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最後の手紙
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サブマ草の栽培をジオ領で行い、研究をセルヴィーで行い、その後の事業を各々で行った。
セルヴィーでも研究用と希少鳥への投与用にサブマ草を育てている。希少鳥の餌に混ぜることで鳥が丈夫になり卵を産む量も増えた。より良質で丈夫な羽毛を採取できるし、肉質もしっとりとしていて臭みも抑えられ高級肉の仲間入りを果たした。というか王宮から卸して欲しいと言われたけど鮮度のことを考えると生きたまま渡さなくてはいけなくなる。羽毛がメインだということもありお断りするしかなかった。サブマ草で丈夫になった希少鳥を生きたまま手に入れて良からぬ事をしでかす者が現れるかもしれないから。
ジオ領ではヘアーサロンを開業し薄毛に悩む人達の希望の星となった。つまり効果があった。もしかしたらカツラ産業に痛手を負わせてしまうかもしれない。
傷薬に関しては王家からのお願いがあり非売品として少量を渡すことになっている。美容目的や軽度の切り傷などには使わずに、刺創や中程度以上の化膿に対して使うことで合意した。その代わり秘密保持契約を交わし、セルヴィーとジオ家を優遇してくれるらしい。何に優遇してもらうかは決めていない。
そして唇に塗る色付き軟膏をジオ家に委託した。そこに少しだけジオ領で栽培したサブマ草のエキスを混ぜる。使用期限は短いため小さな容器に入れ王都の私の店で販売中。
そして今、研究中なのが目薬だ。どこまで効くのかわからないし人の目に入れて失敗するわけにもいかないので、まずは動物実験で慎重に進めている。
「クリスティーナ、そろそろいいんじゃないか?」
「でも、次失敗したら立ち直れそうにない」
「大丈夫だ。失敗しても帰ってくればいい。浮気をしようものなら下着の中にサブマ草を入れて棘だらけにしといてやる」
「パパ」
お父様が言っているのはヒューゴ様とのことだ。婚約破棄から1年半以上経っていた。それとなく求婚はされ続けているけど私がその話を避けていた。いつまでも待たせるわけにはいかない。彼はジオ家の跡継ぎなのだから。
ずっと交際しているけど私達の仲は進んではいなかった。
相変わらずヒューゴ様は熱烈だけど、無理に事を進めたりしない。
「お嬢様、お手紙が届きました」
手渡された手紙を見ると“シャルル”と書いてあった。
彼は二つ先の国に婿入りが決まった。王に溺愛されている第四王女がシャルル様の肖像画を見て一目惚れをして叶った結婚だった。ヘインズ伯爵家を弟に任せて昨日出発したはずだ。
私は王都にいて面会を申し込まれたけど拒否をしていた。
“クリスティーナ
傷付けてごめん。冷たくしてごめん。
何故あんな馬鹿なことができたのか
自分の愚かさに嘆いているよ。
君は微塵も悪くなかったのに申し訳なかった。
タリー家のパーティでの会話は
昔の気持ちを肯定しただけであのときの僕は
君が好きだった。
勝手にかけた霧を晴らしたら違うものが見えた。
君の魅力を感じ始めたんだ。
絵の世界を見に行ったときは
一生の中で一番楽しいデートだと感じた。
君の笑顔も商売への閃きも魅力的だった。
いつのまにか勝手に君との楽しい未来を
想像していた。
母の欲も父の欲も全て蹴散らして
クリスティーナと純粋な夫婦生活を
おくることも想像していた。
いくらでも贖罪の機会があると思っていたし
馬鹿は卒業して妻になったクリスティーナだけを
見ていくつもりでいた。
僕にとって君が一番の女性だと確信したからだ。
君と婚約できてどれだけ幸せなことだったのか
気付くのが遅過ぎたし、もっと早く気持ちを
話していれば良かったのに婚約者という立場に
甘えて疎かにしてしまった。
今日、僕は王女に売られて行く。
何時も王女に寄り添い機嫌をとる毎日を
王女が飽きるまで続けることになる。
自業自得だ。生家も故郷も愛しいクリスティーナにも
全てに別れを告げることになってしまった。
まだジオ公子と婚約していないと聞いている。
躊躇いは僕のせいなのか?
