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終章.バビロニア・オブ・リビルド
49『星の時計』
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南花達を乗せた地下の蒸気機関車が止まったホームには、地上へと繋がる階段が無い…
ハンムラビを先頭に、ホームに降りていく一行。
そして、壁のとある部分に近付いたハンムラビが、再び木槌を取り出し、特定のリズムで数回ほど壁を叩く。
すると、壁は消え…別の場所へと続く階段が現れる。
「さぁ、こちらです。付いてきて下さい。」
はいっと短く頷いた南花達は、ハンムラビの後を追う。
最後尾のヨハンナが階段を登り始めると、再び壁へと戻る。
ーーー
しばらく、先頭を歩いたハンムラビの眼前に、古びた框ドアが現れる。
そして、その扉の先の光景を見た、南花から驚きが漏れる。
「凄い棚の数…これは…一つ一つに文字が掘られているの?」
活版印刷の為に、無数に並んだ小さな鉛の立体物に、南花は視線を奪われる。
サクラやアオイ、コマチも室内に並んだ鉛の文字や、活版印刷機に興味を示していると…
南花達が入って来た扉とは違う扉が開く。
「いやぁ…これは、お待たせしてしまいましたかな?」
南花達の目の前に現れた男性は、ワイシャツにスラックス…そして、サスペンダーを身に付けてはいるものの、ノーネクタイで髪もボサボサで、フォーマルとは言えない出で立ちである。
「いいえ、私達もちょうど到着した所です。お久しぶりです、【ジョバンニ・レオポルド】さん。」
先ず、ハンムラビがジョバンニと挨拶を交わす。
「ヨハンナ様もお久しぶりです…今日も美しいですね…」
「あはは、ジョバンニさん、久しぶり…冗談は、よしてよね…」
ジョバンニからの羨望の眼差しに対して、ヨハンナは若干、引き気味に応じる。
「二人はどういう関係なんですか?」
「あぁ…その昔、ジョバンニさんが治安の悪い東圏側の酒場で、酔っ払い達に恐喝されている所を、ヨハンナ団長が助けてから、あんな感じですね…」
南花のぼそりっと呟いた疑問に対して、ハンムラビが応える。
「あなたが、鉄之助氏の娘さんである南花さんですね。初めまして、情報屋の【ジョバンニ・レオポルド】と申します。」
「はい、私が南花です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
挨拶に応じた南花は、軽く頭を下げる。
「そして、あなた方が、地下道化師としても屈指の実績を持つ、サクラさん、コマチさん、アオイさんですね。」
「はい、よろしくお願いします…南花はともかく、私達の事もご存知なんですね。」
ジョバンニが、地下道化師としての自分たちを知っている事に、少し驚きを見せるサクラが応える。
「これでも、東圏側の情報屋ですから…法的にグレーな地下遊演地の実情に関しても認知していますよ。」
サクラに続いて、コマチとアオイも軽く自己紹介をする。
「それにしても、大変な目に逢いましたね…立ち話も何ですから、移動しましょう…」
本題へ移る前に、ジョバンニが別室へ案内する。
応接室と言うよりも、書斎へと通された南花達は、部屋の中心にあるL字型のソファーに腰を降ろしている。
暖色系の証明の中、ジョバンニが人数分の珈琲を淹れている…
「新聞社って聞いていたけれど、記者の方達はどこにいるんですか?」
新聞のバックナンバーや、資料が収納されている棚をぐるりと見渡した南花が質問する。
「あぁ、10年前に首都機関から公的な新聞社としては、廃刊を命じられていまして…ここを訪れる人間は私ぐらいですよ…」
トレーに珈琲を乗せて、ソファーとテーブルの元へ来たジョバンニが苦笑する。
「10年前に?」
10年前と言う単語に、南花が反応する。
「はい…最後の編集長が、独自に鉄之助氏とフェルム氏の実績の特集を組み、世間からの人気を高めた事が、2人のクーデターに協力したとこじつけて…廃刊しなければ、所属していた記者達の命は無いぞと脅されてね。」
そう呟いたジョバンニも席に座り続ける。
