賊対策の仕掛けも登録した。いずれの馬車にも当社の社紋を刻み、正規品とした。
車体の裏に仕様書と同じ番号を刻み、偽造馬車を判別できるようにした。
「ねえ、セリーナ。アレいいな。ドアのところから剣を突き刺させるやつ。私専用の馬車作ってよ」
「フレデリクは後回しよ。今私の馬車を仕上げてるところなんだから」
「フレデリク殿下、かなりの台数の注文があって多分、今から受けても来年中に納められるかどうかわかりません」
「ええ~。
じゃあ、イザベラの馬車をいじって私に納めてくれよ」
「ちょっと!」
「イザベラの物は私の物だから」
「そんなわけないでしょう!」
「フレデリクとイザベラ嬢は何かあった?」
「無い無い無いです!」
「どうだったかなぁ」
イザベラ。それ、白状してるのと同じよ。
あのキスから二人は変わった。
イザベラはフレデリク殿下がいると緊張感が抜けない。フレデリク殿下はイザベラを愛おしそうに見つめる。
頑張って!フレデリク殿下!
「それでイザベラは夏季休暇はどうするんだ?」
「領地に行くところなんだけど、セリーナと会えなくなるのは嫌だなぁ。
ねえ、セリーナ。シオーヌ領に一緒に行かない?」
「駄目だ」
「ジュスト殿下、酷いですわ」
「私も領地に少しは顔を出さないと。シオーヌ領はカークファルドと同じ方角じゃないから…どうだろう」
「そのための高級馬車じゃない。長旅も普通の馬車より快適よ」
でもジュスト様がいるからな。シオーヌ領に連れて行けないし。
「ごめんね イザベラ」
「イザベラは王都にいなよ」
「なんでよ」
「私が王都に居るから」
「ジュスト殿下はカークファルド領に行くのですか」
イザベラ…フレデリク殿下を無視しないで。
「もちろん。叔母上にも会いたいから行くよ」
夏季休暇の半分ほどを領地で過ごしたが、全部仕事に費やした。シモン兄様は大丈夫と言うけど事業を万全にしたかった。
各工房に行って経過や問題、製品の提案を聞いて回った。馬車事業に携わる者には 馬車の売り上げに応じて別途お金を渡している。
その代わり、問題行動が改善されなかったり怠けていたりすると馬車事業から外した。
ジュスト様には退屈な休暇となったのではないかと思ったけど、お母様と仲良くおしゃべりしていた。
シモン兄様はちょっと警戒気味だ。
王都に戻るとフレデリク殿下が隙を見て会いに来る。
「セリーナ。巻き戻り前のイザベラの夫は誰だ?」
「男性です」
「何で教えてくれないんだよ」
「殿下もご存知です」
「イザベラは政略結婚だった?」
「そんな事を聞いていないでイザベラを口説いたらどうですか」
「イザベラが避けるんだよ」
「二人きりの時間を作って真剣に思いを伝えたらどうですか。揶揄ってばかりいたらイザベラは困惑します」
「長いこと幼馴染だったから難しいんだよ」
「令嬢の扱いに長けた方がこのお城にはたくさんいらっしゃるんじゃないですか。少し聞いて回って参考になさったらどうです」
「噂が立っちゃうよ。女の口説き方を教わりに来る王子って」
その日の夜
「酷いな セリーナ。俺が令嬢を口説くわけがないじゃないか」
ジュスト様に聞いてみたけど非難の目を向けられた。
「モテるだろうなって」
「で、フレデリクと二人きりで話してたんだ」
「セリーナとは親友だよ」
「親友?」
だいぶ昇格したのね。
「本当は側近にしたいんだけど、王子の側近は男しかなれないんだ」
そっちの親友ね。
「その書類は?」
「仕事の書類を手にしていただけだよ」
「ジュスト様、警戒するのはレミ・レイノルズに関してだけにしてください」
「そうだよ。私は無害だよ」
フレデリク様は巻き戻り前に知った未来に関する情報とイザベラのことが知りたいだけなのに。
「……」
【 ジュストの視点 】
片思いなのは知っていた。
幼い時は、彼女の幼さを理由に何も思わなかった。
だが今は違う。
セリーナに求婚を続ける伯爵令息は 学園ですれ違ったがかなりの美男子だった。
あそこまではグリーンデサントでもいない。
女生徒は彼の美しさに陶酔する者が多い。
セリーナはこの美男子を嫌だと言う。
具体的な理由を聞いても嫌だとしか言わないし、フレデリクもイザベラ嬢もカークファルド家も国王陛下でさえもセリーナの支持をする。
何か決定的な理由があって、それを私だけ知らないのだと勘付いた。
だが問い詰めようとするとセリーナが離れようとするので聞けなくなった。
そしてフレデリクだ。
近い。
イザベラ嬢と進展する雰囲気を出してはいるが、彼は何かとセリーナの部屋を訪ねる。
そして二人ははぐらかす。
セリーナを娶りたいとか?
