名探偵の条件

ヒロト

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37 201号室

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「さて、じゃあ改めて。羽鳥さん、犯行現場の様子について話してもらえるかい。」

「・・・まずは201号室について。
言うまでもないが、血まみれになっていた方の部屋で、犯行現場と思われている場所だ。

201号室は、昨日は偶然空いていただけで、患者が多い時には普通に病室として使われている。
まあ、今回はたまたま患者がいなかったというだけなので、特に施錠もされていなかったそうだ。

また、残念ながら事件の時間帯には、この部屋への人の出入りは目撃されていない。」

「事件の時間帯か。そういえば、犯行時間をまだ聞いていなかったね。教えてくれるかな。」


「・・・アリバイ情報の時でいいかと思ったから、まだ話していなかったな。
犯行時間は、18時から20時の間だと考えてまず間違いない。」

「・・・えらく、きっぱりと言い切ったね。
まあ、詳しいことは『アリバイ』についての時に聞くことにするよ。
・・・ということで、羽鳥さん。話を戻して、犯行現場についての情報を続けてくれないか。」


「犯行現場で発見された血液は、検査の結果、全て被害者のものと断定された。
あれだけの出血量だ。被害者の死因は失血死と見て間違いないだろう。

・・・少し、話がずれたな。」


「話のずれついでに、質問。

・・・被害者には、腕以外に目立つ傷跡はあったのかい?」

「いや。特に目立つものはなかった。被害者の死因は、腕からの失血死と見て間違いないだろう。」

「被害者が犯人に抵抗した形跡は?」

「ない。
・・・被害者の口元付近から薬物反応がでている。おそらく被害者は、抵抗するまもなく、犯人に薬で眠らされてしまったんだろうな。」

「なるほどね。
・・・『ずれついでの質問』はこれで終わりでいいよ。
後は犯行現場について、残っていることを話してくれるかな。」

「・・・201号室について、特に新しい情報はもうない。

あえていうなら、犯人のものと思われる血痕や毛髪、そして指紋・・・そういった証拠が、現場から発見されなかったってことぐらいだな。」


「これだけの計画的な犯罪を行う犯人が、そんな『低次元なミス』をするはずがないさ。
そういう意味では特に期待はしていなかったよ。

さて・・・時間もないことだし、続けて206号室についてお願いするよ。」
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