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序章-曇天の誕生日-
01『18歳のメイドと散弾銃』
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今日、誕生日を迎える少女、源 南花の自室の窓からは曇天が見える。
成人として認められる18回目の誕生日という一つの節目になる日が、生憎の曇り模様なことに少しため息をついてしまう。
帝国ではあまり見かけない特徴的な彼女の髪は黒色で、セミロング程の長さで軽くウェーブしている。
日頃は、バビロニア帝国の西圏側にある第四騎士団にメイドとして仕えている。
眠い目蓋を擦りながら、木造のベットから起きた南花は普段の仕事着であるメイド服ではなく、ブラウスにスカート、収納性を拡充させる為に半袖のベストを着る。
そして、仕事道具である上下二連式の散弾銃と実弾一式を手に取る。
今日の南花の仕事は、自身の誕生日パーティーの食材の一つとしてハイイロガンを狩猟しに行く事である。
「念のため、回転式拳銃も持っていこうかな…」
ぼそりと呟いた南花は自分の机の鍵の掛かった引き出しから、護身用に自作した回転式拳銃と実砲を取り出し装填する。
10年前に亡くなってしまった父、鉄之助は、武器職人だった…
南花も父同様に武器職人を目指していて、練習を兼ねて、休日を使い少しずつ作成した一品。
森へ狩猟に向かうために必要最低限な道具をウエストポーチに入れていく。
ーコンコン。
木造のドアをノックしたのは、長い金髪と目元のそばかすが特徴的なエルフの少女マリアである。
「ようやく起きたんだ、お寝坊の南花お嬢さん。」
同室で寝食共にするマリアは、軽口混じりに南花の様子を見るのである。
「はぁ、別に私が起きるのが遅いわけではなくて、マリアが早起きなだけでしょ…」
マリアの常套句に対して、南花もお決まりの台詞で返す。
「あぁ、南花が騎士団の朝稽古を代わってくれたら、私も惰眠を貪ることが出来るのにな~」
そう嘆くエルフは、第四騎士団であることの証である白と赤を基調とした団員服を着ており、その上から付けている胸当ては若き弓兵であることを物語っている。
「神格を持たない私が弓を引いても、マリアの射程距離の半分も出せなくて、指南役のグレイさんに残念な視線を送られるだけじゃん。」
南花は魔術を扱える者の証である神格は、術者当人の身体能力を向上させることを指摘する。
「だ~から、あのクールなグレイさんが、この騎士団内で【特殊な立ち位置】の南花にどう注意するのか気になるじゃん」
「嫌だよ、何も悪いことしていないのに」
マリアの好奇心を満たすためだけに、第四騎士団の秘書も勤めるグレイの氷のように突き刺さる訓戒を受けるのは御免だよと思う南花。
「マリアさん、朝稽古だけでは怒られ足りないみたいですね。」
突如として現れたグレイ・ナイトキャップに、ひぃ!っと驚きを隠せない二人。
淡い水色の透き通った長髪とキリッとした目元が特徴のエルフが凛と佇んでいる。
「い、いえそんなことないですよ!グレイさん!」
慌てて否定するマリアに調子を合わせる南花。
「オホン、そんなことよりも二人とも準備は出来ているのですか?」
二人が狩猟へ行くという騎士団内の毎日の業務とは異なる予定を、秘書であるグレイは当然のごとく把握している。
「はい、ちょうど出来たところです。」
南花が返事を返す。
「そうですか。それでは、ダージリン団長への出発前の報告に同行をお願いします。」
「別にグレイさんが、いぃてぇ!?」
これから、いつも通りに団長室へ向かうグレイを介して報告すればいいだけで、私達もついていく必要ないですよね?と言う発言をしかけたマリアの足を踏み、それを遮る南花。
「マリアさん、どうかしましたか?」
「あっ、何でもないです。」
痛みに踞るマリアに代わって南花が答える。
ーーーー
