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5章
0.3
少し汗ばんだ肌は、驚くほどに心地良かった。
くたりと横たわったままのアトリは、小さく喘ぎながら時折嗚咽を上げるように喉を震わせる。
実際辛いのだろう。
弱く頭を振りながら涙を流す様は、庇護欲を煽ると同時に酷く嗜虐心を唆られた。
常であれば、こうして時間をかけてその様子を眺めることは許して貰えない。
まず文句は言われるし、じれったいとばかりにアトリから仕掛けてくることもある。
けれど、今夜は違うようだ。
早々に脱がせた下穿きはまだ足首に引っかかっていて、胸が見えるほどにたくし上げた上着さえそのまま。
最早、何の抵抗もない。
「ぅ、ッん゛ーーーーっ」
くんと腰を反らして、アトリは何度目かわからない絶頂に浸る。
いや、恐らくはずっと快感の強度は変わらないのだろう。
白い照明の下。
何もかもユーグレイに見られていて、やめろとさえ言わないのはもう意識が飛んでいるからだろうか。
「……悪いことをしている気分だな」
まるで部屋に押し入って無理矢理にアトリを犯しているような錯覚に陥る。
嫌だとは言われていないが、この状況を見たら誰もがそう思うだろう。
ユーグレイは苦笑して、脱いだコートを適当に丸めてアトリの頭の下に入れた。
少し呼吸が楽になるだろうか。
アトリはふらりと片手を上げてコートを握り締める。
そのまま、その布地に頬を擦り寄せた。
意図してではないとしたら、相当に質が悪い。
ユーグレイは軽く額を押さえた。
もう、良いだろう。
「く、う……、っ」
膝の裏を掴んで、アトリの両脚を押し上げる。
彼は一瞬苦しそうな表情を見せたが、呼吸が更に乱れるようなことはなかった。
全く、とユーグレイは自嘲する。
やり過ぎだとアトリに言われても否定出来ない。
けれど。
何もかも欲しいのだから、仕方がない気もした。
「僕もどうやら正気じゃないらしい」
「ぁ、え……?」
不思議そうに頭を傾けたアトリに、ユーグレイは微かに笑って見せた。
それだけでどこか安堵したような顔をするのは、流石に油断が過ぎるだろう。
掴んでいたアトリの脚を肩に乗せて、ユーグレイは眼前に晒された秘部に指先で触れる。
案の定まだ殆ど反応を見せていない性器を撫で、柔らかく薄い縁をなぞるようにしてゆっくりと後孔に指を埋め込む。
「は、っ、あぁ……」
一際感じ入った声が響く。
熱い粘膜を擦る間もなく、きゅうっと指を締め付けられる。
慣れた反応というよりは、反射的なもので止められなかったのだろう。
指を折り曲げて僅かに開いた隙間にもう一本指を押し込む。
ゆっくりと後孔を拡げると、しっとりと濡れた中が少しだけ見えた。
こんな小さな器官で自身を受け入れているのかと思うと、堪らない気分になる。
「ゆ、ぐ……、ぅ」
微かに名前を呼ばれる。
可哀想だという気持ちもあったが、それよりも今目の前にあるものを余すことなく堪能したい欲求の方が遥かに強い。
アトリに殆ど意識がないのなら、多少ユーグレイの思うままに触れても許されるだろう。
「すまない。もう少し、触れさせて欲しい」
ユーグレイがそう言うと、アトリは静かに瞳を伏せる。
啜り泣くような掠れた声は、更に奥へと指を伸ばした瞬間に高く響いた。
びくんと跳ねた脚を押さえて、容赦なく熱い粘膜を刺激していく。
鋭敏なしこりさえ指先で挟むようにして捏ねてやると、アトリは泣きながら嫌々と首を振った。
汗で濡れた黒髪。
繰り返し上下する胸。
涙を落とす睫毛。
どこまで堕ちても、この生き物はただ綺麗だ。
「あぐ、ッ! ン、うぅう゛ーーーッ!」
ユーグレイのコートを握り締めていたアトリの手が、助けを求めるように浮いた。
存分に中を蹂躙した指を秘部から引き抜く。
ひくひくと震える穴。
鮮やかな肉の色が思考を奪う。
触れるだけでは足りない。
もっと、欲しい。
アトリという人間の何もかもが。
欲しい。
「ーーーーい、や」
ただ焦がれるような衝動のまま、ユーグレイはそこに唇を寄せる。
小さな後孔を食むようにして舌を差し入れた瞬間、頭を思い切り押された。
まだ、少しも味わえていない。
大変不満ではあったが、上体をぎりぎりまで起こしたアトリと目が合って流石にやりすぎたと思い至る。
「い、や、……そ、れは」
必死にそう繰り返すアトリに、ユーグレイは仕方なく「わかった」と答えた。
これ以上は合意の上での行為と呼べないだろう。
ユーグレイの頭を押した手を握ってやって、その額を宥めるように撫でた。
「挿れても、構わないか?」
ユーグレイの懇願に、アトリはぼんやりとしながらも微かに頷いた。
ここまで乱されて暴かれて何もかも見られて、それでも彼はユーグレイを受け入れてくれるらしい。
もう少しの時間も耐え難くて熱を持った自身を性急に秘所にあてがう。
アトリの脚を持ち上げたまま、突き入れるように腰を落とした。
抵抗なくユーグレイを咥え込む身体。
アトリは床に爪を立てて身悶えた。
「ひッ、ンあぁーーーー!」
気持ち良い、とその声が訴えている。
反応していなかったアトリの性器が、ぷしゃと潮を吹いた。
止まれる訳が、ない。
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