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第一章 二重生活
1ー6 調査隊とゴブリン討伐
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ゴブリンの群れの情報に基づく調査隊は、打ち合わせや装備の準備をしていて、出発が遅くなったようだ。
Dクラス二つとCクラス二つのパーティが集まった混成調査隊で、全部で18名からなっている。
俺(ケント)の報告を受けて、調査隊は早速に町を出たよ。
予想はしていたが、ヤッパリ、俺(ケント)が道案内でゴブリンが蝟集している場所を目指す。
概ね一時間半後には現場に到着、戦闘が始まったんだが、俺(ケント)は一応Gクラスなんで、できるだけ後方で見物に回った。
本当に危ない場合には手を出すけれど、そうでなければ手を出さないつもりだった。
だが、その思惑は外れちまった。
ゴブリン集団の中にメイジやジェネラルが居たんだ。
メイジは魔法を使うし、アーチャーもいたから冒険者側がかなり苦戦していた。
仕方が無いから、俺もクロスボウで参戦、アーチャーを主に狙い撃ちして6匹を倒した。
そうしてメイジは二匹居たんだが、そのうち一匹を倒すと、もう一匹の周囲に護衛のゴブリンが纏いだし、簡単には狙えなくなったんだが、それでも位置を変え、木に飛び上がって高度を変えるなどしてクロスボウを乱射、何とかメイジを片付けたんだ。
ところで戦況だが、冒険者側が数は劣勢でも、流石にベテラン。
百匹余りいたゴブリンの8割から9割方を片付けたものの、ジェネラル対応にメッチャ苦戦している。
Cクラスの冒険者パーティ二つの前衛が、それこそ満身創痍なんだが、まだ倒せないでいる。
相手がゴブリンジェネラルでは、流石にDクラスでは役不足らしく、彼らは雑魚だけを相手にしているだけだ。
仕方が無いから、再度後方からクロスボウで参戦だな。
戦いの合間に6連射してゴブリンジェネラルに当てたら流石に奴が怒ったみたいだな。
Cクラスの前衛を吹き飛ばして俺の方に向かってきやがった。
Cクラスパーティ後衛のマジシャンが魔法攻撃も仕掛けるんだが、そもそもジェネラルには余り魔法が効いていないようなんだ。
ジェネラルの能力なのか、或いは、装備品の効果なのか、とにかく魔法攻撃が余り効かないことが苦戦を強いられている理由の一つのようなのだ。
俺も更に二発ほどクロスボウを食らわしたが、ゴブリンジェネラルはひるむことなく向かって来る。
接近戦になれば弓は役に立たないよな。
やむを得ないから剣を握って迎え撃った。
身体強化をかけている所為か、ゴブリンジェネラルの動きがやけに遅く見えたな。
スローモーションの映画を見ているようなもんだ。
俺は自ら前に突っ込みながら、ゴブリンジェネラルの切りつけてきた刃をすれすれで躱し、奴の喉元で剣を一閃した。
驚いたことに、意外と簡単にゴブリンジェネラルの首が撥ね飛んだぜ。
周囲では、DクラスとCクラスの冒険者連中が唖然とした表情で見ていたな。
もう、戦いは終わっていたから、俺(ケント)は、その奇異な視線を無視しつつ、ゴブリンジェネラルの耳を削ぎ、胴体から魔石を取り出す作業をしたよ。
ほかにもメイジを含む12体ほどのゴブリンに同様の作業を行った。
何せ俺のクロスボウの矢が突き立っているんだから他のゴブリンと区別がしやすいよな。
調査隊の連中に瀕死の重傷者はいなかったが、結構な創傷はもらっているんだよな。
治癒魔法をどうするかなんだが、・・・・。
日本での俺(健司)の状態を考えると、治癒能力を秘密にするよりもここで実践を積んだ方が良いと考え、俺は怪我をしている先輩連中に近づいた。
「ケガを治します。」
そう言って、一人に治療をすると、俺の周囲に我も我もと負傷者が集まって来たぜ。
都合8人に治癒魔法をかけてやった。
一番の深手は、Cランクの前衛二人、デブロスとキリンガルという男だった。
どちらも利き腕ではない方を切りつけられて、十数センチほどの創傷になっているほか打撲や軽症の部類の傷が結構ついている。
深手の傷は、日本なら当然何針か縫うところだろう。
で、最初に手持ちの水と聖魔法で傷口を浄化し、針と糸を持っていたから、手早くそいつで縫ってやった。
その上で治癒魔法をかけたら簡単に傷口が塞がったな。
多少の内出血は仕方がないんで、後日、血管がある程度つながったのを確認した上で抜糸することにする。
そんな調子で三人に縫合手術を施し、残り五人は治癒魔法だけで十分な程度の切り傷や打ち身だった。
ここでも目を丸くされたな。
普通、教会辺りの僧侶は、大怪我の者一人を相手にしたなら二人目の治療をはできないんだそうだ。
俺(ケント)は、それなりの重傷に近い者二名、中程度の傷を負った者四名、軽傷者二名を治癒したからね。
後で聞いたら、それだけでもとんでもない奴と思われたらしいよ。
取り敢えず、皆で戦果(ゴブリンの耳と魔石)を集めて、戦闘が終わって概ね二時間後にはカルヴィアに凱旋したんだが、その後、結構長時間にわたってギルドに拘束されちまった。
俺(ケント)って、何も悪いことはしていないよね?