ゴシック建築の第四騎士団の館内の廊下を暫く歩いた南花達は、他の部屋の扉よりも一回り大きな扉の前に立つ。
ーコンコン
扉をノックして少し間を挟んだグレイは、ドアノブを回し団長室の中へ入る。
団長室に入ると、目の前には来客用の対の長椅子と机があり、その奥に騎士団長が執務を行う為の机があり、その両サイドには人の背丈以上の本棚が鎮座している。
「おはよう、グレイ。そして南花君とマリア君。」
三人に軽く挨拶をした青年が、若くして第四騎士団長の座を引き継いだダージリン・イレブンジスである。
騎士団の長と言うイメージとは裏腹に筋肉量はそこまで多くなく、掛けているスクエアタイプの眼鏡も相まって寧ろ知略に長けた印象を放つ。
ダージリンへ軽く会釈をするグレイと違い、南花とマリアはおはようございますとしっかりと返す。
騎士団長の上司に当たる統括長への報告書を書くために打っているタイプライターの手を止めたダージリンが更に続ける。
「源南花君、誕生日おめでとう。今日の宴の主役なのだから1日休んで、君自身が獲物を狩りに行くことはないと思うのだが…」
南花の日々の騎士団への貢献を労いも兼ねて特別に休日を与えようとするダージリン。
「ありがとうございます。ダージリン団長のお気遣いは嬉しいのですが…私の祖先の生まれ国には、【働かざる者、食うべからず】という言葉があると父から聞いた覚えがあります。」
感謝の意を伝えつつ南花は続ける。
「それに、成人を迎えるという節目の誕生日だからこそ、自分自身で手にした獲物で祝いたいのです。」
一瞬、考える素振りを見せるダージリン。
「その真面目さ、正に職人気質だね…うん、気を付けて行くように。」
「はい…天候も芳しくないですし、この辺で失礼します。」
ぺこりと頭を下げて騎士団室を後にする南花の後に続き、マリアも頭を下げ退室する。
バタンっと扉が閉まったことを確認したグレイがぼそりと呟く
「鉄之助氏の遺言は【せめて、娘が成人するまでは生かしてやってくれ】でしたね…」
「あぁ、先代の騎士団長であり、私の父からはそう聞いている。」
騎士団長の執務机の背後にある窓越しに曇天の空を見つつ、声のトーンを落としたダージリンが応える。
成人として認められる18回目の誕生日という一つの節目になる日が、生憎の曇り模様なことに少しため息をついてしまう。
帝国ではあまり見かけない特徴的な彼女の髪は黒色で、セミロング程の長さで軽くウェーブしている。
日頃は、バビロニア帝国の西圏側にある第四騎士団にメイドとして仕えている。
眠い目蓋を擦りながら、木造のベットから起きた南花は普段の仕事着であるメイド服ではなく、ブラウスにスカート、収納性を拡充させる為に半袖のベストを着る。
そして、仕事道具である上下二連式の散弾銃と実弾一式を手に取る。
今日の南花の仕事は、自身の誕生日パーティーの食材の一つとしてハイイロガンを狩猟しに行く事である。
「念のため、回転式拳銃も持っていこうかな…」
ぼそりと呟いた南花は自分の机の鍵の掛かった引き出しから、護身用に自作した回転式拳銃と実砲を取り出し装填する。
10年前に亡くなってしまった父、鉄之助は、武器職人だった…
南花も父同様に武器職人を目指していて、練習を兼ねて、休日を使い少しずつ作成した一品。
森へ狩猟に向かうために必要最低限な道具をウエストポーチに入れていく。
ーコンコン。
木造のドアをノックしたのは、長い金髪と目元のそばかすが特徴的なエルフの少女マリアである。
「ようやく起きたんだ、お寝坊の南花お嬢さん。」
同室で寝食共にするマリアは、軽口混じりに南花の様子を見るのである。
「はぁ、別に私が起きるのが遅いわけではなくて、マリアが早起きなだけでしょ…」
マリアの常套句に対して、南花もお決まりの台詞で返す。
「あぁ、南花が騎士団の朝稽古を代わってくれたら、私も惰眠を貪ることが出来るのにな~」
そう嘆くエルフは、第四騎士団であることの証である白と赤を基調とした団員服を着ており、その上から付けている胸当ては若き弓兵であることを物語っている。
