【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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帰国

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お祖母様のサロンで朝食をとっていた。
母が懐かしがってリクエストをしたのだ。

母「そろそろ帰国します」

ジュ「いつですか」

母「明日か、明後日か」

王「もっとゆっくりすればいいじゃないですか」

母「仕事もあるし、セリーナは学園もあるし」

ジュ「あと1週間猶予があります」

母「帰って直ぐ学園となるとセリーナが体調を崩しかねないわ」

私「また夏の長期休暇に来ます」

ジュ「本当か?」

私「正確にはジクトリクス家に行くためですけど」

ジュ「つまり王城ここには滞在しないと?」

母「今回の滞在させてもらったばかりだから。
宿に泊まるのも楽しいと思うの。2、3日はジクトリクス邸に泊まると思うけど」

祖母「酷いわ。私達と過ごしてくれないの?」

王「そうですよ、姉上」

王妃「夏ならお祖母様の誕生日がありますわ」

祖母「拠点は王城ここね」

母「分かりましたわ」


自由に動きたかったのだけど、お祖母様の誕生日があるなら素通りできないわね。

馬車の打合せを前倒ししないと。

今回のロス分と夏休みの分をなんとかしなくては。

食後にレニー様から面会依頼の手紙を貰ったけど断った。少しでも仕事を進めたかったし 近付き過ぎないようにしたかった。



お別れの時、ジュスト様の悲しそうな顔が私の胸を掴む。

どうやら私は彼のこの表情に弱いらしい。

「ジュスト様、留学に来てくださってありがとうございました。どれだけ心強かったことか。
いつかご恩を返せるように頑張ります」

「セリーナ…離れたくない」

「ジュスト様」

「さあ、セリーナ。行きましょう」


馬車に乗り馬が走り出す。

姿が見えなくなるまでジュスト様はずっと見送ってくれた。





領地に着くとお兄様がいて、早速ジクトリクス夫人の話をした。

夫人の寸法や、椅子の角度などを報告して 書き上げた図案を渡した。

「私の枠を使って仕上げて欲しいのです」

私の遠乗り馬車に取り掛かり始めた頃だった。

「キャンセルが出るまでセリーナの分がストップするぞ」

「構いません。あと夏休みに納品しに行きますのでそれまでに仕上げてもらいたいのです」

「保証は無いよ」

「はい」

「だが、これを気に入ってもらえれば車椅子を使う貴族から注文が来るな。

古い車椅子を手に入れて解体して仕組みを見よう」

「ありがとうございます」

「疲れていないか?」

「大丈夫です。今回の分を取り返し 夏の分を少しでも前倒しできるよう頑張ってみます」

「熱を出さないよう気をつけるんだぞ」

「はい。社交は極力出ないことにします」


夏休みまで4ヶ月。頑張らないと。



王都に戻り、会えるお客様に会って打合せをした。

1日5、6件。ハイペースだ。

戻ってから2日後の夜にフレデリク殿下が変装してやって来た。

「ごめん。来れないって言うから来ちゃったよ」

「お食事は?」

「済ませたよ」

「お茶を用意させますね」

「すまないね」

ドサッ

「……殿下?」

「勿論分かるものだけでいいから」

「それは当たり前です。

普通は“一件だけ教えて”と言うところです」

「頼むよ。将来の貸しだと思って」

「仕方ないですね」

殿下が持って来た案件に覚えがあれば答えていった。

「お休み中はイザベラと会ったのですか」

「会ったけど すばしっこいんだ。直ぐ逃げちゃうんだよ」

何から逃げるのかは聞かない方がいいのよね…。

「シオーヌ領に行ったのでしょうか」

「行ってるな」

「そうですか。

これは引退した父親の仕業です。爵位を継いだ息子は知りません」

「息子は無罪か」

「どうしてかは分かりませんが息子の妻が追って捕まりました」

「息子の妻が?……調べさせるよ」

「あ、これ、冤罪ですよ」

「侯爵令嬢の婚約破棄?」

伯爵令息こんやくしゃが心を寄せている令嬢を 侯爵令嬢が虐めたことになって破棄されましたが2年くらい経って冤罪だったと証言する者が現れました」

「誰?」

「虐めていたのを見たと証言した内の一人が社交場で酔って口を滑らせて瞬く間に広まりました。
“嘘の証言を頼まれた”と。
見返があったらしいですが詳しくは分かりません。
レイノルズ夫人がお客様と庭園でお話しされているのが聞こえて来ました」

「では、破棄の書類は保留にして調査を入れよう」

「相手の方と浮気相手にしっかりと罰を与えてくださいね」

「見せしめにするよ」

「楽しみにしておりますわ」



数日後、山のようにお土産を買って来たイザベラが訪問して来た。

「ごめんなさい イザベラ。あまりお土産買ってなくて」

「セリーナは観光に行ったわけでもないし、私達が買い過ぎなのは分かっているから気にしないで」

「グラシアン様は?」

「溜まった仕事を片付けているわ」

「公爵様だものね」

「夏休みはたくさん遊べるわよね?」

「仕事でグリーンデサントに行くの」

「ええ~!」

「イザベラだって妃教育が始まるんじゃないの?」

「卒業してからになったわ」

まあ、公爵家のイザベラなら教師も優秀な方を付けてもらっただろうから問題なく習得するかもしれないわね。

「そうなのね」

「ねえ。グリーンデサントに一緒に行っちゃ駄目なの?」

「それが滞在がお城になるみたい。

母の親孝行、私のお祖母様孝行ってところかしら。
母は20年以上里帰りしていなかったから。
今回 とても喜んでおられたわ」

「それは寂しい思いをなさったでしょうね。
でもお兄様が聞いたら泣いちゃうわ」

「それでね、今回休んだ分と夏休みの分を頑張らなくちゃいけないの」

「まさか……仕事に明け暮れて私のことを放置するつもりなのね」

旦那様に構ってもらえない妻みたいね。

「殿下とデートすればいいじゃない。

テオドールに会いたいわ。元気にしてる?」

「領地の子供達と元気に遊んでいたけど、セリーナを恋しがっていたわ。

シオーヌ家の3人を虜にしておいて構ってくれないだなんて酷いわ」

「水曜日は行くわよ」

「それ一昨日じゃない」

「学園が始まってからのことよ」

「明日は、」

「明日から仕事が詰まってるの」

「酷い……」

「どうしてテオドールを連れて来なかったの?」

「お母様がお茶会に連れて行ったわ」

「心配だわ」

「心配よね」

「お邪魔しようかしら」

「うちに来る!? 来るのね!!お泊まりね!!」

「明日仕事だから」

「とにかく行きましょう」









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