でも、強面のギルマスであるダンカンさんにかなり詰め寄られました。
「おう、坊主、ケントってぇ名らしいが、・・・。
おめぇ、本当に15歳なんか?」
「はい、年明けに15になりました。」
「じゃぁ、これまでギルドに入っていたわけじゃなさそうだが・・・。
おめぇ、どこの出身だ。
それと、もしかして、冒険者パーティの荷物運びぐらいしたことが有るのか?」
「えっと、出身はグルヌベルヌ村です。
生まれはサテュアンなんですが、両親が流行り病で亡くなって、グルヌベルヌ村のお爺さんに引き取られていたんです。
俺の身寄りはお爺さんだけで、お爺さんはグルヌベルヌ村で樵をしています。
これまでずっとサテュアンかグルヌベルヌ村でしか過ごしたことが有りませんし、冒険者のパーティに入ったことはありません。」
「しかし、おめぇがこれまで一度も冒険者をしていないのにゴブリンを多数討伐できるというのが、ちょいと不思議なんだよ。
そりゃぁ、まぁ、樵なんかの手伝いをしていりゃぁ、それなりの体力もつくんだが、少なくとも簡単に魔物が退治できるほどの力はそうそう身に付かないものなんだ。
それが登録前にアーチャー3匹を含む23匹ものゴブリンを討伐するたぁ、本来ならチョットあり得ない話なんだぜ。
それが昨日のことで、今日はまた、午前中に37匹ものゴブリンを退治して、ついでに巣を見つけたなんてのは、本来ならばもっとあり得ない話だぜ。
しかもCランクのデブロスとキリンガルが深手を負うほどのゴブリンジェネラルを相手に一撃で首を撥ねるなんてのは、Bクラスの上級者でもできるかどうかだ。」
「いえ、ゴブリンジェネラルについては、かなりの手傷を負っていて、弱っていたのじゃないでしょうか?」
「ふん、知らねぇようだから教えとくが・・・。
魔物ってのは、死ぬ間際が一番手強いんだぜ。
自分が危なくなりゃ、火事場の馬鹿力も出ようってもんだ。
だから、とどめを刺す直前が一番危険なんだぞ。
それを、一撃だなんぞ・・・・。
一時はAランクを張っていた俺でも今はできるかどうか怪しいもんだ。
普通は、随所に深手を負わせ、相手がほとんど動けなくなったところでようやく首を撥ねられるもんなんだ。
デブロスとキリンガルの証言が無かったら、とても信じられる結果じゃないんだよ。」
そこでギルマスは一旦息をついていた。
「で、もう一つ、メイジを倒すのに妙な弓を使っていたという話も出ていたんだが、どんな弓なんだ?」
「えーっと、クロスボウという弓矢なんですが、ご存じありませんか?」
「知らんな。
それに弓使いなら矢筒や弓を背に持っているだろう。
おめぇは無いじゃないか。」
「・・・普段は、隠してます。」
「隠す?
どこにだ?
ん?もしかしてその腰のバッグは・・・マジックバッグを持ってるのか?