「神格を持たない私が弓を引いても、マリアの射程距離の半分も出せなくて、指南役のグレイさんに残念な視線を送られるだけじゃん。」
南花は魔術を扱える者の証である神格は、術者当人の身体能力を向上させることを指摘する。
「だ~から、あのクールなグレイさんが、この騎士団内で【特殊な立ち位置】の南花にどう注意するのか気になるじゃん」
「嫌だよ、何も悪いことしていないのに」
マリアの好奇心を満たすためだけに、第四騎士団の秘書も勤めるグレイの氷のように突き刺さる訓戒を受けるのは御免だよと思う南花。
「マリアさん、朝稽古だけでは怒られ足りないみたいですね。」
突如として現れたグレイ・ナイトキャップに、ひぃ!っと驚きを隠せない二人。
淡い水色の透き通った長髪とキリッとした目元が特徴のエルフが凛と佇んでいる。
「い、いえそんなことないですよ!グレイさん!」
慌てて否定するマリアに調子を合わせる南花。
「オホン、そんなことよりも二人とも準備は出来ているのですか?」
二人が狩猟へ行くという騎士団内の毎日の業務とは異なる予定を、秘書であるグレイは当然のごとく把握している。
「はい、ちょうど出来たところです。」
南花が返事を返す。
「そうですか。それでは、ダージリン団長への出発前の報告に同行をお願いします。」
「別にグレイさんが、いぃてぇ!?」
これから、いつも通りに団長室へ向かうグレイを介して報告すればいいだけで、私達もついていく必要ないですよね?と言う発言をしかけたマリアの足を踏み、それを遮る南花。
「マリアさん、どうかしましたか?」
「あっ、何でもないです。」
痛みに踞るマリアに代わって南花が答える。
ーーーー
ゴシック建築の第四騎士団の館内の廊下を暫く歩いた南花達は、他の部屋の扉よりも一回り大きな扉の前に立つ。
ーコンコン
扉をノックして少し間を挟んだグレイは、ドアノブを回し団長室の中へ入る。
団長室に入ると、目の前には来客用の対の長椅子と机があり、その奥に騎士団長が執務を行う為の机があり、その両サイドには人の背丈以上の本棚が鎮座している。
「おはよう、グレイ。そして南花君とマリア君。」
三人に軽く挨拶をした青年が、若くして第四騎士団長の座を引き継いだダージリン・イレブンジスである。
騎士団の長と言うイメージとは裏腹に筋肉量はそこまで多くなく、掛けているスクエアタイプの眼鏡も相まって寧ろ知略に長けた印象を放つ。
ダージリンへ軽く会釈をするグレイと違い、南花とマリアはおはようございますとしっかりと返す。
騎士団長の上司に当たる統括長への報告書を書くために打っているタイプライターの手を止めたダージリンが更に続ける。
「源南花君、誕生日おめでとう。今日の宴の主役なのだから1日休んで、君自身が獲物を狩りに行くことはないと思うのだが…」
南花の日々の騎士団への貢献を労いも兼ねて特別に休日を与えようとするダージリン。
「ありがとうございます。ダージリン団長のお気遣いは嬉しいのですが…私の祖先の生まれ国には、【働かざる者、食うべからず】という言葉があると父から聞いた覚えがあります。」
感謝の意を伝えつつ南花は続ける。
「それに、成人を迎えるという節目の誕生日だからこそ、自分自身で手にした獲物で祝いたいのです。」
一瞬、考える素振りを見せるダージリン。
「その真面目さ、正に職人気質だね…うん、気を付けて行くように。」
「はい…天候も芳しくないですし、この辺で失礼します。」
ぺこりと頭を下げて騎士団室を後にする南花の後に続き、マリアも頭を下げ退室する。
バタンっと扉が閉まったことを確認したグレイがぼそりと呟く
「鉄之助氏の遺言は【せめて、娘が成人するまでは生かしてやってくれ】でしたね…」
「あぁ、先代の騎士団長であり、私の父からはそう聞いている。」
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