「私が東圏側B区で、喫茶店を営みつつ、帝国が表には出したくない情報の収集をしていたある日のことですが…店の地下倉庫で作業をしていたら、見慣れない黒いセーラー服を着た女性に声を掛けられて…この見捨てられた新聞社に誘われたんです。」
不思議な経緯を話したジョバンニは、珈琲を一口飲む。
「もしかして、その女性は【黄泉ちゃん】っと名乗りませんでしたか?」
南花が、心当たりのある人物の名前を挙げる。
「よく分かりましたね…その通りです。」
一発で当てた南花へ驚きを見せつつも、ジョバンニが更に続ける。
「その黄泉ちゃんから、『そのうち鉄之助氏の娘である南花さんと出会う事になるだろうから協力してあげるかどうか考えておいて』っと予言されたかと思いきや…ヨハンナ様とハンムラビさんが、再構築計画に関して肯定的な立ち回りをしている事を知り、今に至ると言った感じです。」
一通り話したジョバンニと南花の視線が合う。
「なるほど…それで、アトラさんの懐中時計の所在についてご存知との事ですが、教えて頂いてもよろしいですか?」
南花が軽く頭を下げる。
「そうですね…私が突き止めた場所は、東圏側B区内にある【帝国博物館】に保管されており非公開指定されているとの事です。」
博物館?っと言いたそうな南花の顔を見つつ、ジョバンニが続ける。
「しかも、懐中時計という形状ではなく…真鍮素材の星座早見表らしいのです。」
「星座早見表って時計じゃないと思うのですが…」
南花が戸惑いながらも、言葉を返す。
「いいえ、南花…太古の時代の感覚からすれば…時を知るという事は、星の動きについて知る事とイコールだから間違いではないと思うよ。」
一瞬、考える素振りを見せたサクラが、進言する。
「あぁ…言われてみればそうかもね…」
サクラの説明にピンっと来たアオイとコマチが頷く。
「確かにそうかもしれませんね…しかし、問題なのは、残る最後の時計が保管されている場所なんですよね…」
南花が回収方法について頭を悩ませる。
「帝国博物館には、数々の国宝が展示されている為に、魔術の面は勿論のこと、科学の面での警備も徹底されていますからね…」
ハンムラビが問題点を口にすることで、室内が重たい空気に支配される。
その最中、ヨハンナが思い付く。
「う~ん…気後れするけど、この方法しかないかなぁ…」
話すかどうか難色を示すヨハンナへ、一同の視線と耳が集まる。
ハンムラビを先頭に、ホームに降りていく一行。
そして、壁のとある部分に近付いたハンムラビが、再び木槌を取り出し、特定のリズムで数回ほど壁を叩く。
すると、壁は消え…別の場所へと続く階段が現れる。
「さぁ、こちらです。付いてきて下さい。」
はいっと短く頷いた南花達は、ハンムラビの後を追う。
最後尾のヨハンナが階段を登り始めると、再び壁へと戻る。
ーーー
しばらく、先頭を歩いたハンムラビの眼前に、古びた框ドアが現れる。
そして、その扉の先の光景を見た、南花から驚きが漏れる。
「凄い棚の数…これは…一つ一つに文字が掘られているの?」
活版印刷の為に、無数に並んだ小さな鉛の立体物に、南花は視線を奪われる。
サクラやアオイ、コマチも室内に並んだ鉛の文字や、活版印刷機に興味を示していると…
南花達が入って来た扉とは違う扉が開く。
「いやぁ…これは、お待たせしてしまいましたかな?」
南花達の目の前に現れた男性は、ワイシャツにスラックス…そして、サスペンダーを身に付けてはいるものの、ノーネクタイで髪もボサボサで、フォーマルとは言えない出で立ちである。
「いいえ、私達もちょうど到着した所です。お久しぶりです、【ジョバンニ・レオポルド】さん。」
先ず、ハンムラビがジョバンニと挨拶を交わす。
「ヨハンナ様もお久しぶりです…今日も美しいですね…」
「あはは、ジョバンニさん、久しぶり…冗談は、よしてよね…」
ジョバンニからの羨望の眼差しに対して、ヨハンナは若干、引き気味に応じる。
「二人はどういう関係なんですか?」
「あぁ…その昔、ジョバンニさんが治安の悪い東圏側の酒場で、酔っ払い達に恐喝されている所を、ヨハンナ団長が助けてから、あんな感じですね…」
南花のぼそりっと呟いた疑問に対して、ハンムラビが応える。
「あなたが、鉄之助氏の娘さんである南花さんですね。初めまして、情報屋の【ジョバンニ・レオポルド】と申します。」
