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15鮮血に染まり
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5分後、予想通り・・・僕は206号室の中にいた。
どうして一般人が犯行現場に入れたのか、これはもう今更話す程の事でもない気がする。
予想通り、羽鳥刑事の時と同じことが行われたということだ。ただ今回の脅迫(冬弥曰く交渉)のネタはかなり危険なので僕は聞かなかったことにする。
世の中には知らない方が良いことがあるのだ。
・・・これは前も言ったセリフか。
しかし、この目で死体を見ることになるとは、1時間前には想像もしていなかった。
正直、ドラマの様に猛烈な吐き気に襲われるかと思っていたが、そうはならなかった。
自分でも不思議だったが、多分あまりに急な展開に頭がついていけず、目から入ってくるものに、『現実』を感じられなかったせいだと思う。
確かに自分の目で見ているはずなのに、テレビに映っている世界のようにしか、僕には見えなかった。
そう、病室に横たわっている死体でさえも・・・。
物言わぬ死体と化して、床に敷かれたシーツの上に横たわっているのは、高校生くらいの年齢の男だった。
髪は、もとは茶色に染められていたようだが、今は血しぶきで、真っ赤に染めあげられていた。
顔も鮮血に染まり、その苦悶の表情とあいまって直視を避けさせる壮絶さに溢れている。
顔以外に特に目に付くのが、断ち切られるほど深く傷つけられた両腕・・・肘関節の少し上腕部よりが断ち切られ、皮一枚でかろうじてつながっているようだった。
切断面も生々しく、乱雑な切り口から覗くモノがやけに非現実的に思えた。
やけに冷静に観察している自分に驚きを感じるが、これは健全な感覚が麻痺している結果だと僕はわかっていた。
一瞬でも感覚が戻ったら、気を失い倒れるだろう・・・そんな気がした。
死体を直視することに耐えられなくなり目をそらすと、床に転がる鮮血に染まった刃物に目がいった。
「鉈(なた)・・・か」
僕の口から呟きがもれる。
・・・ぼんやり見ていると、血の臭いが鼻につきだした。
感覚が戻り始めたのかもしれない。
どうして一般人が犯行現場に入れたのか、これはもう今更話す程の事でもない気がする。
予想通り、羽鳥刑事の時と同じことが行われたということだ。ただ今回の脅迫(冬弥曰く交渉)のネタはかなり危険なので僕は聞かなかったことにする。
世の中には知らない方が良いことがあるのだ。
・・・これは前も言ったセリフか。
しかし、この目で死体を見ることになるとは、1時間前には想像もしていなかった。
正直、ドラマの様に猛烈な吐き気に襲われるかと思っていたが、そうはならなかった。
自分でも不思議だったが、多分あまりに急な展開に頭がついていけず、目から入ってくるものに、『現実』を感じられなかったせいだと思う。
確かに自分の目で見ているはずなのに、テレビに映っている世界のようにしか、僕には見えなかった。
そう、病室に横たわっている死体でさえも・・・。
物言わぬ死体と化して、床に敷かれたシーツの上に横たわっているのは、高校生くらいの年齢の男だった。
髪は、もとは茶色に染められていたようだが、今は血しぶきで、真っ赤に染めあげられていた。
顔も鮮血に染まり、その苦悶の表情とあいまって直視を避けさせる壮絶さに溢れている。
顔以外に特に目に付くのが、断ち切られるほど深く傷つけられた両腕・・・肘関節の少し上腕部よりが断ち切られ、皮一枚でかろうじてつながっているようだった。
切断面も生々しく、乱雑な切り口から覗くモノがやけに非現実的に思えた。
やけに冷静に観察している自分に驚きを感じるが、これは健全な感覚が麻痺している結果だと僕はわかっていた。
一瞬でも感覚が戻ったら、気を失い倒れるだろう・・・そんな気がした。
死体を直視することに耐えられなくなり目をそらすと、床に転がる鮮血に染まった刃物に目がいった。
「鉈(なた)・・・か」
僕の口から呟きがもれる。
・・・ぼんやり見ていると、血の臭いが鼻につきだした。
感覚が戻り始めたのかもしれない。
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