205 / 215
続編:ヒューゴの結婚
影のゆらめき(アマンダ)
しおりを挟む
急遽呼び出しを受けたヒューゴ様が何処かへ向かった。一部の者にしか知らされていない何かがあるらしいが、私は教えてもらえていない。
「いまだに受け入れ難いのです。誰もがヒューゴ様の妻となる女性は優れた剣の使い手なり弓の使い手なり、もしくはナイフを自由自在に扱う手練だろうと言っていたのに、芯が強いとかそんな程度の令嬢が相手だなんて」
使われていない部屋にお兄様を呼び出して、協力を得ようとした。
「全員がどう思おうと関係ない。ヒューゴ様本人がお認めになればそれが全てだ。我々はそれに従い敬意を払うべきだ」
「お兄様!」
「ヒューゴ様のお気持ちは本物だ。もう諦めなさい。クリスティーナ様を傷付ければ命という代償を支払うことになる。既に2度黒鷹を動かしているんだ」
「黒鷹を!?」
黒鷹はジオ軍の中の暗殺部門だ。少数精鋭で謎が多い。
ヒューゴ様はあの女のために黒鷹を動かしたというの!?そんなに大事!?
「クリスティーナ様がいなかったとしてもおまえは選ばれない。ヒューゴ様が令嬢と出会う前にフラれていることを忘れたのか?」
「私はお兄様の妹ですよ、味方をしてくださってもいいではありませんか!」
「私はメルノス伯爵家という家門を守り、妻と子を守り、ジオ公爵家に忠誠を誓う者であって、妹とはいえいつまでも妄想や夢から目覚めない愚か者に手を貸すつもりはない」
「お兄様っ!」
「おまえが何か愚かな真似をしたときは、真っ先に私がおまえを始末するぞ、アマンダ。それがメルノス家を守る唯一の方法になるからだ」
ヒューゴ様が不在のわずかな間に人を雇うことは叶わない。だからお兄様に協力してもらおうと思ったのに、逆に問題を起こせば私を殺すと言われてしまった。
攫うのは無理、他の男達に汚させるのも無理。なら殺す?
私はどうしてもあの女が悲観する顔が見たいし無様に捨てられる姿が見たい。だとしたら顔に傷を負わす?階段から突き落として不自由な体にする?婚姻後ならまだしも、婚前なら解消するはず。
でもやっぱり体が不自由なくらいじゃ愛人として残すかもしれない。夜の相手だけはできるもの。
馬を走らせ森へ行き、光毒性物質を持つ植物の樹液を採取した。後はエキスを彼女が使う物に垂らせばいいだけ。
顔に付ける物がいいわ。あの女の店の化粧水とか。
重度の火傷を負い、場合によっては失明してしまう。
見つけたら報告しなくてはならない有毒植物を偶然見つけたけど、もしものためにずっと黙っていた。植物や毒に詳しい人なら気付くかもしれない僅かな匂いにあの女はきっと気が付かないはず。
あの女が食事をしている隙に部屋に入り混ぜた。
ロビンス卿と一緒に夜勤を始め、就寝時間には廊下に立った。何の反応もないが間違いなく使ったはず。朝にならないと駄目なの?