ジオ公子は僕みたいに愚かじゃないよ。
不信になる必要はない。
大丈夫だから思い切って彼の胸に飛び込んでごらん。
クリスティーナの幸せを心から願っているよ。
最後の手紙を読んでもらえているといいな。
さようなら。
シャルル”
もう彼に気持ちはないけどしばらく涙が止まらなかった。
セルヴィーでも研究用と希少鳥への投与用にサブマ草を育てている。希少鳥の餌に混ぜることで鳥が丈夫になり卵を産む量も増えた。より良質で丈夫な羽毛を採取できるし、肉質もしっとりとしていて臭みも抑えられ高級肉の仲間入りを果たした。というか王宮から卸して欲しいと言われたけど鮮度のことを考えると生きたまま渡さなくてはいけなくなる。羽毛がメインだということもありお断りするしかなかった。サブマ草で丈夫になった希少鳥を生きたまま手に入れて良からぬ事をしでかす者が現れるかもしれないから。
ジオ領ではヘアーサロンを開業し薄毛に悩む人達の希望の星となった。つまり効果があった。もしかしたらカツラ産業に痛手を負わせてしまうかもしれない。
傷薬に関しては王家からのお願いがあり非売品として少量を渡すことになっている。美容目的や軽度の切り傷などには使わずに、刺創や中程度以上の化膿に対して使うことで合意した。その代わり秘密保持契約を交わし、セルヴィーとジオ家を優遇してくれるらしい。何に優遇してもらうかは決めていない。
そして唇に塗る色付き軟膏をジオ家に委託した。そこに少しだけジオ領で栽培したサブマ草のエキスを混ぜる。使用期限は短いため小さな容器に入れ王都の私の店で販売中。
そして今、研究中なのが目薬だ。どこまで効くのかわからないし人の目に入れて失敗するわけにもいかないので、まずは動物実験で慎重に進めている。
「クリスティーナ、そろそろいいんじゃないか?」
「でも、次失敗したら立ち直れそうにない」
「大丈夫だ。失敗しても帰ってくればいい。浮気をしようものなら下着の中にサブマ草を入れて棘だらけにしといてやる」
「パパ」
お父様が言っているのはヒューゴ様とのことだ。婚約破棄から1年半以上経っていた。それとなく求婚はされ続けているけど私がその話を避けていた。いつまでも待たせるわけにはいかない。彼はジオ家の跡継ぎなのだから。
ずっと交際しているけど私達の仲は進んではいなかった。
相変わらずヒューゴ様は熱烈だけど、無理に事を進めたりしない。
「お嬢様、お手紙が届きました」
手渡された手紙を見ると“シャルル”と書いてあった。
彼は二つ先の国に婿入りが決まった。王に溺愛されている第四王女がシャルル様の肖像画を見て一目惚れをして叶った結婚だった。ヘインズ伯爵家を弟に任せて昨日出発したはずだ。
私は王都にいて面会を申し込まれたけど拒否をしていた。
“クリスティーナ
傷付けてごめん。冷たくしてごめん。
何故あんな馬鹿なことができたのか
自分の愚かさに嘆いているよ。
君は微塵も悪くなかったのに申し訳なかった。
タリー家のパーティでの会話は
昔の気持ちを肯定しただけであのときの僕は
君が好きだった。
勝手にかけた霧を晴らしたら違うものが見えた。
君の魅力を感じ始めたんだ。
絵の世界を見に行ったときは
一生の中で一番楽しいデートだと感じた。
君の笑顔も商売への閃きも魅力的だった。
いつのまにか勝手に君との楽しい未来を
想像していた。
母の欲も父の欲も全て蹴散らして
クリスティーナと純粋な夫婦生活を
おくることも想像していた。
いくらでも贖罪の機会があると思っていたし
馬鹿は卒業して妻になったクリスティーナだけを
見ていくつもりでいた。
僕にとって君が一番の女性だと確信したからだ。
君と婚約できてどれだけ幸せなことだったのか
気付くのが遅過ぎたし、もっと早く気持ちを
話していれば良かったのに婚約者という立場に
甘えて疎かにしてしまった。
今日、僕は王女に売られて行く。
何時も王女に寄り添い機嫌をとる毎日を
王女が飽きるまで続けることになる。
自業自得だ。生家も故郷も愛しいクリスティーナにも
全てに別れを告げることになってしまった。
まだジオ公子と婚約していないと聞いている。
躊躇いは僕のせいなのか?
ジオ公子は僕みたいに愚かじゃないよ。
不信になる必要はない。
大丈夫だから思い切って彼の胸に飛び込んでごらん。
クリスティーナの幸せを心から願っているよ。
最後の手紙を読んでもらえているといいな。
さようなら。
シャルル”
もう彼に気持ちはないけどしばらく涙が止まらなかった。
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