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終章.バビロニア・オブ・リビルド
67『ドミノと賽とパレス』
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エンキドゥによって誘われた、南花達が気が付くと目の前には…趣のある舞台劇場や美術館と見間違うほどに細部まで装飾が施された映画館が広がっている。
赤い絨毯が轢かれた館内の正面には、各シアターへのアンティーク調の扉が横一例に鎮座しており…真正面の一際大きな扉のみが自動的に開いていく…
「この扉に入れば良いのかな…」
南花が、華やかでありながら落ち着いた館内の雰囲気に戸惑いつつも、歩みを進める。
「えぇ、入りましょう。」
アリサも緊張気味に答えながらも促す。
「私達も見届けないといけないね。」
「団長、そうですね。」
その次にヨハンナとハンムラビが、扉の中へ入っていく。
「ほら、コマチも行くよ。」
「いや、映画を見るならお供が必要だろ…どれも美味しそうだ…」
隣接する売店に並ぶ軽食に気を取られるコマチの右腕を、アオイが引っ張ろうとするが微動だにしない。
「もう…今から映画を見るつもりで、この箱庭に誘われたんじゃないでしょ。」
そう諭したサクラが、コマチの左腕を引っ張るが…それでも動かない。
「ほら!急がないと、扉が閉まるかもしれないから。」
ユキノが背中から押すことで、ようやくコマチがズルズルっと動き出す。
そして、コマチ達がシアター内へ入ったタイミングで、扉が自動的に閉まる。
扉の先の入場したシアター内には、南花達しか観客はおらず…全員が席に座ると、場内が暗転する。
そして、映写機によってフィルムが再生され…大きなスクリーンにカウントダウンが映り、始まりを告げる。
ーーー
その白黒のフィルムの中の世界では、バビロニア帝国の王である【ギルガメッシュ】とその盟友であり、アヌの使徒でもある【エンキドゥ】が対峙している。
2人しか居ない無の空間だったフィルム内の世界が、徐々に色付いていき…水と緑が豊かな白いレンガ造りの楽園【ネブカドネザルの庭園】がその姿を現す。
「ふっ…始めるか。」
「あぁ、そうだね。」
短く言葉を交わした2人の周囲が、舞台装置の場面転換の様に切り替わり…庭園の中の広間に様変わりする。
「バビロニアを治める王の半神格の下に服従せよ…【ドミネーター・バビロン】。」
その言葉を機に、ギルガメッシュが軍服の内ポケットから取り出した2つのドミノ牌は、瞬く間に大きくなっていく…
そして、ギルガメッシュの上半身と同程度の大きさ迄に達したドミノ牌は、両肩の背後に浮遊する形で展開される。
「その術式は、君が過酷な長旅の末に創造主によって『この世の全てを見極めた者』として認められた証として授けられた権能だったね。」
エンキドゥが、久しぶりに見た王の魔術に対して言及する。
「あぁ、俺の魔力が続く限り…眼前の対象を白か黒かに判別し、その上で双方の中にある黒点ないし、白点という相互関係にある点を断ち切る事で無力化させる術式だ。」
応じたギルガメッシュは、背後に浮遊するドミノ牌から出現した黒い大斧を手にする。
その大斧の刃の一ヶ所のみに、小さな白点が記されている。
「それじゃあ…僕も準備するとしようか…」
エンキドゥは、再度、正三角錐のサイコロを取り出す。
「【盤面上の自動人形】…起動。」
そして、エンキドゥの手から投げられた頂点のうち一点のみ白い4つの賽は、地面に転がり落ち…静止すると…土人形へと変形する。
ギルガメッシュとエンキドゥの口角が僅かに上がる。
そして、次の瞬間…魔力によって機動力を格段に上げたギルガメッシュが、黒い大斧を振り上げながらエンキドゥに向かう。
背後のドミノ牌は、その動きに付随する。
エンキドゥが生み出した4体の自動人形の内、ギルガメッシュに最も近い一体が右腕を刃に変質させて対応しようとするが…