期待と不安が入り混じり、もうすぐ夜明けという頃に数人の足音が近付いてきた。ヒューゴ様だ。ロック卿達も一緒だった。
ドアの正面ではなく私の前に立ちヒューゴ様に見つめられた。わずかな廊下灯に反応してオレンジ色の瞳が光る。
「キャス、メア」
彼が名を呼ぶと突然私の横に2人現れた。服の色と雰囲気から黒鷹だと察した。
「やっ!何!?」
1人が私の両腕を後ろに捻り拘束具をつけた。
「クリスティーナが起きるだろう、静かにしろ。離れに連れて行け」
多分彼の言う離れは、疑わしい者も有罪が確定している者も閉じ込めておく独房があり拷問を行う部屋もある場所のことだ。
「ヒューゴ様っ、んんっ!!」
口に布を詰め込まれて持ち上げられ連れて行かれた。
到着した離れに血の気が引く。しかもこの部屋は拷問部屋だろう。石造りの壁には鎖枷が5つ取り付けられている。配置からすると手足と首だろう。
「繋げ」
5つの鎖枷を嵌められ、鎖を引かれ長さを調整されると壁に磔にされた。そして口の布が外された。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「アマンダ、理由を知りたい。メルノス伯爵夫妻に娘の愚行の理由を告げなくてはならないからな」
「な、何のことか」
「クリスティーナには黒鷹を付けて警護させていた。だからおまえが何かを彼女の化粧品に混ぜている姿も見届けている。おまえが彼女の部屋を出た後、回収したのがコレだ」
黒鷹の1人が瓶を見せた。
私を泳がせていたの!?怪しんでいたの!?
「俺が戻って来てからは彼から報告を受けた」
ヒューゴ様が手をあげると、お兄様が入室した。
「お、お兄様!?」
「彼から、妹がクリスティーナに何かしそうだと報告を受けた。おまえを捕らえる10分前のことだ」
「私は妹なのですよ!」
「忠告したはずだ。私はメルノス伯爵家を守ると」
「未遂ということと、申告に免じて連座はしない」
「感謝します」
「だが、コレを妹の顔に塗れ。それで終わりだ」
お兄様が手袋を受け取ると手にはめ、瓶を受け取り筆を浸した。
「嫌……お願い、お兄様」
「クリスティーナ様にしたことを自分で証明しろ。何も起きなければクビになるだけで済むだろう」
「嫌!!」
「暴れると口の中に入るぞ」
顔中に塗られてしまった。だんだんヒリついてくる。
この部屋は不快な匂いと外の匂いがする。
何十人、何百人と此処で拷問を受け、涙を流し粗相をし、涎を垂らし血を流したのだろう。時には死ぬまで放置されて酷い状態になったのだろう。落としきれない死臭もする。
鉄格子の付けられた大きな窓から朝日が差し込む。
ああ、何の毒かもバレてるのね。
「ギャアアアア!!」
燃えるように痛い!!顔が、鼻の中が、口の中が、目が!!
「コレを俺のクリスティーナに?」
「申し訳ございません」
「日が落ちたら妹を楽にしてやってもいいぞ。それまで此処で立ち会え」
「感謝します」
「キャスとメアは一緒に残れ、ロック行くぞ」
バタン
何時間経っただろうか。
叫び疲れて声が枯れた。喉も張り付くようにカラカラだった。もう視界はほぼ真っ白だ。
「お兄……さ」
「はぁ、まだ日が落ちるまで10時間以上はあるな」
え? まだ1時間程度しか経ってないの!?
「た……助けて」
「報告してなければメルノス伯爵家は全員殺されていた。忠告した後におまえはクリスティーナ様の持ち物に毒を仕込んだということは、家族を殺そうとしたことと同じなんだ。そうだろう?」
そんなつもりは
「ごめ…なさ……」
「おまえは5歳の甥と1歳の姪を処刑台に上がらせようとしたんだ。おまえの弟の嫁の腹にいる胎児を産まれる前に殺そうとしたんだ。父上も母上もおまえには甘かった。なんだかんだ言っても結局おまえの我儘を聞いてくれていたじゃないか。優しい2人も、祖父母もみんな処刑台に上がらせようとしたんだ。その報いを受け止めろ」
ごめんなさい……
少し経つと数人が入って来た。
「予定が変わった。卿は家に戻り伯爵夫妻に報告してくれ」
「はっ!失礼します」
ドアが閉まる音がするとヒューゴ様の声が近くなった。そして何かを塗られ目にや口の中にも流し込まれた。
「皮膚は治るだろうが目はどうなるかな」
治る!?毒で焼かれた顔が?
