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第一章 二重生活
1ー1 プロローグ
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俺は、矢田健司、24歳、都内某所の中堅電子機器会社に勤務するサラリーマンだ。
都内の某大学を卒業して、芝浦の本社勤務で二年が経過した。
今日は、上司である部長のお供で経産省に向かっているところなんだ。
社用車での外出なんてのは、今のところ片手で数えるほどしか経験が無いのだが、平取の部長のお供で官庁等に向かうともなれば社用車を使うのが、まぁ当たり前だよな。
俺は助手席に座り、運転は運転手の佐々木さんに任せており、高梨部長は後部座席で目をつぶっている。
当然何事もなく、このまま、すんなりと霞が関に到着するものと思っていたんだが、その予想が大きく外れてしまった。
俺達は、金杉橋近くの一般道を北に向かって走行していたわけなんだが、ちょうどその道路に交わるように首都高環状線が横切っている。
とんでもないことに、その首都高の壁を突き破って、6m程上から大型トレーラーが走行中の俺達の車の目の前に落ちて来た。
俺は佐々木さんの操作した急ブレーキと急ハンドルに身体を持って行かれながらも、トレーラーが地上に激突するのを目の前で見てしまったよ。
このトレーラーは、40フィートの海上コンテナを運ぶ奴で、その後ろにデカいコンテナを積んだ台車を付けており、そいつが俺の乗っている車に覆いかぶさってくるところまでは記憶が有る。
かなり後になって、目が覚めた時、俺は病院に居た。
だが、生憎と全身がほぼ動かせない。
口や鼻にも何やらチューブを突っ込まれていて、呼吸は何とか出来ているが、声も出せない状況だ。
かろうじて目、いや、瞼と瞳は何とか動かせるんだが、実は頭も動かせない。
一応、聴覚は生きているようで周囲の音は聞こえているんだが、この状況はかなりやばそうなんで、重症なのかな?
そんな状況で有るのに、何故か、俺は不思議と落ち着いていたな。
間違いなくあの状況から生還したのであれば、かなりの重症なんだろう。
少なくとも意識が有るようだから、回復の見込みもひょっとしたらあるのかな?
見える範囲の状況からして、ここは集中治療室かそれに類するところだろうと思う。
綺麗な顔立ちの看護師さんが、ひょこっと視界に現れ、俺の目を見て目を丸くして驚きつつも叫んだな。
「患者さんが目を覚ましましたぁ~‼」
それから病室内が急に慌ただしくなった。
それからも色々とあったようだが、そのうちに夕刻になって俺のおふくろと親父それに兄貴が駆け付けて来て、一方的に話をしてくれたことによれば、現状の俺は、頚椎と背骨の一部を押し潰されて、四肢が動かせないというほぼ全身不随の状況のようだ。
こんな状態で生きているのが不思議なくらいらしいのだが、生涯このままかどうかについては、もう少し様子を見ないとわからないそうだ。
そうは言っても、頚椎も背骨も神経が集中しているところだからなぁ。
今の段階で四肢が動かせないという事は、神経系がやられているのだろうから、おそらく再起は難しいのだろうと俺も内心思っているよ。
事故現場に近い、東京都●生会中央病院に運び込まれた時には、ほぼ植物人間状態で意識回復の見込みは全く無かったようだ。
どうやら事故発生から約二か月もの間、俺は昏睡状態のまま眠り続けていたらしい。
運転手の佐々木さんと高梨部長は即死だったようで、俺が生きていたのは奇跡のような話だったと聞いている。
そうして、今また俺が目覚めて瞼と瞳だけしか動かせないけれど、ある程度意思疎通ができるとわかり、医者はそれなりに希望があるかも知れないと診ているようだ。
で、肝心の俺はと言えば、起きている時は意識が有るので周囲の会話もわかるし、目で追える範囲の情報も理解できる。
本来は筋ジストロフィー患者用に開発された器具のようだが、瞳の動きと瞬きだけで動かせるPC関連機器を設置されてから、時間はかかるけれど外部との意思疎通も何とか可能になったよ。