どこで手に入れた。」
「いえ、これは普通のポーチですけれど、そのぉ、イ、いぇ、・・・ストレージを持ってます。」
インベントリは古代遺跡の石板にあったけれど、非常に稀にしか生じない能力らしく、魔法の栄えた古代においてもかなり希少であった。
それゆえに下位互換で容量の少ないはずのストレージと言ったのだ。
それを聞いた、ギルマスの目が大きく見開いた。
「ハッ、なんとも規格外の坊主だな、おい。
ストレージを持って居る奴なんぞ、冒険者ではまずいないぞ。
樽一つ分のストレージを持っていたら商業ギルドや商人では重宝されるはずだ。
どのぐらいの容量が入る?」
「うーん、樽で言えば五つ分ぐらいでしょうか・・・・。」
俺はその時200リットル入りのドラム缶サイズのイメージで言ったんだが、実のところ、こっちでは四斗ダル(72リットル)より少し大き目のこちらの世界のワイン樽(約86リットル)を樽一つ分と言うようです。
四斗樽入りの酒でも、樽の重量を含めると百キロほどの重量があるので、運搬するにはこれぐらいの大きさが便利なようだね。
「はぁ、そいつは、どこぞの豪商の運び屋なみだなぁ。
おめぇ、そのストレージ持ってることを迂闊に喋ると、貴族や豪商に運び役で取り込まれるから注意しろ。
余程信用のおける奴以外には喋らないことだな。
いずれにせよ、クロスボウとやら、今持ってるんなら見せてみろや。」
仕方がないのでギルマスを信用して、俺のインベントリからクロスボウ一基を取り出して見せました。
ギルマスが矯めつ眇めつ見てますので、どうもこちらの世界では、クロスボウと言うのは無いようですね。
うん、ちょっとまずったでしょうかねぇ?
でも、使うところを見られちゃったんだから、しょうがないでしょう。
いずれにしろ、要はGクラスになりたての坊主にしてはちょっとやり過ぎたという事らしい。
何せ、俺(ケント)って、昨日23匹のゴブリン退治をしているし、今日も今日とて37匹のゴブリンを退治して、更に調査団に参加して、アーチャーやメイジを含むゴブリンとゴブリンジェネラルまで討ち取ったからね。
その成果だけでもかなりの貢献になるようだ。
おまけにベテラン冒険者の深手の怪我を現場で治したことが、かなり過大に評価されている。
いずれにしても、今日の功績だけで、俺(ケント)はギルマスのお声がかりで二階級特進のEランクに昇格しちゃったよ。
ギルマス曰く、ゴブリンジェネラルの首を一撃で撥ねることのできる奴をGランクのままにして置いたら、ギルマスの能力が疑われるそうだ。
Dクラス二つとCクラス二つのパーティが集まった混成調査隊で、全部で18名からなっている。
俺(ケント)の報告を受けて、調査隊は早速に町を出たよ。
予想はしていたが、ヤッパリ、俺(ケント)が道案内でゴブリンが蝟集している場所を目指す。
概ね一時間半後には現場に到着、戦闘が始まったんだが、俺(ケント)は一応Gクラスなんで、できるだけ後方で見物に回った。
本当に危ない場合には手を出すけれど、そうでなければ手を出さないつもりだった。
だが、その思惑は外れちまった。
ゴブリン集団の中にメイジやジェネラルが居たんだ。
メイジは魔法を使うし、アーチャーもいたから冒険者側がかなり苦戦していた。
仕方が無いから、俺もクロスボウで参戦、アーチャーを主に狙い撃ちして6匹を倒した。
そうしてメイジは二匹居たんだが、そのうち一匹を倒すと、もう一匹の周囲に護衛のゴブリンが纏いだし、簡単には狙えなくなったんだが、それでも位置を変え、木に飛び上がって高度を変えるなどしてクロスボウを乱射、何とかメイジを片付けたんだ。