翌日にはぼんやりとはしているけど確実に視界が良くなっているし、顔も痛みが引いた。
ヒューゴ様達と医者?らしい姿の男が近寄ってきた。
「見えてますね」
「効き目がすごいな」
「投与が早かったからでしょう。完全に失明してからでは無理だと思います。深さのある刺し傷も眼球は難しいでしょう」
「そうか。枷を外せ」
助けてもらえるの?きっとお父様達が懇願してくれたのね。
「研究所へ移送してサブマ草の実験に使ってくれ。伯爵家には俺から伝える」
実験?
「ヒューゴ様、許してください。親戚ではありませんか」
声が出る!本当に治してくれたのね。
「俺の名を呼ぶな、虫唾が走る。アマンダ・メルノスは昨夕処刑された。代わりに被験体番号が与えられている」
「ヒューゴ様っ!」
「連れて行け」
「ヒューゴ様っ!!」
頭から頭巾を被せられ馬車で輸送された。
到着した先は自然豊かな場所に屋敷や施設が建てられていて、小さな町のようになっていた。
「ここは」
「ジオ領にある新薬開発施設だ。限られた者しか知らない。この新薬はセルヴィー伯爵家との共同研究だが、セルヴィー家無しには成し得なかった。死にかけの王族も救ったゆえに神薬とか聖薬と呼ばれている。その被験体に選ばれたことを光悦に思うんだな」
その言葉にわずかな希望が生まれた。だけど地獄の始まりだった。
刺されたり指を折られたりしては薬の効果を確認し、治ると舌を切り落とされ薬で止血され、熱湯で喉を焼かれ、火で喉を炙られ、歯を折られ、抜かれ、左耳を途中まで削がれ、右耳は切り落とされ、頭皮の半分は剥がされ、半分は焼かれ、爪を剥がされ、左の眼球を抜き取られ、乳房を切り落とされては薬を塗られた。
痛みを軽減させてなんてもらえない。拷問を続けながら治したり止血して生きている限り続けるつもりなのがわかる。殺して欲しいと懇願しようにももう言葉は発することができない。
あの日、日暮れとともにお兄様に殺されていれば良かった。
神薬?聖薬?
これは悪魔の薬よ。この世に存在してはいけない忌わしい薬。
「いまだに受け入れ難いのです。誰もがヒューゴ様の妻となる女性は優れた剣の使い手なり弓の使い手なり、もしくはナイフを自由自在に扱う手練だろうと言っていたのに、芯が強いとかそんな程度の令嬢が相手だなんて」
使われていない部屋にお兄様を呼び出して、協力を得ようとした。
「全員がどう思おうと関係ない。ヒューゴ様本人がお認めになればそれが全てだ。我々はそれに従い敬意を払うべきだ」
「お兄様!」
「ヒューゴ様のお気持ちは本物だ。もう諦めなさい。クリスティーナ様を傷付ければ命という代償を支払うことになる。既に2度黒鷹を動かしているんだ」
「黒鷹を!?」
黒鷹はジオ軍の中の暗殺部門だ。少数精鋭で謎が多い。
ヒューゴ様はあの女のために黒鷹を動かしたというの!?そんなに大事!?
「クリスティーナ様がいなかったとしてもおまえは選ばれない。ヒューゴ様が令嬢と出会う前にフラれていることを忘れたのか?」
「私はお兄様の妹ですよ、味方をしてくださってもいいではありませんか!」
「私はメルノス伯爵家という家門を守り、妻と子を守り、ジオ公爵家に忠誠を誓う者であって、妹とはいえいつまでも妄想や夢から目覚めない愚か者に手を貸すつもりはない」
「お兄様っ!」
「おまえが何か愚かな真似をしたときは、真っ先に私がおまえを始末するぞ、アマンダ。それがメルノス家を守る唯一の方法になるからだ」
ヒューゴ様が不在のわずかな間に人を雇うことは叶わない。だからお兄様に協力してもらおうと思ったのに、逆に問題を起こせば私を殺すと言われてしまった。
攫うのは無理、他の男達に汚させるのも無理。なら殺す?