現状の俺の立場だが、勤務中の労災として半分休職扱いにされているようだ。
給与は、良く分からんが、支給停止じゃなくって、かなり減額されているけれど一応支給されているみたい。
元々の事故は、首都高上で酔っぱらい運転の大型トラックが、対向車線に突っ込んできた所為で、対向車線を走行中の海上コンテナ輸送車が路外に跳ね飛ばされたことで起きた事故らしい。
酔っぱらい運転の事故車両は、重量過多の鉄筋を積んでいたために運動エネルギーが大きかったようで、中央分離帯のガードレールを吹き飛ばして反対車線に飛び込んだようだし、海上コンテナ輸送車の方も正味重量が15トンの貨物を積んだ海上コンテナを運んで、制限速度50キロのところを時速60キロ越えで走行していたようだ。
本当に正面衝突なら双方のエネルギーが打ち消しあって、首都高内だけの事故で収まったのだろうけれど、たまたま海上コンレナ輸送車の進行方向を変えるような斜め方向の力がかかる衝突事故だったために、海上コンテナ輸送車が、首都高の外壁を突き抜けて一般道に落ちてきたわけだ。
この貰い事故で、俺の乗っていた社用車を含めて一般道を走行中の車両4台が押しつぶされ、後続6台が追突事故を起こした。
首都高内でも突然の事故で後続車の追突事故が11件もあったようだよ。
死者は、事故を起こしたトラックと海上コンテナ輸送車の運転手を含めて11名。
高速道路と一般道路双方に追突なども発生して、重軽傷者が40名を超える大惨事の重大事故となった。
この事故の関連で俺の医療費については、損害保険会社が全額負担するようだ。
ただ、詳細は不明だが、何千億かかっても良いというような全くの無制限と言う訳でもないようで、どうやら一応の限度はあるらしい。
会社の方は、一年は休職扱いをしてくれるようだが、その後は厚生保険に任せて、多分免職になるかもな。
まぁ、いつまでも仕事のできない奴を雇えるほど会社も余裕が無いのは当たり前だろう。
常識的に考えて、単なるお荷物だけの社員は要らないよな。
それなりの保障だけ与えて、クビにするのがまぁ筋ということだろうな。
俺はそんなことで、病院で看護師さんに面倒を見てもらいながら生きながらえている。
◇◇◇◇
ところで、余人が信じてくれるかどうかは別として、実は、俺が意識不明のまま二か月も病院で寝ている間、俺は別のところで活動していたんだ。
こんな話は、現実世界の者に伝えても仕方が無いし、説明のしようも無いから黙っているんだが、どうも俺が寝ている時は、俺の意識が異世界に行っているみたいなんだ。
ラノベによくあるような異世界転生のような感じで五体満足な別の身体を与えられて、しっかりと活動していたよ。
だから最初の二か月ほどは、本当に一回死んで、ラノベの異世界転生をしたのかと俺は思っていた。
神様にも仏様にも会ってはいないんだけれど、どうも異世界の俺の身体には色々な能力が有るようなんだ。
異世界での俺の名は、グルヌベルヌのケントで数え年で14歳だ。
グルヌベルヌとは、単に住んでいる場所若しくは出身地であり、ケントが名前だ。
つまりは、三宅村(東京都三宅島)の田吾作(わかりやすい名前を例にしただけで決して三宅島の島民の方々を馬鹿にしている訳ではありません。)のような呼び名だな。
ケントには、ちゃんと親父さんとお袋さんも居たようだが、ケントが数え年で12歳になる前に集落を襲った流行り病で死んでいる。
その後の二年余りは、父方の祖父であるギラン爺さんのところで育てられた。
ギラン爺さんは、グルヌベルヌの集落で樵をやっている。
だからケントも樵の仕事の手伝いをさせられていたので、歳の割には結構力仕事はこなせるようだな。
因みにこの異世界での成人は、数え年で15歳であり、もうすぐ年が変わるからケントも成人を迎えることになる。
従って、俺も異世界では、来年からは一人前の成人と見做(みな)されて定職に就かねばならない年齢というわけだ。
俺が転生したのは、あっちの世界でもおよそ二か月前のことで、その時には、色々と状況が分からずにかなり困った状況に陥っていたが、すぐにもそれまでのケントの記憶が蘇り、この世界での立ち位置が有る程度わかった。
