笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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ジネットの結婚

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お父様はヘインズ家との婚約を破棄させた後、一旦セルヴィー領に帰った。その後またジオ領でヒューゴ様と仕事をした。セルヴィーからは既に研究者や作業員を投入しているので栽培を本格化するだけらしい。

婚約破棄から1ヶ月半後、私達はモルゾン領へ来ていた。少し延びていた公子とジネットの結婚のためだ。ジオ公爵夫妻とヒューゴ様、セルヴィー家も全員招待された。2、3日しか滞在できないのが残念だけど忙しいから仕方ない。私だけ残るなんてことはできない。
エルザは確定してないけど、妊娠したかもしれないとのことで出席が叶わなかった。
(後にストレスで月のモノが遅れただけだと分かり、エルザの愚痴を延々と聞く羽目になる)

貴族界のトップに君臨する2大公爵家のひとつであるモルゾン公爵家次期当主の結婚式は盛大だった。パレードをしないだけで第二王子殿下とエルザの結婚式に引けを取らない。

教会で誓いを終えた後は宮殿のようなモルゾン邸でパーティが行われた。大広間はとても広くて豪華な作りだった。白を基調とした石造りの広間、床は磨き上げられて映り込みそうだ。金細工で装飾し天井一面に絵が描かれている。以前の滞在では見る機会がなかった。
お父様達は他の貴族達に次から次へと捕まって大変そう。私はヒューゴ様と端に避難して観察していた。

「どうしたんだ?」

「やっぱりエルザもジネットもクラスメイトじゃなければ別世界の人だったんだなってあらためて実感しました」

「ティナは自分の価値を理解していないな」

「大した価値はありません」

「ティナ、結婚式はこれ以上盛大にやりたいか?」

「婚約破棄したばかりなのにその質問ですか?」

「クリスティーナ」

「そうですね…小規模がいいですね。食事や飲み物にはお金をかけたいですね」

「領地と王都とどちらでやりたい?」

「そのとき次第ですね。招待客の居場所によります。王都在住の方が多ければ王都で…あ、エルザが来てくれる可能性を考えると王都なのでしょうか」

「でもモルゾン領に来ようとしていたのだろう?」

「領地がどこになるか分かりませんから。それに身分も分かりませんし」

下位貴族が婚姻相手なら王子妃になったエルザは呼べない。そう答えるとヒューゴ様は悲しそうな顔をした。
その理由はなんとなくわかるけど今は向き合えないし、やっぱり格差を感じる。この豪華絢爛なモルゾン家と肩を並べているのがジオ家なのだから。

「時間が必要なのは分かっているが、俺は引く気は全くないぞ。クリスティーナがどこかの馬の骨と婚約しようものなら継続できない状況に相手を追いやるかもしれないし、クリスティーナを拐うかもしれない。もしくはセルヴィー領の屋敷に居座ってクリスティーナが無駄な抵抗を諦めるまで付き纏うかもしれない」

「脅しですか」

「脅しじゃない。予言だ」

「もっとお金持ちの令嬢も身分の高い令嬢も美しい令嬢もいるのにどうして私に執着するのですか?」

「クリスティーナの魂に惹かれるんだ。その顔もとても可愛いし怒ると凛としてとても美しい。身体もいい匂いがするし抱き心地もいい。肌と肌を合わせると間違いないと実感する」

「他の令嬢と肌を合わせたこともないのにですか?」

「わかるよ。そもそも触れたいと思わないし匂いが感じられる距離に近寄るのも嫌だ」

「王女様とは近かったと思いますけど」

「あれは妹だろう」

「婚姻可能な従兄妹ですよね」

「本当、あいつとはどんな媚薬を飲まされても手を出さない自信があるくらい無理だ」

「ふ~ん」

「悪かったよ。次からは振り払うから機嫌を直してくれ」

「ふん」

「ティナ」

「んっ」

いくら端にいても大勢の貴族達がいるパーティ会場だというのにヒューゴ様は気にせずに深い口付けをした。

「愛してる」

気付いた人達が何人かいてじっとこちらを見てる。ヒューゴ様が顔を向けると彼らは顔を逸らして歓談を再開させた。



式から2日後、お父様はセルヴィー領へ、ジオ公爵夫妻は領地へ、ヒューゴ様も領地へ。私はというと…

「ヒューゴ様、ちょっと苦しいです」

「そうか?」

ジオ公爵領のお屋敷に滞在している。王都に帰ろうとしたけど全員に反対された。ジオ領まで1人で来たのにモルゾン領から王都に戻るのに1人では駄目だなんて。移動は護衛付きなのに。

「ヒューゴ様」

「でも寒いからとくっついてきたのはティナだぞ?」

一緒に寝ていて寒かったのか私から彼に抱きついて寝ていたみたい。それに応えるかのようにヒューゴ様が包み込んでいた。朝目覚めて腕の中から逃れようとすると強く抱き込まれてしまった。

「記憶にありません」

起き上がろうとしても

「まだ早い」

「もう!」

引っ張り込まれてしまう。

「可愛いクリスティーナ」

「何ですか、可愛いヒュー」

ガバッ

「ちょ、ちょっと何ですか」

「誘われた気がする」

「大きな間違いです」

少しからかっただけなのに

「間違いじゃなさそうだ」

結局抗えない。



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