ところで戦況だが、冒険者側が数は劣勢でも、流石にベテラン。
百匹余りいたゴブリンの8割から9割方を片付けたものの、ジェネラル対応にメッチャ苦戦している。
Cクラスの冒険者パーティ二つの前衛が、それこそ満身創痍なんだが、まだ倒せないでいる。
相手がゴブリンジェネラルでは、流石にDクラスでは役不足らしく、彼らは雑魚だけを相手にしているだけだ。
仕方が無いから、再度後方からクロスボウで参戦だな。
戦いの合間に6連射してゴブリンジェネラルに当てたら流石に奴が怒ったみたいだな。
Cクラスの前衛を吹き飛ばして俺の方に向かってきやがった。
Cクラスパーティ後衛のマジシャンが魔法攻撃も仕掛けるんだが、そもそもジェネラルには余り魔法が効いていないようなんだ。
ジェネラルの能力なのか、或いは、装備品の効果なのか、とにかく魔法攻撃が余り効かないことが苦戦を強いられている理由の一つのようなのだ。
俺も更に二発ほどクロスボウを食らわしたが、ゴブリンジェネラルはひるむことなく向かって来る。
接近戦になれば弓は役に立たないよな。
やむを得ないから剣を握って迎え撃った。
身体強化をかけている所為か、ゴブリンジェネラルの動きがやけに遅く見えたな。
スローモーションの映画を見ているようなもんだ。
俺は自ら前に突っ込みながら、ゴブリンジェネラルの切りつけてきた刃をすれすれで躱し、奴の喉元で剣を一閃した。
驚いたことに、意外と簡単にゴブリンジェネラルの首が撥ね飛んだぜ。
周囲では、DクラスとCクラスの冒険者連中が唖然とした表情で見ていたな。
もう、戦いは終わっていたから、俺(ケント)は、その奇異な視線を無視しつつ、ゴブリンジェネラルの耳を削ぎ、胴体から魔石を取り出す作業をしたよ。
ほかにもメイジを含む12体ほどのゴブリンに同様の作業を行った。
何せ俺のクロスボウの矢が突き立っているんだから他のゴブリンと区別がしやすいよな。
調査隊の連中に瀕死の重傷者はいなかったが、結構な創傷はもらっているんだよな。
治癒魔法をどうするかなんだが、・・・・。
日本での俺(健司)の状態を考えると、治癒能力を秘密にするよりもここで実践を積んだ方が良いと考え、俺は怪我をしている先輩連中に近づいた。
「ケガを治します。」
そう言って、一人に治療をすると、俺の周囲に我も我もと負傷者が集まって来たぜ。
都合8人に治癒魔法をかけてやった。
一番の深手は、Cランクの前衛二人、デブロスとキリンガルという男だった。
どちらも利き腕ではない方を切りつけられて、十数センチほどの創傷になっているほか打撲や軽症の部類の傷が結構ついている。
深手の傷は、日本なら当然何針か縫うところだろう。
で、最初に手持ちの水と聖魔法で傷口を浄化し、針と糸を持っていたから、手早くそいつで縫ってやった。
その上で治癒魔法をかけたら簡単に傷口が塞がったな。
多少の内出血は仕方がないんで、後日、血管がある程度つながったのを確認した上で抜糸することにする。
そんな調子で三人に縫合手術を施し、残り五人は治癒魔法だけで十分な程度の切り傷や打ち身だった。
ここでも目を丸くされたな。
普通、教会辺りの僧侶は、大怪我の者一人を相手にしたなら二人目の治療をはできないんだそうだ。
俺(ケント)は、それなりの重傷に近い者二名、中程度の傷を負った者四名、軽傷者二名を治癒したからね。
後で聞いたら、それだけでもとんでもない奴と思われたらしいよ。
取り敢えず、皆で戦果(ゴブリンの耳と魔石)を集めて、戦闘が終わって概ね二時間後にはカルヴィアに凱旋したんだが、その後、結構長時間にわたってギルドに拘束されちまった。
俺(ケント)って、何も悪いことはしていないよね?