その自動人形の一撃は、ギルガメッシュの背後にあるドミノ牌が盾の様に防いだかと思いきや…次の瞬間には、その一体を弾き飛ばす。
しかし、ドミノ牌が一体目に対処した事で生じた隙に、二体目の自動人形が追撃を仕掛ける。
「っぅ!やられたな…」
ギルガメッシュは、咄嗟に黒い大斧で防いだが…二体目の一撃は斧に存在する白点に亀裂を生じさせており…次の瞬間には、大斧が霧散していく。
ギルガメッシュは左肩側に展開するのドミノ牌で、その二体目の自動人形も吹き飛ばす。
そして…左肩側のドミノ牌から、黒い獅子を召還する。
その獅子は瞳だけが白い。
獅子を召還した直後…三体目と四体目の自動人形が同時に、ギルガメッシュを襲撃する。
三体目は、黒の獅子が牙を向けて拮抗するが…四体目がギルガメッシュに刃を振りかざす。
ギルガメッシュは、後退しながら四体目の攻撃を難なくと回避した後…
右肩側のドミノ牌で止めの一撃を加えるが…
「ほぉ…やるではないか…」
四体目の自動人形は相討ちで、右肩側のドミノ牌に存在する黒い点を捉えており…右肩側のドミノ牌は霧散する。
三体目の自動人形は、黒の獅子によって仕留められるが…
その獅子は、急接近してきたエンキドゥ自身によって、白い両目を抉られて霧散する。
次にエンキドゥが、残る左肩側のドミノ牌を攻撃しようとするが…
「ふっ、させるか。」
ギルガメッシュが微笑むと、ドミノ牌から無数の黒い矢が放たれ…エンキドゥは回避する。
「攻守共に無駄が無い、合理的な術式だね…でもね…ふっ…」
一定の距離を取ったエンキドゥも微笑む。
エンキドゥの視線が残るドミノ牌に再び向いた瞬間…ギルガメッシュも異変に気付く。
ドミノ牌の外側には、爆発する術式が貼られており…点滅し始める。
そして、ギルガメッシュがドミノ牌を放棄した瞬間…爆発する。
「ふっ…土人形だったお前が、いつの間にこんな小細工を覚えたのやら…」
爆煙を煙たがるギルガメッシュが、皮肉を漏らす。
「これも狡猾などこかの王様の影響かな。」
作戦が成功したエンキドゥも言い返す。
ふと天井を見上げ、何かを探知したエンキドゥが言葉を紡ぐ。
「どうやらエレシュキガルが、再び動き出したみたいだね…」
「そうか…もう暫し楽しみたかった所だが…仕方あるまい、次の一撃を互いの最後の一手とするか。」
ギルガメッシュが、渋々と承諾する。
「そうしよう…星を識る創造主から授けられた神器『スピカの槍』よ…応えてくれ。」
頷いたエンキドゥは、何処からともなく取り出したレンガを、一本の白く輝く槍に変質させる。
「ふっ…お前の『スピカの槍』に対抗するには、これしかあるまいな…」
またしても笑みを見せたギルガメッシュは、腰に差している軍刀の鞘に手を掛ける。
「我に王権を授けし最高神よ…『ミルザムの刃』を抜く承認を求む。」
そのギルガメッシュに呼応した刃の刀身は、太陽よりも熱く、青く燃えている。
エンキドゥが手にする『スピカの槍』の矛先から漏れる白い光の破片が、周囲に舞う…
同じくギルガメッシュが手にする『ミルザムの刃』の刀身からも青い光の破片が漏れ、周囲を照らしていく。
白い光と青い光が乱反射する中…バビロニアの王とその盟友である自我を得た人形が、正面から激突し刃を交える。
星の膨大なエネルギーを具現化した刃同士が衝突したことで、次の瞬間…色を得ていたフィルムの世界は、再びモノクロの世界に戻り…最後は白い閃光に支配されてしまう。
そして、フィルムの世界は焼かれる様に瓦解していき…
ギルガメッシュとエンキドゥは、映画館の白いスクリーンの前に姿を現す。
フィルムの中にいた筈の2人が、目の前のスクリーンに突如として現れた状況に対して、座席に座る南花達は、無言で固唾を飲むことしか出来ない。
一瞬の間の後に…ギルガメッシュとエンキドゥは同時に吐血し、片膝をスクリーンの壇上の床に付く。
「再びお前と刃を交える事が出来て、とても有意義な時間だったぞ…盟友。」
先に立ち上がったギルガメッシュが、決闘の相手を称する。
