バビロニア・オブ・リビルド『産業革命以降も、神と科学が併存する帝国への彼女達の再構築計画』【完結】

蒼伊シヲン

文字の大きさ
33 / 79
3章.無神格と魔女の血

28『5人の休日散策、午後のち…』

しおりを挟む
 休日の昼食を終えた、南花達は…
月世乃旅人つきよびと』というタイトルの帝国初のSF映画を劇場で鑑賞している。

月世乃旅人つきよびと』の作中にて、科学者であるヒロインは、月に向かう為の手段として空を飛ぶ戦艦シュテインの設計図を作図している…
その作図の為に使用している定規には、星に模した球形を手で転がす猫のマークが刻印されている。

その定規のデザインに一目惚れしたアオイの瞳が嬉々としている隣の席では…
コマチが作中に登場している見たことのない夜食シベリアに、目を光らせている。

そして、様々な犠牲の上に、進んでいく物語に対して…
南花の頬に一筋の涙がこぼれ落ちた所でハッピーエンドを迎え、映画は終わる。

劇場から出た5人は、ランダムな来場者特典のキーホルダーを見せ合いながら、次の目的地に足を運ぶ…

「私のキーホルダーは…えっと、月面着陸する時に戦艦から出た車輪かな?」
南花が引き当てたキーホルダーは、8本のスポークが特徴的なデザインをしている。

「確か、これは戦艦の羽の試作デザインの一つね…」
そう言ったアリサは、揚羽蝶の羽に近い形をしたキーホルダーを手にしている。

「なんだ…科学者の仲間が手にしていた赤い傘かぁ…」
目的のキーホルダーではなく、赤い蛇目傘のデザインを引き当てたコマチは、しょんぼりしている。

「うん?あぁ、偵察部隊の装備の飛び道具だね。」
武器の一つとして登場したクナイを凝視するアオイ。

「あっ!これ可愛いな…美味しそうでもあるかな?」
夜食として登場したシベリアを引いたサクラに対して、コマチは食い気味に迫る。
「この飛び道具も良いけど…シークレット扱いの猫の定規が良かったなぁ~」
アオイが思わずぼやく…

「お嬢さん、良ければこれを差し上げますよ?」
「へぇ?」
不意に声を掛けられた方にアオイが振り向くと、黒を基調にコーディネートを決めている貴婦人が立っていた…

「あっ、いえ…結構です。このキーホルダーを引いたのも、何かの運命だと思いますし…なんて、あはは…」
貴婦人の立ち姿は品位を感じさせるものの…つばの広い帽子を目深に被っている事で見えていない筈の、隠された右目から強い視線を感じたアオイは、慌てるかの様に申し出を断る。

「これを引いたのも、何かの縁…確かに、お嬢さんの言う通りかもしれませんね…お嬢さん達の楽しい休日を邪魔してしまいましたね…では、この辺で失礼致しますわ。」
南花達に軽く頭を下げた貴婦人は、何事も無かったかの様に去っていく…

「綺麗な人だったけど…なんだったの?」
首を傾げる南花に対して、アリサは冷静に状況を振り返る。
「あの人に、私達が休日で外出している事を伝えたかしら?」

「まぁ、私達の服装だったり、雰囲気から察したとかかな?」
サクラが推測を口にする。
確かに、只の当てずっぽうの可能性もあるか…っとアリサが疑問を飲み込んでいると…

「ようやく、見つけたわ!」
嫌な記憶を呼び覚ます、聞き覚えのある声がする方にアリサが振り向く…

「久しぶりね、神獣を倒した事で、ますますエリート気取りの穢れた魔女さん。」
そこには、士官学校時代にアリサを苛めていた、金髪縦ロールの女生徒が中核の集団が佇んでいる。

「そんな、うそ…あの魔術書は…」
金髪縦ロールの女生徒が右手に持つ一冊の魔術書を見た、サクラの顔から血の気が引いていく…

「へぇ、知っているんだ…この魔術書を持つ権利を有する、私は【パネトーネ・バール】よ。」
サクラ、コマチ、アオイの元雇い主だったコルネッティの娘が、南花達を呼び止める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

処理中です...