いや、そうだとしたら 私の気持ちを知っていて同じ宮に滞在させるなどしないだろう。いったい何なんだ。
「フレデリク、セリーナと何を話しているんだ」
「イザベラやレイノルズやシモン殿の事業のことだよ」
「毎回?」
「そうだね」
「どうして教えてくれない」
「セリーナとどうこうなろうとはしていないから安心して欲しい。
話せないことがあるならば、答えられない事だからだよ」
それを聞きたいのに。
グラシアン様とエレノア様がちょっとした外出にも乗ってくださって、王宮では要人の一時外出などに使ってくださったおかげで他国からも引き合いがきた。
背もたれの角度が変えられ、脚置きも付いている リクライニングチェアのような仕様や収納式ミニテーブルなど商品登録をした。
そして賊対策の仕掛けも登録した。いずれの馬車にも当社の社紋を刻み、正規品とした。
車体の裏に仕様書と同じ番号を刻み、偽造馬車を判別できるようにした。
「ねえ、セリーナ。アレいいな。ドアのところから剣を突き刺させるやつ。私専用の馬車作ってよ」
「フレデリクは後回しよ。今私の馬車を仕上げてるところなんだから」
「フレデリク殿下、かなりの台数の注文があって多分、今から受けても来年中に納められるかどうかわかりません」
「ええ~。
じゃあ、イザベラの馬車をいじって私に納めてくれよ」
「ちょっと!」
「イザベラの物は私の物だから」
「そんなわけないでしょう!」
「フレデリクとイザベラ嬢は何かあった?」
「無い無い無いです!」
「どうだったかなぁ」
イザベラ。それ、白状してるのと同じよ。
あのキスから二人は変わった。
イザベラはフレデリク殿下がいると緊張感が抜けない。フレデリク殿下はイザベラを愛おしそうに見つめる。
頑張って!フレデリク殿下!
「それでイザベラは夏季休暇はどうするんだ?」
「領地に行くところなんだけど、セリーナと会えなくなるのは嫌だなぁ。
ねえ、セリーナ。シオーヌ領に一緒に行かない?」
「駄目だ」
「ジュスト殿下、酷いですわ」
「私も領地に少しは顔を出さないと。シオーヌ領はカークファルドと同じ方角じゃないから…どうだろう」
「そのための高級馬車じゃない。長旅も普通の馬車より快適よ」
でもジュスト様がいるからな。シオーヌ領に連れて行けないし。
「ごめんね イザベラ」
「イザベラは王都にいなよ」
「なんでよ」
「私が王都に居るから」
「ジュスト殿下はカークファルド領に行くのですか」
イザベラ…フレデリク殿下を無視しないで。
「もちろん。叔母上にも会いたいから行くよ」
夏季休暇の半分ほどを領地で過ごしたが、全部仕事に費やした。シモン兄様は大丈夫と言うけど事業を万全にしたかった。
各工房に行って経過や問題、製品の提案を聞いて回った。馬車事業に携わる者には 馬車の売り上げに応じて別途お金を渡している。
その代わり、問題行動が改善されなかったり怠けていたりすると馬車事業から外した。
ジュスト様には退屈な休暇となったのではないかと思ったけど、お母様と仲良くおしゃべりしていた。
シモン兄様はちょっと警戒気味だ。
王都に戻るとフレデリク殿下が隙を見て会いに来る。
「セリーナ。巻き戻り前のイザベラの夫は誰だ?」
「男性です」
「何で教えてくれないんだよ」
「殿下もご存知です」
「イザベラは政略結婚だった?」
「そんな事を聞いていないでイザベラを口説いたらどうですか」
「イザベラが避けるんだよ」
「二人きりの時間を作って真剣に思いを伝えたらどうですか。揶揄ってばかりいたらイザベラは困惑します」
「長いこと幼馴染だったから難しいんだよ」
「令嬢の扱いに長けた方がこのお城にはたくさんいらっしゃるんじゃないですか。少し聞いて回って参考になさったらどうです」
「噂が立っちゃうよ。女の口説き方を教わりに来る王子って」
その日の夜
「酷いな セリーナ。俺が令嬢を口説くわけがないじゃないか」
ジュスト様に聞いてみたけど非難の目を向けられた。
「モテるだろうなって」
「で、フレデリクと二人きりで話してたんだ」
「セリーナとは親友だよ」
「親友?」
だいぶ昇格したのね。
「本当は側近にしたいんだけど、王子の側近は男しかなれないんだ」
そっちの親友ね。
「その書類は?」
「仕事の書類を手にしていただけだよ」
「ジュスト様、警戒するのはレミ・レイノルズに関してだけにしてください」
「そうだよ。私は無害だよ」
フレデリク様は巻き戻り前に知った未来に関する情報とイザベラのことが知りたいだけなのに。
「……」
【 ジュストの視点 】
片思いなのは知っていた。
幼い時は、彼女の幼さを理由に何も思わなかった。
だが今は違う。
セリーナに求婚を続ける伯爵令息は 学園ですれ違ったがかなりの美男子だった。
あそこまではグリーンデサントでもいない。
女生徒は彼の美しさに陶酔する者が多い。
セリーナはこの美男子を嫌だと言う。
具体的な理由を聞いても嫌だとしか言わないし、フレデリクもイザベラ嬢もカークファルド家も国王陛下でさえもセリーナの支持をする。
何か決定的な理由があって、それを私だけ知らないのだと勘付いた。
だが問い詰めようとするとセリーナが離れようとするので聞けなくなった。
そしてフレデリクだ。
近い。
イザベラ嬢と進展する雰囲気を出してはいるが、彼は何かとセリーナの部屋を訪ねる。
そして二人ははぐらかす。
セリーナを娶りたいとか?
いや、そうだとしたら 私の気持ちを知っていて同じ宮に滞在させるなどしないだろう。いったい何なんだ。
「フレデリク、セリーナと何を話しているんだ」
「イザベラやレイノルズやシモン殿の事業のことだよ」
「毎回?」
「そうだね」
「どうして教えてくれない」
「セリーナとどうこうなろうとはしていないから安心して欲しい。
話せないことがあるならば、答えられない事だからだよ」
それを聞きたいのに。
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