7 / 12
六話
しおりを挟む
ウィステリアの部屋の扉の前に立ち、軽く扉をコツコツと叩く音がした。
「ウィステリアお嬢様。失礼致します。今日のお部屋の担当は、私デリアが執り行わせていただきます。
「・・・デリア。では、よろしくお願いします。掃除の邪魔になりますから、ロゼそろそろ行きましょうか。」
早く渡したくて、見せたくて表情が綻ぶ。いそいそと髪飾りを小箱の中へ仕舞い込むと、テーブルの引き出しに入れる。お茶の作法を学ぶ為、ロゼを連れて中庭へと歩き出した。
「今日の、お茶は最近お母様が力を注いでいるお茶と聞きましたわ。楽しみですね。」
お茶の作法も終わり、足早で部屋に戻ってきては、作法の振り返りをしつつ、作法で余ったお菓子に手を伸ばしていた。
「あのお菓子美味しかったですね。見た目は真っ白く雪の様にふわふわかと思いきや、口の中ですぐ蕩けてなくなってしまいました。また、食べられるでしょうか。」
あの味を、想像するだけでも顔が緩んでしまいそうになる。
お茶請けにでたお菓子は、砂糖と卵の卵白から作られている。材料は、その二つだけ。檸檬や苺の果汁を混ぜたりしても美味しい。
「いつか作ってみたいです。オットーが話すには、美味しさのコツは卵白が重要だと言っていましたね。何でお菓子はこんなにも美味しくてお茶に合うのでしょう!」
オットーとは、お父様専属の侍従である。髪は、落ち着いたモスグリーン色で、瞳は灰色をしている。
「オットーから淑女の振る舞いについては、まだまだとお叱りを頂いてしまいましたロゼ!でも、お茶の作法については合格点でした。飲む楽しさもそうですが、お茶を淹れる動作は目を奪われますね。私もいつかオットーの様に淹れてみたいものです。オットーの手作りお菓子はいつも美味しいですわ。」
作法も終わり、ターニャに髪飾り渡そうと引き出しを開けると、髪飾りが入った小箱が無い事に気づく。
「入れたはずの小箱が無いですわ!!」
焦ったウィステリアは、泣きそうになりながら、部屋中探し回ったが小箱は一向に出てこない。
「何で、何で小箱がありませんの・・・」
入れた場所に間違いはなく、ウィステリアは自室から髪飾りを持ち出してはいない。
扉を叩く音がしたが、ウィステリアは、髪飾りのことで頭がいっぱいになっていた。
泣きながらロゼを抱いていると、扉を開けて入ってくる侍女デリアに目を向けた。
ウィステリアは目を疑った。デリアの髪に、三日月の形をした髪飾りが着けられている。それは、ターニャに贈るはずの髪飾りであった。何故なら、三日月の形以外に、小さな石が三つほど輝いていたからだ。
「・・・・デリア!?そ、その髪飾りは・・・・!」
ウィステリアが、髪飾りの件を聞こうとしてもデリアは一切ウィステリアに目を向けず、お茶の準備だけして帰っていった。
(ふふっ。あの顔。やはりお嬢様は泣き顔が似合っていますね。お嬢様には不幸が似合っているわ。)
嘲笑い黒い笑顔を浮かべては、ウィステリアを見やる。装飾品を盗み出す事が快感に繋がっていき、途中からやめられなくなってしまった。
デリアに髪飾りの事を聞きたく、探していると、デリアがお母様に話かけられている。
「お母様と何を話しているのでしょうか。」
見つからない様にそっと近づいていくと、話の内容は衝撃的なものであった。
「あら!?その髪飾り。もしかしたらウィステリアからの贈り物かしら。」
「はい!奥様。この髪飾りは、ウィステリアお嬢様から頂いたものなんです。この様な素敵な物を侍女である私に贈ってくださるなんて大変喜ばしい限りです。」
ウィステリアから盗みを働いた事を、バレない様に咄嗟に嘘をついたのであった。泣き顔が見たく、返そうと部屋に行こうとした所、フィーアに出会ってしまった。
(奥様に髪飾りの、件を尋ねられた時は、流石に危なかったわ。)
デリアは、この事をウィステリアに聞かれているとは思いにも寄らなかった。
「・・・・・!!」
デリアが部屋に入り、小物類を持ち出していたのは薄々と感じてはいた。ターニャに贈る物を持ち出し、あたかも自分が貰った物と言い出したのは言葉が出なかった。
ショックから涙が溢れだし、視界はぼやけ眼を腫らしながら部屋に戻った。だが、引き出しの中に入っているはずの小箱は何度探しても出てこない。
無視だけならまだ耐えられた。ターニャに贈るはずである髪飾りは、もう戻って来ないと思うと、また涙が溢れてだした。
「どうしてそこまで、私に意地悪するの・・・・。」