「はい、私が南花です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
挨拶に応じた南花は、軽く頭を下げる。
「そして、あなた方が、地下道化師としても屈指の実績を持つ、サクラさん、コマチさん、アオイさんですね。」
「はい、よろしくお願いします…南花はともかく、私達の事もご存知なんですね。」
ジョバンニが、地下道化師としての自分たちを知っている事に、少し驚きを見せるサクラが応える。
「これでも、東圏側の情報屋ですから…法的にグレーな地下遊演地の実情に関しても認知していますよ。」
サクラに続いて、コマチとアオイも軽く自己紹介をする。
「それにしても、大変な目に逢いましたね…立ち話も何ですから、移動しましょう…」
本題へ移る前に、ジョバンニが別室へ案内する。
応接室と言うよりも、書斎へと通された南花達は、部屋の中心にあるL字型のソファーに腰を降ろしている。
暖色系の証明の中、ジョバンニが人数分の珈琲を淹れている…
「新聞社って聞いていたけれど、記者の方達はどこにいるんですか?」
新聞のバックナンバーや、資料が収納されている棚をぐるりと見渡した南花が質問する。
「あぁ、10年前に首都機関から公的な新聞社としては、廃刊を命じられていまして…ここを訪れる人間は私ぐらいですよ…」
トレーに珈琲を乗せて、ソファーとテーブルの元へ来たジョバンニが苦笑する。
「10年前に?」
10年前と言う単語に、南花が反応する。
「はい…最後の編集長が、独自に鉄之助氏とフェルム氏の実績の特集を組み、世間からの人気を高めた事が、2人のクーデターに協力したとこじつけて…廃刊しなければ、所属していた記者達の命は無いぞと脅されてね。」
そう呟いたジョバンニも席に座り続ける。
「私が東圏側B区で、喫茶店を営みつつ、帝国が表には出したくない情報の収集をしていたある日のことですが…店の地下倉庫で作業をしていたら、見慣れない黒いセーラー服を着た女性に声を掛けられて…この見捨てられた新聞社に誘われたんです。」
不思議な経緯を話したジョバンニは、珈琲を一口飲む。
「もしかして、その女性は【黄泉ちゃん】っと名乗りませんでしたか?」
南花が、心当たりのある人物の名前を挙げる。
「よく分かりましたね…その通りです。」
一発で当てた南花へ驚きを見せつつも、ジョバンニが更に続ける。
「その黄泉ちゃんから、『そのうち鉄之助氏の娘である南花さんと出会う事になるだろうから協力してあげるかどうか考えておいて』っと予言されたかと思いきや…ヨハンナ様とハンムラビさんが、再構築計画に関して肯定的な立ち回りをしている事を知り、今に至ると言った感じです。」
一通り話したジョバンニと南花の視線が合う。
「なるほど…それで、アトラさんの懐中時計の所在についてご存知との事ですが、教えて頂いてもよろしいですか?」
南花が軽く頭を下げる。
「そうですね…私が突き止めた場所は、東圏側B区内にある【帝国博物館】に保管されており非公開指定されているとの事です。」
博物館?っと言いたそうな南花の顔を見つつ、ジョバンニが続ける。
「しかも、懐中時計という形状ではなく…真鍮素材の星座早見表らしいのです。」
「星座早見表って時計じゃないと思うのですが…」
南花が戸惑いながらも、言葉を返す。
「いいえ、南花…太古の時代の感覚からすれば…時を知るという事は、星の動きについて知る事とイコールだから間違いではないと思うよ。」
一瞬、考える素振りを見せたサクラが、進言する。
「あぁ…言われてみればそうかもね…」
サクラの説明にピンっと来たアオイとコマチが頷く。
「確かにそうかもしれませんね…しかし、問題なのは、残る最後の時計が保管されている場所なんですよね…」
南花が回収方法について頭を悩ませる。
「帝国博物館には、数々の国宝が展示されている為に、魔術の面は勿論のこと、科学の面での警備も徹底されていますからね…」
ハンムラビが問題点を口にすることで、室内が重たい空気に支配される。
その最中、ヨハンナが思い付く。
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