【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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妊娠は確定のようです

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卒業パーティのパートナーは父になった。

シャルル様は女性との噂が絶えず、ついに婚約者以外の令嬢を妊娠させた。その令嬢はシャルル様の婚約者である私のクラスメイトで卒業パーティに出席する。シャルル様は私のパートナーをする気でいて、ヒューゴ様も同じく私のパートナーとして出席を希望していた。
だけどこれ以上の混乱を避ける措置を学園がとった。ビクセン嬢も私もパートナーは父親。それ以外の出席は認めないと通達が届いた。学園長には謝罪された。私は悪くないから。でもそこでヒューゴ様をパートナーにすると問題が起こる可能性があるから我慢して欲しいと頼まれた。
まあ、私達の揉め事のために他の多くの卒業生の思い出を犠牲にするのもね。
そう思ってお父様のエスコートで会場に入ったのだけど、ちょっと雰囲気が微妙。理由はすぐ分かった。

「卒業してしまいますけど、今後ともよろしくお願いします」

ビクセン嬢があちらこちらに挨拶をして回っているからだ。膨らんだお腹を撫でながら。まるでヘインズ夫人にでもなったかのような振る舞いに感じる。それに普通のドレスを着て来れば制服とは違ってお腹の膨らみを誤魔化せたはずなのに、制服よりも目立つデザインのドレスをわざわざ選んだようだ。何ヶ月の膨らみなのかは分からないけど、便秘じゃないのは明らかだろう。

「クリスティーナ、あの娘なのだろう?排除するか?」

「一応彼女にもここにいる資格があります。大丈夫ですわ、お父様。私はエルザとジネットと思い出を作りに来たのです。特にエルザとはなかなか会えなくなりますから」

「分かった。では2人を探そう。警備が厳しくなっているからウィロウ嬢は第二王子殿下とご一緒されるかもしれないな」

最近第二王子殿下は他国へ出向いていた。間に合わないだろうし間に合っても疲れているだろうからとウィロウ侯爵をパートナーにすると言っていた。だけど警備を王宮兵団が引き継いでいるみたい。

「ティナ!」

「ジネット!」

お父様とモルゾン公子が挨拶をしている。その間にハグをしたジネットは私にモルゾン領への同行の話を始めていた。

「ねえ、いいでしょう?一緒に来てよ」

新店舗も出したし、サブマ草も気になるしなぁ。ビクセン嬢を見た後では楽しく出かけようという気分にはならないわ。

「でも…仕事もあるし」

「店につきっきりになる方がおかしいわ。従業員に任せることも必要よ。特別な商品のときだけで後は数ヶ月に一度見に行けば充分よ。
新商品はもう何度も出しているのだからお客様への対応も分かっているはずよ」

「確かにクリスティーナは店に対して過保護だな。平民のオーナーならそれでもいいだろうが、そろそろ貴族オーナーとして後ろに下がることも必要だ。
先に出している2店舗に関しては十分ベテランだ。そこから1人を子供向けの方へ派遣して補わせてもいいんだ。クリスティーナが離れられないほど今の従業員が不安ならクビにして新しく雇いなさい。他所の店の店員に比べて給金もいいのだから甘やかすことはない。このくらいは出来て当然という態度を示すべきだ。危機感を持たせることで気を引き締めさせることができるからな」

「…はい、お父様」

「ごめん、ティナ。こんなつもりで言ったんじゃなかったの」

「以前からやんわり言われていたことだから気にしないで」

「では、卒業後4日後モルゾン公爵領うちに遊びに来るということでいいんだね?」

「はい、ご迷惑でなければ」

「殿下とエルザ嬢の婚姻に合わせて帰ってこよう。時間が許せは伯爵もぜひいらしてください」

「ありがたいお話ですが2日後には戻りませんと息子が倒れてしまいます」

「セルヴィー家にはもう1人ご子息が必要のようですね」

「ちょっといろいろありまして」

ああ…全部私のせいだわ。
あの鳥の羽毛を使った布団で寝たいなんて言ったから、数が少ないのなら何で綺麗な鳥小屋で飼ってたくさん食べさせて増やさないの?なんて言ったから…。
蚕もお姫様のように暮らせば機嫌良く綺麗な糸を吐くかもよ?なんて言ったから、桑が好きなの?それしか食べないのに桑の葉にこだわらないの?同じリンゴという果物でも甘さも美味しさも違うのに?とか言ったから…。
化粧品も、綺麗になりたいのに肌に悪いものを使うのはおかしいなんて言ったから…。赤系だけなんておかしい、使ったことのない植物も古代の洗料も調べてみるべきなんて言ったから…。
今回もサブマ草なんか見つけちゃったから…。お父様やお兄様達の仕事が増える元凶はいつも私。


一気に会場が静まり返った。第二王子殿下がエルザのパートナーだった。殿下は近寄る貴族達に“おめでとう”とだけ言ってエルザをエスコートして私達の元へいらした。

「おめでとう、エルザ嬢、クリスティーナ嬢」

「殿下、ありがとうございます。エルザ、おめでとう」

「ありがとう。ジネットもおめでとう」

「殿下、ありがとうございます。エルザ、綺麗よ」

「ありがとう。ティナも綺麗よ」

「クリスティーナとモルゾン領に行くことになったの。結婚式の前には帰ってくるわ」

「羨ましいわ」

卒業後から式までエルザは多忙を極めるから私達が王都にいても会える可能性はすごく低い。

「ところで、あれわざとよね」

エルザの視線の先にはビクセン嬢がいた。ドレスのことを言っているのだろう。

「たぶんね」

「確定でいいのかしら」

「そのようね」

「まったく…ヘインズはとんでもない女に引っかかったものだ」

卒業パーティの後は彼女のお腹の噂でもちきりになるだろう。モルゾン領に行くことで避難になるかもしれない。
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