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11一歩ずつ追い詰めていく

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「さて。
それでは次に答えていただきたいことは、『なぜ、今、処刑を行おうとしているのか』です。」


「・・・どういうことだ?」


「そのままの意味です。
なぜ、今?

この国の最高権力者はあなたではありません。
なぜ、国王が不在の時を選んで、このようなことをされるのですか?」

「別に不在の時を選んだわけではない!」

「そうなのですか?
国内巡視に出られている国王が後一週間も関わらずに戻られるのに、それを待てない理由とはなんでしょう?」

「・・・」

「公爵令嬢・・・しかも、王太子様の婚約者の処刑。そのような大事を国王不在で行ってよいのでしょうか?

あなたに責任が取れるのですか?」

「・・・くっ!」

「そもそも、この処刑のこと、国王はご存じなのですか?」


会場中が静まり返った。
王太子の言葉を皆が待っている様だ。


「・・・父上は。
国王はもちろん承知している。」


「なるほど、そうなのですか。

それでは王太子の名にかけて宣言してください。

この処刑は国王が承認されたものだと。」


「なぜそこまで・・・」

「あなたが『国王も承知している』と言われたのです。
それを、あなたの名にかけて宣言することに何の問題があるのでしょうか。」


全ての視線が王太子に集まる。


「・・・それが望みならよかろう。

王太子ライリーの名をかけて宣言する。

フィーナの処刑は国王の承認を受けたものだ!」


「宣言をありがとうございます。

・・・皆様、確かに聞かれましたね。
今の王太子様の宣言。
決してお忘れなきようお願いします。」


王太子のこの宣言は、場を納めるためには絶対に必要なものだった。
ただし、自らの退路を絶ってしまうというデメリットがもれなくついてくる。


さあ。
一歩ずつ追い詰めていくとしようか。

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