「僕こそ、こんなにも心が踊る感覚は久しぶりだったよ…王様。」
歓喜の気持ちを表したエンキドゥも立ち上がりながら、笑みを見せる。
「心か…いつの間に手に入れたんだ?エンキドゥ…」
「忘れたのかい?君がくれたんだろ、ギルガメッシュ。」
そう会話を交わした2人は、数百年ぶりの握手をする。
次の瞬間、エンキドゥによって誘われた箱庭全体が揺れ始めたかと思いきや…大きなスクリーンから水が流れ込んでくる。
「時間が無いな…源南花とアリサ・クロウ…俺達の道楽に付き合わせてしまった礼だ、これを受け取れ。」
スクリーンを吊るす壇上から降りたギルガメッシュは、南花達の元に歩み寄る。
「これは、あの風来坊から授かった【ノアの方舟】じゃないか。」
続けて壇上から降りたエンキドゥは、ギルガメッシュが差し出したポケットサイズの木製の舟について説明する。
「ギルガメッシュ王、そのご好意に感謝致します…ですが、私達は、エンキ様から授かった舟が有りますので、お気持ちだけ頂戴させて頂きたいと思います。」
そう答えたヨハンナが、帆船が刺繍されたハンカチを取り出す。
「そうか…これは確か…ふっはは!エンキの奴が、嫌がらせとして盗んだモルガーナの私物ではないか!」
「えっ、嘘でしょ!?…アイツめ…」
笑いを抑えられなかったギルガメッシュに、モルガーナの意思を宿したアリサが物凄い勢いで駆け寄った後に、殺意を言葉にする。
「まぁ、王として最後の助言だが…あいつ、エンキの好意には気を付けた方が良いぞ。」
そう忠告したギルガメッシュが言葉を続ける。
「幾つもの困難を突破し、『再構築計画』を実現した我が帝国の民達を称賛する。」
バビロニア帝国の王は、南花とアリサ達の一人一人と眼を合わせる。
「ギルガメッシュ王、ありがとうございます。父である鉄之助から託された『権利』と『責務』を行使していきたいと思います。」
南花が代表して、ギルガメッシュと言葉を交わす。
「これ以上は、この箱庭も持たないな…健闘を祈るよアリサ・クロウ君。」
そう忠告したエンキドゥが、アリサへ視線を向ける。
「はい、ありがとうございます。」
アリサが神妙な面持ちで短く返事をした直後…箱庭の瓦解が進み…現実世界である帝国の地へと戻されていく南花達。
赤い絨毯が轢かれた館内の正面には、各シアターへのアンティーク調の扉が横一例に鎮座しており…真正面の一際大きな扉のみが自動的に開いていく…
「この扉に入れば良いのかな…」
南花が、華やかでありながら落ち着いた館内の雰囲気に戸惑いつつも、歩みを進める。
「えぇ、入りましょう。」
アリサも緊張気味に答えながらも促す。
「私達も見届けないといけないね。」
「団長、そうですね。」
その次にヨハンナとハンムラビが、扉の中へ入っていく。
「ほら、コマチも行くよ。」
「いや、映画を見るならお供が必要だろ…どれも美味しそうだ…」
隣接する売店に並ぶ軽食に気を取られるコマチの右腕を、アオイが引っ張ろうとするが微動だにしない。
「もう…今から映画を見るつもりで、この箱庭に誘われたんじゃないでしょ。」
そう諭したサクラが、コマチの左腕を引っ張るが…それでも動かない。
「ほら!急がないと、扉が閉まるかもしれないから。」
ユキノが背中から押すことで、ようやくコマチがズルズルっと動き出す。
そして、コマチ達がシアター内へ入ったタイミングで、扉が自動的に閉まる。
扉の先の入場したシアター内には、南花達しか観客はおらず…全員が席に座ると、場内が暗転する。
そして、映写機によってフィルムが再生され…大きなスクリーンにカウントダウンが映り、始まりを告げる。
ーーー
その白黒のフィルムの中の世界では、バビロニア帝国の王である【ギルガメッシュ】とその盟友であり、アヌの使徒でもある【エンキドゥ】が対峙している。
2人しか居ない無の空間だったフィルム内の世界が、徐々に色付いていき…水と緑が豊かな白いレンガ造りの楽園【ネブカドネザルの庭園】がその姿を現す。