従って、俺には20年近い矢田健司の記憶もあるし、14年分(実質10年分チョットかな)のケントの記憶もあるんだ。
そうしてさっきも言ったように、ちょっと変わった能力も持ち合わせている。
少なくともケントにそんな能力があるという記憶は無かったから、多分、俺が持ち込んだのじゃないかと推測しているんだが、実は俺も矢田健司として生きていた時(その時はもう死んで転生したものとばかり思ってた。)にそんな能力を持っていたという覚えはないんだけれどな。
能力の一つは、言語能力だ。
ケントの記憶の中に、当然この世界での言語が有るのだから、別に不思議でも何でもないのだが、実はケントの知っている言語だけではなくって、例えばこの異世界の古代語までもが理解できるというのは絶対にチートなんだろうな。
グルヌベルヌの村の近くには、年代もよくわからないほど古い古代遺跡が有る。
遺跡にあったであろう金目のものはとっくの昔に全て盗掘されて無いのだが、石壁に彫られている絵文字などは誰も解読できないのでそのまま放置されている。
そうして、その誰もわからないはずの絵文字が、ケントである俺には分かるんだ。
以前、ケントが同じものを見た時には意味不明だった記憶があるので、少なくとも俺がケントの意識に入るまでは無かった能力のはずだ。
その能力では、一部が分かると云う半端なものじゃなくって、意味のあるものなら全部が分かる。
従って、壁や石碑に残っていた碑文は、俺が全て目を通して解読したよ。
そのために、誰も知らない古代遺跡の隠し蔵を見つけることができて、古代語が記された石板等を大量に発見できた。
その話はさておいて、他の能力も紹介しておこうか。
俺には鑑定の能力が有るようだ。
対象物を特定して心の中で『鑑定』と唱えると、そのモノの名称や価値などの情報が分かるんだ。
因みに物だけでなく、人物鑑定も可能なんだぜ。
この能力を人に使うとその者に感づかれる恐れがあるかもと思うので、今のところはできる限り使わないようにしてはいる。
グルヌベルヌ村で多少なりとも魔法を使える者は、薬師のカトレアル婆さん一人だけなんだ。
逆に言えば、大多数の者は、特殊な能力は持っていないだろうという事だ。
都内の某大学を卒業して、芝浦の本社勤務で二年が経過した。
今日は、上司である部長のお供で経産省に向かっているところなんだ。
社用車での外出なんてのは、今のところ片手で数えるほどしか経験が無いのだが、平取の部長のお供で官庁等に向かうともなれば社用車を使うのが、まぁ当たり前だよな。
俺は助手席に座り、運転は運転手の佐々木さんに任せており、高梨部長は後部座席で目をつぶっている。
当然何事もなく、このまま、すんなりと霞が関に到着するものと思っていたんだが、その予想が大きく外れてしまった。
俺達は、金杉橋近くの一般道を北に向かって走行していたわけなんだが、ちょうどその道路に交わるように首都高環状線が横切っている。
とんでもないことに、その首都高の壁を突き破って、6m程上から大型トレーラーが走行中の俺達の車の目の前に落ちて来た。
俺は佐々木さんの操作した急ブレーキと急ハンドルに身体を持って行かれながらも、トレーラーが地上に激突するのを目の前で見てしまったよ。
このトレーラーは、40フィートの海上コンテナを運ぶ奴で、その後ろにデカいコンテナを積んだ台車を付けており、そいつが俺の乗っている車に覆いかぶさってくるところまでは記憶が有る。
かなり後になって、目が覚めた時、俺は病院に居た。
だが、生憎と全身がほぼ動かせない。
口や鼻にも何やらチューブを突っ込まれていて、呼吸は何とか出来ているが、声も出せない状況だ。
かろうじて目、いや、瞼と瞳は何とか動かせるんだが、実は頭も動かせない。
一応、聴覚は生きているようで周囲の音は聞こえているんだが、この状況はかなりやばそうなんで、重症なのかな?
そんな状況で有るのに、何故か、俺は不思議と落ち着いていたな。
間違いなくあの状況から生還したのであれば、かなりの重症なんだろう。
少なくとも意識が有るようだから、回復の見込みもひょっとしたらあるのかな?
