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クリスとリューズ
3:クリスとリューズ
しおりを挟むお父様が了承書を持って来なくて早3日。
そう。3日ですよ!しかももう直ぐ時間!
お父様!今日中に出せばまだ間に合いますから!早くしないと!
もちろん、お父様には言いませんが。だって言ったら了承書書いてくれないと思うのよ。
「クリス、今日ね。ふふふ。」
「お母様!そ、そうだね。」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
「奥様、旦那様からは今日も頂けませんでした。」
「そう…。明日、決行しますね。お友達に頼んでおいたの。彼女の旦那、乗り気なの。まぁ、実際はただのお友達へのサプライズプレゼントを探しに行くだけなんだけどね。」
「そ、そうなんだ…。」
-----次の日の朝-----
「ロー、今日出かけるから。」
「は?」
お母様、お父様がいかにもついて行きそうな格好に言い方!なんでわざわざ茶色のカツラを被って平民っぽい格好するんですか!お父様、ついて行って…あぁ、尾行するんですね、お父様……。
「久しぶり、ゼク!」
「やぁ、久しぶり。最近会えなかったから寂しかったよ。」
「ほんと?あ、奥さんには…。」
「大丈夫。彼女にはバレてないよ。」
「そう。よかった。」
お母様…そしてゼクさん。お父様の顔が怖いですよ~!
「先にランチでも、どうかな?」
「えぇ。行きましょうか。」
わ、私しーらない。
-----ロー視点-----
了承書を書かずに久々にルミィに会えたと思ったら平民の変装をしていた。
どういうことでしょうか、ねぇ?
尾行しますか。
「久しぶり、ゼク!」
「やぁ、久しぶり。最近会えなかったから寂しかったよ。」
「ほんと?あ、奥さんには…。」
「大丈夫。彼女にはバレてないよ。」
「そう。よかった。」
「先にランチでも、どうかな?」
「えぇ。行きましょうか。」
さて、彼は誰でしょうか?ルミィの浮気相手…いや、それはないですね。しっかり調べていますから。ルミィの手を取ってもいいのは私だけのはず。どういうことでしょうか?
「ルミィ、どうして平民の格好をしているんですか?そして、隣の彼は誰でしょうか?」
「ロー、あなたと口をきく条件、満たしてないでしょう?私に話しかけないで。行きましょ、ゼク。」
「え!?あ、あぁ…。」
…条件、あぁ。了承書ですね。しかしクリスは…………いいえ。リューズならいいでしょう。まだ妥協できますね。さっさとリューズに渡してルミィに事情を聞くことにしますか。堪忍袋の緒が切れそうです。
-----ルミィ視点-----
「ただいま帰りましたわ。」
「ルミィ、こちらへ。」
「了承書は?」
「渡しましたよ。早く来なさい。」
久々に敬語を聞くわね。昔はずっと敬語だったのに今や敬語イコール怒っているか心配しているですものね。さて、やりすぎちゃったかしらねぇ?あれくらいで怒るこの人もおかしいんだけど…。エスコートしてもらっていただけじゃないの。
「で、あいつは誰ですか?」
「答えないとダメ?」
「ふざけてますか?早く白状した方がいいですよ。彼を殺ってしまいますからね。」
「あら大変ね。彼の奥さんに恨まれちゃう。」
「早く言いなさい。」
「あなたが了承書を書かないから、丁度平民街で奥さんの誕生日プレゼントを買いたいって言ってたゼクサスさんに私も彼女にあげたいからって言って一緒に行くことにしたの。ゼクっていつもは呼んでないわ。今回はあなたを怒らせるために協力してもらったの。まぁ、あなたが昨日までに書いていたら急用ができたって言って断る予定だったのに…ね、あなたが悪いでしょう?」
「どうして他の男と買い物をするんだ!」
あ…本気で怒らせちゃった。敬語は最後の理性…だったのね。
「……私、クリスには自分で結婚相手を見つけて欲しかったの。幼い頃から一途に思いつずけて叶ったのに…あなたはそれを妨害したでしょう。私、貴族だったから王子との結婚とか…政略結婚が嫌なのよ。いい思い出がないわ。だから、恋愛結婚を自分の子にはしてもらいたいのに反対なんて頭にくるわよ。」
「だが、他の男と出かける理由じゃない!」
「私があなたを怒らせればあなたは了承書を書くじゃない。実際どう?書いたでしょう!あなたを怒らせる方法が男と秘密裏に会う事よ。だから会ったの。」
「………今後、あまり妨害をしないようにするし、ルミィが怒ったらすぐ謝る。だから…だから他の男は……他の男とは合わないでくれ…頼む。」
泣きそうな顔でそんな事を言われるとは……。
「本当に?」
「ん……だから………。」
「………はぁ。分かったわ。今後絶対よ?次は本当に知らない男と会うわよ?」
「分かった。」
これは相当…甘やかしてあげるか…。
「今日は好きにしていいよ?なんでも聞いてあげる。」
「…………(ポンポン)こっち。」
「ふふっ。はいはい。」
ぎゅー
後ろから抱きしめられるの、好きだな。きっとしばらくこのままだろう。大人しく体をゆだねますか。
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