「ふっ…始めるか。」
「あぁ、そうだね。」
短く言葉を交わした2人の周囲が、舞台装置の場面転換の様に切り替わり…庭園の中の広間に様変わりする。
「バビロニアを治める王の半神格の下に服従せよ…【ドミネーター・バビロン】。」
その言葉を機に、ギルガメッシュが軍服の内ポケットから取り出した2つのドミノ牌は、瞬く間に大きくなっていく…
そして、ギルガメッシュの上半身と同程度の大きさ迄に達したドミノ牌は、両肩の背後に浮遊する形で展開される。
「その術式は、君が過酷な長旅の末に創造主によって『この世の全てを見極めた者』として認められた証として授けられた権能だったね。」
エンキドゥが、久しぶりに見た王の魔術に対して言及する。
「あぁ、俺の魔力が続く限り…眼前の対象を白か黒かに判別し、その上で双方の中にある黒点ないし、白点という相互関係にある点を断ち切る事で無力化させる術式だ。」
応じたギルガメッシュは、背後に浮遊するドミノ牌から出現した黒い大斧を手にする。
その大斧の刃の一ヶ所のみに、小さな白点が記されている。
「それじゃあ…僕も準備するとしようか…」
エンキドゥは、再度、正三角錐のサイコロを取り出す。
「【盤面上の自動人形】…起動。」
そして、エンキドゥの手から投げられた頂点のうち一点のみ白い4つの賽は、地面に転がり落ち…静止すると…土人形へと変形する。
ギルガメッシュとエンキドゥの口角が僅かに上がる。
そして、次の瞬間…魔力によって機動力を格段に上げたギルガメッシュが、黒い大斧を振り上げながらエンキドゥに向かう。
背後のドミノ牌は、その動きに付随する。
エンキドゥが生み出した4体の自動人形の内、ギルガメッシュに最も近い一体が右腕を刃に変質させて対応しようとするが…
その自動人形の一撃は、ギルガメッシュの背後にあるドミノ牌が盾の様に防いだかと思いきや…次の瞬間には、その一体を弾き飛ばす。
しかし、ドミノ牌が一体目に対処した事で生じた隙に、二体目の自動人形が追撃を仕掛ける。
「っぅ!やられたな…」
ギルガメッシュは、咄嗟に黒い大斧で防いだが…二体目の一撃は斧に存在する白点に亀裂を生じさせており…次の瞬間には、大斧が霧散していく。
ギルガメッシュは左肩側に展開するのドミノ牌で、その二体目の自動人形も吹き飛ばす。
そして…左肩側のドミノ牌から、黒い獅子を召還する。
その獅子は瞳だけが白い。
獅子を召還した直後…三体目と四体目の自動人形が同時に、ギルガメッシュを襲撃する。
三体目は、黒の獅子が牙を向けて拮抗するが…四体目がギルガメッシュに刃を振りかざす。
ギルガメッシュは、後退しながら四体目の攻撃を難なくと回避した後…
右肩側のドミノ牌で止めの一撃を加えるが…
「ほぉ…やるではないか…」
四体目の自動人形は相討ちで、右肩側のドミノ牌に存在する黒い点を捉えており…右肩側のドミノ牌は霧散する。
三体目の自動人形は、黒の獅子によって仕留められるが…
その獅子は、急接近してきたエンキドゥ自身によって、白い両目を抉られて霧散する。
次にエンキドゥが、残る左肩側のドミノ牌を攻撃しようとするが…
「ふっ、させるか。」
ギルガメッシュが微笑むと、ドミノ牌から無数の黒い矢が放たれ…エンキドゥは回避する。
「攻守共に無駄が無い、合理的な術式だね…でもね…ふっ…」
一定の距離を取ったエンキドゥも微笑む。
エンキドゥの視線が残るドミノ牌に再び向いた瞬間…ギルガメッシュも異変に気付く。
ドミノ牌の外側には、爆発する術式が貼られており…点滅し始める。
そして、ギルガメッシュがドミノ牌を放棄した瞬間…爆発する。
「ふっ…土人形だったお前が、いつの間にこんな小細工を覚えたのやら…」
爆煙を煙たがるギルガメッシュが、皮肉を漏らす。
「これも狡猾などこかの王様の影響かな。」
作戦が成功したエンキドゥも言い返す。
ふと天井を見上げ、何かを探知したエンキドゥが言葉を紡ぐ。
「どうやらエレシュキガルが、再び動き出したみたいだね…」
