【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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雨の帳

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馬車を走らせてヒューゴ様の元へ向かった。彼はジオ領にある栽培地にいる。

今回は先触れ無しに行動している。私なりの最終確認をするためだ。私のいない場所で彼がどうしているのか確認したかった。サブマ草をジオ領で栽培できることになってから私達は別々の場所にいることが多かった。何ヶ月も。ヒューゴ様は若い男性だから女性が欲しくなるはずだ。私が側に居れば疑似的な触れ合いで発散をしていたけど、離れて過ごしている間はどうしているのか知らない。娼館を利用しているかもしれない。もしくは…。

栽培地に建てた小さな屋敷に到着すると使用人達が慌ただしく出てきた。

「お嬢様、すぐに公子様にご連絡します」

「驚かせたいから知らせないで欲しいの。ヒューゴ様が戻って食事をして湯浴みを済ませたら私が来ている事を教えて」

「ですがお気付きになると思います」

「そのときは私が驚かせたがっているから希望を叶えてあげてと助言してくれるかしら」

「かしこまりました」


部屋に案内され食事を済ませて入念に湯浴みをした。
メイド達が丁寧にマッサージをしてくれている間にヒューゴ様の日常の様子を聞いた。

「女性の影ですか!?あり得ません」

「いくら一途でも貴族の殿方は考え方が違います。まるで嗜みのように愛するお方以外の女性と関係を持つ方が多い中で公子様は絶対にそのようなことはなさいません」

「子供の頃から令嬢を側に寄せ付けませんでした」

「どうしてかしら」

「ご主人様に集るご夫人やご令嬢方を視界にうつされたからかもしれません」

「公爵夫人は苦労なさったのね」

「奥様は放任主義です」

「つまり、他の女性と関係を持つことを容認なさったの?」

「どうでしょう。お屋敷に連れ込まれたことも奥様や私達使用人の前で応じることもございませんでした。屋敷の外では私達メイドには分かりませんが」

ザーッ

そんな話を聞いているうちに雨が降ってきた。まるでとばりを降ろしたかのようにザーザーと雨が降り注ぐ。

雨音を聞きながら眠りについてしまった。


ギシッ

人が乗りベッドが沈む感覚が体に伝わり眠りから覚醒し始めた。私より遥かに太い腕に抱き込まれ頭や額にキスをされた。
目を開けて恋人の首に腕を回し引き寄せ唇を合わせた。

「チュッ おかえりなさい」

「ただいま、クリスティーナ」

「寂しかったですか?」

「もちろん寂しかった」

「ヒュー、イチャイチャしたいです」

「俺もだ」

寝巻きのボタンを外し肌に唇を付けていく。ヒューゴ様の唇も舌も熱く的確に快楽へと誘う。ほとんど知り尽くされていると言っても過言ではないと思う。
寝巻きを捲られ執拗に舐められた後はいつものように擦り合わせようとした。だけど…

「今夜は上に乗ってもいいですか?」

「ティナが?」

「はい」

私を抱きしめたまま仰向けになったヒューゴ様に跨るように上半身を起こして互いを擦り合わせた。

「まずい…刺激が強すぎる……ティナ!?」

ヒューゴ様が私の腰を掴んで止めた。

「嫌ですか?」

「そうじゃない、それじゃ一線を超えてしまう」

「もう超えたくはないのですか?」

「揶揄っているなら止めてくれ。さすがに止まれない」

「今夜はヒューにゆっくり優しく愛して欲しいのです」

「繋がっていいってことか?」

「はい。私が逃げないようにしっかり掴んだまま入ってきてください」

「俺と結婚してくれるって意味だよな?」

「…はい」

「すぐに婚約を発表しよう」

「んあっ!」

恋人関係になってから慣らされ続けたおかげか、迎えたことのない大きな異物を受け入れたのにあまり痛むことはなかった。裂けるような少しの痛みは異物感に掻き消された。ギュッと彼の手が腰を掴んで押し付けている。

「受け入れてくれてありがとう、クリスティーナ。すごく幸せだ」

「ヒュー、愛してます」

異物が狭い場所で暴れたがっているのを感じる。腰を掴む彼の手はもどかし気だし彼の瞳は熱を含ませ懇願している。時折苦しそうに眉と腹筋が動く。
好きにしていいと言いたいところだけど、初めてだから優しくして欲しい。

「ジオ家の夫人としては頼りないと思いますが、そこはヒューがなんとかしてください」

「ティナが寝て過ごしていても大丈夫なようにする」

「浮気は許せそうにありません」

「そんな事するか!俺はクリスティーナしかいらない」

「可愛い令嬢に微笑まれたり魅惑的な夫人に夜這いされても拒絶してくださいね」

「当たり前だ。そもそも全て持ち合わせているクリスティーナがいるのだから他の女なんていらないだろう」

「飽きるとか?」

「その身を持って確認するといい」



その夜から私達は身も心も恋人になり、婚約発表は即日行われた。婚約パーティは王都のジオ邸で行い、第二王子殿下とお腹の大きくなったエルザも来てくれた。

「やっとね」

「待たせすぎよ。式は?」

「まだ決まってないの」

「王都でやってちょうだい」

エルザは大真面目な顔で圧をかける。

「それは私の一存では決められないわ」

「ティナが“王都でやりたい”と言えば誰も反対しないわよ」

「それにしてもエルザがお母さんになるのね」

「この子が男の子だったらティナの産む女の子は王家うちの嫁に貰うわよ」

「私達は同じ頃に子作りするの。だからジオ家とモルゾン家の婚約は決まりなの」

「ダメ!うちの子の嫁に貰うの!」

「いやよ!
ティナ、モルゾン家ならそこまで厳しい教育は必要ないから」

「あー!ずるい!
ティナ、私が教育係によく言ってきかせるから安心して」

「聞こえな~い」

「「ティナぁ」」

「ご夫人方、俺のティナに変なことを提案しないでください。我が子には好きな相手と結婚させたいので約束はしません。それに何年かは2人で楽しみます」

「ヒュー!?」

「ティナ、そろそろ消えようか」

「ダメですよ」

「ティナ」

「そんな誘い方をしてもダメです!」

「尽くすから」

「っ!」

「ちょっと、イチャつくの止めてくださる?」

「ティナは私達とお泊まり会をする予定ですのよ」

「え?」

「婚約パーティの日に?絶対にティナを渡しませんよ」

後ろからヒューゴ様に抱きしめられ、右腕をエルザに引っ張られ、左腕をジネットに引っ張られた。

「まだ私の妃は私だけを見てくれないようだ」

「うちの妻も私など二の次ですよ」

第二王子殿下とモルゾン公子は呆れ顔で私達を見た。

仕方ない。

「グスン」

泣き真似をすると3人が離れた。

急いで視界に入ったお父様の元へ行き、しがみ付いた。

「パパ」

「どうした?虐められたのか?」

3人は首が取れそうな勢いで首を横に振った。

「パパともう一度ダンスしたいの」

「よしよし、娘の希望を叶えないとな」

ヒューゴ様は少しオロオロしていたけど、お母様がヒューゴ様をダンスに誘ったので場が落ち着いた。

「パパの娘で幸せ」

「私達もクリスティーナという娘に恵まれて世界一幸せだ」

「ありがとう パパ」

本当にありがとう。








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