「ウィステリアお嬢様。失礼致します。今日のお部屋の担当は、私デリアが執り行わせていただきます。
「・・・デリア。では、よろしくお願いします。掃除の邪魔になりますから、ロゼそろそろ行きましょうか。」
早く渡したくて、見せたくて表情が綻ぶ。いそいそと髪飾りを小箱の中へ仕舞い込むと、テーブルの引き出しに入れる。お茶の作法を学ぶ為、ロゼを連れて中庭へと歩き出した。
「今日の、お茶は最近お母様が力を注いでいるお茶と聞きましたわ。楽しみですね。」
お茶の作法も終わり、足早で部屋に戻ってきては、作法の振り返りをしつつ、作法で余ったお菓子に手を伸ばしていた。
「あのお菓子美味しかったですね。見た目は真っ白く雪の様にふわふわかと思いきや、口の中ですぐ蕩けてなくなってしまいました。また、食べられるでしょうか。」
あの味を、想像するだけでも顔が緩んでしまいそうになる。
お茶請けにでたお菓子は、砂糖と卵の卵白から作られている。材料は、その二つだけ。檸檬や苺の果汁を混ぜたりしても美味しい。
「いつか作ってみたいです。オットーが話すには、美味しさのコツは卵白が重要だと言っていましたね。何でお菓子はこんなにも美味しくてお茶に合うのでしょう!」
オットーとは、お父様専属の侍従である。髪は、落ち着いたモスグリーン色で、瞳は灰色をしている。
「オットーから淑女の振る舞いについては、まだまだとお叱りを頂いてしまいましたロゼ!でも、お茶の作法については合格点でした。飲む楽しさもそうですが、お茶を淹れる動作は目を奪われますね。私もいつかオットーの様に淹れてみたいものです。オットーの手作りお菓子はいつも美味しいですわ。」
作法も終わり、ターニャに髪飾り渡そうと引き出しを開けると、髪飾りが入った小箱が無い事に気づく。
「入れたはずの小箱が無いですわ!!」
焦ったウィステリアは、泣きそうになりながら、部屋中探し回ったが小箱は一向に出てこない。
「何で、何で小箱がありませんの・・・」
入れた場所に間違いはなく、ウィステリアは自室から髪飾りを持ち出してはいない。
扉を叩く音がしたが、ウィステリアは、髪飾りのことで頭がいっぱいになっていた。
泣きながらロゼを抱いていると、扉を開けて入ってくる侍女デリアに目を向けた。
ウィステリアは目を疑った。デリアの髪に、三日月の形をした髪飾りが着けられている。それは、ターニャに贈るはずの髪飾りであった。何故なら、三日月の形以外に、小さな石が三つほど輝いていたからだ。
「・・・・デリア!?そ、その髪飾りは・・・・!」
ウィステリアが、髪飾りの件を聞こうとしてもデリアは一切ウィステリアに目を向けず、お茶の準備だけして帰っていった。
(ふふっ。あの顔。やはりお嬢様は泣き顔が似合っていますね。お嬢様には不幸が似合っているわ。)
嘲笑い黒い笑顔を浮かべては、ウィステリアを見やる。装飾品を盗み出す事が快感に繋がっていき、途中からやめられなくなってしまった。
デリアに髪飾りの事を聞きたく、探していると、デリアがお母様に話かけられている。
「お母様と何を話しているのでしょうか。」
見つからない様にそっと近づいていくと、話の内容は衝撃的なものであった。
「あら!?その髪飾り。もしかしたらウィステリアからの贈り物かしら。」
「はい!奥様。この髪飾りは、ウィステリアお嬢様から頂いたものなんです。この様な素敵な物を侍女である私に贈ってくださるなんて大変喜ばしい限りです。」
ウィステリアから盗みを働いた事を、バレない様に咄嗟に嘘をついたのであった。泣き顔が見たく、返そうと部屋に行こうとした所、フィーアに出会ってしまった。
(奥様に髪飾りの、件を尋ねられた時は、流石に危なかったわ。)
デリアは、この事をウィステリアに聞かれているとは思いにも寄らなかった。
「・・・・・!!」
デリアが部屋に入り、小物類を持ち出していたのは薄々と感じてはいた。ターニャに贈る物を持ち出し、あたかも自分が貰った物と言い出したのは言葉が出なかった。
ショックから涙が溢れだし、視界はぼやけ眼を腫らしながら部屋に戻った。だが、引き出しの中に入っているはずの小箱は何度探しても出てこない。
無視だけならまだ耐えられた。ターニャに贈るはずである髪飾りは、もう戻って来ないと思うと、また涙が溢れてだした。
「どうしてそこまで、私に意地悪するの・・・・。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる