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第二話『近況!新しい友達(?)ができました。』
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月曜日。
金曜日にあんなことがあって以来、なんだか気分がすっきりしている。
恋人に振られた時、俺は怒り散らした。
好きな本のページまで破ってしまった。
でも、きっと泣きたかったのが本音だ。
渡辺の件で、大泣きして、気分は少し良くなった。
それに、好きな作家に出会ったのは事実。
毎朝の癖で、自然と足が向うのは、、、。
あ、やっぱやだな、、、。
俺は毎朝、俊と真琴と一緒に学校に登校している。
前までは楽しかった。
自然と笑顔がこぼれるくらい。
でも、振られて依頼居心地が悪かった。
そして今になって、渡辺の言葉を思い出した。
『なんと言うか、つまんなそうな顔っすかね』
俺は顔をしかめる。
「くそ、、、」
制服ズボンのポケットから携帯を取り出すと、俊にメールを打つ。
俺【ごめん、寝坊したから先行ってて】
送信。
すると、すぐに既読の文字が文面の下に出る。
待ってたんかな、、。
俺は携帯を持つ手に力を込める。
俊【了解】既読
俺は深いため息をついた。
一気に気分が下がり、トボトボといつもとは違う道を歩き始める。
学校までは数十分。
もうすでに半分くらいきたところで、背後から「あ」と声がする。
この気だるげな声は、、。
俺は足を止めて、顔だけ後ろに向ける。
「おはよう、渡辺くん」
「、、、おはようございます、先輩」
渡辺は俺の隣に早足で駆け寄る。
俺たちは肩を並べて歩き出した。
「渡辺くんは、この道で登校してたんだね」
「、、、あの先輩?」
「なに?」
王子スマイルを浮かべる俺に、渡辺が一歩近づいて俺に囁く。
「なんすかその喋り方。今、俺じゃないすか」
俺はスマイルを浮かべたまま小声で返事をする。
「他に生徒がいんだろうが」
そう言うと渡辺は辺りをチラチラ見渡す。
周りを歩く生徒たちは、俺と渡辺が一緒に歩いているところをジロジロと凝視している。
少しは遠慮しろよ。
でもまあいいだろう。
俺は誰にでも優しい男として通ってるからな。
そんなことを思っていると隣からぼそりと呟く声が聞こえた。
「こないだので変わろうと思ったんじゃなかったんすか?」
こないだの。
真琴にどう思われていたかを知った時か。
俺は歪みそうになる表情を引き締める。
「聞きたかったすけど」
渡辺の声にハッと我に帰る。
「先輩こそ、いつもはこっち方面じゃないっすよね。なんでっすか」
「、、、よく知ってんな」
「え?ああ、そりゃあ。入学してから数日は先輩の使ってる道で、先輩達の観察してたんすけど、朝は特になんも起こんないし、もっと効率の良いルートで登校しようって決めたんです」
「このストーカーっ」
笑顔が引きつる。
「ストーカじゃないっすよ。仕事のために仕方なくっすから」
「仕方なくって言われたら言われたで、ムカつくな」
俺は小さくため息をつく。
だんだんと、周りの生徒達は、延々とささやき合う俺たちを不審そうな視線で見る。
俺は声のボリュームを少し上げる。
「今日はたまたまこっち方面に用事があったんだ。それだけだよ」
「、、、へぇ」
そう言って頷くも、俺の表情を伺うように見てくる渡辺。
ああ、もう。
俺は渡辺の腕を掴むと歩く速度を上げる。
「渡辺くん。急ごう。じゃないと遅れちゃうよ」
「何言ってんすか。まだ三十分あ」
「ほらほら早く」
俺の言葉に生徒達までもが、慌てて足の速度を上げる。
うわ、やっちまった。
俺たち二人で抜けようと思ったのに。
モテる男は辛えわ。
「『花壇の水やり』に遅れちゃうよ」
俺が少し大きめの声で言うと、生徒達は顔を見合わせ、ふっと急ぎ足を緩めた。
「ほんとめんどくさいっすね、橘先輩」
渡辺の小言が聞こえたが、俺は「うるせえ!」と叫びたくなる衝動を抑えて、高校に急いだ。
学校でも俺と歩く渡辺はジロジロと見られている。
俺は校舎への入り口の靴箱の前で、上靴に履き替える渡辺の耳元で囁いた。
「こないだのことも今日のことも話すんじゃねえぞ。絶対にだ」
渡辺はこくりと頷いた。
教室に入った途端、全員の視線が俺に向く。
女達は好意丸出し。
男達は敵意丸出し。
もう慣れたことだしなんとも思わないはずだったが、渡辺と色々話してからポーカーフェイスが下手になった気がする。
実際に一人の女の子に「大丈夫?」と聞かれてしまった。
俺はハハッと笑う。
「大丈夫だよ。少し寝不足なだけなんだ。心配してくれてありがとう」
「はっはい」
瞳にハートが浮かんでいる。
こいつらは、もう少し隠そうとか思わないんだろうか。
「おはよう」
その一人の声にピクリと反応する。
見なくてもわかるその人。
俺の元恋人だ。
俺は、動揺を悟られにように笑顔を保つ。
「おはよう、真琴」
「今日寝坊したって聞いたよ。珍しいね」
心配した顔で俺を覗き込んでくる。
俺は早く走る鼓動を抑えるように大きく息をつく。
「もう少しで中間試験だから、勉強してたんだ」
「ふふっ、橘くんだったらそんなに必死に勉強しなくていいのに」
橘くんだったら、、、。
俺はハハッと笑う。
「そんなことないよ」
「もう、ふふ。でも、河村くんは必死になって勉強しないと学年最下位になっちゃいそうだよね」
彼女は笑みを浮かべ、楽しそうに話す。
「、、、そうだね」
なんで、そこであいつの話すんだよ。
どんだけ、無神経なんだよ。
俺は立ち上がると「トイレ行ってくるね」とだけ言い残し教室を出た。
トイレに歩く。
やはりさっきから何やら視線を感じる。
いや、何やらじゃないか。
もう誰だかわかっちまってんだよな、、、。
俺はそのままトイレに入ると、その人物が現れるのを待った。
すると、トイレの入り口からひょこっと顔を出したのは、予想した通り、渡辺だった。
「よぉ、ストーカーくん。さっき以来だな」
「ストーカーくんはやめてください」
俺はあたりに誰もいないかを確認すると、トイレの壁に背中を預けた。
「白森の出番はねえんだから、もう俺観察しなくていいだろ」
「ほら、スピンオフ」
その言葉に、俺は大きくため息をついた。
「だいたいさぁ、相手の女がいねえじゃん。そこは考えるしかねえだろ?だからもう観察とかしねえで、あとは想像で書けよ」
俺が言うと、渡辺は俺を見上げた。
「書いてもいいんすか?」
「もういいよ。ってか、んな小学生向けの小説読んでるやつ俺以外、うちの高校にいねえだろうし、俺モデルってことも誰も気づかねえだろうし」
俺がイライラ丸出しで、そうきつい口調で言うと、渡辺は
少し傷ついたように、顔をしかめた。
「橘先輩、ほんと性格悪いっすよね。なんすか、俺結構頑張って書いてるんすけど。んな言い方しなくてもいいじゃないっすか」
そう言って顔をそらす渡辺を、俺は目を見開いて見る。
何言ってんだ、、、俺。
そんなこと思ってないだろ。
あ、そっか、八つ当たり?
うわ、ダセ、、、。
俺はバツの悪さに腕で顔を隠す。
「わ、わり。今の本気で言ってねえから。八つ当たりしちまった」
俺がそう言うと、渡辺はじっとこちらを眺めた。
「謝ったりはするんすね」
「当たり前だろ」
顔を隠したままの俺。
すると、するっと腕を掴まれた。
俺はその感触に固まり、されるがままに、腕を顔の前から降ろされる。
「もういっすよ。俺の小説好きなのは知ってるんで」
表情は変わらないが、一瞬表情が緩んだような気がした。
俺は目を見開いたまま渡辺を見つめた。
「さっきも教室で沢北先輩と話してんの見ました」
「っ」
俺は顔をそらす。
渡辺は俺の腕を離した。
「放課後、一緒に帰りましょう。そのまま俺んち来ていいんで、好きなだけ愚痴ってください」
俺はそう言う渡辺に視線を戻した。
こんなセリフを言うのは慣れていないのか、心なしか耳元が赤く染まっている気がする。
「、、、おう」
そそくさとさってゆく背中をじっと眺めた。
今、家に誘われた?
え、嘘だろ。
そんなの俊と沢北以外は、小学校以来だぞ?
なんか、友達みたいじゃね?
俺はニヤつく顔を指でつねる。
やばい、結構嬉しいぞこれ。
それにしても、さっきのは少し可愛かった。
、、、ん?可愛い?
今度は、ベシッと自分で自分の頭を叩いた。
「可愛いってっ、アホか」
気だるい学校での一日が終わった。
今日の放課後は、少し胸が躍る。
俺は学校の校門の柱に背を預け、オレンジ色に染まる空を見上げた。
もう最近は昼が短くなってきている。
冷たい空気が吹き抜け、俺は腕をさすった。
「橘先輩、お待たせしました」
背後から聞こえてくる声に、俺は深いため息をついた。
「遅いっての。残ってんの俺らだけじゃね?」
イラつきの混じった声で言う俺。
「すんません。絵描いてて気が付いたら学校終わってたんすよ」
「絵も描くのか」
そう聞くと、渡辺はかばんからスケッチブックを取り出した。
俺は渡辺の横に立つとスケッチブックをのぞき込む。
「、、、、、」
「どうっすか?表紙描きたいって言ったらやらせてくれるっすかね」
「、、、これは何ですか?」
「はい?」
俺はまじめな声で聞き返してくる渡辺を凝視する。
「これは何の物体なんだ?」
「物体とは失礼な。これは前席に座っている長野くんを描いたものっすよ。いい当て馬役になりそうだったんで」
「いろんな意味で、長野君に謝れ」
俺たちは帰り道を歩く。
「絵が下手なのは自覚してるっすよ」
「してんのかよ」
「漫画のほうも興味はあったんすけど、画力が壊滅的って母さんに言い切られちゃって」
「お前のドライな感じは、親から受け継いだものだったのか」
そう言うと、渡辺は深いため息をつく。
「で、先輩こそ、どうなんすか?」
「なにが?」
「絵ですよ。描けんですか?」
その言葉に、俺はふふんと鼻で笑う。
「当たりめえだ!俺にできないことはない」
「、、、そっすか」
「あ!なんだその目は!」
「ナルシスともここまで行くと、さすがにやばいっすよ」
「さては疑ってんな?!いいだろう!お前の家で、たっぷり絵の特訓してやる!」
「遠慮します」
「そんなこと言わずに!」
俺は渡辺の背中を押して、速く歩けと促す。
渡辺の家は思ったよりも近かった。
学校からは十分ほど。
駅までは十分ほど。
ついでに言えば、俺の家からも十分程度の距離にある。
ちょうどいい距離感。
俺は渡辺に続いて、マンションのエレベーターに乗り込んだ。
二人だけの空間。
鏡に映る渡辺の顔を一瞥する。
渡辺はぼーっとエレベーターの壁を眺めている。
今更だけど、こいつの部屋行くんだよな。
俺は、気付かれないように、小さく深呼吸をした。
「ここっす」
504号室。
小さな扉に手をかけて渡辺は扉を開いた。
ぎぃーっと音が鳴る。
「すんません。あんま綺麗なとこじゃないっすけど」
「じゃましまーす」
俺は靴が大量に詰まった狭い玄関で、靴を脱いで家に上がった。
玄関からはすぐにリビングにつながっていた。
部屋のほとんどは、地面に設置されている炬燵が埋め尽くしている。
奥にはキッチンが見える。
渡辺はかばんを置き、ブレザーを脱ぎ捨てるとキッチンに向かった。
「橘先輩、なんか飲みますか」
「おう、なんでもいいよ」
「じゃあ青汁があるんで」
「やっぱ何でもよくねえ。チェンジで」
「じゃあコーラ」
「それ頼むわ」
キッチンのほうからコポコポとコップにコーラを注ぐ音が聞こえる。
俺は部屋を見渡した。
「狭いな」
「すんません」
「いや、俺結構好きだわ。なんていうんかな、、、ホーミーな感じ?」
「、、、そっすか」
渡辺はこたつに入った俺の前にコップを置いた。
そして俺の隣に潜り込んできた。
、、、なんか近けえな。
「絵、教えてくれるんじゃなかったんすか」
そう言いながら、カバンからスケッチブックを取り出している渡辺。
俺はなぜか早まる鼓動を聞かれまいと「ああ!そうだったな!」と声を上げる。
「まずは体格を棒で描く」
「なぜ?」
「そっちのが後で肉付けしやすいから」
「なぜ?」
「、、、さっきからそればっかだな」
その後数分ほど教えるが、何一つわかってくれない。
そういやこいつ、勉強は学年最下位だったな。
「お前さ小説で出てくるような語彙はどこで覚えてくんだよ」
「他の本とかっすかね」
「勉強したほうが、ぜってえ語彙の幅広がるだろ。ってかなんでそんなに勉強できねえんだよ」
「俺、勉強できないんじゃなくて、しないんです」
「なんか、そんな名前のドラマあったな」
俺はため息をついて、机に崩れこむ。
「もう疲れたわ」
「はやくないっすか」
「お前のせいだろ」
そう言いながら渡辺も俺の横に、崩れこむ。
「やっぱどんな内容でも、学ぶってことは面倒くさいっすね」
「そんなこと言ってると、留年すんぞ」
「留年したら、もっと長い間人間観察ができるっすからね」
「お前は結構マジで留年しそう」
、、、あれ、、?
俺と渡辺の視線が向かい合う。
顔が触れそうなほど近い。
な、なんだこれ。
なんか、すげえ、、、恥ずかしいっつうか、なんつうか、、、。
「あの先輩」
「な、なんだよ」
視線をそらしたいのに、なんだかそれすら名残惜しいというか、、、いや名残惜しい?
「白森のスピンオフの話あったじゃないっすか」
「お、おう」
「あれ、相手役いないじゃねえかっつってたじゃないっすか」
そういえば言ってたな。
「俺はどっすか?」
「、、、、、、、、、は?」
渡辺の言葉に俺の体が固まる。
「なん、で、、?」
そう聞くと、渡辺は肩を上下させる。
「想像して書けばいいって言ってるじゃないすか。でも、もうすでにヒーローのほうにモデルがいるとなると、難しいっていうか。だから、男相手だったら結構遠慮なく、ラブイベント試せるんじゃないかって思って」
俺は表情一つ変えずにとんでもないことを言う渡辺を凝視する。
「今の状況だって、異性同士ならめっちゃでかい恋愛フラグが立ってるとこっすよ」
そう言うと、渡辺は体を起こす。
「じゃあ、とりあえず『咲』とでも呼んでください」
俺の答えも待たずに話を進める渡辺。
「サキ?」
「ヒロインの名前っすよ」
「桜子でも思ったけど、捻りがねえな。ぜってえギャルゲーやるタイプだろお前」
「めっちゃやりますよ。あ、でも巨乳好きってだけでギャルゲーやるやつとは一緒にしないでください」
「それ俺だわ」
「見損ないました」
「うるせえ」
俺は身を起こして、大きく深呼吸をした。
「よし」
「え、マジでやってくれるんすか」
そう聞かれて頷く。
「一読者として、お前の本がつまんなくなったら嫌だし」
「、、、そっすか」
俺から視線をそらして囁く渡辺。
照れてんのかな、、。
「あ、じゃあこれ手伝ってやる代わりに一つだけリクエスト聞いてくんね?」
「別にいいっすけど」
「白森と咲の絡みのシーンは、前作よりももっとエロくし」
「だめっす。そこは二人の純粋な恋がいいんじゃないっすか」
「ちぇ」
俺はそう文句を言いながらも、けらけら笑う。
すると、渡辺が急に顔をのぞき込んできた。
「な、なに?」
心臓が跳ね上がる。
「白森くぅん、好きぃ」
「、、、、」
表情一つ変えないで、棒読みなうえに、なんか声、がさついてるし。
「ぶふっ」
「あ」
おなかを抱えながらゲラゲラ笑いだす俺を見る渡辺。
「笑わんでくださいよ。結構頑張ったのに」
「なっなんだよそのしゃべり方!あはははは、白森くぅんってっ」
「いや、せっかくだしヒロインも、ぶりっ子で実は性悪キャラで行こうかと」
「嫌だわそんな女!」
「先輩が言いますか」
「あははははは、腹痛てえ」
俺は荒い息を上げながら、笑いを収めようとコーラを一気飲みする。
すると、炭酸が鼻にきて、瞳に涙が浮かぶ。
「っかーっ」
「おっさんみたいっすね」
俺はふぅーっと息をつく。
すると、となりで「ふっ」と一瞬声がした。
え、今のって、、、。
俺はバっと渡辺を顔を見る。
しかし、無表情だ。
あれ、でも今確かに、、、。
渡辺の顔をじっと眺めていると、渡辺がふいっと視線をそむけた。
「なに見てんすか」
「今、笑ったよな」
「、、、、なんのことやら」
「お前も笑うんだな」
そう言うと、渡辺の耳が少し赤くなった気がした。
、、、やっぱ、ほんのちょびっとだけだけど、可愛いよな。
俺は弱ったように笑う。
「さっきみたいにさ、咲のキャラになりきろうとかじゃなくてさ、お前自身結構面白いキャラしてんだしさ、そのままのお前ヒロインにしてもいいんじゃね?」
「、、、なんか、そんなこと言われると、嬉しいのか嬉しくないのかよくわかんないっす」
「喜べ喜べ!俺がせっかく誉めてやったんだ」
「今のは誉め言葉だったんすか」
「そうだぞ?お前可愛いし絶対ヒロインいける」
「え」
「あ」
俺は無意識にこぼれたひと言に、顔を真っ赤に染める。
「いや、あの別に本気で言ったわけじゃなくて」
両手をぶんぶん振りながら、上ずった声で言い訳をする俺。
や、やばい、、、なんか心臓うるせえし、なんだこれ。
「あの渡辺ちが」
「いいっすね。あざす」
「、、、は?」
動揺ひとつ見せず真顔で、いつの間にかメモ帳を取り出している渡辺。
そしてつらつらとペン先を動かし始めた。
「橘先輩は素のときも、乙女受けしそうなセリフ出るんすね。そのツンデレ感、ネタになる」
必死に、否定していた自分が恥ずかしくなる。
ってか別に否定しなくてもいいじゃねえか。
そんな動揺する理由もねえじゃねえか。
頭のほとんどが、そんな考えで埋め尽くされる。
でも、頭の端では、、、。
少し動揺してくれてもいいじゃねえか。
なんてことも思ってしまった。
結局、渡辺にネタ提供しただけになってしまった。
俺は渡辺にマンションの入口まで見送ってもらい、家への帰り道を歩いた。
結構、、、楽しかった。
ポケットに手を突っ込み、俯いた。
そういや、渡辺と会ってから、実際にしゃべるとき以外はあんまり真琴たちのこと考えなくなったな。
金曜日にあんなことがあって以来、なんだか気分がすっきりしている。
恋人に振られた時、俺は怒り散らした。
好きな本のページまで破ってしまった。
でも、きっと泣きたかったのが本音だ。
渡辺の件で、大泣きして、気分は少し良くなった。
それに、好きな作家に出会ったのは事実。
毎朝の癖で、自然と足が向うのは、、、。
あ、やっぱやだな、、、。
俺は毎朝、俊と真琴と一緒に学校に登校している。
前までは楽しかった。
自然と笑顔がこぼれるくらい。
でも、振られて依頼居心地が悪かった。
そして今になって、渡辺の言葉を思い出した。
『なんと言うか、つまんなそうな顔っすかね』
俺は顔をしかめる。
「くそ、、、」
制服ズボンのポケットから携帯を取り出すと、俊にメールを打つ。
俺【ごめん、寝坊したから先行ってて】
送信。
すると、すぐに既読の文字が文面の下に出る。
待ってたんかな、、。
俺は携帯を持つ手に力を込める。
俊【了解】既読
俺は深いため息をついた。
一気に気分が下がり、トボトボといつもとは違う道を歩き始める。
学校までは数十分。
もうすでに半分くらいきたところで、背後から「あ」と声がする。
この気だるげな声は、、。
俺は足を止めて、顔だけ後ろに向ける。
「おはよう、渡辺くん」
「、、、おはようございます、先輩」
渡辺は俺の隣に早足で駆け寄る。
俺たちは肩を並べて歩き出した。
「渡辺くんは、この道で登校してたんだね」
「、、、あの先輩?」
「なに?」
王子スマイルを浮かべる俺に、渡辺が一歩近づいて俺に囁く。
「なんすかその喋り方。今、俺じゃないすか」
俺はスマイルを浮かべたまま小声で返事をする。
「他に生徒がいんだろうが」
そう言うと渡辺は辺りをチラチラ見渡す。
周りを歩く生徒たちは、俺と渡辺が一緒に歩いているところをジロジロと凝視している。
少しは遠慮しろよ。
でもまあいいだろう。
俺は誰にでも優しい男として通ってるからな。
そんなことを思っていると隣からぼそりと呟く声が聞こえた。
「こないだので変わろうと思ったんじゃなかったんすか?」
こないだの。
真琴にどう思われていたかを知った時か。
俺は歪みそうになる表情を引き締める。
「聞きたかったすけど」
渡辺の声にハッと我に帰る。
「先輩こそ、いつもはこっち方面じゃないっすよね。なんでっすか」
「、、、よく知ってんな」
「え?ああ、そりゃあ。入学してから数日は先輩の使ってる道で、先輩達の観察してたんすけど、朝は特になんも起こんないし、もっと効率の良いルートで登校しようって決めたんです」
「このストーカーっ」
笑顔が引きつる。
「ストーカじゃないっすよ。仕事のために仕方なくっすから」
「仕方なくって言われたら言われたで、ムカつくな」
俺は小さくため息をつく。
だんだんと、周りの生徒達は、延々とささやき合う俺たちを不審そうな視線で見る。
俺は声のボリュームを少し上げる。
「今日はたまたまこっち方面に用事があったんだ。それだけだよ」
「、、、へぇ」
そう言って頷くも、俺の表情を伺うように見てくる渡辺。
ああ、もう。
俺は渡辺の腕を掴むと歩く速度を上げる。
「渡辺くん。急ごう。じゃないと遅れちゃうよ」
「何言ってんすか。まだ三十分あ」
「ほらほら早く」
俺の言葉に生徒達までもが、慌てて足の速度を上げる。
うわ、やっちまった。
俺たち二人で抜けようと思ったのに。
モテる男は辛えわ。
「『花壇の水やり』に遅れちゃうよ」
俺が少し大きめの声で言うと、生徒達は顔を見合わせ、ふっと急ぎ足を緩めた。
「ほんとめんどくさいっすね、橘先輩」
渡辺の小言が聞こえたが、俺は「うるせえ!」と叫びたくなる衝動を抑えて、高校に急いだ。
学校でも俺と歩く渡辺はジロジロと見られている。
俺は校舎への入り口の靴箱の前で、上靴に履き替える渡辺の耳元で囁いた。
「こないだのことも今日のことも話すんじゃねえぞ。絶対にだ」
渡辺はこくりと頷いた。
教室に入った途端、全員の視線が俺に向く。
女達は好意丸出し。
男達は敵意丸出し。
もう慣れたことだしなんとも思わないはずだったが、渡辺と色々話してからポーカーフェイスが下手になった気がする。
実際に一人の女の子に「大丈夫?」と聞かれてしまった。
俺はハハッと笑う。
「大丈夫だよ。少し寝不足なだけなんだ。心配してくれてありがとう」
「はっはい」
瞳にハートが浮かんでいる。
こいつらは、もう少し隠そうとか思わないんだろうか。
「おはよう」
その一人の声にピクリと反応する。
見なくてもわかるその人。
俺の元恋人だ。
俺は、動揺を悟られにように笑顔を保つ。
「おはよう、真琴」
「今日寝坊したって聞いたよ。珍しいね」
心配した顔で俺を覗き込んでくる。
俺は早く走る鼓動を抑えるように大きく息をつく。
「もう少しで中間試験だから、勉強してたんだ」
「ふふっ、橘くんだったらそんなに必死に勉強しなくていいのに」
橘くんだったら、、、。
俺はハハッと笑う。
「そんなことないよ」
「もう、ふふ。でも、河村くんは必死になって勉強しないと学年最下位になっちゃいそうだよね」
彼女は笑みを浮かべ、楽しそうに話す。
「、、、そうだね」
なんで、そこであいつの話すんだよ。
どんだけ、無神経なんだよ。
俺は立ち上がると「トイレ行ってくるね」とだけ言い残し教室を出た。
トイレに歩く。
やはりさっきから何やら視線を感じる。
いや、何やらじゃないか。
もう誰だかわかっちまってんだよな、、、。
俺はそのままトイレに入ると、その人物が現れるのを待った。
すると、トイレの入り口からひょこっと顔を出したのは、予想した通り、渡辺だった。
「よぉ、ストーカーくん。さっき以来だな」
「ストーカーくんはやめてください」
俺はあたりに誰もいないかを確認すると、トイレの壁に背中を預けた。
「白森の出番はねえんだから、もう俺観察しなくていいだろ」
「ほら、スピンオフ」
その言葉に、俺は大きくため息をついた。
「だいたいさぁ、相手の女がいねえじゃん。そこは考えるしかねえだろ?だからもう観察とかしねえで、あとは想像で書けよ」
俺が言うと、渡辺は俺を見上げた。
「書いてもいいんすか?」
「もういいよ。ってか、んな小学生向けの小説読んでるやつ俺以外、うちの高校にいねえだろうし、俺モデルってことも誰も気づかねえだろうし」
俺がイライラ丸出しで、そうきつい口調で言うと、渡辺は
少し傷ついたように、顔をしかめた。
「橘先輩、ほんと性格悪いっすよね。なんすか、俺結構頑張って書いてるんすけど。んな言い方しなくてもいいじゃないっすか」
そう言って顔をそらす渡辺を、俺は目を見開いて見る。
何言ってんだ、、、俺。
そんなこと思ってないだろ。
あ、そっか、八つ当たり?
うわ、ダセ、、、。
俺はバツの悪さに腕で顔を隠す。
「わ、わり。今の本気で言ってねえから。八つ当たりしちまった」
俺がそう言うと、渡辺はじっとこちらを眺めた。
「謝ったりはするんすね」
「当たり前だろ」
顔を隠したままの俺。
すると、するっと腕を掴まれた。
俺はその感触に固まり、されるがままに、腕を顔の前から降ろされる。
「もういっすよ。俺の小説好きなのは知ってるんで」
表情は変わらないが、一瞬表情が緩んだような気がした。
俺は目を見開いたまま渡辺を見つめた。
「さっきも教室で沢北先輩と話してんの見ました」
「っ」
俺は顔をそらす。
渡辺は俺の腕を離した。
「放課後、一緒に帰りましょう。そのまま俺んち来ていいんで、好きなだけ愚痴ってください」
俺はそう言う渡辺に視線を戻した。
こんなセリフを言うのは慣れていないのか、心なしか耳元が赤く染まっている気がする。
「、、、おう」
そそくさとさってゆく背中をじっと眺めた。
今、家に誘われた?
え、嘘だろ。
そんなの俊と沢北以外は、小学校以来だぞ?
なんか、友達みたいじゃね?
俺はニヤつく顔を指でつねる。
やばい、結構嬉しいぞこれ。
それにしても、さっきのは少し可愛かった。
、、、ん?可愛い?
今度は、ベシッと自分で自分の頭を叩いた。
「可愛いってっ、アホか」
気だるい学校での一日が終わった。
今日の放課後は、少し胸が躍る。
俺は学校の校門の柱に背を預け、オレンジ色に染まる空を見上げた。
もう最近は昼が短くなってきている。
冷たい空気が吹き抜け、俺は腕をさすった。
「橘先輩、お待たせしました」
背後から聞こえてくる声に、俺は深いため息をついた。
「遅いっての。残ってんの俺らだけじゃね?」
イラつきの混じった声で言う俺。
「すんません。絵描いてて気が付いたら学校終わってたんすよ」
「絵も描くのか」
そう聞くと、渡辺はかばんからスケッチブックを取り出した。
俺は渡辺の横に立つとスケッチブックをのぞき込む。
「、、、、、」
「どうっすか?表紙描きたいって言ったらやらせてくれるっすかね」
「、、、これは何ですか?」
「はい?」
俺はまじめな声で聞き返してくる渡辺を凝視する。
「これは何の物体なんだ?」
「物体とは失礼な。これは前席に座っている長野くんを描いたものっすよ。いい当て馬役になりそうだったんで」
「いろんな意味で、長野君に謝れ」
俺たちは帰り道を歩く。
「絵が下手なのは自覚してるっすよ」
「してんのかよ」
「漫画のほうも興味はあったんすけど、画力が壊滅的って母さんに言い切られちゃって」
「お前のドライな感じは、親から受け継いだものだったのか」
そう言うと、渡辺は深いため息をつく。
「で、先輩こそ、どうなんすか?」
「なにが?」
「絵ですよ。描けんですか?」
その言葉に、俺はふふんと鼻で笑う。
「当たりめえだ!俺にできないことはない」
「、、、そっすか」
「あ!なんだその目は!」
「ナルシスともここまで行くと、さすがにやばいっすよ」
「さては疑ってんな?!いいだろう!お前の家で、たっぷり絵の特訓してやる!」
「遠慮します」
「そんなこと言わずに!」
俺は渡辺の背中を押して、速く歩けと促す。
渡辺の家は思ったよりも近かった。
学校からは十分ほど。
駅までは十分ほど。
ついでに言えば、俺の家からも十分程度の距離にある。
ちょうどいい距離感。
俺は渡辺に続いて、マンションのエレベーターに乗り込んだ。
二人だけの空間。
鏡に映る渡辺の顔を一瞥する。
渡辺はぼーっとエレベーターの壁を眺めている。
今更だけど、こいつの部屋行くんだよな。
俺は、気付かれないように、小さく深呼吸をした。
「ここっす」
504号室。
小さな扉に手をかけて渡辺は扉を開いた。
ぎぃーっと音が鳴る。
「すんません。あんま綺麗なとこじゃないっすけど」
「じゃましまーす」
俺は靴が大量に詰まった狭い玄関で、靴を脱いで家に上がった。
玄関からはすぐにリビングにつながっていた。
部屋のほとんどは、地面に設置されている炬燵が埋め尽くしている。
奥にはキッチンが見える。
渡辺はかばんを置き、ブレザーを脱ぎ捨てるとキッチンに向かった。
「橘先輩、なんか飲みますか」
「おう、なんでもいいよ」
「じゃあ青汁があるんで」
「やっぱ何でもよくねえ。チェンジで」
「じゃあコーラ」
「それ頼むわ」
キッチンのほうからコポコポとコップにコーラを注ぐ音が聞こえる。
俺は部屋を見渡した。
「狭いな」
「すんません」
「いや、俺結構好きだわ。なんていうんかな、、、ホーミーな感じ?」
「、、、そっすか」
渡辺はこたつに入った俺の前にコップを置いた。
そして俺の隣に潜り込んできた。
、、、なんか近けえな。
「絵、教えてくれるんじゃなかったんすか」
そう言いながら、カバンからスケッチブックを取り出している渡辺。
俺はなぜか早まる鼓動を聞かれまいと「ああ!そうだったな!」と声を上げる。
「まずは体格を棒で描く」
「なぜ?」
「そっちのが後で肉付けしやすいから」
「なぜ?」
「、、、さっきからそればっかだな」
その後数分ほど教えるが、何一つわかってくれない。
そういやこいつ、勉強は学年最下位だったな。
「お前さ小説で出てくるような語彙はどこで覚えてくんだよ」
「他の本とかっすかね」
「勉強したほうが、ぜってえ語彙の幅広がるだろ。ってかなんでそんなに勉強できねえんだよ」
「俺、勉強できないんじゃなくて、しないんです」
「なんか、そんな名前のドラマあったな」
俺はため息をついて、机に崩れこむ。
「もう疲れたわ」
「はやくないっすか」
「お前のせいだろ」
そう言いながら渡辺も俺の横に、崩れこむ。
「やっぱどんな内容でも、学ぶってことは面倒くさいっすね」
「そんなこと言ってると、留年すんぞ」
「留年したら、もっと長い間人間観察ができるっすからね」
「お前は結構マジで留年しそう」
、、、あれ、、?
俺と渡辺の視線が向かい合う。
顔が触れそうなほど近い。
な、なんだこれ。
なんか、すげえ、、、恥ずかしいっつうか、なんつうか、、、。
「あの先輩」
「な、なんだよ」
視線をそらしたいのに、なんだかそれすら名残惜しいというか、、、いや名残惜しい?