「そうか…もう暫し楽しみたかった所だが…仕方あるまい、次の一撃を互いの最後の一手とするか。」
ギルガメッシュが、渋々と承諾する。
「そうしよう…星を識る創造主から授けられた神器『スピカの槍』よ…応えてくれ。」
頷いたエンキドゥは、何処からともなく取り出したレンガを、一本の白く輝く槍に変質させる。
「ふっ…お前の『スピカの槍』に対抗するには、これしかあるまいな…」
またしても笑みを見せたギルガメッシュは、腰に差している軍刀の鞘に手を掛ける。
「我に王権を授けし最高神よ…『ミルザムの刃』を抜く承認を求む。」
そのギルガメッシュに呼応した刃の刀身は、太陽よりも熱く、青く燃えている。
エンキドゥが手にする『スピカの槍』の矛先から漏れる白い光の破片が、周囲に舞う…
同じくギルガメッシュが手にする『ミルザムの刃』の刀身からも青い光の破片が漏れ、周囲を照らしていく。
白い光と青い光が乱反射する中…バビロニアの王とその盟友である自我を得た人形が、正面から激突し刃を交える。
星の膨大なエネルギーを具現化した刃同士が衝突したことで、次の瞬間…色を得ていたフィルムの世界は、再びモノクロの世界に戻り…最後は白い閃光に支配されてしまう。
そして、フィルムの世界は焼かれる様に瓦解していき…
ギルガメッシュとエンキドゥは、映画館の白いスクリーンの前に姿を現す。
フィルムの中にいた筈の2人が、目の前のスクリーンに突如として現れた状況に対して、座席に座る南花達は、無言で固唾を飲むことしか出来ない。
一瞬の間の後に…ギルガメッシュとエンキドゥは同時に吐血し、片膝をスクリーンの壇上の床に付く。
「再びお前と刃を交える事が出来て、とても有意義な時間だったぞ…盟友。」
先に立ち上がったギルガメッシュが、決闘の相手を称する。
「僕こそ、こんなにも心が踊る感覚は久しぶりだったよ…王様。」
歓喜の気持ちを表したエンキドゥも立ち上がりながら、笑みを見せる。
「心か…いつの間に手に入れたんだ?エンキドゥ…」
「忘れたのかい?君がくれたんだろ、ギルガメッシュ。」
そう会話を交わした2人は、数百年ぶりの握手をする。
次の瞬間、エンキドゥによって誘われた箱庭全体が揺れ始めたかと思いきや…大きなスクリーンから水が流れ込んでくる。
「時間が無いな…源南花とアリサ・クロウ…俺達の道楽に付き合わせてしまった礼だ、これを受け取れ。」
スクリーンを吊るす壇上から降りたギルガメッシュは、南花達の元に歩み寄る。
「これは、あの風来坊から授かった【ノアの方舟】じゃないか。」
続けて壇上から降りたエンキドゥは、ギルガメッシュが差し出したポケットサイズの木製の舟について説明する。
「ギルガメッシュ王、そのご好意に感謝致します…ですが、私達は、エンキ様から授かった舟が有りますので、お気持ちだけ頂戴させて頂きたいと思います。」
そう答えたヨハンナが、帆船が刺繍されたハンカチを取り出す。
「そうか…これは確か…ふっはは!エンキの奴が、嫌がらせとして盗んだモルガーナの私物ではないか!」
「えっ、嘘でしょ!?…アイツめ…」
笑いを抑えられなかったギルガメッシュに、モルガーナの意思を宿したアリサが物凄い勢いで駆け寄った後に、殺意を言葉にする。
「まぁ、王として最後の助言だが…あいつ、エンキの好意には気を付けた方が良いぞ。」
そう忠告したギルガメッシュが言葉を続ける。
「幾つもの困難を突破し、『再構築計画』を実現した我が帝国の民達を称賛する。」
バビロニア帝国の王は、南花とアリサ達の一人一人と眼を合わせる。
「ギルガメッシュ王、ありがとうございます。父である鉄之助から託された『権利』と『責務』を行使していきたいと思います。」
南花が代表して、ギルガメッシュと言葉を交わす。
「これ以上は、この箱庭も持たないな…健闘を祈るよアリサ・クロウ君。」
そう忠告したエンキドゥが、アリサへ視線を向ける。
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