でも、強面のギルマスであるダンカンさんにかなり詰め寄られました。
「おう、坊主、ケントってぇ名らしいが、・・・。
おめぇ、本当に15歳なんか?」
「はい、年明けに15になりました。」
「じゃぁ、これまでギルドに入っていたわけじゃなさそうだが・・・。
おめぇ、どこの出身だ。
それと、もしかして、冒険者パーティの荷物運びぐらいしたことが有るのか?」
「えっと、出身はグルヌベルヌ村です。
生まれはサテュアンなんですが、両親が流行り病で亡くなって、グルヌベルヌ村のお爺さんに引き取られていたんです。
俺の身寄りはお爺さんだけで、お爺さんはグルヌベルヌ村で樵をしています。
これまでずっとサテュアンかグルヌベルヌ村でしか過ごしたことが有りませんし、冒険者のパーティに入ったことはありません。」
「しかし、おめぇがこれまで一度も冒険者をしていないのにゴブリンを多数討伐できるというのが、ちょいと不思議なんだよ。
そりゃぁ、まぁ、樵なんかの手伝いをしていりゃぁ、それなりの体力もつくんだが、少なくとも簡単に魔物が退治できるほどの力はそうそう身に付かないものなんだ。
それが登録前にアーチャー3匹を含む23匹ものゴブリンを討伐するたぁ、本来ならチョットあり得ない話なんだぜ。
それが昨日のことで、今日はまた、午前中に37匹ものゴブリンを退治して、ついでに巣を見つけたなんてのは、本来ならばもっとあり得ない話だぜ。
しかもCランクのデブロスとキリンガルが深手を負うほどのゴブリンジェネラルを相手に一撃で首を撥ねるなんてのは、Bクラスの上級者でもできるかどうかだ。」
「いえ、ゴブリンジェネラルについては、かなりの手傷を負っていて、弱っていたのじゃないでしょうか?」
「ふん、知らねぇようだから教えとくが・・・。
魔物ってのは、死ぬ間際が一番手強いんだぜ。
自分が危なくなりゃ、火事場の馬鹿力も出ようってもんだ。
だから、とどめを刺す直前が一番危険なんだぞ。
それを、一撃だなんぞ・・・・。
一時はAランクを張っていた俺でも今はできるかどうか怪しいもんだ。
普通は、随所に深手を負わせ、相手がほとんど動けなくなったところでようやく首を撥ねられるもんなんだ。
デブロスとキリンガルの証言が無かったら、とても信じられる結果じゃないんだよ。」
そこでギルマスは一旦息をついていた。
「で、もう一つ、メイジを倒すのに妙な弓を使っていたという話も出ていたんだが、どんな弓なんだ?」
「えーっと、クロスボウという弓矢なんですが、ご存じありませんか?」
「知らんな。
それに弓使いなら矢筒や弓を背に持っているだろう。
おめぇは無いじゃないか。」
「・・・普段は、隠してます。」
「隠す?
どこにだ?
ん?もしかしてその腰のバッグは・・・マジックバッグを持ってるのか?
どこで手に入れた。」
「いえ、これは普通のポーチですけれど、そのぉ、イ、いぇ、・・・ストレージを持ってます。」
インベントリは古代遺跡の石板にあったけれど、非常に稀にしか生じない能力らしく、魔法の栄えた古代においてもかなり希少であった。
それゆえに下位互換で容量の少ないはずのストレージと言ったのだ。
それを聞いた、ギルマスの目が大きく見開いた。
「ハッ、なんとも規格外の坊主だな、おい。
ストレージを持って居る奴なんぞ、冒険者ではまずいないぞ。
樽一つ分のストレージを持っていたら商業ギルドや商人では重宝されるはずだ。
どのぐらいの容量が入る?」
「うーん、樽で言えば五つ分ぐらいでしょうか・・・・。」
俺はその時200リットル入りのドラム缶サイズのイメージで言ったんだが、実のところ、こっちでは四斗ダル(72リットル)より少し大き目のこちらの世界のワイン樽(約86リットル)を樽一つ分と言うようです。
四斗樽入りの酒でも、樽の重量を含めると百キロほどの重量があるので、運搬するにはこれぐらいの大きさが便利なようだね。
「はぁ、そいつは、どこぞの豪商の運び屋なみだなぁ。
おめぇ、そのストレージ持ってることを迂闊に喋ると、貴族や豪商に運び役で取り込まれるから注意しろ。
余程信用のおける奴以外には喋らないことだな。
いずれにせよ、クロスボウとやら、今持ってるんなら見せてみろや。」
仕方がないのでギルマスを信用して、俺のインベントリからクロスボウ一基を取り出して見せました。
ギルマスが矯めつ眇めつ見てますので、どうもこちらの世界では、クロスボウと言うのは無いようですね。
うん、ちょっとまずったでしょうかねぇ?
でも、使うところを見られちゃったんだから、しょうがないでしょう。
いずれにしろ、要はGクラスになりたての坊主にしてはちょっとやり過ぎたという事らしい。
何せ、俺(ケント)って、昨日23匹のゴブリン退治をしているし、今日も今日とて37匹のゴブリンを退治して、更に調査団に参加して、アーチャーやメイジを含むゴブリンとゴブリンジェネラルまで討ち取ったからね。
その成果だけでもかなりの貢献になるようだ。
おまけにベテラン冒険者の深手の怪我を現場で治したことが、かなり過大に評価されている。
いずれにしても、今日の功績だけで、俺(ケント)はギルマスのお声がかりで二階級特進のEランクに昇格しちゃったよ。
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