「白森のスピンオフの話あったじゃないっすか」
「お、おう」
「あれ、相手役いないじゃねえかっつってたじゃないっすか」
そういえば言ってたな。
「俺はどっすか?」
「、、、、、、、、、は?」
渡辺の言葉に俺の体が固まる。
「なん、で、、?」
そう聞くと、渡辺は肩を上下させる。
「想像して書けばいいって言ってるじゃないすか。でも、もうすでにヒーローのほうにモデルがいるとなると、難しいっていうか。だから、男相手だったら結構遠慮なく、ラブイベント試せるんじゃないかって思って」
俺は表情一つ変えずにとんでもないことを言う渡辺を凝視する。
「今の状況だって、異性同士ならめっちゃでかい恋愛フラグが立ってるとこっすよ」
そう言うと、渡辺は体を起こす。
「じゃあ、とりあえず『咲』とでも呼んでください」
俺の答えも待たずに話を進める渡辺。
「サキ?」
「ヒロインの名前っすよ」
「桜子でも思ったけど、捻りがねえな。ぜってえギャルゲーやるタイプだろお前」
「めっちゃやりますよ。あ、でも巨乳好きってだけでギャルゲーやるやつとは一緒にしないでください」
「それ俺だわ」
「見損ないました」
「うるせえ」
俺は身を起こして、大きく深呼吸をした。
「よし」
「え、マジでやってくれるんすか」
そう聞かれて頷く。
「一読者として、お前の本がつまんなくなったら嫌だし」
「、、、そっすか」
俺から視線をそらして囁く渡辺。
照れてんのかな、、。
「あ、じゃあこれ手伝ってやる代わりに一つだけリクエスト聞いてくんね?」
「別にいいっすけど」
「白森と咲の絡みのシーンは、前作よりももっとエロくし」
「だめっす。そこは二人の純粋な恋がいいんじゃないっすか」
「ちぇ」
俺はそう文句を言いながらも、けらけら笑う。
すると、渡辺が急に顔をのぞき込んできた。
「な、なに?」
心臓が跳ね上がる。
「白森くぅん、好きぃ」
「、、、、」
表情一つ変えないで、棒読みなうえに、なんか声、がさついてるし。
「ぶふっ」
「あ」
おなかを抱えながらゲラゲラ笑いだす俺を見る渡辺。
「笑わんでくださいよ。結構頑張ったのに」
「なっなんだよそのしゃべり方!あはははは、白森くぅんってっ」
「いや、せっかくだしヒロインも、ぶりっ子で実は性悪キャラで行こうかと」
「嫌だわそんな女!」
「先輩が言いますか」
「あははははは、腹痛てえ」
俺は荒い息を上げながら、笑いを収めようとコーラを一気飲みする。
すると、炭酸が鼻にきて、瞳に涙が浮かぶ。
「っかーっ」
「おっさんみたいっすね」
俺はふぅーっと息をつく。
すると、となりで「ふっ」と一瞬声がした。
え、今のって、、、。
俺はバっと渡辺を顔を見る。
しかし、無表情だ。
あれ、でも今確かに、、、。
渡辺の顔をじっと眺めていると、渡辺がふいっと視線をそむけた。
「なに見てんすか」
「今、笑ったよな」
「、、、、なんのことやら」
「お前も笑うんだな」
そう言うと、渡辺の耳が少し赤くなった気がした。
、、、やっぱ、ほんのちょびっとだけだけど、可愛いよな。
俺は弱ったように笑う。
「さっきみたいにさ、咲のキャラになりきろうとかじゃなくてさ、お前自身結構面白いキャラしてんだしさ、そのままのお前ヒロインにしてもいいんじゃね?」
「、、、なんか、そんなこと言われると、嬉しいのか嬉しくないのかよくわかんないっす」
「喜べ喜べ!俺がせっかく誉めてやったんだ」
「今のは誉め言葉だったんすか」
「そうだぞ?お前可愛いし絶対ヒロインいける」
「え」
「あ」
俺は無意識にこぼれたひと言に、顔を真っ赤に染める。
「いや、あの別に本気で言ったわけじゃなくて」
両手をぶんぶん振りながら、上ずった声で言い訳をする俺。
や、やばい、、、なんか心臓うるせえし、なんだこれ。
「あの渡辺ちが」
「いいっすね。あざす」
「、、、は?」
動揺ひとつ見せず真顔で、いつの間にかメモ帳を取り出している渡辺。
そしてつらつらとペン先を動かし始めた。
「橘先輩は素のときも、乙女受けしそうなセリフ出るんすね。そのツンデレ感、ネタになる」
必死に、否定していた自分が恥ずかしくなる。
ってか別に否定しなくてもいいじゃねえか。
そんな動揺する理由もねえじゃねえか。
頭のほとんどが、そんな考えで埋め尽くされる。
でも、頭の端では、、、。
少し動揺してくれてもいいじゃねえか。
なんてことも思ってしまった。
結局、渡辺にネタ提供しただけになってしまった。
俺は渡辺にマンションの入口まで見送ってもらい、家への帰り道を歩いた。
結構、、、楽しかった。
ポケットに手を突っ込み、俯いた。
そういや、渡辺と会ってから、実際にしゃべるとき以外はあんまり真琴たちのこと考えなくなったな。
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