見える範囲の状況からして、ここは集中治療室かそれに類するところだろうと思う。
綺麗な顔立ちの看護師さんが、ひょこっと視界に現れ、俺の目を見て目を丸くして驚きつつも叫んだな。
「患者さんが目を覚ましましたぁ~‼」
それから病室内が急に慌ただしくなった。
それからも色々とあったようだが、そのうちに夕刻になって俺のおふくろと親父それに兄貴が駆け付けて来て、一方的に話をしてくれたことによれば、現状の俺は、頚椎と背骨の一部を押し潰されて、四肢が動かせないというほぼ全身不随の状況のようだ。
こんな状態で生きているのが不思議なくらいらしいのだが、生涯このままかどうかについては、もう少し様子を見ないとわからないそうだ。
そうは言っても、頚椎も背骨も神経が集中しているところだからなぁ。
今の段階で四肢が動かせないという事は、神経系がやられているのだろうから、おそらく再起は難しいのだろうと俺も内心思っているよ。
事故現場に近い、東京都●生会中央病院に運び込まれた時には、ほぼ植物人間状態で意識回復の見込みは全く無かったようだ。
どうやら事故発生から約二か月もの間、俺は昏睡状態のまま眠り続けていたらしい。
運転手の佐々木さんと高梨部長は即死だったようで、俺が生きていたのは奇跡のような話だったと聞いている。
そうして、今また俺が目覚めて瞼と瞳だけしか動かせないけれど、ある程度意思疎通ができるとわかり、医者はそれなりに希望があるかも知れないと診ているようだ。
で、肝心の俺はと言えば、起きている時は意識が有るので周囲の会話もわかるし、目で追える範囲の情報も理解できる。
本来は筋ジストロフィー患者用に開発された器具のようだが、瞳の動きと瞬きだけで動かせるPC関連機器を設置されてから、時間はかかるけれど外部との意思疎通も何とか可能になったよ。
現状の俺の立場だが、勤務中の労災として半分休職扱いにされているようだ。
給与は、良く分からんが、支給停止じゃなくって、かなり減額されているけれど一応支給されているみたい。
元々の事故は、首都高上で酔っぱらい運転の大型トラックが、対向車線に突っ込んできた所為で、対向車線を走行中の海上コンテナ輸送車が路外に跳ね飛ばされたことで起きた事故らしい。
酔っぱらい運転の事故車両は、重量過多の鉄筋を積んでいたために運動エネルギーが大きかったようで、中央分離帯のガードレールを吹き飛ばして反対車線に飛び込んだようだし、海上コンテナ輸送車の方も正味重量が15トンの貨物を積んだ海上コンテナを運んで、制限速度50キロのところを時速60キロ越えで走行していたようだ。
本当に正面衝突なら双方のエネルギーが打ち消しあって、首都高内だけの事故で収まったのだろうけれど、たまたま海上コンレナ輸送車の進行方向を変えるような斜め方向の力がかかる衝突事故だったために、海上コンテナ輸送車が、首都高の外壁を突き抜けて一般道に落ちてきたわけだ。
この貰い事故で、俺の乗っていた社用車を含めて一般道を走行中の車両4台が押しつぶされ、後続6台が追突事故を起こした。
首都高内でも突然の事故で後続車の追突事故が11件もあったようだよ。
死者は、事故を起こしたトラックと海上コンテナ輸送車の運転手を含めて11名。
高速道路と一般道路双方に追突なども発生して、重軽傷者が40名を超える大惨事の重大事故となった。
この事故の関連で俺の医療費については、損害保険会社が全額負担するようだ。
ただ、詳細は不明だが、何千億かかっても良いというような全くの無制限と言う訳でもないようで、どうやら一応の限度はあるらしい。
会社の方は、一年は休職扱いをしてくれるようだが、その後は厚生保険に任せて、多分免職になるかもな。
まぁ、いつまでも仕事のできない奴を雇えるほど会社も余裕が無いのは当たり前だろう。
常識的に考えて、単なるお荷物だけの社員は要らないよな。
それなりの保障だけ与えて、クビにするのがまぁ筋ということだろうな。
俺はそんなことで、病院で看護師さんに面倒を見てもらいながら生きながらえている。
◇◇◇◇
ところで、余人が信じてくれるかどうかは別として、実は、俺が意識不明のまま二か月も病院で寝ている間、俺は別のところで活動していたんだ。
こんな話は、現実世界の者に伝えても仕方が無いし、説明のしようも無いから黙っているんだが、どうも俺が寝ている時は、俺の意識が異世界に行っているみたいなんだ。
ラノベによくあるような異世界転生のような感じで五体満足な別の身体を与えられて、しっかりと活動していたよ。
だから最初の二か月ほどは、本当に一回死んで、ラノベの異世界転生をしたのかと俺は思っていた。
神様にも仏様にも会ってはいないんだけれど、どうも異世界の俺の身体には色々な能力が有るようなんだ。
異世界での俺の名は、グルヌベルヌのケントで数え年で14歳だ。
グルヌベルヌとは、単に住んでいる場所若しくは出身地であり、ケントが名前だ。
つまりは、三宅村(東京都三宅島)の田吾作(わかりやすい名前を例にしただけで決して三宅島の島民の方々を馬鹿にしている訳ではありません。)のような呼び名だな。
ケントには、ちゃんと親父さんとお袋さんも居たようだが、ケントが数え年で12歳になる前に集落を襲った流行り病で死んでいる。
その後の二年余りは、父方の祖父であるギラン爺さんのところで育てられた。
ギラン爺さんは、グルヌベルヌの集落で樵をやっている。
だからケントも樵の仕事の手伝いをさせられていたので、歳の割には結構力仕事はこなせるようだな。
因みにこの異世界での成人は、数え年で15歳であり、もうすぐ年が変わるからケントも成人を迎えることになる。
従って、俺も異世界では、来年からは一人前の成人と見做(みな)されて定職に就かねばならない年齢というわけだ。
俺が転生したのは、あっちの世界でもおよそ二か月前のことで、その時には、色々と状況が分からずにかなり困った状況に陥っていたが、すぐにもそれまでのケントの記憶が蘇り、この世界での立ち位置が有る程度わかった。
従って、俺には20年近い矢田健司の記憶もあるし、14年分(実質10年分チョットかな)のケントの記憶もあるんだ。
そうしてさっきも言ったように、ちょっと変わった能力も持ち合わせている。
少なくともケントにそんな能力があるという記憶は無かったから、多分、俺が持ち込んだのじゃないかと推測しているんだが、実は俺も矢田健司として生きていた時(その時はもう死んで転生したものとばかり思ってた。)にそんな能力を持っていたという覚えはないんだけれどな。
能力の一つは、言語能力だ。
ケントの記憶の中に、当然この世界での言語が有るのだから、別に不思議でも何でもないのだが、実はケントの知っている言語だけではなくって、例えばこの異世界の古代語までもが理解できるというのは絶対にチートなんだろうな。
グルヌベルヌの村の近くには、年代もよくわからないほど古い古代遺跡が有る。
遺跡にあったであろう金目のものはとっくの昔に全て盗掘されて無いのだが、石壁に彫られている絵文字などは誰も解読できないのでそのまま放置されている。
そうして、その誰もわからないはずの絵文字が、ケントである俺には分かるんだ。
以前、ケントが同じものを見た時には意味不明だった記憶があるので、少なくとも俺がケントの意識に入るまでは無かった能力のはずだ。
その能力では、一部が分かると云う半端なものじゃなくって、意味のあるものなら全部が分かる。
従って、壁や石碑に残っていた碑文は、俺が全て目を通して解読したよ。
そのために、誰も知らない古代遺跡の隠し蔵を見つけることができて、古代語が記された石板等を大量に発見できた。
その話はさておいて、他の能力も紹介しておこうか。
俺には鑑定の能力が有るようだ。
対象物を特定して心の中で『鑑定』と唱えると、そのモノの名称や価値などの情報が分かるんだ。
因みに物だけでなく、人物鑑定も可能なんだぜ。
この能力を人に使うとその者に感づかれる恐れがあるかもと思うので、今のところはできる限り使わないようにしてはいる。
グルヌベルヌ村で多少なりとも魔法を使える者は、薬師のカトレアル婆さん一人だけなんだ。
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