【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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「お嬢様、お手紙が届きました」

「ありがとう」

すぐに分かった。ジオ家がいつも使う封筒に、ジオ家の蝋印。送り主は“君のヒューゴより”と書いてある。

中を開けると建築部分は完成して内装の仕上げの段階で、同時にサブマ草も進めていると書いてある。
その後にはいかに淋しく思っているか、どれだけ会いたいかが書かれていた。
そしてお父様と仲良く頑張っているみたい。
“義父上は厳しく頼りになる方だね。義父上の合格をもらっている義兄上もすごい人だと思うよ”
私と違ってお兄様は幼い頃から後継者教育を受けていた。歳が離れていなければ自由に暮らしている私なんて恨まれていたかもしれない。

お返事にジョアンさんの絵のことを詳しく書いた。もしかしたらジオ領で絵が描けるかもしれないもの。


昼にはアフレックとサリーが来て食事をしながら話をした。

「え?サリーは行ったのか?」

「はい。絵の中のをなかなか見つけられなくて、あまりに1点目から進めないことを不憫に思ったのか係の方が教えてくださいましたわ」

なるほどね。流れてくれないと困っちゃうものね。

「クリスティーナが関わっていると知っていたら行ったのに」

「好みがあるからそういう知らせ方はしなかったの。私のお店に告知を貼り出して宣伝したくらいかしら」

「サリーはどうやって知ったんだ?」

「クリスティーナのお店に行った友人が誘ってくださいましたの」

「もうやってないのか?」

「そうなの。元々の別の展示の予定があって、そちらを優先させるから一旦終わりにしたの」

「残念だな」

「まだ未定だけどまた機会はあるわ」

「そうか。そのときは教えて欲しいな」

「では主催者のテイラーさんに伝えておくわね。あれはセルヴィーとしては関与のないことだから」

「だったら何故クリスティーナの店で宣伝を?」

事情を説明した。

「素敵!あの絵の場所にデートに行ったのね!」

「ええ、楽しかったわ」

「クリスティーナは婚約者とは距離を置いていたように思えていたんだけど」

「飼い猫が亡くなって落ち込んでいたから気を遣ってくれたの。シャルル様も動物が好きみたい」

「クリスティーナはこのまま彼と結婚するのか?」

「契約だもの、多分そうなると思う」

「乗り気ではないんだね?」

「あれだけ酷い扱いをされていたし、ヒューゴ様の存在もあるし。でも最近は好きになったときの彼が垣間見えて…自分の気持ちがはっきりしないの」

「式の日程は決まってるの?」

「父が長期不在だから先延ばしにしているわ。このままだと来年中には嫁ぐことになりそう」

「もし、クリスティーナが断りたいのなら、」

「アフレック様」

「何?」

「悩んでいるクリスティーナにあまりあれこれ言うのは良くありません。私達が知らないいろいろな事があるはずです。それを踏まえて悩んでいるのですから見守りましょう。クリスティーナ自ら話題にしたときか助けを求めたときに側にいればいいのです。第三者のは今は必要ありませんわ」

「だけど」

「アフレック、心配してくれてありがとう。だけどサリーの意見に賛成だわ。政略結婚の色が濃くなってしまったし、父を交えないと何も決められないの。後悔しても自分で決めて後悔する方がいいわ」

「分かった」

「ごめんね」

「クリスティーナが謝ることはないよ」

それより2人の式はいつなの?と聞きたかったけど、この2人の微妙な雰囲気に立ち入る勇気はなかった。



2日後。

遅くなっちゃった。エルザったら結婚してからちょっと執着が出てきてしまった。しかも私なんかに。殿下は王子の微笑みを苦笑いに変えてしまったし。まだ帰らないでと言われること4回目で逃れてきた。一度屋敷に戻り慌てて着替えてタリー伯爵邸に向かった。もうパーティが始まって1時間が経とうとしている。

到着して会場に案内してもらうとタリー夫人が迎えてくださった。

「まあ、セルヴィー嬢に来ていただけて嬉しいですわ」

「遅れまして大変失礼をいたしました」

タリー伯爵夫人とは昔お会いしたことがあった。

「王子妃様に呼ばれては仕方ありませんわ。シャルル様はあちらの休憩室で友人の令息方と集まっていますわ」

「声をかけてみます」

「案内を」

「1人で大丈夫ですわ」

「あ、クリスティーナ」

「サリー」

「どちらへ?」

「休憩室にシャルル様がいらっしゃるみたいなの」

「ご一緒するわ」

夫人と別れてサリーと休憩室へ向かった。廊下の先のドアの開いてある部屋だろう、明かりと声が漏れていた。
ドアのすぐ側まで来るとシャルル様が親しくしていた学友2人の姿が見えた。他にも声がする。

「そろそろ夜会に来いよ。もうヘマしなきゃいいだろう?」

「そうだよ。新顔の令嬢も増えてるから今のうちだぞ」

はぁ…まったく成長しないわね。でも挨拶だけしておかないと。

「で、どうするんだ?婚約者とは」

「どうするって?」

私の名が出たのでピタッと足を止めた。

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