私はどうしてもあの女が悲観する顔が見たいし無様に捨てられる姿が見たい。だとしたら顔に傷を負わす?階段から突き落として不自由な体にする?婚姻後ならまだしも、婚前なら解消するはず。
でもやっぱり体が不自由なくらいじゃ愛人として残すかもしれない。夜の相手だけはできるもの。
馬を走らせ森へ行き、光毒性物質を持つ植物の樹液を採取した。後はエキスを彼女が使う物に垂らせばいいだけ。
顔に付ける物がいいわ。あの女の店の化粧水とか。
重度の火傷を負い、場合によっては失明してしまう。
見つけたら報告しなくてはならない有毒植物を偶然見つけたけど、もしものためにずっと黙っていた。植物や毒に詳しい人なら気付くかもしれない僅かな匂いにあの女はきっと気が付かないはず。
あの女が食事をしている隙に部屋に入り混ぜた。
ロビンス卿と一緒に夜勤を始め、就寝時間には廊下に立った。何の反応もないが間違いなく使ったはず。朝にならないと駄目なの?
期待と不安が入り混じり、もうすぐ夜明けという頃に数人の足音が近付いてきた。ヒューゴ様だ。ロック卿達も一緒だった。
ドアの正面ではなく私の前に立ちヒューゴ様に見つめられた。わずかな廊下灯に反応してオレンジ色の瞳が光る。
「キャス、メア」
彼が名を呼ぶと突然私の横に2人現れた。服の色と雰囲気から黒鷹だと察した。
「やっ!何!?」
1人が私の両腕を後ろに捻り拘束具をつけた。
「クリスティーナが起きるだろう、静かにしろ。離れに連れて行け」
多分彼の言う離れは、疑わしい者も有罪が確定している者も閉じ込めておく独房があり拷問を行う部屋もある場所のことだ。
「ヒューゴ様っ、んんっ!!」
口に布を詰め込まれて持ち上げられ連れて行かれた。
到着した離れに血の気が引く。しかもこの部屋は拷問部屋だろう。石造りの壁には鎖枷が5つ取り付けられている。配置からすると手足と首だろう。
「繋げ」
5つの鎖枷を嵌められ、鎖を引かれ長さを調整されると壁に磔にされた。そして口の布が外された。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「アマンダ、理由を知りたい。メルノス伯爵夫妻に娘の愚行の理由を告げなくてはならないからな」
「な、何のことか」
「クリスティーナには黒鷹を付けて警護させていた。だからおまえが何かを彼女の化粧品に混ぜている姿も見届けている。おまえが彼女の部屋を出た後、回収したのがコレだ」
黒鷹の1人が瓶を見せた。
私を泳がせていたの!?怪しんでいたの!?
「俺が戻って来てからは彼から報告を受けた」
ヒューゴ様が手をあげると、お兄様が入室した。
「お、お兄様!?」
「彼から、妹がクリスティーナに何かしそうだと報告を受けた。おまえを捕らえる10分前のことだ」
「私は妹なのですよ!」
「忠告したはずだ。私はメルノス伯爵家を守ると」
「未遂ということと、申告に免じて連座はしない」
「感謝します」
「だが、コレを妹の顔に塗れ。それで終わりだ」
お兄様が手袋を受け取ると手にはめ、瓶を受け取り筆を浸した。
「嫌……お願い、お兄様」
「クリスティーナ様にしたことを自分で証明しろ。何も起きなければクビになるだけで済むだろう」
「嫌!!」
「暴れると口の中に入るぞ」
顔中に塗られてしまった。だんだんヒリついてくる。
この部屋は不快な匂いと外の匂いがする。
何十人、何百人と此処で拷問を受け、涙を流し粗相をし、涎を垂らし血を流したのだろう。時には死ぬまで放置されて酷い状態になったのだろう。落としきれない死臭もする。
鉄格子の付けられた大きな窓から朝日が差し込む。
ああ、何の毒かもバレてるのね。
「ギャアアアア!!」
燃えるように痛い!!顔が、鼻の中が、口の中が、目が!!
