名探偵の条件

ヒロト

文字の大きさ
37 / 44

37 201号室

しおりを挟む
「さて、じゃあ改めて。羽鳥さん、犯行現場の様子について話してもらえるかい。」

「・・・まずは201号室について。
言うまでもないが、血まみれになっていた方の部屋で、犯行現場と思われている場所だ。

201号室は、昨日は偶然空いていただけで、患者が多い時には普通に病室として使われている。
まあ、今回はたまたま患者がいなかったというだけなので、特に施錠もされていなかったそうだ。

また、残念ながら事件の時間帯には、この部屋への人の出入りは目撃されていない。」

「事件の時間帯か。そういえば、犯行時間をまだ聞いていなかったね。教えてくれるかな。」


「・・・アリバイ情報の時でいいかと思ったから、まだ話していなかったな。
犯行時間は、18時から20時の間だと考えてまず間違いない。」

「・・・えらく、きっぱりと言い切ったね。
まあ、詳しいことは『アリバイ』についての時に聞くことにするよ。
・・・ということで、羽鳥さん。話を戻して、犯行現場についての情報を続けてくれないか。」


「犯行現場で発見された血液は、検査の結果、全て被害者のものと断定された。
あれだけの出血量だ。被害者の死因は失血死と見て間違いないだろう。

・・・少し、話がずれたな。」


「話のずれついでに、質問。

・・・被害者には、腕以外に目立つ傷跡はあったのかい?」

「いや。特に目立つものはなかった。被害者の死因は、腕からの失血死と見て間違いないだろう。」

「被害者が犯人に抵抗した形跡は?」

「ない。
・・・被害者の口元付近から薬物反応がでている。おそらく被害者は、抵抗するまもなく、犯人に薬で眠らされてしまったんだろうな。」

「なるほどね。
・・・『ずれついでの質問』はこれで終わりでいいよ。
後は犯行現場について、残っていることを話してくれるかな。」

「・・・201号室について、特に新しい情報はもうない。

あえていうなら、犯人のものと思われる血痕や毛髪、そして指紋・・・そういった証拠が、現場から発見されなかったってことぐらいだな。」


「これだけの計画的な犯罪を行う犯人が、そんな『低次元なミス』をするはずがないさ。
そういう意味では特に期待はしていなかったよ。

さて・・・時間もないことだし、続けて206号室についてお願いするよ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...