【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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グリーンデサントの言い伝え

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ものすごく豪華な客室に案内された。

「うなされそう」

「ハハッ そのときは俺の部屋においで。突き当たりがそうだ。ノックせずに入ってベッドに潜り込んでいいからね」

「そんなことしません」

「でも抱っこはせがんだだろう」

「セリーナ?」

「寝ぼけててシモン兄様に言ったの。小さな頃の夢を見た後で、まだ半分夢の中にいたのです。
バラすなんて酷い!」

「可愛い セリーナ」

「誤魔化されませんからね」

ニコニコしちゃって。


荷解きをして、少し休んでから呼ばれた先は陛下のプライベートリビングルームだった。

「姉上!」

「ユルリッシュ」

国王陛下はお母様と抱き合った。

そして私を見るなり

「信じられん」

「娘のセリーナよ」

「セリーナ・カークファルドと申します。
国王陛下に、」

「叔父様と呼びなさい」

「…でも」

「お父様でもいいぞ」

「叔父様、はじめまして」

「妻のマルスリーヌだ」

「義姉様と姫様にご挨拶を申し上げます」


挨拶を済ませていき、早速陛下が、

「肖像画を描かせてくれないか」

と言った。嫌ですとは言えず了承した。


そしてお祖母様に会いに行った。

「母上、フィリシアと孫のセリーナですよ」

「フィリシア!」

「お母様」

お祖母様とお母様が抱き合って涙した。

そして

「セリーナ、私の可愛い孫娘ね。
何て美しいのかしら」

「初めまして、王太后陛下」

「お祖母様でいいのよ」

「はい、お祖母様」

「こんなに可愛い孫をジュストが独り占めにしていたのね、まったく」

「全然足りませんよ」

思ったよりお祖母様は元気そうに見えた。




【 ジュストの視点 】


ジュ「え? 余命は嘘!?」

フィリシア叔母上とセリーナは疲れているだろうと部屋食にした。

俺は報告ついでに家族と夕食をとっていた。

祖母「だって、あんな手紙を貰ったら…ねえ」

セリーナにフラれた後、お祖母様に手紙を出した。
俺がセリーナをいかに恋い慕っているかよく知るのはお祖母様だったから。

“フラれた”
“従兄としか見れないと言われた”
“もう死にたい”

他にもいろいろと情け無いことを書いた。

そして返信があった。

“余命宣告を受けたから、フィリシアや孫達に会いたいと言っていると伝えてちょうだい”


祖母「少しはチャンスができたでしょう」

エ「え? 兄上はセリーナ従姉ねえ様が好きなのですか!?」

祖母「そうよ。子供の頃からずっと好きなの。一途よね」

父「でも駄目だったんだろう?」

ア「え!? 兄様がフラれるなんてことがあるのですか」

母「仕方ないわよね」

ジュ「従兄以上には思えないらしいです」

エ「確かに少し似てますしね」

ア「彼女には恋人でも?」

祖母「婚約者も恋人もいないらしいけど、恋敵はいるみたいよ」

ア「まあ!」

エ「アストリ。面白がるなよ」

ア「え~」


父「しかし ジュストの嫁に迎えたいものだな」

母「断られたのですよね」

父「グリーンデザントにおいて、セリーナの価値は計り知れない」

エ「確かに完璧な翡翠の瞳でしたね」

父「……」

母「二、三日の滞在で帰国なさるのですよね」

父「後一年残っているのだろう。留学させられないのか」

ジュ「カークファルド家の事業にセリーナが欠かせないのです」

父「事業?」

ジュ「普通の馬車も扱っているのですが、大きな利益を得て順番待ちになっているのが オーダー品の高級馬車です。セリーナが客から話を聞き出して 客に合った特注の馬車を作り上げます。

それが評判で、もう六年待ちとも言われるようになりました」

父「シモンじゃ駄目なのか」

ジュ「何と言っていいか。

セリーナの視点が 使う側の視点で細かいのです。
よく話して、相手の情報を聞き出し、客に合ったものを作るので唯一無二になります。

シモン殿は一般的な馬車を中心として、セリーナの発想が実現できるかどうか判断して職人と擦り合わせます。
後は大人の男が喜ぶ馬車でしょうか」

ア「なんですか、それ」

エ「中で恋人や妻とイチャイチャするんだよ」

ア「っ!!」

エ「叔母上達と乗ってきた馬車がそうですか?
見せてもらえれば、」

ジュ「叔母上の馬車はまた特殊で、賊の襲撃や長距離移動に備えた馬車だ」

父「それは見てみたいな」

祖母「つまりはセリーナ無しでは高級馬車は難しいのね?」

母「その分 支援してこれ以上は止めさせれば」

ジュ「これはセリーナの生き甲斐にもなっています。

それに、受注時に全て決めてしまうのではなく、基礎の部分だけは先に聞いておいて、製作の順番が回ってきたときに詳細を話しながら詰めるのです。
待ち期間もありますから、その間に客の条件が変わっているかもしれないからと、そうしているそうです」

ア「条件って?」

ジュ「例えば、客が治らない怪我をしていたり、病気をしていたり、趣味を変えたり、環境を変えたりした場合だ。

脚が不自由かどうかでも違うし、腰痛を抱えているとか。

高級馬車だから一台しか買えない客もいる。
婚姻したり子ができたりしてるかもしれない。
一年後、六年後、時が経てば変わっていてもおかしくないだろう。

子供向けの高級馬車なんかは二、三回は買い換えるかもしれないしな。

もし抑えるなら今後の受注をストップさせるだけだから、セリーナの身が自由になるのは7年後とか8年後だろう」

エ「今、学園に通っているのですよね」

ジュ「そうだよ。だから平日の放課後や休日に何件か面会を入れて仕様書を作るんだ。それに加えて社交も少しあるから多忙だよ。

セリーナは疲れが溜まると熱を出すらしいから強制的に休ませることも必要なんだ」

父「受注済みの客がセントフィールドにいる以上は難しいのだろうな」




食事の後、父上の執務室へやってきた。
もう真っ暗で、ランプの灯りを頼りにソファに座った。

二人きりでこんな夜に執務室だなんて。

「ジュスト。国王にだけ知らされる言い伝えがある。他言しないように」

「はい」

「翡翠の瞳については誰もが知っているが、あの髪の色にも言い伝えがある。

赤い髪は 戦いの神の加護を授かった者を指す。

“赤き鳳凰の如く髪を靡かせるとき戦神が舞い降りる”
と伝え聞いている。

グリーンデザントが周辺国の半分以上と戦争して支配下に収めた時の軍神 第四王子ヴァンサンの愛人の髪の色が赤に近いと記されていた。

ヴァンサンの妻は隣国の第三王女で政略結婚だった。文句を言わないことを条件に娶った妻だった。

婚姻後、軍を率いて国内の統治に出向いた先で見つけたのがニコレットだ。平民だったがヴァンサンが口説き落として連れ帰った。
愛人としてでしか囲うことができなかった。

だが、妻は不満だった。暮らしは勿論妻の方が優遇されているし社交も出るなら妻を連れ添った。ちゃんと決められた閨もあった。
だけどやはり愛があるか無いかではヴァンサンの態度が違った。

ニコレットには常に甘いヴァンサンに耐え切れず、ニコレットを突き落とし大怪我をさせた。彼女は二度と歩くことができなくなった。
彼女がいつもせがむのはヴァンサンとの散歩だ。
もう歩けないと知るとニコレットは悲観に暮れた。

ヴァンサンは手始めに妻の祖国を灰にした。
その勢いのまま、周辺国のを攻め落とし支配下においた。

一部の国は姉妹が嫁いでいたので攻めなかった。

最終的に妻の両脚を斬り落とした。
治療はしたが痛み止めは与えなかった。治療中もずっと。結局死んだ。

当時の国王の手記には言い伝えを軽視するなと忠告が記されている。


この言い伝えを知られたらセリーナを手に入れようとする者も現れるだろう」

「つまりセリーナの側に戦いに秀でた男が現れるということですか」

「さあ。実際に剣を握る者なのか、支配する力がある者なのか。

ジュスト、お前だってそうだろう。
軍を率いて攻め滅ぼすことは可能だ」

俺は巻き戻り前はセントフィールドを滅ぼさなかった。

それはセリーナの兄や故郷があったからだろうか。
それとヴァンサンとニコレットとは違い、セリーナとの関係が従兄妹のままだったからだろうか。

愛を囁き合い 体を繋げていたら…狂っていただろうな。

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