「コレを俺のクリスティーナに?」
「申し訳ございません」
「日が落ちたら妹を楽にしてやってもいいぞ。それまで此処で立ち会え」
「感謝します」
「キャスとメアは一緒に残れ、ロック行くぞ」
バタン
何時間経っただろうか。
叫び疲れて声が枯れた。喉も張り付くようにカラカラだった。もう視界はほぼ真っ白だ。
「お兄……さ」
「はぁ、まだ日が落ちるまで10時間以上はあるな」
え? まだ1時間程度しか経ってないの!?
「た……助けて」
「報告してなければメルノス伯爵家は全員殺されていた。忠告した後におまえはクリスティーナ様の持ち物に毒を仕込んだということは、家族を殺そうとしたことと同じなんだ。そうだろう?」
そんなつもりは
「ごめ…なさ……」
「おまえは5歳の甥と1歳の姪を処刑台に上がらせようとしたんだ。おまえの弟の嫁の腹にいる胎児を産まれる前に殺そうとしたんだ。父上も母上もおまえには甘かった。なんだかんだ言っても結局おまえの我儘を聞いてくれていたじゃないか。優しい2人も、祖父母もみんな処刑台に上がらせようとしたんだ。その報いを受け止めろ」
ごめんなさい……
少し経つと数人が入って来た。
「予定が変わった。卿は家に戻り伯爵夫妻に報告してくれ」
「はっ!失礼します」
ドアが閉まる音がするとヒューゴ様の声が近くなった。そして何かを塗られ目にや口の中にも流し込まれた。
「皮膚は治るだろうが目はどうなるかな」
治る!?毒で焼かれた顔が?
翌日にはぼんやりとはしているけど確実に視界が良くなっているし、顔も痛みが引いた。
ヒューゴ様達と医者?らしい姿の男が近寄ってきた。
「見えてますね」
「効き目がすごいな」
「投与が早かったからでしょう。完全に失明してからでは無理だと思います。深さのある刺し傷も眼球は難しいでしょう」
「そうか。枷を外せ」
助けてもらえるの?きっとお父様達が懇願してくれたのね。
「研究所へ移送してサブマ草の実験に使ってくれ。伯爵家には俺から伝える」
実験?
「ヒューゴ様、許してください。親戚ではありませんか」
声が出る!本当に治してくれたのね。
「俺の名を呼ぶな、虫唾が走る。アマンダ・メルノスは昨夕処刑された。代わりに被験体番号が与えられている」
「ヒューゴ様っ!」
「連れて行け」
「ヒューゴ様っ!!」
頭から頭巾を被せられ馬車で輸送された。
到着した先は自然豊かな場所に屋敷や施設が建てられていて、小さな町のようになっていた。
「ここは」
「ジオ領にある新薬開発施設だ。限られた者しか知らない。この新薬はセルヴィー伯爵家との共同研究だが、セルヴィー家無しには成し得なかった。死にかけの王族も救ったゆえに神薬とか聖薬と呼ばれている。その被験体に選ばれたことを光悦に思うんだな」
その言葉にわずかな希望が生まれた。だけど地獄の始まりだった。
刺されたり指を折られたりしては薬の効果を確認し、治ると舌を切り落とされ薬で止血され、熱湯で喉を焼かれ、火で喉を炙られ、歯を折られ、抜かれ、左耳を途中まで削がれ、右耳は切り落とされ、頭皮の半分は剥がされ、半分は焼かれ、爪を剥がされ、左の眼球を抜き取られ、乳房を切り落とされては薬を塗られた。
痛みを軽減させてなんてもらえない。拷問を続けながら治したり止血して生きている限り続けるつもりなのがわかる。殺して欲しいと懇願しようにももう言葉は発することができない。
あの日、日暮れとともにお兄様に殺されていれば良かった。
神薬?聖薬?
これは悪魔の薬よ。この世に存在してはいけない忌わしい薬。
1,652
あなたにおすすめの小説
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる