バビロニア・オブ・リビルド『産業革命以降も、神と科学が併存する帝国への彼女達の再構築計画』【完結】

蒼伊シヲン

文字の大きさ
32 / 79
3章.無神格と魔女の血

27『5人の休日散策、午前』

しおりを挟む
 ギルタブリルの討伐任務から数日後…南花達5人は、休日に帝国の東圏側B区内にある洋服店を訪れている。

再構築計画リビルドコードを再始動させるかは、君達に任せるよ…』
アリサの中で、帝国の秩序を大きく書き替える計画を、エレシュキガルから提案された時の記憶が再び沸き上がる…

「ねぇ?アリサ、どうしたの?…聞いてる?」
考え込むアリサに、カーテン越しの南花の声は届いていない。
「ねぇ?ってば!」
痺れを切らした南花はカーテンを僅かに開け、アリサが居る試着室に顔だけ突っ込む。

「へぇ?」
「あっ、ごめん!まだ着替えてたんだ…」
不意を突かれたアリサは、下着姿のまま上半身だけ振り向け、キョトンとしている。

その状況に南花は謝りつつも、アリサの上半身の一点を凝視してしまう…
「ごめんなさい、南花…醜いもの見せてしまったわね…」
曇天のあの日…南花と出会う直前…同級生に焼き印を押し付けられた事で出来た、右肩のやけど跡を隠すために、アリサは完全に振り向く。

「ううん、そんなことないよ…あの時、言っていた火傷の跡でしょ…」
「ちょっと…南花…」
声のトーンを落とした南花は、完全にアリサが居る試着室に入る。

「なんで、その火傷の跡を治していないの!」
「へぇ?」
落とした語気を再び強める南花から、予想していなかった言葉を食らったアリサは、またしても腑抜けた返事をしてしまう。

「年頃の女の子なんだし…討伐任務の報酬も貰えて、それぐらいの余裕あるでしょ?」
まるで自分自身のことかのような調子の南花に押されつつ、アリサが応える。
「別に誰に見られる訳でもないし、治療するつもりはないわね…討伐任務の報酬の大半は、貯蓄に回す予定だし。」

アリサの心に全く響かなかった現実に対して、南花が更に突っ込む。
「無愛想なアリサだって、誰かに見せる時が来るかもしれないじゃない!」

着替えの最中に介入され、老婆心を告げられた上に、余計な一言をお見舞いされたアリサが仕返しを思い付く。
「ふ~ん…誰かに見せる時って…どんな時のことかしらね?」
アリサは微かにニヤつく。

「へぇ?それは……それくらい、私が言わなくても分かっているくせに!この意地悪な銀髪首席さん!」
墓穴を掘った南花の方こそ、年頃の反応を見せている。

「南花さんとアリサさん、楽しそうで良かった。」
「そうね…2人の気分転換になっているのなら、5人で遊びに行く予定を立てた甲斐があったよ。」
試着室の方に視線を向けるアオイとサクラは、少し離れた帽子の棚を見ている。

アオイとサクラの近くにある椅子には…
外出に付き合わされる為に、朝早くに叩き起こされたコマチが座り、鼻ちょうちんを作っている。

「今、何時くらいなのかな?」
サクラが店内の時計を探していると…
「んぁ?…もう昼だな…」
正確な腹時計に基づいて目を覚ましたコマチが応える。

「毎回、当たっているのが怖いよね…」
正午前を差す時計とコマチを交互に見比べるアオイが驚きを漏らす。

「そうね…一旦、お昼ごはんにしよっか?」
「そうだね、サクラ。」
サクラが試着室付近にいる南花とアリサに、声を掛けに行く…

「昼は、この服屋の近くにあるビュッフェが良いな!」
「はぁ…忘れたの?コマチは、食べ過ぎで、あそこのお店から出禁されてたじゃん。」
アオイの注意に対して、コマチは、この世の終わりを見たかの様な表情を見せる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党
ファンタジー
人類が滅亡した後の世界に、俺はバンパイアとして蘇った。 常識外れの怪力と不死身の肉体を持った俺だが、戦闘にはあまり興味がない。 俺は狼の魔物たちを従えて、安全圏を拡大していく。 好奇心旺盛なホビットたち、技術屋のドワーフたち、脳筋女騎士に魔術師の少女も仲間に加わった。 迷惑なエルフに悩まされつつも、俺たちは便利で快適な生活を目指して奮闘するのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

処理中です...